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2009/04/28

文明の星時間 花言葉

サンデー毎日連載

茂木健一郎 歴史エッセイ

『文明の星時間』 第62回 花言葉

サンデー毎日 2009年5月10・17日合併号

http://mainichi.jp/enta/book/sunday/ 

抜粋

 白い百合は、「純真」を表すという。アカシアは「秘められた愛」、ローズマリーは「思い出」、ライラックは「初恋」。花言葉には、科学的な根拠があるわけではもちろんない。それは、一つの「メタファー」である。そのそれぞれの花のイメージと言葉が響き合って、独特の印象を残す。
 夏目漱石の『それから』では、主人公の代助と三千代の間の決定的な場面に白い百合が登場する。白い百合の花言葉である「純真」と、代助、そして三千代の相手に寄せる感情が結びついて、読み手に忘れがたい印象を残す。
 漱石が英国に留学していたのは1900年から1903年にかけて。漱石が留学中の1901年1月22日に、60年以上にわたる治世を経て、ヴィクトリア女王が崩御する。
 日本の花言葉は、ヴィクトリア女王の時代の英国で流行した「花の言語」という考え方に由来する。それぞれの花には、固有のメッセージが込められているものと考えられた。漱石は、そのことを知っていて『それから』の大切な場面に白い百合を登場させたのかも知れない。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

4月 28, 2009 at 07:20 午前 |

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コメント

茂木先生、こちらを拝読させていただきました時、きゅーっとなるような切なさと無限に広がる光のような感動がありました。
大袈裟でしたら、スミマセン。

赤い薔薇ステキですなあ。 (*´ω`)/Ψ


投稿: wahine | 2009/05/11 7:19:10

茂木さん、ませていらしたのですね、 五歳ですでに~ 可愛いすぎます、hugしたい!

投稿: yuuki | 2009/05/01 20:56:10

様々な経験を通し、自己と他者の感覚を一つ一つ習得していくと、気が付けば大きな積み重ねの層を成し、それが自分を構築していくものとなっていく。
まるで、年輪のように。
先生の幼少の体験があったからこそ、今の先生の心に花の意味を深く感じさせているきっかけとなっているなんて、なんだか興味深い伏線になってるなと思いながら、コラムを拝読させて頂きました。
自分ではない何か(花)に意味を感じ、自分の気持ちを重ねて見る…。
言葉や思想に、何かしらの規制があった時代の知恵だったのかなぁ…とぼんやりと思ってみました。
人間には、いつの時代も課せられるべき不自由はあれども、神の名の下では、花は穢がれなき、罪なき存在だったんではないでしょうから。その時代の権力者さえも、花を咎めることなど出来なかったのだと思います。
生き生きした花の姿に、人々の心情を反映させたというのは、romanticであると同時に、切なる想いでもあったのだと思います。
むやみに自由を与えられすぎても、人間は美しいトレースを描けない。制約があるからこそ、その内に意味のあるカタチを描くことが出来るのかもしれません。自分に負荷を敢えて掛けるという人間の行動には、そんな過去の情報が関連しているのかなぁ。
世の中には、分からないことばかり。
だからこそ、知りたくなるんでしょうね。
ちなみに私の誕生花の花言葉は、よりにもよって『不滅』です(笑)
花言葉にも、いろいろあるんですね。
ありがとうございました。

投稿: ゆみっち | 2009/04/29 7:55:45

長塚節の歌に、

うつつなきねむり薬の利きごころ 百合の薫りにつつまれにけり

がありました。

長塚節といえば、子規門下の写実短歌の系譜ですけれど、この歌の百合の薫りは、もはや、単純写生では説明できないほど、リアリズムから浮遊する感じがあっていいなあ、と。まさしくメタファーとしての百合ではなかろうか。

長塚節の生涯は神経症や咽頭結核といった病とのたたかいでもあり、ようやく整った婚約も結核の発症で、みずから解消。しかし、この女性が入院中の節を見舞い、恋が再燃、そして、断念。なんと、ドラマチックな・・・。

それにしても、この歌の持つ静謐な高みは何なのだろう。すばらしい。

長塚節は後年、『土』という小説でも有名になりますが、これを新聞連載する際に、本当に心のこもった推挙の一文を寄せたのが夏目漱石でした。

1915年、長塚節、没。わずか35年の生涯でした。


投稿: 砂山鉄夫 | 2009/04/29 0:50:36

サンデー毎日で先ほど拝見いたしました。
茂木さんと花言葉…うーん、可愛いですねぇ… (^~^) ←若干こらえてます(笑)
でもエッセイ素敵でした。
「それから」に出てくる百合のシーンは印象的ですね。
百合の香りが読んでいても感じられて…
三千代が百合の水を飲んでしまう場面が好きです。

投稿: 眠り猫2 | 2009/04/28 23:41:38

若者が娘に思いを伝える為に、「純真」の花言葉をもつ白百合を捧げる…。漱石の、明治の日本人らしからぬ、粋なセンスには驚かされる。

人が胸に溢れる様々な思いを花の美しさに託し、言葉として語り継ぐ。花言葉は人の心と心とを優しく繋ぐメッセージなのだなぁ・・・。

でも、大自然を見まわすに、花言葉を付けられた花よりも、それがない花のほうが多い気がする。(本当は如何なのだろう?)

鬱蒼たる熱帯雨林の中に咲く、ラフレシアに、花言葉をつけるとしたら、どんな花言葉が相応しいだろうか。

サントリーが生み出したという“青い薔薇”には、どんな花言葉がつくだろう。

茂木さんの幼い日の思い出に、花言葉にまつわるものがあったとは、『それから』の、白百合の場面のような、ロマンティックなものを感じてしまいました。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/04/28 23:33:47

漱石の作品ってすごい表現があるんですね。
私も花言葉に興味が湧きました。

投稿: フクちゃん | 2009/04/28 12:06:11

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