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2009/02/02

だからこそ今の自分が

 集英社の取材で伊香保温泉へ。

 近くに榛名湖がある。
 小津安二郎の『秋日和』
の中に、榛名湖のシーンが出てくる。

 それが印象的で、ついつい近くに
くると思い出す。

 ひと目見たいと思うが、
今回も果たせない。

 お世話になったのは諧暢楼

 大変心地よい、立派な旅館である。

 食事は「茶寮」でいただく。

 料理長の新井茂さんは、
地元の食材を大切にされる一方で、
各地から、その時々で
もっともよい素材を取り寄せて、
惜しみなく使う。

 つまり、ローカルな「スローフード」
が日本や世界各地の食材と響き合う
わけで、その結果生み出される
おいしさは忘れがたい。

 各料理には、あらかじめソムリエが
選んだワインが添えられている。
 日本料理では、おそらく初めての
試みだという。

 幼い頃に親元を離れた
 新井茂さん。たいへんな
苦労をされたが、そのことを
さらりと語られる。

 「だからこそ今の自分があるんですよ」
と言われた。

 一流店で修業をする中で、
味に対する感覚を磨いていった。
 世評に惑わされずに、何が美味しいかを
見きわめるためには、自分自身の心と
対話しなければならない。

 新井さんのお人柄に魅せられた。
 この方の努力は、きっと結実するに
違いない。


料理長の新井茂さん


新井茂料理長と、二人のスタッフたち。

 露天風呂に入っていたら、
山の端に細い月が煌々と輝いていた。

2月 2, 2009 at 06:19 午前 |

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コメント

茂木健一郎様
小津安二郎の映画に出てくる湖を、ゆっくり堪能なされる時間が生まれるとよいですね。


投稿: m | 2009/02/03 9:21:22

茂木先生お早うございます♪
お仕事ではございます、伊香保にて少しは疲れをほぐされましたでしょうか。
 
その結果生み出されるおいしさは忘れがたい…記事から先生がとても素晴らしいものをいただかれたたご様子が伝わってきます。
美味しいものをいただいているとき、沁々と幸せを感じ、身体が喜んでいるのがわかります。
 
“だからこそ今の自分がある”…料理長の荒井さんの言葉、とても重みがございます。自分自身との心の対話、見習わせていただきたいと思いました。
先生がお人柄に魅せられたように、お写真もとても素敵でいらっしゃいますね。


それでは、本日も先生にとってよい1日となりますように☆☆☆
(*´∀`*)ノシ♪♪♪

投稿: wahine | 2009/02/03 7:07:13

伊香保温泉…う~ん、いいですねぇ。この寒き時期、何処であろうと、出で湯に浸かるのは本当に気持ちいいですものね。

病気だけでなく“憂き世の憂さ”とやらも、お湯の暖かさで、心身から何時しか抜けていくような気がします。

…と、書きつつも、もう数年以上も自分は温泉地へ出かけていない。箱根でもいいから、行ってみたいなぁ……。


新井さんと仰る方、本当に凄い方ですね。幼い頃から苦労を重ねつつ、味に対する感性を恰も“真剣”のように研ぎ澄ましてこられたという…。

どんな分野でも、周りの雑音を耳に通しすぎず、つまり、周りにフリフリ振り回されずに、何かの技量と感性を磨き通すのは至難かもしれない。けれども、その道を目指す者にとっては、これは実に実に大切な事柄なのだ、とつくづく思う。

趣味感覚だけでは、到底、その道を極め尽くすことなど、出来ないに違いない。

さて、茂木さんのお風邪も、伊香保の出で湯のお蔭で、すっかり良くなられたでしょうか。

博士憧れの榛名湖に、赴かれるチャンスが何時か訪れてくれると、よいですね…!

投稿: 銀鏡反応 | 2009/02/02 22:34:57

温泉は身体を芯から温めてくれて、心も解れていきますね。茂木さんが温泉に入った時、月が出ていたとは(^o^)なんと素敵なのでしょう!茂木さんの中で榛名湖は、どんな印象なのかしら??
刻々と流れていく時間。その時の中で、いかに自身の大切なものを見失わず、生きるかが大事ですね。でも本当に大切な事は、心というか…心の声が教えてくれます。今の私はその声を大切にし、一日一日を大切に過ごしています。そうしていくうちに、道が開いていくと今はっきり信じられます。

投稿: 奏。 | 2009/02/02 22:06:33

おはようございます!!

諧暢楼 はすごい旅邸ですね…!!!!
私、一生かかっても泊まれないかもしれない…!!!!

だからこそ、そんな旅邸の料理長なんですもの!!
努力は確実に結実しています。

どんな料理がでるのですか…
私にその料理のすごさが解るかな
訪れるにふさわしい人になれたら その時 なのでしょうね。

露天にゆらゆら揺らめく光り
しーんと澄んだ空気
林の囁き
土の声
虫の寝息
夜をわたっていく風
大地のうごめき

…と言えば、
浅間山が地響きをして
2日の夜中に噴火した動画を見ました。

地球って、大地って、生きてるんだなぁって実感しました。
噴火とか、あまりに原始的な響きがあって、現実味がありません。
大昔からずっと変わらない地球の営みを、東京にいてすっかり、忘れて過ごしていました。
桜島でも噴火して噴火警戒レベルは浅間山と同じ3になっていました。
小学生の頃、雲仙普賢岳が噴火していて、家の玄関を出ると雲仙の噴煙がうっすら見えていました。(熊本市内から)火山灰って粒子が細かくてすぐ風に乗って来るのです。両親は厄介がっていました。

なんだか、日本列島は活動期に入ったみたい。
大地震とか大噴火が心配です。
(だからって保険に入ろうとは思いませんけど。)
茂木さんは この日本列島の活動をどう思いましたか?

投稿: 光嶋 夏輝 | 2009/02/02 21:35:22

茂木さん、

お疲れ様です。風邪の具合はいかがでしょうか?
(取材とはいえ)伊香保温泉で美味しいお食事でゆっくり、温泉につかって心身ともにほっこりできてたらいいですね。
それから茂木さんにはアルコール消毒でしょうか。。。?

兎にも角にも、身体を休ませて免疫力をつける暇もないほどに、働きすぎとは思います。無理をなさいませんよう、お身体をどうか大切にしてくださいね。

投稿: 楠 | 2009/02/02 20:24:08

こんにちわ

料理人は、長年の経験により頭の中にバーチャル調理場があるのではないか?

一流の料理人になると、調理する前に、料理の味が分かるのかもしれませんね。(^^)

投稿: 料理のクオリアby片上泰助(^^) | 2009/02/02 14:50:18

世評に惑わされずに自分自身の心と対話するって、カッコいいですね!!

投稿: ふぉれすと | 2009/02/02 10:07:53

茂木さん、おはようございます。伊香保温泉はいかほどでしたでしょうか?え?風邪が悪化するからダジャレはやめてくれ?失礼しました榛名湖は一度行ったことあります。竹久夢二が好きだったとかで、とても情緒的な風景でした。昨晩は三四郎を読みました。
淡い恋ですねぇ…私には美禰子が何考えているかイマイチ把握できませんでしたが、三四郎が自分を好きで三四郎が自分に失恋することを予知してたとは思います。しかし二人の出逢いは星が至近距離ですれ違っただけで、衝突はしなかったと思います。恋愛小説としては物足りないですが、青春小説としては面白かったです。恋愛小説で好きなのは(聴かれてませんが)泉鏡花の外科室、井上靖の氷壁、三島由紀夫の春の雪、デュラスのラマンなんか良かったです。氷壁にでてくる美那子の方が無意識のファムファタールとしては魅力的です。漱石のそれからとこころも凄いですよね。
又漱石作品読み返したくなりました。あ、もう電車が新宿につくので、乱文失礼いたします

投稿: 眠り猫2 | 2009/02/02 8:21:32

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