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2009/05/20

人生の有限性の中で

田森佳秀と話したことの続き。


田森は、一年間MITに行っていた
ことがあって、ノーム・チョムスキーの
下のフロアだった。


「この前SfN行った時さあ、理化学研究所の
藤井直敬さんとか、MITにいたことが
ある人たちが、MITでは学生とか全員に
IPアドレスが与えられるんだと言って
いたけど。」


「そうなんだよ」と田森。

「外の大学は、IPアドレスの割り当てが
クラスBで足りるんだけど、MITは、クラス
Aなんだ。」

「ふうん」

「プリンターにも、IPアドレスが割り当て
られているんだ。だから、おかしかった
んだぜ。日本から、MITに書類を送る時、
IPアドレスで、あの教室のあのプリンター
に出力、ってやったら、向こうから、
ああ、届いた、届いたって。」


「ひょっとして、卒業生にもIPアドレスが
割り当てられ続けるの?」


「いや、さすがにそれはない。MIT内に
サーバーがあって、照合して、認証されれば
IPアドレスが割り当てられるシステムになって
いる。」

「オレが前に金沢工大に来た時さ、お前が
授業やっていて、その時、ある大学で
一人の学生がメールを使って悪いことを
したからといって、その大学のメールアドレスを
全部停止した、といって猛然と怒っていたじゃ
ないか。」

「そうだったかなあ」

「そうだよ。お前、言ってたよ。みなさん、
石川県小松市から誰かが郵便を送って、それが
犯罪に関係していたからといって、小松市
からの郵便を全部停めますか、って。
それくらいナンセンスなことなんだから、
そんなことは絶対に認めちゃいけません、
って、お前力説していたじゃないか。」

「そんなことも言っていたかもしれない。」

「いずれにせよ、MITと日本の大学、
ぜんぜん違うよな。」


何を考え、感じ、何を言うか。

ある一人の人間を信用するかどうか、
愛するかどうかは、いろいろな細かいことの
積み重ねであって、
田森佳秀という男の素晴らしさは、
もちろん、その面白話だけにあるのではない。


「茂木お前さ、講演の時、オレが
夕方から計算を始めて、夜8時までやっている
カレー屋に行くのを楽しみにしていて、
さあ、終わった、時計を見ると7時だから、
まだ間に合う、と思って外に出ると、
さわやかな空気が吹いていて、鳥がチュンチュン
鳴いている、いつの間にか
朝になっていた、
という話をしたろう。あんなことするなよ。」

「だって、面白いじゃないか。」

「そんなに面白くないよ。計算に夢中になって、
いつの間にか朝になっていた、というのは、
別に普通にあることだろう。」

「そんなに何回もあるのか。」

「うーん。年に、2、3回しかない。いや、
もっとあるかな。」

「まだ夜だと思っていたら、いつの間にか
朝だった、ということもよくあるのか?」


「いや、最近は、はっと気付いて、
これはきっと朝になっているな、と思って
いると、やっぱり朝になっていた、
とあらかじめ予想ができるようになった
から、あまり面白くない。」

いや、面白いと思います。

東京へ。

NHK。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』 
の打ち合わせ。

水中写真家の中村征夫さんの回。

末次徹ディレクターが、取材して
きたVTRに会わせてコメントを
読み上げる。

住吉美紀さんが画面に見入る。

私の隣りに座った有吉伸人さんには、
どこか、田森佳秀に似た匂いがする。

今回、金沢に有吉さんも行けるかも、
と言っていたのだけれども、スケジュール
で果たせなかった。

有吉さんと田森は、そのうち絶対に
出会うような気がする。


打ち合わせ風景。左から山口佐知子さん、
柴田周平さん、末次徹さん


中村征夫さんのVTRを見る住吉美紀さん


スタジオの内容について沈思黙考する有吉伸人さん。


お台場。
フジテレビ『エチカの鏡』の収録。

朝倉千代子さんとお話する。

エレベーターに乗ろうとしたら、
SPEEDのみなさんがいらして、
新しいCD「S.P.D.」 を下さった。
ありがとうございました!

小松純也さんがいらっしゃる。

小松さんはフジテレビの編成制作局編成部副部長で、
劇作家である。

小松さんと有吉伸人さんは
京都大学の劇団「卒塔婆小町」時代からの
知り合い。

小松さんが20歳の時に書いた
演劇『冬の絵空』が、2009年5月22日(金)
22:30〜24:50まで、
NHK教育テレビ「劇場への招待」
で放送されるとのこと。

「詳細」 

みなさん、ご覧下さい!


小松純也さんと。2009年1月1日。


縁というのは、不思議なもの。

誰かと出会った時に、それを偶然だと
思うのではなくて、自分の人生の有限性の
中で、何か意味があるはずだと
必死になって思い込むこと。そして
そのことを生かすこと。

このところ、
ずっとそのことを考えている。

5月 20, 2009 at 07:39 午前 |

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■カネモイイケドジカンヲクレ ■さてなかなか大変になってきた。  演習系の授業の発表がいくつもあるんですよね。  発達心理学、考古学、健康心理学などなど。  それにゼミでもメディア倫理の議題を設定しなくてはならん。  ゼミのメンバーを集めて、話しあっているも... [続きを読む]

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コメント

ありがとう   たくさん書かせて頂いて 本当に ありがとう。

         明日から 心機一転
  
         家庭・ 会社・ 介護     simple life

           再生です。 その中での   私 ・・・!
 

投稿: | 2009/05/23 8:19:22

きつくて 御免  吾が身に向けて

         こうでもしないと 再起・始点に戻れない。 

              simple life

投稿: | 2009/05/23 6:29:51

今宵 ゼロ地点に立ち   密かに思う  慎重に 一

   今日からの  一    科目少なく 人も少ない

   一の結果は  一    であれば  時 再生の時   必需  

投稿: | 2009/05/23 0:15:56

真理  ゆえ  酷い

    容赦なく 意志ださん の身の上にも

    解決は手段 当り前の 手立て  まずは、 ゼロを目指す!

投稿: | 2009/05/22 23:57:11

盲点とは  【逆意】持つ隣人 其れも又 有限実行へのノルマ

             性格緩和 並々為らぬ為  一点 二点

                   三転の運び

投稿: | 2009/05/22 8:12:11

有限の中 現実化

            仮想は薄れ  痛みの在処 もう点 ・

投稿: | 2009/05/21 6:43:05

縁を活かせる自分自身でいる努力を、常にしていなければ。。。!!

投稿: | 2009/05/21 0:22:24

田森先生、MITでノーム・チョムスキーのお近くにおられたのですかー!これはスゴイ。

ちょうど、今、チョムスキーの「What We Say Goes」を原書で読んでいます。ネタばれ的なことを言うと、邦題「チョムスキー、アメリカを叱る」を読んで素晴らしかったので、原書とCD(5枚!)まで買ってしまったということで。

ブッシュ、ラムズフェルド、チェイニーをこてんぱんにやっつけていく、いつもながらの舌鋒の鋭さもさることながら、チョムスキーさんの流麗な英語を”音”として楽しんでいます。

何がスゴイと言って、CD5枚に及ぶロング生インタビューにもかかわらず、一度も噛まない!というところがすごい。(一体、何に感動しているんだ、もっと内容で感動しろよ、というツッコミが・・・)

ノーム・チョムスキー、行動する知の巨人、私のなかで、いつの日か茂木さんと充実の対談をしてほしい人、ナンバー1です。

投稿: | 2009/05/21 0:21:36

茂木さん、こんにちは。
紋付袴姿、初々しい七五三のようで可愛いですね☆

>出会えたご縁

ここに、出会いたくなかったご縁の方も(笑)組み入れますと、より一層「自分の人生の有限性の中で、何か意味があるはずだ」が明確になってきますよね(o^-')b

投稿: おちょん | 2009/05/20 23:06:25

茂木さん、Hello♪そうですね、田森さんもまた、色んな魅力を持っている方ですね♪だけど数字、計算などを(その他色々だと思いますが)誰よりも得意とする方なのに、朝なのか、夜なのか、分からない、気付かないほど夢中になってしまう計算問題?!はどこから、何方が作ったのですか?それとも田森さん自身で問題を作っていらっしゃるのですか?私には知らない見たことも無い世界です…すごいですねφ(..)STK(ステキ♪)です。
だからこそ、聞いたり頼ってしまうのですm(__)m
私は何が得意かな?得意になりたいかな?英語は出来るようになりたいな♪夢の中も英語が出てきちゃう位になるのが夢かな♪(*^o^)そしたら勉強φ(..)しなきゃ♪
それでは茂木さん、また今度です。

投稿: | 2009/05/20 22:12:00

茂木ィ先生、おこんばんは
(・ω・)/
今帰りの電車です。
今日もいじ(め)られた気がします。
わたくしは何でも真に受けるので(疑わないです)からかう人が飽きないらしいです。
(><;)まただまされただに~~
茂木先生の空き地同盟も、昨日まで信じていました(・ω・)/
昨日、空き地を眺めていて、あっエイプリルフールだったのかぁ!と突如認識しました(笑)
マキロン頭に塗ったら治りますでしょうか?え、処置なしですか?ですよね(笑)
近くの空き地の草がサバンナ化してきて凄いです!
コンクリートで覆わなきゃ大地の生命力は旺盛ですね♪
田森さんの集中力は天才肌だと思います!
私には真似できません。
私が水深1メートルしか潜れない所を、茂木さんや田森さんは一万メートル位潜れるのだと思います。計算に没入できるって、素晴らしいです!
田森さんは丹波哲郎に似てると思います♪
茂木ィ先生は「脳に効くカラヤン」を出版されるって本当ですか?カラヤンの音楽はほとんど知らないので、楽しみにしてま~す(^o^;)

投稿: | 2009/05/20 20:46:25

様々な現場で色々な出会いがある、茂木先生
ずっと昔からのご友人にも囲まれて
先生のお人柄が伺えます

一期一会を座右の銘とし、私も
出逢いやご縁を大切にしています。

僭越ながら
こうして茂木先生の日々のブログを拝見出来るのも
私にはとてもありがたい機会です
昔ならご著書を拝読するだけのはず。

心のふるえる出会いが
先生の周りはたくさんあるのでしょうね

新発見や心の動きを
どうぞこれからもたくさん教えてください

投稿: | 2009/05/20 20:07:31

野澤さんがyoutubeにアップしてくださった駒場の講義を聴かせていただきました。

僕は現代アートには少し疎くて、MarinaのパフォーマンスやPiss Christにかなり衝撃を受けたんですが、大切な教養の一部と分かったからには、積極的に現代アートに触れていきたいです。

あと、「不確実な報酬の探索」っていい言葉ですね。胸にぐっときました。

Richard Dawkins;The God Relusion
開高健;珠玉

この2冊、早速読もうと思います。

では、失礼します。


 


投稿: | 2009/05/20 20:04:13

さまざまな人との出会いを、自分にとってこれは何か意味があると思うことって、本当に大切なことだと、しみじみ思う。

実際、他者との出会いは、自分の中に異なる「化学変化」を齎してくれる。

限りある我が人生。何時かは終わりが来るその中で、他者と少しでも、縁(えにし)を結ぶことで、人生の美味なる果実を得る。

そうなるためにも、一つ一つの出会いを大切に生かしていきたい、と思う。

十代の頃から、自分はなかなか、同世代の友人との出会いを、深く友情を育んだり、暖かい交わりを続けることなどに、十分に活かせなかったように思える。

それでも、周りには、自分を認めてくれる人々が居てくれたお蔭で、今まで曲がりなりにもちゃんと生きてこられた、と思う。

今度はその人達との縁を、心から大切にしていきたいと思っている。

そして、(出来る事なら)もっと多くの人達と、交わり合いながら、ぶつかり合いながら、魂の化学変化を繰り返し、命尽きる時が来るまで、我らしくよりよく、生きていこう…!

p.s.『プロフェッショナル』の中村征夫さんの回、放送を今から楽しみにしています。
中村さんの水中写真を書店などで見たことが数回あります。生き物達の表情などが生き生きしているのが印象に強く残っています。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/05/20 19:56:06

茂木先生 こんにちわ

わっ 袴姿と思ったら
今年の元旦の お写真だったのですね。
とても お似合いですよぉ~(はっそのヘアスタイルはオールマイティだったのですね)

田森さんの ご意見(考え方)&体験 何となくわかります。
だって 時間は 伸び縮みしますものね。
充実していたり 楽しい時間は ぎゅぅっと縮んで早く過ぎ去るものだと
田森さんの”いつのまにか説”に 私も 同意します。


>縁というのは、不思議なもの。

本当に そうですよねぇ。
人だけじゃなくて
何かを行うチャンスが 巡ってきた時に
活かすか活かさないかと言うのもそうかもしれないなと思っています。

『そこに 何か意味を見出すのは 自分次第なのかなぁ?』
と チョットしたチャンスが巡ってきたので この頃 私も 考えています。


>そのことを生かすこと。

この事も 自分次第なのかな・・と。

生きていける時間は 限りがあるものなんだなぁ。
と チョット前に見た映画の ハチドリや無限性を連想してしまいました。

・・・一体 私に どの位の事が出来るんだろう。
茂木先生おっしゃるところの 人生の有限性の中で・・・

投稿: | 2009/05/20 16:39:29

「誰かと出会った時に、それを偶然だと思うのではなくて、自分の人生の有限性の中で、”何か意味があるはずだ”と必死になって思い込むこと。そして”そのことを生かすこと。”」・・・長い間、私もまさに仰る通りのことを考えて生きてきました。そして現在では、かなりの確信と手応えを持って、「人生はそのように回っている」と実感しています。何の宗教にも帰依していませんが、それが自分なりの信仰の形なのだと思います。

投稿: | 2009/05/20 15:13:49

茂木先生の本を最近になって初めて読ませて頂きました。
衝撃的でした。
まさに今、私が壁にぶちあたって悩んでいた事が書かれていました。「縁」という言葉を借りたなら、茂木先生に巡り会えて良かったと心から思っています。ありがとうございます

投稿: | 2009/05/20 14:58:01

田森さんのお話、私もとても面白いと思います(笑)
先日のプロフェッショナル、大変勉強になりました。
ありがとうございます!
毎回思うのですが、ゲストへの先生の愛の込められた質問が大好きです。瞬時に確信をついたお話が飛び交うのがすばらしく、これまたプロフェッショナルのなせる技だなと感激しております。
茂木先生の和装、とってもお似合いですね!

投稿: | 2009/05/20 14:57:49

茂木健一郎様

茂木先生、素晴らしいご友人が
あちらこちらにいらっしゃること、
茂木先生のお人柄が伝わってまいります。
『今、ここからすべての場所へ』に、
茂木先生のお人との縁について書かれて
いたところが何カ所があり心に刻まれています。

有吉さんと田森さんが似ていらっしゃるの、
私が言うのはおかしいですが、
失礼を覚悟して、
クオリア日記から伝わってきています。
茂木先生、お楽しみですね。

(「生きて死ぬ私」に田森さんが
でていらっしゃるところを、再度読ませて
いただき、以前読んだ時と違う感慨がありました。
ありがとうございます)


投稿: Yoshiko.T | 2009/05/20 14:31:17

計算していて朝になってるなんてすごいですね!
私も居間でうとうとしていて、起きたときには朝になっていたなんてことがかなりあります
 
いつか脳の研究も進んで、脳が物事をどう選択するかを確率ではなく当てることができるようになったら、人間に関しての未来が予知できるようになるんでしょうか
でもそれでもやっぱり縁は把握できないですから不思議ですよね
 
会わない縁もあると思うし、会う必要がなかった縁もあるかもしれませんけど精一杯何か見つけ出したいものです

投稿: | 2009/05/20 12:40:04

茂木先生
    和服「素敵です!」
       次は大島紬、お似合いと思います。
 
      「縁」大切に生かしたいです。
       今日もありがとうございます。

投稿: | 2009/05/20 12:28:41

茂木健一郎さまへ

まるで尋ね人のように

このページを
訪れるわたしを

見つめなおして

気がついた事

寂しさのうらがえす想いと
ほどいてくれる人は

自分自身の心と

たしかな夢を求めて

今日 このページを
卒業します。

     (エーデルワイス)

投稿: | 2009/05/20 10:21:18

昨夜のプロフェッショナルで
笑顔のすてきな木村さんが
「前に会ったときより
高まってるやつじゃないと
また会うかどうか…」
という主旨のことを言われたとき
ちょっとドキッとしました。
縁あって人に会っても
人というのは優しくもキビシイ
ものであるとうなずきました。
人が人に見いだす味わいや魅力は
その種や芽が自分の中に
あるのかもしれません。
自分もまた育っていけるから
いっそう好きに、魅力を感じるようになり
そんな循環の中で
縁を深められたらすてきだなぁ。

投稿: | 2009/05/20 8:49:18

おはようございます。
茂木さんの”出会いに関するの思考”、すみきちさんの”出会いに関する思考”、知り合いの”出会いに関する思考”、いろんな方々に影響を受ける自分の”出会いに関する思考”。

渋谷に居て、溢れる人に紛れそうになった時、「こんなに多くの人間がいる中で、なぜ、私は今の仲間に出会えて友達になれたんだろう。」と不思議に思い、私を支える人々に感謝しました。

せっかく出会えたのだから一生大切に守っていきます。

投稿: | 2009/05/20 8:07:21

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