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2008/12/27

競作したら

電通にて、研究ミーティング。

ソニーコンピュータサイエンス研究所にて、
脳科学研究グループの会合。

大学入試に関する取材が一件。

ミーティング・ルームに行くと、例に
よって関根崇泰がホワイトボードに
何やら絵を描いている。

近寄ると、なるほど工夫がしてある。
構成しているのは、皆、アルファベットと
ギリシャ文字だ。

「これは誰だ?」

「誰でもなくて、練習で描いたんです。」

「じゃあ、この丸顔は誰?」

「それは、茂木さんですよ。」

「なんではなを垂らしているんじゃあ!」

横で見ていた柳川透が、関根に声をかける。

「じゃあ、これは誰?」

「それはボクです。」

「ん?」と私。

「これがカモノハシか? うーん。難しい!
これはかなり複雑だなあ。」

関根には、ホワイトボードに妙ちくりん
な絵を描くクセがある。


妙ちくりん画伯、関根崇泰

首都大学東京の笠原和美さんがいらっしゃる。

Diffusion Tensor Imagingの話をして
くださった。
非常に面白かった!

高野委未が、修士の構想発表へ向けての
考えを発表。

Bowlbyのsecure base理論と、attachment theory、
それとmotivation, trustなどの感情の問題を
どのように結びつけるか。

もし認知神経科学に高野の考えていることを持ち込めたら、
ヒーローとなるだろう!

戸嶋真弓さんが、英語の認知プロセスに
関する研究の進捗を発表。

segmentationを分けるという課題は、
とても面白い。

それが、言語特有であるという側面と、
より一般的な視覚認識
(figure ground separationなど)
の文脈に結びつけられるという側面を、
どのように関連づけるか?

解析をすると、いろいろと興味深い結果が
得られそうだ。

野澤真一に、「増田健史と自由についての
本を書くことにしたよ。」
と言うと、野澤が「えっ、どんな視点で
書くんですか?」と言う。

野澤のライフワークは、自発性や自由意志。

「お前も、自由について書こうぜ。競作したら
面白い!」


野澤真一氏

渋谷へ。
フジテレビの西田恒久さん、渡辺奈都子さんと
打ち合わせ。

桑原茂一さんの、dictionary 100号
記念のイベント。

等身大のバラック・オバマ人形の横で、
桑原さんにのせられてしまって
爆発しちまった。

シマッタ。

佐々木厚さんが来る。吉村栄一さんとともに、
近くの中華料理屋に移動して、
「漫画」についての取材。

和樂の渡辺倫明さんから、どうしても
今日中に原稿をよこせとメール。

控えスペースでみなさんのパフォーマンスを
見ながら、必死になって原稿を書く。

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 それにしても、レンブラントの自画像のいかに精気に充ちていることか。若き日の厳しく世界を見つめる表情から、老年の酸いも甘いも噛み分けた大芸術家の風貌まで。自分をありのままに見つめ、何ごとも粉飾しないその精神態度は凄まじく。鬼気迫る緊張感をもって私たちの胸をかき乱す。

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 茂一さんのパーティのなんとも素敵な
ambianceの中で、レンブラントの自画像に
ついて考える。

 茂一さん、今年一年、お世話になりました。
dictionary 100号、おめでとうございます!

___________

 人間にとって、世界のあり方が霧の中に包まれ、その世界の中での人間の位置が明らかでなかった時代には、自由意志の存在を信じることに、何の問題もなかった。つまり、私たちは、「私は私の行動をコントロールできる」という、内面的な直感を信じていれば良かったわけである。人間という存在は、いわばブラックボックスのようなもので、その中でどのようなプロセスが進行しているかは、全く見通しがつかなかった。人間が自由意志を持つか持たないかという問題の答えに、客観的な自然法則が何らかの制限を加えるとは考えられなかったのである。
 私たちが、主観的には自明のこととして持っている「自由意志」という「幻想」を打ち砕いたのは、人間の肉体は、私たちの心を司る脳を含めて、自然法則に従って動く「機械」に過ぎないという認識だった。すなわち、「人間機械論」である。
 私たち人間が、蛋白質や核酸、それに脂質などでできた精巧な分子機械であるという考えは、現在では常識と言えるだろう。この、「人間機械論」が唱えられた当初は、それは人間の尊厳やモラルにとっての大きな脅威であると考えられた。そして、多くの哲学者が、人間機械論のもたらす人間性の危機に対して、鋭敏に反応した。もし、人間が有機物質でできた機械に過ぎないとすれば、あらゆる人間的価値のよって立つ基盤が脅かされるからだ。例えば、ニーチェの「神は死んだ」というテーゼや、サルトルの実存主義は、このような危機感を背景にして生まれている。
 「自由意志」という概念も、人間が有機物質からできた機械であるという認識によって脅かされる。
 序章にも述べたように、脳は、様々な生体分子から構成される精密な機械である。これらの生体分子の振る舞いが、物理学的、ないしは化学的法則によって記述される以上、そこに宿る私たちの「心」も、物理学的、化学的法則によって決定づけられていると見なさざるを得ない。ということは、私たちの行動や、私たちが考えること、私たちの意志決定は、自然法則に従うということになる。現時点で、私たちは、人間機械論の前提を疑うような合理的な証拠を持っていない。私たちの心が、私たちの意志決定のプロセスが、世界の中で自然法則に従わない特別な例外であるということを示す証拠は一つもないのだ。つまり、心も、意志決定のプロセスも、自然法則の一部と見なされなければならないということなのである。第5章で述べた「クオリアの先験的決定の原理」は、このような考え方を最も先鋭的に表現したものだ。
 以下の「自由意志」に関する議論は、心や意志決定のプロセスが、自然法則の一部であるということを前提としている。すなわち、私たちは「自由意志」をあくまでも神経生理学的な枠組みの中で捉え、ニューロンの系の振舞いがどのような自然法則に従うかという観点から、「自由意志」の問題を考えようというわけである。

茂木健一郎『脳とクオリア』第9章より

12月 27, 2008 at 07:57 午前 |

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開店と同時に店の前にお客様が、 何人か集まってきた。 普段はないことなので、ちょっと慌ててしまう。 [続きを読む]

受信: 2008/12/27 14:14:04

コメント

茂木先生 こんにちは♪
今朝テレビを見ていたら、赤塚不二夫さんが出ていた番組をやっていて、顔に渦巻きのある男の子って、バカボンでした(笑)なんだかいろんなキャラが混ざってしまい、「天才バカボン」はバカボンより、パパのほうが活躍していますから(笑)年末のお忙しい所失礼いたしました♪

投稿: 平井礼子 | 2008/12/30 7:01:09

茂木先生 こんにちは♪
関根画伯の絵、今年また見られてとても嬉しいです!その中で(携帯からなので、いまいちハッキリわからないのですけど…)茂木先生が、ヨダレ?を垂らして、ホッペタに渦巻きの絵が書いてあるのを見て、たしか「もーれつあ太郎」に出てきた、いつも着物をきて、ほっぺたに渦巻きが書いてある男の子を思いだしました。他の所に出ていた男の子かも知れませんが… 手にキャンディを持っていたように思います。見たとたんに、その子のことが思いだされたので。
こんな絵を書ける間柄って、とても素敵ですね。関根画伯、来年もまた新しい茂木先生の登場楽しみにしています…笑♪

投稿: 平井礼子 | 2008/12/28 18:32:44

3次元のブラックボックスの中で、
3次元以上の次元をイメージできるということは、ブラックボックスの中は、4次元なのかもしれません。
いくら想像豊かな絵をイメージできても
結局はアニメ(宗教=フィクション=夢)であって、アニメを超えられないのかもしれません。

投稿: NHK | 2008/12/28 16:11:28

3次元のブラックボックスの中で、
3次元以上の次元をイメージできるということは、
ブラックボックスの中は、4次元なのかもしれません。
いくら想像豊かな絵をイメージできても
結局はアニメ(宗教=フィクション=夢)であって、アニメを超えられないのかもしれません。ノーチラス!

投稿: NHK | 2008/12/28 12:44:03

3次元のブラックボックスの中で、
3次元以上の次元をイメージできるということは、
ブラックボックスの中は、4次元なのかもしれません。
いくら想像豊かな絵をイメージできても(3次元のボールを、4次元の手でキャッチする)
アニメ(宗教=フィクション=夢)であって、アニメを超えられない。
そこまでの想像力しか出ないように設定されているのでしょうか。
しかし、だからこそ安心もできると思います。ノーチラス!

投稿: NHK | 2008/12/28 5:16:35

 茂木さん、おはようございます。クラブキングのイベントで下から質疑したしがない塾講師、まさぼん2号と申します。

 爆発に巻き込まれ、まだ破片が心に刺さってます。素晴らしい一時をありがとうございました!

投稿: まさぼん2号 | 2008/12/28 1:51:51

今回の関根さんの絵、凄いですね。アルファベットで出来ている!私の意思決定のプロセスも自然法則に従うことになっているんだろうなぁと思います(まだその機会に出会ってませんが)。年というか…時期もあるなぁと感じます。
そして今、そのような機会があれば、脳が喜ぶ道を自分が選べると信じています。

投稿: 奏。 | 2008/12/27 21:32:26

親愛なる茂木様
関根画伯の茂木さんの絵を見た時、お茶ふきそうになりました~(≧▽≦)
茂木さんの、なんで鼻たらしてんじゃいって返しも楽しいです。
元気いただきました~m(_ _)m

レンブラントの絵、迫力ですね~
レンブラントってじっくり見たことなかったので、図書館で画集見てみます。
画家の自画像は自己の内面世界を映し出す鏡なんでしょうね。
いつか茂木さんに名画を読み解く本出版していただきたいな。 茂木さんのお好きな絵を集めて。
楽しみにしてま~す(^_^;)

投稿: 眠り猫2 | 2008/12/27 19:46:49

いつもお忙しくされている先生、インフルエンザや風邪など、くれぐれもお気をつけ下さいませね。(≧ω≦)b
“自由”についてのご本も大変興味深いです。
自由意志と自然法則…非常に難しく感じます。「自分の意志次第で未来をある程度変えることが出来ると思っている。いわゆる自由意志の概念は、私たちの心と脳の関係を考える上で避けて通ることが出来ない」とご著書『脳とクオリア』にもありますが、未来を予測すると同時に脳内に鮮明に浮かび上がるimageを未来の映像として視ることができ、sportsの大会の前にはイメトレなどをし、それが結果に繋がることもあります。悪いimageをもつと結果もよくなかったり、何かこういう所にも法則とかあるのでしょうか。
う~ん、先ずは脳とクオリアをしっかりじっくり読まなければと思います。それでは先生、お仕事頑張って下さいませね。(*^∀^*)ノシ☆☆☆長々と失礼致しましたm(, ,)m

投稿: wahine | 2008/12/27 17:42:04

こんにちわ

自由意志について、教習所に行って、車が自由に運転できるようになる、英会話に行って、英語が自由に会話できるようになる。学習と、自由の獲得は、表裏一体ではないでしょうか?


茂木さんの自由についての本の新作と、妙ちくりん画伯の新作を楽しみにしております。(^^)

投稿: 自由意思のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/12/27 17:28:48

妙ちくりん画伯さんの絵は毎回ユニークですね♪はな垂れモギー先生可愛いらしいです(笑)自画像は何だかよく解らないのがまた良いですねえ。よく視るとアルファベットで不思議な絵です。
DTIとは何ぞやと調べてみましたら、脳内の水の動きを見ることが出来るとは。血管の走行だけでなく、神経の走行まで画像化出来てしまうのですね!
脳内の血流を読み取り解析し元の画像を再構成する実験の記事を最近目にしましたが、それも関係あるのでしょうか?夢や今見ているものが映像となり再構成されたら面白いですね。それと個人的にも愛着行動、モチベーション、信頼などの感情の結びつき大変興味あります。(素人ゆえに、軽はずみな言動ありましたらスミマセン(汗))
レンブラントの自画像は同じ人物とは思えなないのですが。絵が訴えかける気迫に鳥肌がたちます。
昨夜の爆発パフォーマンスは最高でしたよ!やっぱり先生はもの凄いパワフルでいらっしゃる。実は少し疲れぎみでしたので、躊躇していたのですが参加させて頂き大変良かったです。先生はきっと私のエネル源なのです(笑)パーティ自体もactiveでとっても楽しませて頂きました♪
そんな中先生はお仕事をされていらっしゃったのですね。。(ノ_<。)

投稿: wahine | 2008/12/27 16:39:28

こんにちは。

今日のお題は難しいなぁ!

人間が作り出した 機械 に人間の脳が似てると言うことは何だか不思議ですね。脳の方が先なのに。

しかし、科学の世界では脳を機械に例える必要があったのですね。
それはある条件を与えると脳は個人に関係なくプログラミングされた様に反応が起こるからなのですよね。プログラミングしたのは 神もしくは自然または宇宙意志または人間を創った何かしら。だから人間には「自由意思」はない と言う事になる。

「自由意思」は人間に与えられていないとしても、実際に私たちは星の数以上に、宇宙の広がりと同様、無限の思考の世界を与えられている。
だから、それが「自由」な意思であろうとなかろうと問題はない様に感じます。人間機械論の発生の必然と、サルトルやニーチェを読まないと彼らはなぜ危機感を抱いたのかわかりませんね。

ああ、読みたい本が日に日に山となっていきます。

今日、芝浦の運河に住んでいるカモを見おろすとみんな寝ていました。朝の11時頃です。
いつもは水面下を忙しく足でかいているのに寝てる時はだら~んとぶら下げているだけなのです。
カモは顔を体にうずめて、水面を風に流されていました。
寒くないのかな。動物はえらいな。
みんな自然のプログラムに従っている。
むしろ、この理屈から言うと自然の意思に背く自由意思は存在し得ないのではないですか。
だって、この宇宙に生まれて来れないのですから。

逆にそれは、私たち人間や、虫、動物、生物、機能、働き、存在するもの全てが宇宙に歓迎されて 必要とされて生まれてきたのだと言えますね。自分には受け容れ難いものだしても、そうして宇宙は宇宙を成り立たせていている…。

諸行無常の響きあり…。
でも 素敵っ!!!!

考えを誰かに添削してもらわないと!!

茂木さんは冬休みありますか??
私は今日から1月4日まで9日間!!
散歩に読書に服づくりに励みます。
健康第一ですよー。

投稿: 光嶋 夏輝 | 2008/12/27 15:26:11

茂木健一郎さま

北海道は小樽の素晴らしい宿泊施設

小樽グランドホテルさまに到着しました。1月7日まで毎日スキー
ただし
楽しくスキーは
小樽天狗山スキー場さまでスキーと悟り
小樽天狗山スキー場さまの場合はスキー場事務所の方々も

高木英樹さん!存じ上げているので、大丈夫!ご安心を!

それで、自分に良いことと感じるスキー場である小樽天狗山スキー場さまに毎日行きます。

小樽のアーケード
丸書店さんのイナホ店さん

茂木健一郎さまの書籍、店員さん、こちらです!
それで購入

脳にいいことだけをしなさい

購入しました。

北海道は小樽でも茂木健一郎さまの訳でありますが素晴らしい書籍

普通に浸透しています小樽でも茂木健一郎さまの書籍

私、調査員ではありませんよ!でも普通に茂木健一郎さまの書籍が小樽の書店さんでも迷わず案内され

小樽の丸書店さんのイナホ店さん、私、助かりました、迷わず購入!

今晩から拝読させて頂きます。

投稿: TOKYO / HIDEKI | 2008/12/27 14:10:22

茂木健一郎さま

羽田空港保安検査も通過しました

日本航空さまの便で札幌
機内には茂木健一郎さまの
まさに 「 脳とクオリア 」持参
保安の検査も、もちろん茂木健一郎さまの書籍も!でした。

国土交通省さま
日本航空さまの社員の皆様

そして茂木健一郎さまに感謝

ところで
感謝!感謝!と、いつもにないこと

そういえば、Tokyo ひでき、最後のなんとやら、なんてことはないですが
なにせ飛行機ですので
私は搭乗前の食事は
もしかしたら最後の食事?覚悟を決め、少々お値打ちな食事にしたり
言い訳的かな。

投稿: TOKYO / HIDEKI | 2008/12/27 8:33:40

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