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2009/02/08

文明の星時間 貴ノ花初優勝

サンデー毎日連載
茂木健一郎 歴史エッセイ
『文明の星時間』 第51回 貴ノ花初優勝

サンデー毎日 2009年2月22日号

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

抜粋

 昭和50年3月場所での貴ノ花の初優勝は、時が経つほどにそのまぶしさが増してくる出来事の一つである。当時、私は小学校6年生だった。卒業を間近に控え、中学校への進学が待っているという移り変わりの時期に、自分が一番好きな力士にようやくの栄冠が訪れたのである。
 忘れもしない千秋楽。私はテレビの前にかじりついて見ていた。明治生まれで、大相撲が大好きだった祖父もまだ顕在だった。喜悦の表情を浮かべながらキセルで煙草を吹かすその人の横で、私は画面に釘付けになっていた。
 勝てば初優勝が決まったはずの横綱北の湖との対戦で、貴ノ花は敗れる。続く優勝決定戦。「憎らしいほど強い」と言われた北の湖が相手では、もうダメだと思った。テレビ画面を見ている私の胸は、自分がこれから100メートルを全力疾走するかのごとく、高鳴っていたのだろう。
 貴ノ花と北の湖が立ち会い前ににらみ合っている間の緊迫と切なさ。割れるような観客の熱狂。いよいよ「時間いっぱい」となった瞬間の心臓がきゅっと縮むような思い。すべてを、まるで昨日のことのように思い出す。
 貴ノ花が北の湖を破って優勝を決定したその瞬間。ありとあらゆる方向から座布団が舞った。ちらちらと降るというような騒ぎではない。場内が突然の豪雨に襲われるような、圧倒的な感情の表出だった。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

2月 8, 2009 at 05:34 午前 |

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コメント

ー全文は「サンデー毎日」でお読みくださいー
はい!了解です。楽しみにさせていただきます。このたび初めて茂木さんの本を購入させていただきました。私なりに理解できるかなと「脳を生かす仕事術」地味な日常生活ですがわきわきと過ごして行きたいと考えていたところにぴったりでした。

投稿: ムーミンA | 2009/02/09 0:39:11

北出アナ「貴ノ花、いい格好ですね?」
神風さん「ええかっこですね」

しばしの沈黙、そして貴、乾坤一擲の寄り。
北、土俵を割る。

北出アナ「貴ノ花 初優勝なる!!」

ぼくは小学四年のときでした。
うれしかったなぁ。。。

北出さんの「いい格好ですね?」
(相撲の体勢のこと。あたまを横綱のよこっぱらに
めりこませるようにつけていた)
の、実況というよりは、
隣どうし同意を求めるような言葉のトーンに、
子供ながらに何ともいえぬ緊張感・臨場感を
おぼえた記憶があります。
神風さんは、大阪弁でした、アクセントとか。

「師匠から弟子へ。兄から弟へ!」
と、わずかに震える声で北出アナが伝えた
優勝旗の授与も、よかったなぁ。
春日野理事長・栃錦の、ライバル・若乃花(初代)
すなわち二子山親方への、いきなはからいでした。

兄弟ふたりとも、
表情を平静に保つのに
奥歯を噛みしめに噛みしめ、というかんじでした。
貴ノ花は、じゃっかん伏し目がちのまんまでした、
授与式のあいだじゅう。
ガッツポーズとは、たしかに対極にある、
静謐な喜びでした。
こちらも自ずとそのひとときを「見守りたくなる」ような。

相撲にかぎらず、名勝負には、
かならず「物語」がありますよね。
自分たちでプレイバックせずにはいられない。
たしかあのときも、
翌日の学校、みんなが休み時間という休み時間、
運動場に土俵を書いて相撲ごっこでした。
運動場じゅう土俵だらけだったですよ、ホントに。

投稿: おくだ健太郎・歌舞伎ソムリエ | 2009/02/08 11:09:43

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