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2008/11/21

飛雄馬の変貌

サンデー毎日
2008年11月30日号

茂木健一郎 
歴史エッセイ
『文明の星時間』

第40回 飛雄馬の変貌


一部抜粋

 幼い頃から父、星一徹に鍛えられた飛雄馬。剛速球投手を目指すが、やがて球質が軽いという致命的な欠陥が明らかになる。
 「バッティング投手としてなら理想的」と揶揄される始末。絶対絶命のピンチに立つが、座禅に訪れた道場で、老師の「打たれまいと思うから打たれる。打たれてもかまわない、いや、一歩進んで打ってもらおうと思え」という言葉に開眼し、打者のバットを敢えてねらって凡打に打ち取る「大リーグボール一号」をあみ出す。
 荒唐無稽な話ではある。しかし、幼い私の心を動かしたのは、そんな魔球が本当にあるのかという理屈ではなかった。飛雄馬は変わる。座禅をしている中、老師の言葉に突然目覚める。その瞬間、世界が変わって見える。自分の一番の弱点が、武器となり得ることに気付く。そのような認知のダイナミクスが、幼い心にも強烈な印象を残した。
 魔球はやがて打たる。負けずに次の「大リーグボール」を創造する。行き詰まる度に、飛雄馬はそれまでの自分を否定し、超越することで次の次元に行く。幼い私を惹き付けていたのは、そのような梶原一騎の「成長のロジック」であった。
(中略)
 それにしても、『巨人の星』に描かれている飛雄馬の成長は、昨今の日本で流行っている「脳の活性化」の類の話と何と違っていることだろう。現代人は、どうやら、自分は今までと同じままでいて、脳の機能やら容量やらを拡張したいと思っているらしい。コンピュータの新機種が出て、CPUがこれだけ早くなったとか、ハードディスクの容量がどれだけ増えたというのと変わらないイメージで、自分の脳をとらえている。そんなことでは、本当の成長する喜びには全く触れることができないというのに。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

11月 21, 2008 at 09:00 午前 |

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茂木健一郎は言う 『幼い頃から父、星一徹に鍛えられた飛雄馬。剛速球投手を目指すが、やがて球質が軽いという致命的な欠陥が明らかになる。  「バッティング投手としてなら理想的」と揶揄される始末。絶対絶命のピンチに立つが、座禅に訪れた道場で、老師の「打たれまい....... [続きを読む]

受信: 2008/11/22 12:12:57

コメント

茂木さん、こんばんは。
私も「巨人の星」は大好きで、二人の姉と一緒に
よく観ていました。

「ドアを開けた瞬間に、世界は今までとは全く
変わって見える。」

今まで生きてきた中で、何度かあった様に思います。

例えば、苦手なタイプの人だな。と思っていたのが、
ある日、「な~んだ、意外と話が合うじゃない。」と
思い直したり・・・。

食べず嫌いで「納豆」が駄目だったのですが、24歳
の時だったかな?! 旅先で食べてみると「美味しい!」
と思い、大好物になったり・・・。

確かに否定が肯定に変わる瞬間というのは、ある日、突然
やってくることはあります。
それは、忘れられない瞬間ですね。

人生まだまだ長~い。
幾度となくあることでしょう。

それが「成長のロジック」であるなら、嬉しいですね!

投稿: 茂木さんの崇拝者より | 2008/11/23 0:07:06

おはようございます。

『巨人の星』は私もファンでした。
ずいぶん元気をもらったものです。

たしかにあの頃の「成長のロジック」は、現在とだいぶ違うようです。
もう時代遅れなのでしょうか。

脳の機能を高めるといっても、脳全体のたった数%しか使っていないとすれば、それが数十%になるという保証はありません。

人類が知り得た宇宙の物質、エネルギーは4%にすぎず、残りは未知のダークマター、ダークエネルギーです。

大宇宙と脳という小宇宙が呼応しているならば、「脳開発」など重箱の隅をつつくようなもので、大したことないのでは…。
それより、宇宙と脳に広大に広がる「未知」に驚異を感じずにはいられません。

知識が増えたり、なにかの技術に熟練することは喜びですが、だからといって「魂」も成長するとはかぎりません。

むしろ「魂」が成長することによってこそ、脳も成長するのでは、という気がします。

投稿: 遠藤芳文 | 2008/11/22 10:32:33

尊敬する茂木先生

そうなんです。私も 気がつけば、今ある自分をそのままで変わらずして成長を めざしてました。
状況、環境に応じて対応、変化 進化するためには これまで築き上げてきたものを全部投げ出す、否定する勇気が絶対いるのに
守り通して固める、安定こそが 成長だと信じてそのように努力してきました。
今にやっと イチロー選手の「かわらなきゃ」の言葉の重みがわかりつつあります。

投稿: golfpilates | 2008/11/21 21:36:13

茂木さんが座禅をされるとしたら、夏目漱石も参禅された北鎌倉の円覚寺でしょうか?

投稿: masami | 2008/11/21 20:39:17

茂木先生、おかえりなさい。

「大リーグボール1号」は、
そんな悟りのメッセージが込められていたんですか!

実はそのボール、読者に投げられていたんですね~(^^)/

投稿: ミウラナオコ | 2008/11/21 10:21:46

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