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2008/11/23

典型的な地球人

サンデー毎日

2008年12月7日号

茂木健一郎 
歴史エッセイ
『文明の星時間』

第41回 典型的な地球人

一部抜粋

 オバマ氏当選の報に接し、私の胸の中で、ある一つの思い出がよみがえった。
 あれは二十年余り前。大学生だった私は、「日米学生会議」に参加した。日米の学生が相互に訪問しあってさまざまなことを議論する会合。首相をつとめた宮澤喜一さんもかつてメンバーだった。私たちの年は日本側がアメリカを訪問する番で、訪米に向けて準備を重ねた。
 到着した地はシカゴ。初日の夜、日米双方の「演し物」があった。日本側の代表は、半年前から何回も会合を開いて、綿密にプログラムを用意していた。一方、アメリカはあまりにも国が広すぎて、事前の準備ができない。電子メールもなかった時代。私たちが到着する一日前に集合して、いわば「即興」で用意を済ませたのだという。
 それにもかかわらず、さすがはエンタティンメント大国。アメリカ側のパフォーマンスは素晴らしかった。特に印象深かったのが、「私は典型的なアメリカ人です」という演し物。一人ひとりが皆の前に歩み出て、自己紹介をする。そして、最後に「私は典型的なアメリカ人です」と付け加えるのである。
 「私の母はボストンの片田舎で生まれました。父は、サンフランシスコの海の近くで生まれました。私は典型的なアメリカ人です。」
 「私の両親は、それぞれニューオリンズとヒューストンで生まれたイタリア人でした。二人は、シカゴで出会いました。私は典型的なアメリカ人です。」
 「私の父は台湾からアメリカ合衆国に移民し、母はテキサスで育ちました。二人は、結婚してフロリダに住みました。私は典型的なアメリカ人です。」 
 一人ひとりのバックグラウンドは、全く異なる。それにもかかわらず、誰もが「典型的なアメリカ人」。アメリカという移民国家の多様性の豊かさを、参加者の自己紹介を兼ねて提示する。会議初日の夜の見事なプレゼンテーションであった。今でも鮮明に覚えているのは、よほど心を動かされたからだろう。
 「私の父は、ケニアの小さな村に生まれました。トタン屋根の粗末な小屋の中の学校に通いながら苦学して奨学金を得て、アメリカに留学しました。留学先で、母に会いました。母はカンザス州生まれで、彼女の父親は、大恐慌時代には油田や農場で働いていました。私は、典型的なアメリカ人です。」
 オバマ氏の経歴を、日米学生会議におけるプレゼンテーションにならって表現すれば、こうなるだろうか。誰でも「典型的なアメリカ人」。どんな背景の人でも、努力さえすれば、アメリカ合衆国大統領になることができる。それは長い間一つの理念に過ぎなかったが、実際にそのようなことが可能であると私たちは知った。アメリカ建国の理想は生きていた。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

11月 23, 2008 at 09:14 午前 |

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コメント

こちら拝読させていただきました。
現実には必ず醜い側面や思うに任せぬ摩擦がある、だからといって理想を抱くことを忘れてはいけない、受難こそが“情熱の母”なのだから…深く胸に響きました。
真剣に自分と向き合ったり、何かを成し遂げようした時に、あらゆる苦悩や摩擦が生じ、自分のおかれている境遇を呪った事もあります。でも著書等を通した先生との出逢いから私の中に少しずつ何かが芽生え、絶対逃げてなるものかという思いに至りました。
勢い的には受難おおいに結構ぐらいの(笑)なんて言っていたらドツボにはまったらどうしましょうかしらσ(^∀^;)。。。 未来の事などわかりませんが、先生の仰せになるように受難こそが情熱の母さ!と思っていれば、転んでもまた起き上がれる気がします♪
そして、とことん落ち込んで悩んでみるのも凄く大事だなのだなあと思いました。
典型的な地球人としてそれぞれの個性ある生を過ごすそんな未来を夢みている…私もその夢に参加させて下さいませ。
それでは、先生お休みなさいませ。素敵な夢を☆☆☆
●●●●●
(*´∀`*)ノシ

投稿: | 2008/12/01 0:09:39

オバマ氏の当選は、アメリカンドリームを信じたい人々の投票の結果なのか…それをロマンととるか、切迫しているととるか…どちらでしょうか。混合、かな。

先生の学生時代に見た、アメリカ人学生達のパフォーマンスの話を伺うと…必然的に『典型的な日本人』となるとどうなるか、と考えますね。それから、アメリカ人の知人がハロウィンで「(何の扮装もせずに)カナダ人だよ!」とパーティーに出席したという話を思い出しました。

投稿: | 2008/11/23 20:32:04

みなさま、

こんにちは。学生団体STeLA (Science and Technology Leadership Association) 日本支部副代表の弘田と申します。 誠に勝手で大変申し訳ございませんが、日米学生会議に関連して宣伝させて頂きたく存じます。もし本ブログの趣旨に合わない場合は、削除して頂ければと思います。

この度、STeLA 2009 Forum in Tokyo の新スタッフ募集説明会を開きます。興味がございましたら、ぜひお気軽にご参加ください!


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
☆★☆★☆ STeLA-JAPAN 2009 スタッフ募集及び説明会のお知らせ
★☆★☆
☆★☆  学生団体STeLA (Science and Technology Leadership Association)
★☆   Web Site: http://web.mit.edu/stela-mit/
☆    e-Mail: stela.japan(at)gmail.com

★STeLA★
STeLA は、
・米国・ボストン近郊の大学(MIT、Harvard...) : STeLA-USA
・中国・北京近郊の大学(北京大、清華大...) : STeLA-CHINA
・東京近郊の大学(東大、東工大...) : STeLA-JAPAN
らの学生によって運営されている、科学技術分野における国際的なリーダーシップ
の育成を目標とした学生団体です。

※STeLA-JAPANは東大、東工大の理工系大学院生を中心とした組織です。スタッフ
の半数近くが海外からの留学生です。

★STeLAの活動★
STeLAの主な活動は、STeLA Leadership Forumの開催です。
これは「次世代の国際科学技術リーダーシップ育成」をテーマにしたフォーラムで、年に一度各支部国から参加者を募り、開催します。
2007年8月に第1回目のSTeLA Leadership Forumを東京、2008年8月に第2回目の
STeLA Leadership Forumをボストンにて開催しました。
そして、第3回目のSTeLA Leadership Forumを2009年8月に東京で開催する予定です。
これは、米国・中国・日本と新規STeLA支部国(予定)から参加者を募り、約1週間に
渡って行われる合宿型フォーラムです。

★スタッフ募集★
STeLA Leadership Forum 2009実施に従い、STeLAでは新スタッフを募集します。
スタッフの仕事としては、新規支部立ち上げ・渉外・広報・プログラム(リーダーシップ教育、特定のテーマを扱う分科会、共同プロジェクト)など、多岐に渡ります。各国支部間のミーティングはインターネットテレビ会議システムを用いて行います。また、スタッフの公用語は英語です。

★スタッフ募集説明会★
新スタッフ募集に従い、東京大学と東京工業大学にて、スタッフ募集説明会を開催致します。
・事前申し込みは不要です。直接会場にお越し下さい。また、当日の緊急連絡は
stela.japan(at)gmail.comにお願いします。
・説明会やスタッフ募集に関してご質問のある方は上記アドレスまでご連絡下さい。

---
会場:東京工業大学大岡山キャンパス石川台3号館304号室
日時:2008年12月6日(土) 15:00?16:00
地図:
-大岡山キャンパスアクセスマップ
http://www.titech.ac.jp/access-and-campusmap/j/access-j.html
-キャンパスマップ
http://www.titech.ac.jp/access-and-campusmap/j/o-okayamaI-j.html

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会場:東京大学本郷キャンパス工学部8号館 81講義室
日時:2008年12月8日(月) 19:00?20:00
地図:
-本郷キャンパスアクセスマップ
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
-キャンパスマップ
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_09_j.html


★STeLA Leadership Forum 2008★
STeLA Leadership Forum 2008では、以下のプログラムを実施しました。
・MIT Leadership Center( http://mitleadership.mit.edu/ )の協力による参加者自身のリーダーシップ育成の為の講義・ロールプレイ・議論

・MIT Media Lab Sensible Organizations Project( http://hd.media.mit.edu/sensible.html )
との協同として、小型センサーを用いた参加者のチームダイナミクスの可視化および
リーダーシップ教育のためのフィードバック

・利根川進氏(MIT教授/ノーベル生理学・医学賞受賞)、Phillip A.Sharp氏(MIT教授/ノーベル生理学・医学賞受賞)の講演

・科学技術が関わる国際的な問題としてGlobal Public Healthをテーマとした講演・ロールプレイ議論・メルク研究所( http://www.mrlboston.com/ )の見学

・ムービー作成プロジェクトを通じた参加者自身のリーダーシップ育成・発揮

・作成したムービーの一般公開プレゼンテーションをMIT Museum( http://web.mit.edu/museum/ )で開催

・MIT学生寮での宿泊

また、これまでの主なフォーラム参加者は以下の学生達です。
米国:MIT、Harvard、Priceton, Univ of california San Francisco...
中国:北京大、清華大...
日本:東大、東工大、筑波大、慶應大、早稲田大、東京医科歯科大...

投稿: | 2008/11/23 16:39:57

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