真の大胆さ
NHKにて、『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。
担当は、本間一成ディレクター。
サッカー日本代表の中澤佑二さんが
ゲストの回。
打ち合わせの段階では、橋本さとしさんの
ナレーションは入っていないので、
ディレクターが映像に合わせて
読み上げる。
第一回の星野佳路さんの映像を
編集室で見ている時に、
後ろから聞こえてきた声が
河瀬大作さんのものだと気付いた
時にはびっくりした。
打ち合わせ時にはディレクターが
読み上げるという慣習を知らなかった
ためである。
どの分野でも、暗黙知というものはある。
コメントを読み上げる本間一成ディレクターと、
柴田周平デスク。
宝島社の西袋豊さんの企画で、
関根勤さんと対談。
テーマは『妄想力』
妄想する力を持つことで、
二倍、三倍の人生を送ることができる。
逆に、学歴、セレブ、金持ちといった
妄想からは自由になることができる。
人生の目的は自由になることであるならば、
現実から離れる脳の潜在能力を生かしたい。
関根さんの語る萩本欽一さんの
姿が興味深かった。
終了の頃、田畑博文さんと西山千香子さん
がいらっしゃる。
重松清さんとの対談本『涙の理由』
の2刷が出来たというのである。
「田畑さん、累計何部になったんですか?」
「2万3000部です。」
「おお、そんなになったのか。良かった良かった。」
「新潮社の池田雅延さんから感想のメールを
いただきました。」
「池田さんの感想は、聞くのがちょっと
こわい。」
「重松さんのことは、まだ名前が出る前から
注目していて、
いい、いいと新潮社の中で言い続けて
いたのだそうです。その重松さんと、茂木さんが
結びついて、とてもうれしいと池田さん
言われてました。」
「池田さんというのはこわいのですか?」
と西袋さんが聞く。
「長年小林秀雄さんのご担当だったのです。」
と私。
「池田さんのメールは、見た目もぜんぜん
違うんですよ。びしっとしていて、いかにも
池田さん、という感じなのです。」
と田畑さん。
大切なものに立ち返ることで
人の生き方というものはしっかりとして
くる。
白洲信哉が3月8日の
ブログで書いていることに
私は全面的に賛成である。
白洲次郎さんは生き方において
時に大胆な人であったが、
白洲信哉にもそういうところがある。
真の大胆さは、大局を見ることからしか
生まれない。
白洲信哉のことを思い出し、
池田雅延さんの声を聴く。
池田雅延氏、白洲信哉氏、茂木健一郎
(2007年10月10日、白洲信哉氏の出版記念会にて)
3月 9, 2009 at 08:43 午前 | Permalink
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たったひとつの 星に捨てられ ♪ 終わり無い旅 君と歩むと ♪ やっぱ、イデオンは名作でしょ?音楽も綺麗だし。特に「コスモスに君と」は名曲です。すごやまこういち先生の曲は良いですね。 伝... [続きを読む]
受信: 2009/03/09 17:36:59
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コメント
白州信哉さんのブログを拝見しました。
今回の小沢献金問題の本質を
端的に書かれていますね。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
一方的に検察はリークして、
さも凄いことをしているようなニュースが流れ、
大衆は何となく悪いやつだと思う。
こんな世論の操作をしていいのだろうか?
みんなわかっていることを大袈裟にして、
一政治家を葬っていいのだろうか?
「知っていた」ことを論点にするから変になる。
政党支部で受け取る修正申告で終わることを
その暗黙の了解までが駄目だというなら、
しっかりとした証拠で贈収賄事件として立件しろ。
そうしないと本当に国策捜査になってしまう。
もっと大局がみれる人が各所にいないと(日本は)駄目になる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
暗黙の了解で動いている現実の社会的機能と法律の間にある
(どこにでもあるような)不整合を突いて、
政権交代を目前にした党の党首を追い落とす検察権力。
マスメディアは現在、ほとんどこのような主張をしていない。
何故でしょうか?
アンシャンレジュームが終末を迎えるときは恐ろしい。
もし贈収賄で立件されることなく
小沢代表が辞任したとなれば、
未来に希望をつなぎ
普段は静かに生きる我々も
行動を起こす時なのかも知れない。
投稿: 普段は温和しい者も今は大胆に | 2009/03/11 12:26:57
茂木先生お早うございます♪
『涙の理由』の増刷おめでとうございます。白洲信哉さんの記事を拝見させて頂きました。断片的に物事を見るのは危ない、そう思いました。何においても。西松建設の政治献金問題、最初は小沢代表に対し腹立たしく思いましたが、余りにもタイミングがよすぎるので疑問に思うところもあり。なかなか真実の見えてこない報道に憤りを感じ、選挙前になると潰しあいのようなマスコミの取り上げ方、肝心の政策が見えてこず。。 情報があふれすぎてかえって大局を見ずらい世の中かもしらん。そんなことを考えながら、、。
三人方のお写真とても素敵ですね。
それでは先生、本日もよい1日をお過ごし下さいませ。(*^∀^*)ノシ☆☆☆
投稿: wahine | 2009/03/10 6:48:06
「真の大胆さは、大局を見ることからしか生まれない。」
この言葉、サッカーの試合を見ている時に、一番よく感じます。
ディフェンダーの中澤が、リスクを背負ってまでも相手陣地に乗り込み攻撃に参加する姿は、大胆そのもの。試合の全体の流れを先の先まで、とっさに読みとる判断力があってこそのプレー。
攻撃の起点も、実はディフェンダーが作っている気がします。
大局を見ることの大切さ、生きていく上でとてもよいヒントになりそうです。
ありがとうございました!
投稿: シリンクス | 2009/03/10 0:52:01
茂木さん、池田さんのこと。かなり意識されてますね(о^∇^о)
そして…小林秀雄さんのご担当だった池田さんから
重松さんと茂木さんが結び付いて嬉しいという言葉をもらえて、茂木さんもさぞ嬉しいだろうなぁつて思い、本日二度目のコメントを送りました(^o^)
投稿: 奏。 | 2009/03/09 23:14:51
茂木健一郎様
>人生の目的は自由になることであるならば、
>現実から離れる脳の潜在能力を生かしたい。
本当に自由になるのは自分の脳の中だけなのね、
と、何千、何万という感情の幅を、生きている、
きっとどんなことを感じられても幸せなのですよね。
ああ、神様、どうか祈りが可笑しくても哀しくても
お天道さまに届きますようにと生きています。
このように強く思えるようになったのは、
勇気をくださったのは茂木さんの御本やブログおかげです。
自由な脳というのは強くなれるはじまりなのでしょうか。
わかっていなかったように思います。
神様に感謝ですね。
投稿: Yoshiko.T | 2009/03/09 22:58:20
そうですよね。人生の目的は自由であること。
茂木さんのお話にある自由は、フリーダムではなく積極的自由、リバティだと感じます(^o^)
それには、責任も伴うと。
そして人生で一番大切なのは、どう生きていくか。どうありたいか(これが、ざっくりと云うとアイデンティティーになるように思います)。そして誰と伴に生きたいか(о^∇^о)突き詰めると、大切なのは(愛してるのは)、誰か…という事にもなります。
大局を見るとは、どんな事でしょうか?しかも…真の大胆さ。とは?ちょっと想像が出来ませんが、私にもいつか分かりたい(o^∀^o)
投稿: 奏。 | 2009/03/09 22:24:00
わー!!
素敵な3人組!!!
年の差を超えた仲間❋✮✷
うーん、確かに。
政治で力を発揮しないまま機を逃す事は本人にとっても断腸の思い。私たちにも何も還元されない。
起こった事、それはそれでしっかり償ってもらい、政治は政治でしっかり最後までやり遂げるべきだし、私たちはそのチャンスを与えるべきです。
よくある不祥事で騒ぎ立て、政治を中断させるのは常々良くないと思っています。取って替わる人物がいるとか、不祥事以上の政治を望めない政治家なら仕方ないのかも知れません。不手際は無いに越したことはありませんが人間ですから!
(私は政治家をかばっているのではありませんよ。もちょっと時間・猶予を与えるべきだと思うのです!)
大局かぁ!
自分の大局はなかなか見えないですねー。
私はそうです。
(そもそも私の人生にそういうものはあったかな…¿?¿??)
「大切なものに立ち返ることで
人の生き方というものはしっかりとして
くる。」
…なるほどですね。
最近私は現実の楽しさ、面白さ、味わいを改めて感じる事が多いです。
未来の想像に耽ることが多く、その為に今これを頑張る、みたいな、現実をいつも修行の様に感じていたのですが。
不思議な、ちょっと嬉しい変化です!
(ますます計算の速さもいい感じだし!)
(んー、何かが実ってきたのですかね¿?¿?)
では!(^^)!茂木さんの今日一日が輝きますよーにっ!!!!
投稿: 夏輝 | 2009/03/09 22:11:59
「妄想力」
時には恐怖です。
先日、後悔することは脳にいいという
お話を聞きました。
若い頃は後悔し、あの時あぁしてれば・・と
イメージすることに取り憑かれ、いつまでも前に進むことができないことがたくさんありました。
今ではその時間を短くする方法を身につけたのでそれほど苦しむことはなくなりましたが、一歩間違えるととても怖いと感じています。
後悔はしない。でも、そこから多くの学びを得ることができる。
そう考えるように心がけながら、毎日妄想に浸っています。
そんなとき、私はいつも自由です。
妄想からの恐怖を克服するとき、脳はどのように働くんでしょうね。
投稿: Angelian | 2009/03/09 21:16:41
自分自身、色々なシチュエーションを頭の中で組み合わせて、その中に入りこんで、悦に入っていることがある。
例えば、春のお花畑の中で、意中の人と一緒に様々なことを語り合う…というシチュエーションを思い浮かべ、その中に入っている。
そんな時は、何故かささやかなる幸せな気分を味わっている。現実には起こり得ないシーンを考えている。これで茂木さんの言われるように、2倍、3倍の人生を生きられるのなら、如何にキツイ、世知辛い人生も、少しは楽しくなる筈だ。(無論、楽しい妄想であればあるほど、の話ですが)
そういう意味で、妄想力は苦悩多き人生を生きる為の、素敵なエッセンスなのに違いない。
白洲さんのように、大局に立ち向かう勇気のある人は、今の世の中には数えるほどしかいないように思える。
大局に立ち向かう勇気は、真の大胆さというのと、裏表の関係なのではないか…日記を拝見しつつ、そんな感想が浮かんでくる。
妄想力と大胆ささへあれば、乱世の波浪も乗り越えられるだろう。
投稿: 銀鏡反応 | 2009/03/09 21:10:31
言葉に出来ない感じなのですが、すごく熱いものが伝わりました!
投稿: ふぉれすと | 2009/03/09 18:15:37
もぎゅ先生、ごきげんいかがですか?(・ω・)/白洲信哉さんのブログ拝見しました。信哉さんも激しいもの秘めてらっしゃいますよね~失礼かもしれませんが、白洲次郎氏から先見性と大胆さ、白洲正子さんから美を感受する感性、小林秀雄氏から本質を見抜く力をギフトされた方だなぁと思います。
確かに日本のニュースは操作性を感じる時があります。うまくいえないけど。
真の骨太なジャーナリストは数少ないのではないでしょうか… 日々氾濫するニュースも鵜呑みにせず「これは誰がどんな目的で誰に対して発信しているのか」をまず考える必要がありそうですね。
投稿: 眠り猫2 | 2009/03/09 15:25:54
こんにちは
>テーマは『妄想力』
>妄想する力を持つことで、
二倍、三倍の人生を送ることができる。
映画の予告編を見ると、妄想力が働く事がよくある事。
また、よく考えると、友達の会話で集団妄想って、よくある事。(^^)
投稿: セレンビリティーのクオリアby片上泰助(^^) | 2009/03/09 15:21:22