ちょうどよいエネルギーで
スイスというのは面白い国で、
ドイツ語、フランス語、イタリア語、
ロマンシュ語と4つの言葉を話す
人たちがいる。
ミラノから北上し、スイスに入ると
同じイタリア語圏でも雰囲気が
変わった。
湖畔の街、ルガーノに
至る。
イタリア語系の最大の都市。
最近では銀行業や観光で発展し、
「スイスのモンテ・カルロ」
とも言われるようになった。
ルガーノの中心街から車で
さらに30分ほど行ったところに
あるテアトロ・スニールで、
ダニエル・フィンチ・パスカ
に会った。
ダニエルは、この街で
25年前に自らがクラウン(道化)と
なった劇団を始める。
2006年のトリノ・オリンピックの
閉会式の演出を手がけ、また
2009年2月4日から日本でも
公演されるシルク・ドゥ・ソレイユによる
『コルテオ』(Corteo)の脚本、
構成、演出を手がけたダニエル。
彼の原点は、この小さな劇場にあった
のだ。
その空間に入っていった時、
「ああ、ここにあった」と思った。
ダニエルが、女性の劇団員に
演技指導をしている。
座ろうとして、椅子が引かれて
後ろに倒れてしまうという
クラウンの基本的演技の一つ。
「ちょうどよいエネルギーで
倒れなければならない」とダニエルが
言う。
私もやってみないかと言われて、
倒れてみた。
「自分自身の不安や恐怖をも
笑うことができるのがクラウンなのです」
とダニエル。
『コルテオ』は、死の床についた
クラウンが、自分の一生を振り返る
という想定の演目。
「コルテオ」は、イタリア語で
「葬列」に通じ、死という人生の
最後におけるイベントが、祝祭
的なムードの中で歌われ、演じ
られる。
「私たちは、無重力を追求している。」
地球上、
森や海がない場所に住んでいる人は
いるが、「空」は平等に与えられている
とダニエルは言う。
『コルテオ』は、
さまざまなアクロバットを見せる
人間たちと、死に行く老道化師を
やさしく誘う天使たちの間の
交流の物語でもある。
「悲劇」と「喜劇」を一体のものと
して扱うという、イタリア的感性の
伝統。
ダニアルが築いた小宇宙の中に、
かけがえのないものを見いだした。
劇場の外にあった「テアトロ」のサイン
一角獣のいる劇場の中。椅子が一つひとつ違う。
椅子を引かれて倒れる演技指導中のダニエル。
先輩の道化師の化粧を見守るダニエル
写真を撮る私も写り込む。
ダニエルと劇場にて。
ダニエルと劇場裏にて。
ダニエルと劇場裏にて。湖を望む。
道化師の写真。
ダニエルの道化姿。『イカロ』の中で。
縄はしごの上に置かれた靴。背景に「コルテオ」
のポスターが見える。
ダニエルが最初の劇団をつくって旅回りした時の
思い出のスーツケース。
1月 14, 2009 at 03:01 午後 | Permalink
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********************
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�... [続きを読む]
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コメント
Bun di! Mr.Mogi♪ “空は平等に与えられている”ダニエルの言葉から世界の繋がりを感じます。1つ1つ違う椅子からは、個性の尊重を感じました。
自分自身の不安や恐怖をも笑うことができるのがクラウンです…椅子から倒れる演技、演技としてはほんの一瞬なのでしょうが、「ちょうどよいエネルギーで倒れなければならない」と微妙なバランスの奥深さから、何か超越された精神の世界のようなものを感じます。
ちょうどよいエネルギーで倒れるのってとっても難しそうなのですが。どこに重心を置くのかしら、私の場合間違いなくお尻からドスン!といきますわねえ。。先生は上手にできましたの(゜o^)?
悲劇と喜劇、の一体化、ダニエルが築いた小宇宙、観たいのであります。出来ればあのお椅子で。
お写真も全部素晴らしいです!特に劇場裏お気に入りです♪
それでは、モギー先生本日もステキ~な1日をお過ごし下さいませ。(*⌒〇⌒*)ノ☆☆☆
投稿: wahine | 2009/01/15 15:11:29
茂木健一郎さま
スイスにいらっしゃるのですね。
クラウン。。。。
座ろうとして、椅子が引かれて、倒れる。
実際に茂木さんは体験されたのですね。
クラウンと言えば、以前私はピエロ(女顔)を購入し、絵を描いた事があります。そのクラウンは今では引き出しの奥に眠っていますが。
昨日茂木さんの「脳にいいことだけをやりなさい」「脳のなかの文学」を買い求めました。
とにかく行動あるのみ。休みの日には、音楽や歌を、詞や絵を描いて、ヨガや大自然・草花に包まれながら、お酒ですこ-し酔いながらart de vivre
投稿: yu-ki | 2009/01/15 11:56:25
演技が上手いということは、演技が下手なのかもしれません。
なぜなら演技が上手いから。このようなパラドクスを考えるときがあります。
しかし、演技が上手いということは、演技っぽくなく、上手いということでしょうか。
演技ではなく、当人そのものになるということは、意識しないで動くということではないでしょうか。
黒澤明は役者にカメラを意識させないように、カメラを望遠で撮影した。ドキュメントのように、言い方がよくないかもしれませんが、隠し撮りのように、構えない表情を捉えるということ。
{夢では申しわけ御座いませんでした。}
普段の自分の延長が撮影の現場でも、同じだということは、その役と自分の素が重なったときだと分かるのではないでしょうか。
舞台は、その逆で、意識的に演じるのかもしれません。
投稿: NHK | 2009/01/15 6:03:33
自由にヨーロッパの世界を巡れるなんて素敵なんでしょう、私もでかけたくなってきました。でも、言語もわからないし、土地勘はもちろんないって考えてる私は、なにかおそれすぎているだけでしょうか? テロとか、人種間の問題なども。。。
それにしても、茂木先生はいろいろな言語がお話になれるのだろうなあという印象を受けました。 ドイツ語をかなり熱心に学習されたとのお話をつい最近しりましたし、英語はもちろん。ダニエルさんとは、イタリア語でお話されたかもって雰囲気たっぷり、ふたりの写真はなんだか親しい友の再会みたいで(髪型もそっくりで。。。)うふ。
ヨーロッパ旅行がふらっとできるようになる心得なんてあるのでしょうか?
茂木先生のように、まるで地元を旅するみたいにでかけられるようになってみたい、憧れます。 茂木流の心得がございましたら、ぜひいつかちらっとちっらとたっぷりお話いただけたら、うれしいです~う。
松尾芭蕉までの覚悟とはいきませんが、勇気になりそうですから。
ぜひぜひ。。。お願いします。たのしみにしていまあ~す。
投稿: Natural2 | 2009/01/15 4:29:11
あ、今閃きました!茂木さん、あのお方の軌跡を辿っていらっしゃるのですか?
投稿: 眠り猫2 | 2009/01/14 23:34:13
「ああ、ここにあった」
…この一言にやられました。
うちの家族にとって我が家がそう感じるべく場所にあるように父親としてがんばろうと思いました。
ステキな言葉をありがとうございます!
投稿: 逆転仕事術 | 2009/01/14 23:07:43
「ちょうどよいエネルギーで」の言葉が心に届きました。
やり過ぎたり足りなかったり振り子のようなこれまででしたが、心掛けるだけでも違うと思うので、ちょうどよいエネルギーで、進めたらいいなあと思います。
投稿: らくがきやせい | 2009/01/14 22:48:41
『コルテオ』と聞き、一番最初にシルク・ドゥ・ソレイユが真っ先に浮かびました!
ダニエルさんは、その演出等をされたのですね。シルク・ドゥ・ソレイユのショーは、テレビで日本人が出演する舞台裏…といった番組を見て以来、とてもワクワクし、見てみたいものの一つです!
今日の日記を見ていて、人に歴史あり。自身の死の間際に、どのような感じ(好きな人と結婚し、子どもを育て終えて、あとの人生も幸せだった…とか、山あり谷ありだったけれど、楽しい人生だったとか)で旅立って行きたいかを考えて、歩く道を決めていくとしたら、山あり谷ありの人生だったけれど、幸せだったといえるものにしたいと思います。
投稿: 奏。 | 2009/01/14 22:45:48
「世界の広さに、息苦しさを覚える」とは
→世界の広さを前にすると、ちいさな自分に気づかされる、の意です。
言葉が足りなかったので。
引き続き、素敵な旅を♪♪
投稿: 月のひかり | 2009/01/14 22:22:00
悲劇と喜劇の一体化、素敵ですね。
わたし達はみんな、クラウンなのかもしれませんね。
いま茂木さんの『脳のなかの文学』を読んでいます。
わたしも世界の広さに、息苦しさを覚えます。
何かを求めている証かな、、、などと思いながら。
また本に戻ります。
投稿: 月のひかり | 2009/01/14 22:10:09
親愛なる茂木様
スイスに行かれてるのですね~\(^_^)/4ヶ国語も使用してるんですね!
スイスというと、ゴルゴ13が利用しているスイス銀行がまず浮かびます(笑)
スイスは山を砦にした永世中立国で、自国を守る為に国民皆兵だったと思いますが、皆さん独立心旺盛なのでしょうか?
自由を守るために全員で戦う気概があるのは、
ある意味大人だなぁと思います。
イタリア人は、ラテン系で明るいという先入観がありますが、実際は非常に思索的なのだと聴いたことがあります。
ふむふむ。
あ、図書館で読売ウィークリー最終刊拝読いたしました。
茂木さん、照れ屋さんだったんですね!
いつかお会いできたら、握手してくださるかな。
投稿: 眠り猫2 | 2009/01/14 22:01:17
ダニエルさんの表情と仕草、とてもとても魅力的ですね!!
投稿: ふぉれすと | 2009/01/14 21:52:03
こんにちは!
ルガーノの町を何故訪れたのですか?
「ああ、ここにあった」、それ以上の説明はなくてもその深い感情は想像できる気がします。何故、ダニエルさんと出会ったのですか?
そもそも何故、どんな経緯で今回の旅は始まったのですか?
茂木さんの好奇心が色々な出会いを引き寄せているのですか?(この可能性が一番高いと思われます。)
たくさんいっぱい素晴らしい写真を載せて下さってありがとうごさいます!!とっても嬉しい!!茂木さんがしっかりコート着てマフラーぐるぐるまいてらしたので良かった!
写真見ながら「わぁ、わぁ、わぁー……!!」ってなりました。心が感動していました。
一角獣とばらばらの椅子。見たことある様で無かった、初めて現実の世界で見ました。空想の世界と同じ。でも現実だからもっとすごい。ばらばらな椅子がきちんと並んでいるのがいい。同じ色で形がみんな違う。そこがいい。照明が一角獣を照らしているのがいい。私が茂木さんの写真の中で見た全てが在るべき姿であった。
林?の前に掛けてある標識もすてき。世界に惹き込まれていく。
道化師の写真から鳥肌が立ちました。
2枚とも写真の中に物語が漂っている。空気が違う。いいなぁ。
私は目を細めたり瞑ったりしてみるけど、道化をよく知らないので限界があります。(笑)
靴とバッグの写真。それぞれが絵になっていますね。
茂木さんは現実を100%見たからいいところばかりを見たわけではないと思うけど、茂木さんの写真からはいいところがそのままに伝わってくるから、その他の想像はどうでもよくなってしまう。
不都合な想像は思い浮かびません。
しかしながら、本物を見せてもらえる事に感謝です。
それにしても、茂木さんは肩が特徴的ですね。
写真を見る度に感じますが、肩の傾斜にいつもぴったり合った服を着ていらっしゃる。肩まわりってなかなか自分に合うの少ないですが、茂木さんは自分の体に似合う形をご存じなんですね。
コートもしっかり肩がハマっている様で、素敵です。
茂木さんは少年を持ち合わせた大人なんですね。
立派な大人です。
いつから私も大人になれるのでしょう。
茂木さんはいつから自分は大人だと認識しましたか?
話が脱線してしまいました(^^)!
私もクラウンの流儀を見習って我を捨て滑稽を磨いてみます。
明日もいい一日でありますように!!
茂木さんが気分よく旅ができます様に!!!!
投稿: 光嶋 夏輝 | 2009/01/14 21:34:44
スイス、ということで、頭の中でアルプホルンの音色が響いてくる。
かの名高きレマン湖、澄んだ空気、アルプスの山々…数々のイメージが沸いてくる。
クラウン――道化、ということで思い出したのは、あれは中学に入学する直前の春休みだっただろうか、今はなき『後楽園ゆうえんち』に木下大サーカス(だったかな…?)の一団が興行にやって来た、というので、親につれられ、この興行を見に行った。
空中ブランコ、象や馬、犬達の曲芸、猛獣使い、いろいろなパフォーマンスを見た。
あいまあいまに、カラフルな衣装をつけ、赤くて丸いつけ鼻をつけたクラウン達が、とても愛嬌たっぷりな、ひょうきんな動きをして、それがとても可笑しかったのを思い出す。
ジャグリングをしたり、玉に乗ったり、空中ブランコに参加して、ずっこけて網の上にポーンと落っこちたり…いろいろとコミカルな動きをしてみんなを笑わせていた。この時見たクラウンの演技のなかに、日記の中でご紹介の“椅子を引いて倒れる”の演技があったかもしれない。
「ちょうどよいエネルギーで」…とダニエルさんがいわれているのは、あの演技は、成功させるには極めて微妙なタイミングと力加減がいるということなのだろう。
クラウン、という言葉でもう一つ思い出した。オペラの「道化師」のアリアで「笑えパリアッチ…涙をかくして…」という歌詞があったように思う(うろ覚えですみません)が、あふれる涙も、深い悲哀も「笑顔」のメークと衣装に隠して、お客さんを笑わせる役を演じきる、道化という生業の辛さと哀しみが、あのアリアにはたっぷり含まれているように思う。
ところで、今話題のシルク・ドゥ・ソレイユによる『コルテオ』が、死を向かえようとしている老クラウンの物語だったとは…。
TVのCM告知を見て、ただ単にファンタスティックな夢の世界を見せるだけの物語だと思いこんでいたが、そうではなく、あの幻想的な、それこそ祝祭のようなステージの中に“死”という厳粛にして誰人も逃れられない、人生最後の「メインイヴェント」の物語が隠されていたのですね。
そういう深いふかい意味が含まれているなんて、若しこの『コルテオ』、見に行くチャンスがあったらば、そのことを頭の片隅において、是非見たいと思う。
お写真を拝見させていただくと、小さな劇場の和やかで、密度の濃い雰囲気が伝わってきます。
ダニエルさんと一緒に居られる茂木さん…お二人の語らいも何とも言えず、素敵なムードに満ちています。
投稿: 銀鏡反応 | 2009/01/14 20:49:45
先ほど、私のブログに書き込みを頂きました。
ありがとございます。
茂木さんのことは、昨年八木崎小学校での研究発表会で知りました。
テレビなどで活躍している茂木さんは私たちの誇りです。
これからも頑張って下さい。
投稿: 面白いサイトの管理人 | 2009/01/14 20:24:04
>「ちょうどよいエネルギーで
倒れなければならない」とダニエルが
言う。
「ちょうどよいエネルギー」は、いろんな事に通じると思います。
ところで、人類は、悲劇と喜劇、どちらを演じているのでしょうか?(^^)
投稿: ちょうどよいのクオリアby片上泰助(^^) | 2009/01/14 19:15:52
茂木健一郎さま
あまりにも、自然体な雰囲気ですので お写真が
トリノ オリンピック あの冬季オリンピックの、ですよね
普通に何気なくの お二人の表情を お写真で拝見していますと
物事を超越されていると逆に自然体なのでしょうか
同時に
茂木健一郎さまも 原点を大切にされている そしてダニエルさんも
湖を望みながらのお写真 クオリア を、ふと
恰好良いです 茂木健一郎さま テレビドラマ以上の実際ですので
凄すぎです。
投稿: TOKYO / HIDEKI | 2009/01/14 18:25:27
茂木健一郎さま
私の場合 特に年末年始とかGWなど
スーツケース
グローブ トロッターのスーツケースと もう一つ普通のスーツケース
スキーブーツ、スキーウエアなどはグローブトロッターのスーツケースに入れて日本航空さまの便で羽田から札幌 往復
Tシャツなどは別のスーツケースで宅配便
きちんとスキーで宿泊の時 洗濯しています。ですので復路で一時
クロネコヤマトさまで行方不明になったスーツケース
衣類は洗濯していたので特には。
スキーブーツは慎重に スキーブーツメーカーのラング
今期の 160シリーズ スキーで少しラングに詳しい方でしたら
RL12 今期公式一般発売は ZCという硬さ
私のはラング本社 アトリエでワールドカップ選手と同じ特別組み立ての 160シリーズ RL12 ZA
24センチ 25センチ 26センチと 特別組み立てのは 計3足しか日本に今期 それは入っていない その24センチのが私
日本に一足 24センチの160シリーズ RL12 ZA
大切に履いています スキーを履く以外は保護カバーを履いて
意外でしたが大げさかと思いきや
慣れると当たり前 それだけ大切にしないとスキーブーツはと
ラング営業の方が昨年
そこまで きちんとしても良い位の特別なスキーブーツですよ!160シリーズ RL12 ZAは!!
大切にしています。
旅で行動を共にするスーツケースも自分なりですが大切にしています。
投稿: TOKYO / HIDEKI | 2009/01/14 18:04:04
茂木健一郎さま
普通の日常としてスイス
特別ではなく
その時点で力が入られていない お写真からも
劇場裏での一枚などは スイスに在住されている雰囲気
地球人 茂木健一郎さま 瞬時に同化さているとしか
ドイツ イタリア スイス もしやオーストリア それともフランス
と ついつい期待してしまいます
ただ一つ これは はっきり そうではないかな、
ご帰国の際 成田空港にテレビ局の方がお出迎えされ そのままテレビ局へ直行 なんとなくですが そう思わずにはいられません。
投稿: TOKYO / HIDEKI | 2009/01/14 17:39:59