生粋の野生動物
一冊の本を作るということは、
細かい作業の積み重ね。
ゲラ読みを通して本文を彫啄することは
もちろんだが、そのほかにも
数限りなくやるべきことがある。
タイトルをどうするか。
判型をどうするか。紙質は。
活字の組み方は。頁数は。
定価は。
ちくま書房の伊藤笑子さんが
『今、ここからすべての場所へ』
の見本を持ってきてくださった。
佐伯剛さんが編集されている
『風の旅人』に5年間にわたって連載された
エッセイをまとめたもの。
私としては、『生きて死ぬ私』以来の、
「生きることの意味」を見つめた本である。
だからこそ思い入れも深い。
伊藤笑子さんがすばらしい本に
仕上げて下さった。
『今、ここからすべての場所へ』を持つ伊藤笑子さん
巻末に、「キイワードさくいん」が
付せられている。
表紙の絵を描いてくださったのは、
東京芸術大学日本画科博士課程に
在籍中の大竹寛子さん。
展覧会で大竹さんの作品を見た
伊藤笑子さんが、「これだ!」と
決めたのである。
伊藤笑子さんは、『音楽を「考える」』
(5刷、累計2万5000部)、『「脳」整理法』
(15刷、累計11万2000部)、
『生きて死ぬ私』(9刷、累計3万6000部)
の増刷見本も持ってきてくださった。
増田健史(たけちゃんマンセブン)からの
「愛のメッセージ」も添えられている。
増田健史からの「愛のメッセージ」
増田健史氏
伊藤笑子さんが、私がミーティング中で
会えないのではないかと思って書いて下さった
ノートと、たけちゃんのメッセージは
いかに異なることよ!
伊藤笑子さんのメモ
伊藤笑子さんは、本当は「野澤笑子」さん。
私の研究室の博士課程に在学中の野澤真一
くんとめでたく結婚してホヤホヤである。
野澤くんはブログ「フェムトセカンド」
を書いているが、きのうのエントリーには
このようにある。
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ゼミ。
遅刻してしまって、チェゴ屋には参加できず。
仕方なく学生スペースにあったカップラーメンを食べた。
今日はNHKの撮影が入っていて、なにやらものものしい雰囲気。
が、茂木さんはいろいろと事務作業があるらしく、CSLの人と話し込んで
肝心のゼミがなかなか始まらない。
(いつものことだけども。)
はじまったと思ったら、1時間もせずに別のミーティングのために、
会議室から出なくてはならなくなって、
学生は別の会議室で続き。
茂木さんはそっちのミーティングへ。
1時間ほどしてまたもとの会議室に戻り、続き。
ほどなくして、チクマのイトウさんがいらっしゃる。
茂木さんは新しい本を受け取る。
端から見ていると茂木さんは悲惨で憐れなほど
様々なinterruptionに追い立てられている。
ときどき
「おっかしいなー、なんで俺の人生こんな風になっちゃったんだろう
あったまおかしいよなー」
とぼやいている。
ぼやきつつも、大粒の雨のようにキーボードを叩き、
電話を受け、歩き回り、冗談を言っては何かを考えている。
この人は生粋の野生動物だ。
野澤真一 「フェムトセカンド」2009年1月31日のエントリー
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野澤の言うように
忙しい一日だった。
電通でミーティング。
ゼミ。The Brain Club。
学生たちとチェゴヤに行き、
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』の
堤田健一郎さんと『脳活用法スペシャル』の
実験のアイデアを練る。
ゼミと、研究所内の「General Meeting」
の様子をプロフェッショナルのクルーが
撮影する。
北野宏明さんが経済システムのロバストネスに
ついてトーク。
所眞理雄さんや高安秀樹さんとディスカッション。
高川華瑠奈さん、戸嶋真弓さん
が修士論文の発表予行をする。
修士論文の発表予行をする戸嶋真弓さん
ゼミの様子を撮影するNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』のクルー
(photo by Atsushi Sasaki)
堤田さんと打ち合わせながら、
東京大学本郷キャンパスへ。
原島博教授が主催されるオムニバス授業
メディアコンテンツ特別講義II
でお話させていただく。
約250名の学生たちを前に、
脳科学の話をして、それから原島先生と
対論する。
文藝春秋の幸脇啓子さんと杉山秀樹
さんが写真撮影にいらっしゃる。
終了後、原島先生とお話した。
深く広くそして大きく。
外に出ると、雨が降っていた。
冬の雨としてはずいぶんと足腰強く
降り続けている。
雨の中にいると、包まれて慰撫されるのは
なぜなのだろう。
原島博先生と。東京大学本郷キャンパスにて。
(photo by Atsushi Sasaki)
1月 31, 2009 at 08:03 午前 | Permalink | コメント (26) | トラックバック (4)
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