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2009/03/13

勘違いの瞬間、世界はゆらぐ

遠くの星を見つめるように

セブン・アンド・アイ・ホールディングズの
入社式でお祝いの言葉を述べさせて
いただく。

イトーヨーカ堂、セブン・イレブン、西武百貨店
など、それぞれの現場に出ていく新入社員
たち。

「みなさん、ぜひ、他人のために頑張って
ください。この世に、自分は一人しかいません。
自分のためにと思っても、そのエネルギーには
限界がある。他人のためにと思えば、支えて
くれる情熱に限りはありません。
この世界にいるたくさんの人たちの分だけの
エネルギーが自分に集まってきてくれるのです!」

京味にて、雑誌「プレジデント」の取材。
三浦愛美さんのアレンジ。

西健一郎さんとお話する。

西さんは言われる。「またお顔が見られるか
どうか、そればかりを思って40年やって
まいりました。」

同席した料理研究家の
海豪うるるさんからメールをいただいた。

__________


茂木さん
今日は声をかけて下さり、ありがとうございました。
西さんのお料理、衝撃的でした。西さんの技と感性でつくる料理の凹凸みたいなものから生まれる美味しさ、そのすごさを知りました。
色々な食材で作られるお料理のひとつひとつ、何を美味しく食べさせようとしてくださっているのか、西さんの意志をしっかり感じました。

うるる

___________________


ソニーコンピュータサイエンス研究所へ。

所眞理雄さん、北野宏明さんと議論。

田谷文彦と研究の議論。

General Meeting。

ゼミ。The Brain Club。

高野委未さんが、
Materna, S., Dicke, P.W., Their, P.
The posterior superior temporal sulcus is involved in social communication not specific for the eyes.
Neuropsychologia 46, 2759-2765 (2008)
を紹介。

高野さんは本当にがんばって、
的確に論文内容を把握していた。

偉かったね!

一つ面白いことがあった。
高野さんは、
Simon Baron-Cohenのことを、
「バロンさん」と「コーエンさん」と
いう名前で二人いるのだと
勘違いしていたらしい。

実はぼくも似たような失敗をした。
先日の浅井慎平さんとの
対談は大場葉子さんがアレンジして
くださった。
初対面の編集の人と、カメラの人が
いらして、大場さんが、
「こちらがなんぶ、あさの・・」
と言ったので、「なんぶさん」と
「あさのさん」というふたりの人が
いるのだとガッテンした。

敬称をつけないのは、つまり
大場葉子さんも毎日新聞の編集部
で働いているから、
謙遜して呼び捨てにしているのだと
思ったのだ。

実際には、編集の人が「南部あさの」
さんと言う名前だった。

「珍しい名前ですね」と言うと、
南部あさのさんは「ええ、よく、
どちらも名字だと勘違いされるのです。」と
笑っていった。

カメラマンの人は、茂木一樹さんと言って、
ぼくと同じ名字。
もとをたどると、これもぼくと同じ
群馬県の高崎方面らしい。

名字にまつわる勘違い。
逆に、DNAの二重らせん構造を
発見したフランシス・クリックと
ジェームズ・ワトソンは、
よく「ワトソンークリック」
というひとりの人間なのだとよく
間違えられていたという。

そういう間違いがあると、
世の中が揺らぎます。

勘違いをもう一つ。
柳川透は、昨年の北米神経科学会
(Society for Neuroscience Meeting)の
会場近くを歩いているときに、
とつぜん「あっ、ジンガーだ!」
と叫んだ。

ドイツの脳科学者、Wolfgang Singerが歩いている
のかと思い、振り向くがいない。

それにしても、さすが柳川、ジンガーを
知っているのかと思って探すが、
どうにも要領を得ない。

問いただしてわかった。柳川は、
「ジンガー」と「ジンジャー」を勘違い
していたのだった。

「ジンジャー」はすなわち
近未来的乗り物セグウェーの開発コード
ネーム。

倒立振り子のハイテク乗り物を
うぃーんと駆使して移動している
人を目撃した、ということだったらしい。

勘違いの瞬間、世界はゆらぐ。

きっと、そこにはとてつもない認知的な
意義があるに相違ない。

久しぶりに田谷文彦も加わって、
ラボのメンバーで呑む。

お互いに支え合うことが
大切。

individualityを発揮するには、
個人の間のrainbow coalitionが大切
である。

新しいものを発見するとは、
世の中に最初から新しいものが
あって、それを見つけるという
意味ではない。

むしろ、AとBが出会って
その現場においてCが生み出されるのだ。
だから、出会わなければならない。
ネットワークを組んで、coalitionを
結ばなければならない。

そして肝心なのは、coalitionにおいて
組織なんてものは一切関係がないという
ことだ。

遠くの星を見つめるように、
鵜の目鷹の目でcoalitionの相手を探せ!

3月 13, 2009 at 06:47 午前 |

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コメント

茂木先生お早うございます♪
 
セブンアンドアイホールディングスの入社式での言葉ぐっときました。
 
西健一郎さんも本当にステキなお方です。胸に響きます。
 
聞き間違えや、勘違いけっこうあるかなって思いました。笑
間違えに気がついた時、あっそーか!とアハ体験するのでしょうか。(・o・)?

AとBが出会ってCが生み出される。。だから出会わなければならない…大変奥が深く。
 
先生、本日雨風酷いですからお気をつけてお出掛け下さいませね。(/≧ω≦)/。・゜゜゜゜・。♪♪♪

投稿: wahine | 2009/03/14 7:00:19

人間はひとりでは生きてゆけない存在だと思う。組織という無駄な圧力を持った枠を外れて、一人一人が心のシナプス結ばれ、より良い新しい人間関係ができたなら、もっともっと素敵な世の中になるんじゃないかな。そんなこと考えさせられました。

投稿: シリンクス | 2009/03/14 1:31:53

お人のお出逢いをとても大事に
されていることを心から尊敬しております。

いつからか、茂木さんにお伝えしたいと思っていた
あるお人の修身教授録にある
「人間は一生のうち、逢うべき人には必ず逢える。  
 しかも一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に——。」
この言葉がとっても好きです。
茂木先生の存在は私にとってまさにそうです。


茂木さんの著書を読みながら
モーツァルトを聴き『モーツァルト効果』と
言われている、気分が高まることを感じておりました。
それは、あたかもMy heart was breaking.
つまり、好きな音楽を聴いている時の精神は
とてもいい状態にあるのですね・・・・・

投稿: Yoshiko.T | 2009/03/14 0:02:06

入社式でのお祝いの言葉素晴らしいですね。そういう角度からの視点を持てる様になる為には、自分にいっぱいいっぱいでは不可能で、余裕がないといけませんね。

投稿: spider | 2009/03/13 23:56:09

人間は、一生にどれだけ勘違いをするものなのか?
銀河に散らした星の数だけか、ハタマタ、それ以上か…。

それについて、おぼろげながら、覚えていることがある。

十年くらい前、当時自分が好きだったアーティストのライヴコンサートが都内某所で行われるとの情報を得て、当日そのコンサートが行われる予定のライヴハウスで直接売っていると聞いて、そこへチケットを買いにいき、無事入手した。

その時に公演の日時を忘れないように、頭の何処かにいれておいたのだったが、如何やらその日にちを誤って認識してしまったようだ。

公演が行われる日は16日。ところが、私はその日を26日と勘違いしていた。

勘違いが融けないまま、26日にライヴハウスに行った。その時は既にお目当てのアーティストのライヴは、とっくに終わっていた…。チケットを改めると、なんと“○月16日”とあるではないか!

今まで喜びに溢れて見えていた世界が、一気に灰色に見え出した。悄然として、帰路についた。

嗚呼しまった、何てこった!日にちを確かめていれば…こんな思いが胸の中にぷわ~、と広がっていった…。

自分にとって、ちょっと恥ずかしい、勘違い。それも、今となっては、ほんのりとした、懐かしい思い出になっている。

あの瞬間、たしかに、自分の寄って立っていた“世界”がぐらりとゆらいだのかもしれない。

勘違いも、出会いも、何もかも含めて、ささやかなる一回こっきりの人生の中で、もっと沢山のもの・ひと・ことと繋がりたい。

と、思うのは、私の場合、何と行っても、「出会いとつながり」がまだまだ足りないからである。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/03/13 22:39:37

おはようございます!

茂木さんのルーツ方面、
Google Earthで高崎市を見ましたら、広々とした街ですね。
山の桜の写真がきれいです。

今日はすごくいい事教えてもらいました!(^^)!
「お互い支え合うことが大切  」以下全文、
はっ としました!!
(茂木さんの文章を読むには日本語と英語の辞書が必須です。)

う〰む❢
深い!!
個人の間のrainbow coalitionは大切だ! そうです!
そうなんでしょう! うっうぅ~

私、付き合い悪いわ…(≛д≛)
Cを見つけるために出会って、ネットワーク組んでcoalitionを結ばなきゃです!!!! もっと自分の容量を広げなきゃ!!
茂木さんの許容量の大きさ尊敬します。

今日は講演があったのですね。
お疲れ様です✿✿
来週はお目にかかれると思うので楽しみです(*^^)v~♬♪♩☄

なぜか最近よく”ジンジャー”という単語を耳にしています。
神様が食べろって言っているのですかね(`´)

今朝、ホワイトデーにお返しのプレゼントを
A2くらいの紙袋の中にたくさん持った男性を見ました。
白いビニル袋に赤いリボンが結ばれていたので絶対そうです。

仕事帰り、駅地下のスーパーマーケット入口で女性が男性のほっぺにキスしていました。

私には直接関係無いことたちですが、なんだか幸せな気分になりました。

投稿: 夏輝 | 2009/03/13 21:44:25

セブンアンドアイホールディングに今年入社した人、茂木さんのお話聞けて良いなぁ(o^∀^o)  
自分のため…って思うより、誰かのため、あの人のため…って思う方が力が湧いてきます(о^∇^о)
これが愛の力かもしれませんね(*^_^*)

そして…支え合い二人で共に生きていく。これが出来れば、文句ナシ(^^)v

自身の生きている理由を見つけらた事にもなります
(^_-)
大切なものは、以外と近くにあると…思います(^o^)

投稿: 奏。 | 2009/03/13 20:11:47

揺らぎとの出会い、人との出会い、ですね!

投稿: ふぉれすと | 2009/03/13 15:31:22

AとBが出会って、Cが生み出される。
人と人との、化学反応、最高ですね☆☆
痛く共感します!!

自分を通り越えた、その先、
人の為に頑張る事ほど、カッコイイ事はないですね!

浄土に参って仏となって→衆生救済の為に、この土に戻る。

わたしの究極の目標は、自身が仏になることにとどまらず
『衆生救済に走り回れるところ』にあるのかもしれない、、、

茂木さんのコラムを拝見して、気づかされたことです。

投稿: 月のひかり | 2009/03/13 15:05:12

rainbow coalitionの話、
ほんまいつもありがとうございます。

投稿: Atsushi Kaneko | 2009/03/13 13:25:18

 雨のひとしずくにさえ、春の息吹が満ちて、春の音を立ててて、今日も雨が降っています。
 すっかり空気の中に風の中にも、春の喜びが満ち溢れて、こころもその風にのせられて、ふわっと持ち上げられるような今日この頃。
 Coalition,
 名古屋での茂木さんと、酒井さんとの出会いが生み出すものに居合えたら、と楽しみにしております。

見よ、ここに3つのものがある。
愛するものと、愛されるもの、そして愛だ。
愛は、愛するものと愛されるものを1つにする、
あるいは一つにしようとする、ある生命でなければ
なんであろう。
 
 春の心地よさにつられて、こころのままにコメントさせていただきました。
 素晴らしい春の日を。
 

投稿: 温 | 2009/03/13 11:22:31

こんにちは

TVを見ていて、林家一平さんが林家三平へ襲名するとき、ビートたけしさんが、海老名家の紹介をしている時、「泰助」と言う言葉が出てきました、ウィキペディアで調べると、林家一平さんは、「海老名泰助」が本名らしいです。生まれて自分の名前と同じ「泰助」の人を初めて知りました。(^^)

投稿: 名前のクオリアby片上泰助(^^) | 2009/03/13 9:22:52

茂木先生、おはようございます(・ω・)/
この3日間月が綺麗でした~
さて、モティベーションを維持する時、自分のためにだとイマイチですが、他人様の喜びのためにだとkeepup
できると思います。
自分のためだけ、もしくは自分の家族だけ良ければそれでいいだと、なんだかちっちゃいです。生きるモティベーションも継続しナイカナ。
きっとありがとうと言われると、脳から何かでるんでしょうね~
原始人だって、病気の同朋に食べ物を運んだ形跡があると何かで読んだことがあります。
弱肉強食も厳しい現実である一方、助け合いの精神も人間の本質的な本能なのかもしれません。
そして本当の幸せって他者との心の交流の中にあるのかなと思います。
うん。

投稿: 眠り猫2 | 2009/03/13 8:28:29

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