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2009/02/21

海を見る暇くらいは

 PHP研究所の本の取材で、
インドネシアのバリ島に。

 『脳を活かす勉強法』、『脳を活かす仕事術』
がおかげさまで好評だったので、
 その慰労をかねて、次の本の内容の
収録をバリ島でやるように
木南勇二さんが取りはからって
下さったのである。

 PHP以外にもたくさん仕事を持ち込んで、
国際的な「カンヅメ」のようなもの。

 バリ島に来るのは実に20年ぶりで、
それなりの感慨がある。

 入国審査で、バリの係官が
かかってきた携帯電話を受けながら
スタンプを押していた。

 それを見ていた日本人のオヤジが、
偉そうに、「仕事の時くらいは電話するのを
やめろよ」と言った。

 それで、私はアッタマに来て、
「お前の方がうるさいんだよ」
と言ってにらみつけてやった。

 偉そうなオヤジは嫌いだ。
 
 バリ島の人の様子を見ていると、
切なくなることがある。

 暗がりで、母親に抱かれている
子ども。
 オレがあの子だったら、
どうやって一生懸命生きていこうかな。
 物理学者になれたかな。

 果たして
 ケンブリッジに留学できたかな。

 「ヒエラルキー」においては
下の方の人に共感し、自分をそのような
立場に置こうとする衝動が強まる。

 英語が母国語の人は、どこか
肝心なところで鈍感なところがある。
 マイナリティの方に共感する。
 そのことが、深いところで、
自分の生命を再生させてくれるように
思うのだ。

 言語的マジョリティなんて、
あんがいツマランものだよ。

 暗がりの中、母親に抱かれる子ども。

 全力を尽くして 
 そっちの方に立たなければ、
わざわざインドネシアまで来た
意味がないじゃん。

 ドライバーに聞いたけれども、
100平米の借家の家賃が、年間4万円
なのだそうだ。
 一人当たりのGDPが3200ドル、
すなわち32万円だから、あり得ない
数字でもないだろう。
  
 彼が借りている家賃の一年分は、
 PHP研究所がとってくれた
ホテルの何泊分に相当するのだろう。

 スケールの暴力なんて、至るところに
あるなあ。

 地位や権力を持っていたり、
組織に守られていたりする人が、
そうでない人に対して鈍感に振る舞う。

 そんな事例をしばらくの間見てきて、
悲しい思いをしてきたから、
 くそう、今に見ていろよと
炎をもやしていたから、そんなこともあって、
インドネシアの旅が心にしみるのだろう。
 
 しみてばかりいないで、きちんと
仕事はしなくてはならぬ。

 それでも、海を見る暇くらいはある。

2月 21, 2009 at 09:24 午後 |

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コメント

日本から来た“偉そうなオヤジ”をバリの入国審査の場で、博士は一喝された。

彼等は弱い立場の人に対して、何処までも無慈悲で鈍感だ。

そのような人間たちが、何処の世界でも、大きな顔をしているこの文明社会。

彼等とて、老いていけば、一転して自分の置かれた立場が弱くなる者が出て来るのに。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/03/03 22:23:41

海を見る時間があればいいじゃん。
なかなか見れない人もいるし
そんな時代だね

なにが難しいかって
エルトンジョンの
ユアソングで
だいたい解決したんです
わたしのバヤイ

投稿: かめさんの再送 | 2009/03/03 1:11:17


茂木さん

偉そうにしている奴をぶった切る。


軽快です。


本当の姿を知っているからの行為、私はそういうの好きです。

投稿: 小絲まめ | 2009/02/25 12:41:41

はじめまして。
今日のコメントとても心に響いて
読んでいて熱くなりました。
茂木さんのあたたかな視線、
心の底に流れる情の豊かさ。
思わず初めて投稿致します。
一ファンとしてこれからも応援しております。
優しい風を感じました。ありがとうございます。

投稿: ハニー | 2009/02/24 16:26:06

鈍感 と スケールの暴力
そうかと納得しました
日本の中では底辺な私でもこうして
ネットにはつながってますからね…

投稿: やまかわゆりか | 2009/02/24 2:16:11

先生、

入れ違いです....


先月末から17日までずっとバリに居りました....

今この文章を読んだ瞬間、鳥肌が....

ううむ...

同じようなことを考えながら
サヌールでぼんやりしていた残留思念が、センセエに....

いえいえ、それはありえません(笑)

どうぞ、ごゆるりと。


投稿: きゃー | 2009/02/23 12:35:52

本当に強くて優しい方ですね。

投稿: ふぉれすと | 2009/02/23 10:22:51

Selamat siang Mr.Mogi♪
 
記事を読み返すうちに何と言うか熱くなってきました。
先日、私の前を段ボールを抱え腰を丸めて歩く中年の男性がいて、先生が浮浪者の方にコインのピラミッドを置いてあげた事を思い出し、自分も何か出来ないかと後を着けましたが結局何も。
昨年「闇の子供たち」をきっかけに「こどもの値段」という実話を元にした本から、人身売買、臓器売買の真実を知りました。
パンを買うように子供が売られ、ゴミのように捨てられる…かといってどうにもならない事実と貧困。

激しい怒りと憤りに襲われた感情。
じゃあ何が出来るのか?と聞かれると何が出来るのだろうと考え込んでしまう。そして私がバリ島に行ったならば浮かれて、果たして先生のような考えに至ったのだろうか?と考えます。
それでも偽善かも知らないが、私も先生のように暗がりにも目を向けられる人でありたいです。
日本も更に格差拡大が懸念される。他人事ではないように感じます。
 
ご旅行先でも先生お仕事沢山のようで(/_;),
バリ島の南風と海や砂浜が先生の疲れを少しでも癒してくれますように。(/≧ω≦)/~~~~☆☆☆

投稿: wahine | 2009/02/22 15:55:50

「日本人の偉そうなオヤジ」に対して取った言動に、茂木さんの熱く男性らしい部分と「バリ島で見かけた、母親に抱かれていた子ども」と茂木さんご自身を重ね合わせて書かれて、ご自身に厳しく、人に対して思いやりのある茂木さんをブログを拝見して感じました
相手に何かを伝える事、相手を思いやる気持ちをいつも持つ事は正直難しい…と思い、人間関係を狭く浅くしている私ですが、茂木さんのブログに勇気づけられ、私も変わってみよう!と思ってますdelicious
あとは、今大学に行っているため、40歳間近のこんな私に、両親が心配して、生活面で援助してくれている事を忘れず、自分と関わる方々に思いやりのあるを持ち、仕事と学業をキチンとやっていこうと思います。
テレビ等の映像からですが、茂木さんを応援していますclover
バリ島でもお仕事されていてお忙しいようですが、お身体にはくれぐれも気をつけてお過ごし下さい

投稿: 三浦ふじ | 2009/02/22 11:21:53

            真逆

      休日くらいは  真逆に行こう !

       海岸線まで 車で5分

           水温は とうに春   .....

  サーフィン人が語ってた 真冬は スノボー行くやつは
  本物 サーファー ではありません!   

           真冬の水温  セロトニン

投稿: 一光 | 2009/02/22 8:55:58

茂木さんは自由だなぁ!!!!

いえ、本当は自由ではないのですが
自由にみえる!
それが素敵です。
いつも殻を破って
必要な時には抵抗し
戦う事も厭わない。
とても優しくて一本気です。

私はその様な茂木さんの核が
とても好きです。

”しみてばかりいないで、きちんと
仕事はしなくてはならぬ。”
―――拍手✷⋆✧✴✺!!

バリ島の海はどんな印象でしたか??¿?

投稿: 光嶋 夏輝 | 2009/02/22 8:13:35

茂木健一郎様

バリ島のどちらの方角の海をお眺めですか?  バリ海、インド洋....
ああ、茂木さんのそばに海があってよかった。


今日は、「トゥープゥートゥーのすむエリー星」を見つけました。

私は、茂木さんの自信いっぱいになられるまでのいったんを
このようにも、拝見できてとっても嬉しいです。

日本を代表する脳科学者であって謙虚な茂木さんに、
僕が自信いっぱいですか?と叱られそうですが、

私は、茂木さんの書かれた言葉に、言われた言葉に、
素直になることを大事にされていること、
そんな風に考えてよいのですか?と力を与えていただいています。

炎を燃やす.... そのことが、誰かの役に立てるようになれたら、
きっと、もっと、茂木さんの言葉の意味が解るように
なれるのでしょうか?

茂木さんのようなおとなになりたいと思います。
どこまで頑張れるかやってみようかしら...
遠くても遠くても茂木さんに出逢えたことを
感謝する毎日に、もっともっと感謝して感謝して
頑張りたいなあと思います。

茂木さんのエネルギーに感動もする毎日です。

投稿: Yoshiko.T | 2009/02/22 1:55:33

茂木先生の文章は温かくて、癒されます。一生懸命に頑張っている人をどのような立場であれ認める。
日々、お忙しいでしょうに、心に余裕を感じられます。

投稿: 清清 | 2009/02/22 1:39:01

 団塊の世代の私が、幼かった頃の日本て、茂木さんが、バリで感じてた、母に抱かれし子供のいる光景それに近いものが、有ると感じます。もしこの現在の駄目日本で、黄昏ていったら30年後、茂木さんの見た景色が、逆転することが無いとは云えないのでは・・・・。

投稿: ウエダヤスオ | 2009/02/22 1:28:15

オバマ大統領は自分が発言するより、他の人の意見を熱心に聴くことに時間をかけるそうです。「ヒエラルキーの下の方により共感を覚える」と仰る茂木先生の言葉に、オバマ大統領の姿勢に対するのと同じ感動を覚えました。自分だけ安全地帯に居て物事を批判したり語るのは簡単ですが、そこから勇気を持って飛び出して、信念を貫くような生き方をしていきたいな、と改めて思いました。

投稿: (マ)ゴグ | 2009/02/22 1:22:24

こんにちは

> 暗がりで、母親に抱かれている
子ども。
> オレがあの子だったら、
どうやって一生懸命生きていこうかな。
> 物理学者になれたかな。

> 果たして
> ケンブリッジに留学できたかな。

この世で少しでも魂を輝かした者は、永遠を与えられている、そんな感じがします。

運も才能もある人は、その運と才能を使わないと、その子に、もったいない、と怒られそうですね。(^^)

投稿: 人のクオリアby片上泰助(^^) | 2009/02/22 1:22:23

組織が腐る、マジョリティ、偉そうなおやじ、に共通項を見たよ。「鈍感」。虫のように死ぬんだ。

投稿: 玉虫 | 2009/02/22 1:21:28

わたしがどうして茂木さんの大ファンになったか、この記事で改めて実感しました。
そういう部分を持っていて、それを『海を見る暇くらいはある。』と〆る茂木さんの感性がやっぱりとても好きです。
ハウツー本も面白ですが、心がキュンとなる脳科学エッセイの最新版が読める日も楽しみにしています♪

投稿: ミエル | 2009/02/22 1:15:18

暗闇でお母さんに抱かれる子供がわたしだったら

ナンとしてでも生き抜く決意で頑張る!
せっかくこの世に生まれたんだから。

ケンブリッジには行けないけど、日々の頑張りに
学びを見いだすと思います。

茂木さん、海で泳ぐ時間はあるのかな?


投稿: hana | 2009/02/22 0:56:55

仕事がんばってくださいね!

投稿: 中村蔵人 | 2009/02/22 0:43:09

今日のエントリーはかなり「噴火」してますね!
「これ、2002,3年ぐらいのモギケン日記なんじゃないか?」
って思わず書かれた日付を確認しちゃいました。

でも、こんなふうにラディカルに噴火する茂木さんが好きです(笑)

投稿: zitterbewegung | 2009/02/21 22:33:45

茂木健一郎さま
「お前の方がうるさいんだよ」って台詞に男の本懐をみた気がします。
美しいバリの海をみてお怒りを鎮めてお仕事がんばって下さい。

投稿: 宮川一夫 | 2009/02/21 22:32:48

日記の更新がなかったので、寂しく…ちょっとがっかりしていましたが、海外に行っているのですね(^-^)
茂木さんの温かいココロに触れられました。茂木さんは…私たちは、鈍感に振る舞わないようにするため、どうすればいいのでしょう??

私なりに考えた答えは…共感と分かち合う事を大切にしたい。
そして悲しい思いを、これからの楽しい思いに変えていきたいなぁ(*^_^*)

投稿: 奏。 | 2009/02/21 22:32:39

バリ島は行ったことがないです!!
それ以前に外国はどこにも行ったことがないです。
海にまつわる思い出は子供の時にプレジャーボードが家にあったので、何回か船の上から釣りをしたことがあります♪
小さな船なので、河口からはあまり遠くには行けませんでした。
遠くに行くと転覆の恐れがあります!!
それに三半規管が揺れて、船酔いが半端ではなかったです!!

投稿: ケン | 2009/02/21 22:28:54

茂木健一郎さま

朝の更新がされていません時は

茂木健一郎さまは、地球上の、どちらかに!

実は更新を楽しみにしてました

やはり地球上の

地球人 茂木健一郎さま凄すぎです

投稿: TOKYO / HIDEKI | 2009/02/21 21:54:05

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