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2009/01/27

「無記」が大切なのは

東京に帰る。

上野の国立博物館の法隆寺宝物館で、
黛まどかさんと対談。


黛まどかさんと(photo by Atsushi Sasaki)

庭を歩くと、霜柱があった。

子どもの頃、学校に行く途中などに
あるとうれしくて、しきりに踏んで
感触を楽しんだっけ。

チェゴヤで昼食をとる。

ソニーコンピュータサイエンス研究所にて、
脳科学研究グループの会合。


文藝春秋の幸脇啓子さんが、写真撮影の
ためにいらっしゃる。

Journal Clubは、田辺史子さんが
Rasch, B. et al. (2007) Odor cues during slow-wave sleep prompt declarative memory consolidation. Science 315, 1426-1429.
を紹介。

高川華瑠奈さんが修士論文の
内容を紹介し、皆で議論する。

田谷文彦と歩きながらもろもろのことを
話す。

新宿のスタジオアルタへ。

フジテレビの朝倉千代子さん、
ダイナマイトリボリューションカンパニーの
冨田英男さん、荒井かおりさんと
打ち合わせ。

夜道を歩きながら考える。

釈迦は、「この世界はなぜあるのか」
「人は死後どこにいくのか」「魂はあるのか」
といった大きな問いに対して、「無記」を
貫いた。

人生で本質的なこと、とりわけ、自らの
行動原理にかかわることについて
「無記」が大切なのは、
言葉に表すことでかえって
「動き」が止まってしまうから。

言葉で「こうだ」と決めつけてしまうことは、
うごめく生命体をスケッチするよう
なもの。

「スナップショット」はもとの実体のなにがしかを
表現しているとは言いながら、生命体
そのものではない。

自らの生を駆動するエネルギーの有機体は、
言葉で表現してそれで尽きて満足できるような
ものではないはずだ。

京都に行くとき、新幹線の中から富士山が
大きく見えたのが、印象の中にきわだって
残る。

あの雄大な山容の下では、今でも
マグマが鳴動しているのであろう。

1月 27, 2009 at 07:49 午前 |

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受信: 2009/01/27 8:16:04

コメント

「無記」か・・・
そんなにムキにならなくても(笑)
思考や感情は開放してなんぼだと思います。
深く潜ってる時は、適当な言葉が見つからない・・・
確かに、そんなこともありますが。
凡人と違って天才は潜りっぱなし、ということでしょうか。

「じゃかんしいわい!」
とっても気に入りました。使わせていただきます。

『欲望する脳』は、私のバイブルです。何度読んでも気持ちいいです!
『生きて死ぬ私』を読み始めました。いろんな思いが尽きることなくわいてきます・・・

投稿: Reiko | 2009/01/29 14:47:09

きのうから私の霜柱が溶けません。
休憩時間にアイスキャンディーをシャキシャキ!
で、だいぶ近付きました。
それにしても食べ物ばかり・・・・・


投稿: 黒毛和牛 | 2009/01/29 10:53:37

霜柱踏んでいないなあ~
似た感触は数年前に流行ったデザート
「クリームブリュレ」のカラメルをスプーンで割る時かな?
ダイレクトさが違いますね。。。
カラメル生成のメカニズムはまだ解明されていないそうです。

投稿: 黒毛和牛 | 2009/01/28 7:36:57

茂木先生お早うございます♪
釈迦の『無記』、『無記』の大切さ、非常に奥深い記事に考えさせられます。
確かに先生が仰るように“自らの生を駆動するエネルギーの有機体は言葉で表現してそれで尽きて満足できるようなものではない”と思うのです。
胸に手をあて様々なものが響きます。
自らの行動原理にかかわることについて“無記”が大切なのは、表すことによって“動き”が止まってしまうから…心理としてホンマにそうやなと、ある程度言葉に表現出来たことにより満足してしまう事はあると思いました。それだけ言葉の持つ力は偉大で、言葉に頼って生きている部分も大きいのかもしれないとも。たった一言が時に人を救い、時には傷つけてしまう。
 
雄大な山容の下では今でもマグマが鳴動…白い壁に覆われたうごめく赤。ゴォォーっと山の音が聞こえるかのよう。 
それでは先生、本日もよい1日をお過ごし下さいませ。(*⌒∀⌒*)ノシ☆☆☆

投稿: wahine | 2009/01/28 7:03:08

「無記」が大切なのは
という表題にとても惹かれました

「無」0という数字は、奥が深い。
ゼロという形は、丸の変形からしても、その意味の追求をしたら面白いだろうなっと、ふと思いました。

「無記」という言葉から私が、連想をしたこと、それは「本来無一物」ということ。これを知ったのは、下村満子さんがこの言葉が好きだということからです。

私が、下村さんを知ったのは、「すぐ忘れる男決して忘れない女」という本の監訳をされ、「徹子の部屋」に出演されたのを観覧してです。

男性の脳と女性の脳が違いに私は、凄く興味を持ったんです。

茂木先生も、いろんなテレビの番組で、男女の脳の違いをおしゃられているので、お二人の対談が実現すると素晴らしいことだと心密かに想っているひとりです。

「無」に関しても、いろいろお話が広がりそうですね。
また、楽しみが増えました

投稿: 佑実理 | 2009/01/28 5:04:05

さっそく100-3をやってみました。
昨晩やって、今朝やりました。それぞれ結果が違いました。
はっきりと自分がどこで間違えていたのか覚えていませんでした。

それから100-7をやりました。
こちらも2回やって、結果がそれぞれ違いました。
真剣に計算しているのに、すこし哀しい。

今日の気づきは、15×8 をより簡単に計算する方法を発見した事です!
3×5×8 とバラして、3×40 を計算するのです。
もっと頭いい人は直感的に30が4つ と思い浮かぶのでしょう。

それを発見した朝の通勤徒歩中、最高にうれしかったです!!!!
明日もやります!(^^)!

投稿: 光嶋 夏輝 | 2009/01/27 22:55:32

おはようございます!!
佐々木厚さんの写真、とても素敵です!!びっくり!!
空気感が伝わってきます。
佐々木さんは茂木さんが心底、大好きなんですねぇ。
写真に茂木さんに対する佐々木厚さんの気持ちが映されている気がします。佐々木さんとお会いした時、「なぜ茂木さんが好きなのか、なぜ、茂木さんなのか、考えてみて」と言われました。

確かに、言葉では捉えきれない事はたくさんです。「無記」からは脱線しますが、その部分にも、各個人で捉えている″クオリア″ があると思います。自分で感じないと本質を感じることはできないと思います。私は″クオリア″という概念がとてもつかみ難く感じていますが、Wikipediaの解説によって考えると、そもそも″クオリア″が私の意識の全てなのではないのか?¿?‥と私はやっと、気付きました。感じるている感覚質があまりにも当たり前過ぎて″クオリア″がどの部分に値するのか境界がわかりませんでした。今でも確信はかなり小さいです。茂木さんの本を読まないといけません。しかしながら、茂木さんは、今となっては″クオリア″と表されるクオリアを、科学でどのように解明できるかという難問に人生を掛けて取りむのは、ときに切実な心の痛みを伴うのではないですか????だって、茂木さんは科学者でありながら、哲学者で、今からの科学はその物理主義以外の立ち位置で研究しなきゃダメだって、ご自身でも提唱なさっているのですもの。私は興味深深です。きっと、茂木さんには自身の回答が見えているはずです。

感じたものをを言葉にするかしないかは各人の勝手ですし、言葉にしたとしても、自分の感じる全てを表現できているとは思えません。言葉にすると とても陳腐になる事は多いです。良く言うと分かりやすくなって、考えが整理される事もありますが。
言葉にしない部分にある 無限に拡げられる心意気、またはロマンが、私は大好きです!!!!(*^^)v~❤…♦

今日もいい一日になりますよーにっ!!!!ぺけぺけ

投稿: 光嶋 夏輝 | 2009/01/27 22:28:45

私は、今でも霜柱を見るとワクワクします!
今日のお話は、抽象的に感じます。それでいて深みがあり。。人でいう生きる姿勢。姿というのでしょうか。
生きている喜び。楽しさを日々探していきたいです。1日に一個は必ずあるので、それに目がいくと…1日の終わりホッとします。

投稿: 奏。 | 2009/01/27 22:24:56

茂木健一郎さま

釈迦の無記

ふと考えながら

半井小絵さんの気象解説を拝見

暦のうえで、春が近づいていること、半井小絵さん申されていました

春なんですね

数週間前、小樽に宿泊してスキーでした私

2月も参ります

小樽、普通に新千歳空港から列車で小樽に

小樽築港と車内アナウンスを聞くと

小樽に来た実感

シングルルームの宿泊施設が充実している小樽

地図で見ましたら
意外に距離を感じますが
実際は近いです。

投稿: TOKYO / HIDEKI | 2009/01/27 21:00:32

こんにちは

>釈迦は、「この世界はなぜあるのか」
「人は死後どこにいくのか」「魂はあるのか」
といった大きな問いに対して、「無記」を
貫いた。

今の科学では、「箱の中に何かある。」までは分かっていると思います。しかし、「箱の中身」を語ると、語る人の心理的要因に偏ってしまうと思います。

釈迦が、無記を貫いたのは、釈迦が知っていても、他の人が聞くと確かめられないため、他の人の心理状態が不安定になり、釈迦自身、無駄に危険な目に合うためではないでしょうか?

釈迦から比べごく最近のアインシュタインも、恒常宇宙を信じていて、宇宙が広がっている天文学的観測を受けて、自分の方程式を変えたぐらいですからね。(^^)

投稿: 無記のクオリアby片上泰助(^^) | 2009/01/27 20:43:26

命の躍動、生の輝けるエネルギーは、如何なる言葉の「枠」をもってしても、それに嵌めきれず、掴みきれず、やはりはみ出してしまう…。

何故生き物は生きている??いくつかの答えは言葉で出て来るが、何れもそれは、我等を含めた有機的な生命体の真実をつかみきれてはいないのだ。

有機的な生命体の行動原理について、少しでも考えようとすると、そのことがつくづく思い浮かんでしまう。

空を飛ぶ鳥や、地を這う虫、大地を踏みしめる四つ足の生き物たち…。かれらの姿を見たり、思い浮かべたりするたびに、輝かんばかりに生きようとする、言葉に表わしきれぬ“生の息吹き”を垣間見る。

霜柱…そういえば、私が小さい頃住んでいた家の裏庭に、寒い冬の日、足を踏み入れて、踏み入れると、シャリシャリ、さくさく…!という感覚と音が聞こえたものだ。

黒くて湿った土をめくると、銀色の氷の筋が沢山出来ているのに、不思議さを感じたものだった。

風がまだまだ冷たい日々が続くけれど、日が長くなりつつあるのを見るに、春が少しずつ忍び足で近づいていることを思う。

霜柱が立ち上がる土の中から、青々とした若い草木の芽が、躍り出すように顔を出す、その春の日が。

投稿: 銀鏡反応 | 2009/01/27 19:57:43

茂木健一郎さま

釈迦の無記

茂木健一郎さまのブログ 書籍 テレビのご出演番組

3つで一つの実感です

釈迦の無記

今年の、ではないですね こうなってきますと

今年からの私のテーマ 釈迦の無記

『 人生で本質的なこと、とりわけ、自らの
   行動原理にかかわることについて
   「無記」が大切なのは、
    言葉に表すことでかえって
    「動き」が止まってしまうから。 』

私がイメージしていた 釈迦の無記とは違う感覚であり難いです

少し 釈迦の無記はマイナス的な考え方のような気がしていました
ので。

夢中な時は言葉などで表現している暇があるのなら、ですもの。 

崇高な理念


寡黙とか申しますが 寡黙は、黙っているだけで お! あの人は寡黙な人!! とは 違うのではないかな、と、ふと

釈迦の無記を踏まえつつ寡黙なのであれば 私 理念として理解出来ます

寡黙とは 我慢して黙っているイメージもありましたので私は

茂木健一郎さまに感謝です。


投稿: TOKYO / HIDEKI | 2009/01/27 18:40:49

「無記」って、とても難しいですね
新しい物事に接する時
心の中(脳の中)を「無」にして
ただ、今、目の前にある事実を見て
対応しなければ…と、思いますが
どうしても「経験」が浮かび上がり
「感情」が邪魔をしてしまいます。
でも「感情」を殺す事が良いのか?
と、思うと
「釈迦」の言葉に重みを感じます。
            m(_ _)m

投稿: ぱろっと | 2009/01/27 18:38:34

そうですよね、自らの生を駆動するエネルギーの有機体なんですものね。(感動!)

投稿: ふぉれすと | 2009/01/27 16:16:49

Dear. Dr. Mogi

I agree with you.
Words can not reach the essence, plus often lead misunderstandings...This always makes me not to want to say anything at all.

But, we still desperately want to share something with others, don't we ? We can't even hug and kiss your friends in Japan. So, what can we do ? When I think about this, I feel completely lost...

Have a beautiful day. Hugs and kisses.

投稿: tomoko | 2009/01/27 12:28:13

親愛なるモギィ先生

おはようございます。

今黄水仙を見ていたら一句できました!
下手ですけど、茂木先生にプレゼントです

ー黄水仙 星の音色を 奏でおりーBY眠り猫2
(^^ゞ
俳句と言えば、小林一茶も大好きです↓
ーけし(芥子)提げて 喧嘩の中を とおりけりー

ーうつくしや 障子の穴の 天の川ー

一茶は、いいなぁ…飄々としていながら、ユーモアも寂寥感も情愛もあるのです。究極のダンディズムかもしれません。
茂木さんもダンディーですよね。服に無頓着な所、逆にいいデス~
でも白洲信哉様が今度セーター買ってくれるってご自身のブログに書かれてました。茂木さん若草色とかディープブルーがお似合いです(*^-^)b

茂木さんの「無記」のお話も、
心に響きました。真理は言葉で記せないのですよね。真理とは?と問われて月を差し示したように。。。

投稿: 眠り猫2 | 2009/01/27 10:47:39

茂木さん、おはようございます!
ほんとうに、茂木さんが言われる通りです。

お釈迦様は、さとりを開いたとき
人々に仏法を説くことさえ、躊躇されました、、。

それほど、人間に真理を説くことは不可能だと
思われたそうです。

梵天の強いすすめによって、伝道されましたが、、。


親鸞聖人は書物を遺しておられますが、
ひとつの事を言うのに、たくさんの同義語を用いておられ。

信心=信楽=浄信、など。

いろんな角度から、なんとか言葉を尽くして
わたし達に伝えようとされた、ご苦労がみられます。

晩年もずっと、推敲を重ねられたようです。


以前わたしは、ある先生に質問しました。

「分別のある者が、無分別の世界について話すには
どうしたら良いのですか?」と。

先生にいただいた答えをはじめ、いろんな法話を聞きながら

わたしにできることは、
わたしの所での「よろこび」を語ることしかできない、、

そう感じるばかりです。長くなりました・・・☆

投稿: 月のひかり | 2009/01/27 9:57:13

心に染みます。
感動が、明確な言葉にならないのは、私に語彙力がないからかもしれないけれど、
「無記の大切さ」を子供たちに伝えていける大人になりたいと思いました。

口だけじゃきっと伝わりそうもないですね。
生き様というか、命の輝きがあっての無記なんだろうなあ。


投稿: ようこ | 2009/01/27 8:16:16

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