バブル賛歌
茂木健一郎 偶有性の自然誌 第5回
「バブル賛歌」
考える人 2009年冬号
2008年12月29日発売
http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/mokuji.html

一部抜粋
真理はしばしば「反時代」的なものである。同時代の文脈において価値がないものと思われているものの中に、私たちの生命を育むかけがえのない作用が含まれていたりもする。
一身限りの私秘的なバブルが多くの場合生命に良き作用を持つことは論を待たない。何も、晩年まで恋と創作における衝動の間を行き来したかのゲーテのようにせよ、というのではない。どんなに小さなことでも良い。いつかはそれが衰え、破綻することを畏れずに、泡沫的感情の中にこそ身を浸すべきなのだ。今日は一体どのようなバブルに遭遇できるか。そのことを楽しみに、その甘美な予感に戦きつつ生きよ!
一方、マクロな経済におけるバブルはできれば避けるべきものと見なされ、その発生は政策上の失敗に帰着させられることが多いが、本当にそうなのか。真理愛好者は疑わなければならない。人間の脳が大小さまざまなバブルによって学習を進めていくように、人類社会もまた、バブルの痛みを通して学んでいくのではないか?
小さなひらめきまで入れれば、人間の生涯にあるバブルの数は何万の単位となるだろう。それに比べて、人類が経験したバブルの発生と破綻の、まだなんと数の少ないことか。チューリップ・バブル、南海泡沫事件、ミシシッピ計画事件。私たちの祖先は、これらの歴史的バブルを通して、必ず何かを学んだはずだ。日本におけるバブル経済の崩壊には、何某かの教訓が無かったか? 私たちは、賢さによってバブルを避けるのではなく、むしろもっと巧みにバブルを経験するように文明を進化させなければならないのかもしれない。チューリップ・バブルによって、当時の人々が花の愛らしさを学んだように、インターネット・バブルによって、私たちが新しいメディアの可能性に目覚めたように、バブルの中に巧みに身を浸して、微笑みつつ進んでいくことが、人類の文明の次なる課題なのかもしれない。
偶有性の海を航行しながら、あえて「バブル賛歌」を口ずさむ。人類の文明は、バブルの一波二波を乗りこえるほどには、まだまだ若いはずだ。
全文は「考える人」でお読みください。
12月 31, 2008 at 09:56 午前 | Permalink
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» DAY115: the end of 2008 トラックバック 貧乏学生のヨーロッパ300日奮闘記〜ベルギー・ルーベンから〜仮
第115日。2008年12月31日。
今日で今年はおしまい。
さて、今年は何がったか振り返ってみたい。
長文になります・・・
[続きを読む]
受信: 2008/12/31 20:24:04
» Che Guevara トラックバック SWANの 「Trust me!」
プロパガンダに惑わされ続ける人々へ。 真実を見極める眼力を身につけよう。 よりよい世界を望む限り、革命は今も続いているんだと信じよう。 依然としてゲバラが闘っていた頃と世界は変わっていない。 ... [続きを読む]
受信: 2008/12/31 22:40:53
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コメント
☆バブルの夢☆
春になれば芽吹き、やがて花を咲かせる。そんな生命力が詰まったチューリップの球根がバブルの起源となり、象徴となることの意味。確かに人間は愚かである。熱狂は、現実によって繰り返し冷水を浴びせられる。それでも人は希望を抱かずにはいられない存在。過ちを犯すからこそ、人間らしく、愛おしい。
~(以上文明の星時間より抜粋させていただきました)~
消えるとわかっていてもいつまでも消えないでと願ってしまう。
青空を抜けて宇宙までとばしてみたい。
理想のバブルに現実の矢が刺さる。でもやはりそう、可能性を信じ大中小いろいろな色のバブルを弾かせる。
偶有性の海。。なんて素敵な海なのかしら!歓んでバブル賛歌を口ずさもう。もしかしたらそのうち一つくらいは一生飛び続けるかもしれない。
以上☆わたしの夢☆
『考える人』必ず拝読させていただきます。(≧ω≦)ノ
投稿: wahine | 2009/01/01 17:55:12
茂木健一郎様
これからの日本は世界はどの様になっていくのでしょうか?是非『考える人』を早速購入し、未来へ歩む在るべき姿を考えてみたいと思います。楽しみです!☆
投稿: mak | 2008/12/31 18:45:45
…狂乱と贅沢にみんなが浸かっていたあの時期、我が家はそれとは無縁であった。
町を歩くと、まるで虹色の風船が沢山膨らんでは、空へ向かって上っていくように、舞い上がった原色が、そこここに、溢れていたような気がする。
バブルの末期、若者たちはバンド・ブームの渦中にいた。その中で雨後の筍のように、沢山のポップグループが生まれてきたが、時が経ち、21世紀に入った今、振り返ってみると、あの時世に出たグループの中で、生き残ったのは、たった1組。それは沖縄出身者のグループだった。
「私達は、賢さによってバブルを避けるのではなく、むしろもっと巧みにバブルを経験するように文明を進化させなければならないのかもしれない」
日本があのバブルが弾けた後、混迷したまま乱世を迎えてしまったのは、この経験の進化が、よくわからなかった所為かもしれない。
バブルの痛みは、私達に一口噛めば苦い、しかし噛めば噛むほど滋味を増す「智恵の実」を授けてくれるのに違いない。
投稿: 銀鏡反応 | 2008/12/31 14:44:17
私も拝読しております、これからも楽しみです!
投稿: ふぉれすと | 2008/12/31 11:52:30
まあ、須賀さんだっ♪
モギ―先生と須賀さんの本がいつでも読めるように積み重ねられているテーブル。この年末年始の密やかで親密な心の豊かさなのだ。
そうして、モギ―先生の今日のクオリア、地でいけるような私の状態。私秘的バブルの音楽的感情に身を浸せた幸運・・そしてそれは、やはり20年の歳月の中で衰え、破綻した。ヒリヒリした。 でも、畏れずにやれたのだ。そのことに初めて気がつけた。 そして、ホメオタシスに目覚める事もできた。 モギ―先生、私も生命に良き作用を持てたのですね。 こんな考え方ができるようになるとは、思ってもいませんでした。 私にとっては大きい出来事でも、ハタから見たら、何の事?の小さな事。でも、生きているんです。その時を。 さて、新たな甘美な予感。考える人を探しに、本屋さんへ、goo!!
投稿: ぶらんか | 2008/12/31 11:49:09
茂木健一郎さま
小樽天狗山スキー場さまが冬型の影響で
札幌に観光
小樽から列車の今
今日は札幌と決めたら札幌観光!と
茂木健一郎さまの書籍を買いに札幌
東京都町田市在住の私
札幌に買い物、新鮮です
半井小絵さんの解説通り北海道、冬型です
投稿: TOKYO / HIDEKI | 2008/12/31 10:47:38