君子、固より窮す。
総務省。
ICTビジョン懇談会。
野村総研の村上輝康さんや、
一橋大学の米倉誠一郎さんとお話する。
座長の岡素之さんが、鳩山邦夫総務大臣に
報告書を手渡す。
所眞理雄さん、北野宏明さんと議論する。
関根崇泰と、コンビニに行きながら
いろいろと話す。
田谷文彦と立ち話。
田谷くんは、とてもおめでたい
ことがあった。
おめでとう!
井上靖の『孔子』から。
孔子の一行が旅をしていて、
ある場所で荷物を奪われ、
餓死寸前に追い込まれる。
子路が、孔子に向って、
投げつけるように「君子も窮する
ことがありますか。」と尋ねる。
孔子ともあろう人が飢えている
ことが、悲しく、腹立たしい。
そてれに対して、孔子は、
「君子、固(もと)より窮す。」
と答える。それから、
「小人、窮すれば、斯(ここ)に濫(みだ)る!」
と付け加える。
それを聞いた子路は、感激する。
「この詞を師に口から出して頂いた
ことを思えば、飢餓が何であろう、餓死が
何であろう。」
飢えたればこそ、師からこのすばらしい
詞を聞くことができた、と顔回は心を
動かされる。
春秋時代の諸国を弟子たちと
移動しながらいかに生きるべきかを
模索した孔子。
その孔子に惹き付けられる井上靖
さんの心情が伝わってくる。
物語という仮想が硬い歴史的現実に
転ずるかに見える、
そんなスリリングな瞬間。
『孔子』は井上靖さん最後の長編。
満八十歳から八十二歳にかけて『新潮』
に連載された。
6月 2, 2009 at 07:13 午前 | Permalink
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コメント
「君子、固より窮す。小人、窮すれば、斯に濫る。」
この日の日記を拝見して以来、井上靖さんの『孔子』を読みたいと思っていました。
そして、ようやく手にし、読み終わったところです。
論語に収められている言葉についても、所々調べたりしながら読んだので、難しかったですが大変勉強になりました。
感銘を受けたところは、論語の名句そのものも含めてたくさんあるのですが、情景的な美しさからして以下の部分です。
孔子とその弟子たちが満天の星空を見上げながら、
「北辰、その所に居て、衆星、・・・」と言葉に詰まる孔子のあとに
「北辰、その所に居て、衆星、これを囲む。」と子路が言い、続いて、
「北辰、その所に居て、衆星、これを迎う。」と子貢が言い、続いて、
「北辰、その所に居て、衆星、これを捧ぐ。」と顔回が言い、再び、
「北辰、その所に居て、衆星、これを廻る。」と孔子が言ったあと、
この「廻(めぐ)る」という孔子の大きな思いに触れ、弟子たちは心を打たれ感動に包まれる。
(論語においては「北辰其の所に居て衆星のこれに共(むか)うが如し。」と記されているようです。)
架空の弟子、蔫薑(えんきょう)が、亡き師孔子の言葉や言動を思い起こしながら、じっくりと向き合い、掘り下げて、考え抜いていく態度。それは亡き師との対話であり、井上靖さんご自身の孔子に対する想いであったように感じます。
・・・なんとも心豊かになります。
夜空に輝く無数の星々。孔子の微笑み。これが私の中での読後の余韻です。
苦境のただ中に佇むとき、あるいは、ふと立ち止まったとき、孔子の言葉は語りかけてくれそうです。
書物との出会いを通しての発見や学び。そういったことを意識しています。
ありがとうございます。
遠くにあるもの・・・
茂木先生にとっての遠くにあるもの、大切になさってください。
投稿: 須戸 和美 | 2009/09/27 23:05:18
「君子もとより窮す、小人、窮すればここに濫る!」この言葉が
ここ数日ずっと頭の中にありました。そして私も『孔子』を読み始めました。
いつも茂木さまのブログや本を通じて色々な本にめぐり合えています。
感謝です☆ これからも楽しみにしています。
投稿: maro | 2009/06/05 7:31:06
茂木先生、おはようございます♪
深い師への尊敬の念があってからこその感動でしょうかと思いました。
『孔子』は先生のご著書『欲望する脳』を拝読させて頂きましてから、ずっと読みたいと思っておりました。
゛自分の心の浴する所に従っても倫理的模範から逸脱しない″
私にはとても難しすぎますが、井上靖さんの『孔子』に挑戦したいと思います!
それでは先生、本日も素晴らしい1日をお過ごし下さいませ(*´∀`*)/。・゜゜゜・。☆☆☆
投稿: wahine | 2009/06/04 7:36:14
茂木さん、Hello♪(^-^)参りましたハハ〜m(__)m(笑)そして、ポッカ〜ン(・。・)ちょっとレモンサワ〜(私にはシャンパンみたい♪(笑)でほろ酔いだけど(^-^*)昨日は仕事で、無意識の垂れ流し、(これ好きです(笑))などが沢山あって耳も目も痛かったけど、まだ跳ね返せなくて(>_<)やっぱりまだまだ祖先代々じゃないと無理みたい♪だけど、今日は沢山、素敵な事が声があったからうれしかったです♪ところで、「孔子ともあろう人が飢えていることが、悲しく、腹立たしい。」の所、本当そう思います。かわいそう(ToT)私の高級ジェラート分けてあげたい♪(笑)それでは茂木さん、また今度です。
投稿: 水饅頭 | 2009/06/03 1:29:17
茂木さん、田谷さんにおめでたい事があったって何ですか??わくわくする響きです(^o^)
私は茂木さんの言葉に惹き付けられます(o^∀^o)
投稿: 奏。 | 2009/06/02 22:53:51
おはようございます♩♩♩♩
茂木さん、『アンの青春』にどっぷりハマり込んでしまいました。
大抵何冊かを一緒に読むのですが、今回は他の書物に移り気している隙を与えません。
『孔子』も『老子』も『ニーチェ』も『ゲーテ』も『夏目漱石』も一刻も早く読みたいです。
今日は電車の中で、デイビーの可愛らしさに圧倒されていました。
ところかまわず、私から笑顔を引き出してくれます♬✷♩⋆♫✮
そして、マリラとアンのデイビーへの注意、教訓を私へ言葉として賜っております。
私が幼い頃に出会ったとしてもこの本の内容が理解できたとは思えませんが、もっと早く出会ってみたかったです♫♬♫♬!
この世にはすばらしいものが溢れているようです!
キラキラ☄
田谷さんも、素敵なことになった様で、
おめでとうございます✿
投稿: 光嶋夏輝 | 2009/06/02 22:30:26
文字通り「乱世」の中国・春秋戦国時代に、孔子という聖賢が生まれ、活躍し続けたという史実は、泥沼に真っ白な蓮華の咲くを見るような、奇跡的な思いを引き起こしてくれる。
「君子もとより窮す、小人、窮すればここに濫る!」という言葉。
君子はもともと「窮して」いるからこそ、乱世でも覚悟を決めた生き方を貫く。小人は、窮すると、忽ちオロオロ、右往左往する(と、いう意味なのかもしれない)。
いまは、春秋時代と違い、国同士の戦乱も、凄まじい流血の事態も(少なくともこの島国の上では)まずないが、心を餓えさせ、希望を見失い、生きる意欲をなくしかけている人々が沢山いる。21世紀は孔子が生きた時代とは違う意味での、乱世続きなのだ。
けれども、「君子もとより窮す…」の孔子の“覚悟の生きかた”は、私達の生きるこの時代にも、シッカリ通じる生きかただと納得する。
井上靖さんの短編を読んだことがある。古代中国、シルクロードの時代に生きた人々の姿を生き生きと活写されていたのを思い出す。
何があっても「小人」よりも「君子」として乱世を生きなくてはならぬと、覚悟を決めていきたいものだ。
投稿: 銀鏡反応 | 2009/06/02 21:41:51
茂木先生 こんにちわ
>・・と、コンビニに行きながら
いろいろと話す。
茂木先生は コンビニ どこ派なのかな?
コンビニで 何を買うのかな?
立ち読みしたり ピザマンや おでんを買ったりもするのかしら。
・・と 冒頭で 楽しくなってしまいました
井上靖さんの ”孔子”
茂木先生の切り取った部分から想像すると
奥深くおもしろそうですね。
”敦煌”は 日本を知りたいな~と
読んだ事があって映画も借りてみた事があります。
”孔子”も 映画化されないかしら。
そうすれば わかりやすいのに。
>飢えたればこそ、師からこのすばらしい
詞を聞くことができた、と顔回は心を
動かされる。
今の日本では 上記の状況になるのは 難しそう。
また そんな苦しい状況に おいても
すばらしい詞を聞きたいと思える
カリスマ的な人の出現は なかなか なさそう。
ただ 今の時代だからこそ 読んでみると
気づかされることがありそうで
並列読書をしていたのをヤット抜けて直列読書になったのが
また 並列になる予感が・・・
あっ 文末になりましたが
今日 新聞の広告で
奇跡の林檎の木村さんの本の紹介が大きくされていて
嬉しかったです
投稿: Lily | 2009/06/02 20:48:25
井上靖さんの「孔子」は
豊かな物語性が感じられて
読んでみたくなりますね。
学生のころ諸子百家を
漢文とよみ下し文のついた岩波文庫で
愛読しました。
この、~曰く、
というスタイルは魔法を持っていて
聖書や仏典に通じる伝播の精神に
貫かれていると思いました。
「物語という仮想が硬い歴史的現実に
転ずるかに見える、
そんなスリリングな瞬間」
すぐれた物語もまた
切実なリアリティを伝播して、
ときにわたしたちの居住まいを正してくれます。
ふと思ったのですが
「プロフェッショナル」が多くの人に支持されるのは
諸子百家的な重みがあるからかもしれませんね。
苦難をのりこえて何事かをなしえた人の言葉、生きざまには
人を唸らせる下地と突き抜けた天晴れが隠れています。
「君子、固より窮す。
小人、窮すれば、斯に濫る!」
2500年という年月は長いのでしょうか、
短いのでしょうか。
孔子が生きた時代から隔たっても
耳の痛ーいおコトバです…
投稿: 島唄子 | 2009/06/02 10:18:39
茂木ィ先生、おはようございます!(・ω・)/
井上靖氏の「孔子」私も昨日読んでました(^^ゞ(茂木さんのサンデー毎日のエッセイの影響です)
導入部でけつまづいていましたが、山超えて凄く面白くなってきました!
井上靖氏の歴史小説は情景が目前に迫ってくる所で、神懸かりだなぁと思います。天才です!
私が感銘したのは「 天、何をか言うや。四時行われ、百物生ず。天、何をか言うや」の孔子の言葉です。
連想したのが旧約聖書の詩編です↓
「天は神の栄光を語り大空はみ手のわざを告げる
夜は夜に知識を伝える
ことばでもなく話でもなくその声も聞こえないが、
その響きは地をおおいその知らせは世界に及ぶ」
詩編19
聖なる言葉には、世界で共通するものがあるのですね?
「論語」漢文で読んでみたいと思います♪漢文は割と好きでした(確か?)
中国は日本語や文化の恩人だと思います!
では茂木先生、今日も素敵な1日をお過ごし下さい
投稿: 眠り猫2 | 2009/06/02 8:16:46
茂木健一郎様
おはようございます。
茂木さんの様々なご活躍が生かされていくことが
楽しみでしかたありません。
茂木さんを慕うかたがたも茂木さん茂木先生と
共に歴史を刻んでいくのではないでしょうか。
お幸せですね。
投稿: Yoshiko.T | 2009/06/02 7:58:20