« 新しき村 講演会 | トップページ | オバマ »

2008/11/05

ずっと演説していれば

 誰かにあって丁々発止や
わいわいも好きだが、
 一人で黙々と何かに取り組む
時間も好きだ。

 すっと入って、あとは時間の流れを
忘れる。
 取り組んでいることの
有機的構造とそのダイナミクスの
宇宙の住人となるのだ。

 どうも風邪気味だが、朝
森の中を走ることは止められず、
いつもより着込んで出かけた。

 時が経ち、
 仕事を始める。机の上のティッシュー
がくしゃくしゃの玉になっていく。
 
 玉がだいぶ山になった頃に、
一つの仕事が終わった。

 あれは93年の末だったか、
初めてイギリスに下宿した時、
家主のフランス出身の老婦人が、
「レムシップを飲め」と言った。

 風邪を引いてくしゅんくしゅん
やっていたのである。

 「レムシップたあ何ですか?」
 「薬局で売っている。粉をお湯で溶かして
飲むのである。」
 「効くんですか?」

 ちょうど持ち合わせがあったようで、
持ってきてくれた。

 「良薬は口に苦し」ではないかと
 恐る恐るだったが、ホット・レモネード
のようで美味しかった。

 あれ以来、風邪というと
レムシップが飲みたくなる。

 夕刻、ウェッジ主催の講演会へ。

 一日籠もって仕事をしていただけでも、
久しぶりに自分の同類に会った
思いがした。

 会うとなると、こんどは際限なく。

 雨が降るのではない。土砂降りになるのである。

 『プロフェッショナル 仕事の流儀』
にもご出演いただいた山田日登志
さんが東京にいらしていて、
 それならば茂木の話を聞いてから
帰ろう、といらして下さった。

 「茂木さん、やっぱり、リーダーは
40代がいいですよ。」
 「バラック・オバマも40代ですね。」
 「老害はよくない。」

 「老害はよくない。」と御自身で
言われる方は、決して老害には
ならない。

 どんな属性も、メタ認知を
することで軽やかな気配を帯びる。
 
 不思議なことに、演壇に立って
話しはじめると、
鼻はちっともムズムズしなくなった。

 なんだ、これならずっと演説していれば
健康になるかな。

 外に出ると慣れないワイシャツと
ネクタイの上から寒気がしみ込んでくるように
思えて、マフラーを首にぐるぐる巻きにした。

 久しぶりに、ケンブリッジの
オレンジ色の街灯を思いだした。
 
 丸の内には、いくら探しても
同じ色合いはなく。

11月 5, 2008 at 07:39 午前 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ずっと演説していれば:

» 記憶に残る時間 トラックバック 須磨寺ものがたり
バイクの停まる音、 その音の方向をみると、 見かけた方がヘルメットを取り、 弊店に入ってこられた。 [続きを読む]

受信: 2008/11/05 12:33:58

» [学者・思想家]久しぶりに夢中になって読んだ本のことを書くよ! トラックバック 竜太式
茂木健一郎の脳科学講義 (ちくま文庫 も 17-2) 作者: 茂木健一郎, 歌田明弘 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2008/10/08 メディア: 文庫 を読んだ。この本は『脳の中の小さな神々』の文庫版で、茂木さんが歌田明弘という人を聞き手に脳について語った13日間と特別講義... [続きを読む]

受信: 2008/11/05 23:11:18

» 『私の一冊・・・』 トラックバック Little Tree
薄雲の向こうに、綺麗な水色の空が広がっています。 今朝は、お天気も上々。 連休明けの火曜日を、皆様はいかがお迎えでしょうか? [続きを読む]

受信: 2008/11/06 7:31:13

コメント

ずっと演説していれば健康なんて、先生はきっと内なるエネルギーで溢れていらっしゃるのではないでしょうか♪
時間の流れを忘れ宇宙の住人になる…まるで星のように☆
メタ認知から軽やかな気配を帯びる…悲観的や行き詰まっている時こそメタ認知で意識転換し楽観的にいきたいものです。
オレンジ色の街灯みた事はありませんが、暖かく優しい色合いなのだろうなあと想像しております。
温かいレモネードで、暖かくされてお大事になさって下さいね♪
先生の風邪が早く治りますように☆☆☆
それではお休みなさいませ。(*^ω^*)ノシ

投稿: | 2008/11/06 1:16:48

今日はこんな日だったなぁ。
①ようやく、単純なハリウッド映画史観の人にピリオドが打たれたなぁ。
②空は、どこまでも澄んで高かったなぁ。
③山田さんのように、人間が人間であるために、ということを思ったなぁ。

さて、BGMでもかけよう。そういえば①、②、③の要件を満たす曲があったような・・・。ああ、これこれ。

(CHOM)”SKY HIGH”

ん?だれか、今、目の前をよぎったのか・・・?

投稿: | 2008/11/05 23:08:28

茂木先生、こんばんわ。

風邪気味という事ですが、お加減いかがですか?

「レムシップ」身体も温まり、美味しそうですね。

身体を温めたい時は、生姜とハチミツのお湯を作って飲むのも良いです。
ちょっと辛いのですが、飲んだ後は、ポカポカです。

茂木先生、人と会わない仕事と講演会など人と会ってする仕事のバランス(かしら?丁度良い言葉が見つからなくて…)が、素敵だなぁと思いました。

人と会わないでいる時間があるからこそ、人と会った時は濃密な時間を過ごしたい、その人と楽しみたいと。私は思います。

どんな話をしようかと、あれこれ考えるのも良いなぁ。

お身体、大切になさってください。

投稿: | 2008/11/05 22:42:43

茂木さんこんばんは。お風邪を引かれたようで、大丈夫ですか?

お話を始められたら、鼻が治るとは、やっぱり「プロフェッショナル」ですね!!
今日は、あたたかくして、ゆっくり休んで下さいネ。お大事になさってください・・・☆

投稿: 月のひかり | 2008/11/05 22:39:54

「レムシップ」という風邪薬があるのですか。

そういえば同じようなレモネード味の「ドリスタン」という、お湯に溶かして飲む薬があったのを思い出した。

今でも、薬屋さんに置いてあるのかもしれない。

ところで、うちの場合は子供の頃、風邪をひいたとき「浅田飴・水飴」をよく舐めた。それで少しは咳がおさまったものだった。

老害はよくない、ということで思い出すのは、時代の風潮や中身を常に変えて行くことが出来るのは、若い知性、若い情熱、若い行動力…とにかく、若い力に他ならない、ということだ。

以前「プロフェッショナル」山田日登志さんの回を見ていて、非常に前向きで、熱いものを持っている人だ、と感じていた。

年齢を重ねても常に若くある人は、とても素晴らしい。

常に前進し、熱いハートと怜悧な知性を持って、前途を切り開き、すべてを変えていく。

そんな若さを、何時いつまでも、持っていたいと思う。

秋の風がいよいよ冷たくなってきました。晩秋のすぐ後には冬将軍の伝令が控えているものです…。お風邪、くれぐれもお大事に。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/11/05 20:34:28

緊張している人は、風邪を引かないと云いますが ずっと緊張していると疲れて病気になりそうと風邪の季節になると思います。
先生、身体をあったかくして ゆっくりして下さい。

ケンブリッジのことは、本でもとても良く書いてあって 他にも本当に素敵な思い出が一杯ですね。
ケンブリッジ大を写真で見ましたら日本のとは全く違って、とても雰囲気の良い歴史ある建物でした。

投稿: | 2008/11/05 19:46:29

93年末、私もケンブリッジにいました。凍てつくような寒さの中、風邪を引かないようにと幼い子ども達にだるまのように厚着をさせて出かけたものです。外がどんなに寒くても家に戻ってきて、部屋の隅々まで照りだしてしまう蛍光灯ではなく、暖かい白熱電球の光の中で、レムシップをすすると、ほっとした安堵感につつまれ、癒されました。
どうぞお大事に。

投稿: | 2008/11/05 19:15:13

茂木さん、こんばんわ...
風邪のご様子…

あまりにも多忙で超特急で走り回っていらっしゃるようでマジ…心配になります。

ご無理なさいませんように...

私は生姜をすって…ハチミツ熱湯で熱い内に飲むか…
葱に味噌熱湯でふう~ふ~…いって飲んだり、飲ませたりします。
お試しあれ…    

お身体ご自愛ください。   拝
              

投稿: blog0708 | 2008/11/05 18:18:00

こんにちわ

茂木さんの話を聞いていると、風邪でもないのに、レムシップを飲みたくなりました。

オバマに決まったようですね。来年の教書演説が楽しみです。(^^)

投稿: | 2008/11/05 16:29:15

茂木さん お疲れ様です。
オバマ大統領が誕生しました。
大変嬉しく思います。
同時に、40代である私たちの責任の重さを痛感しています。
こみ上げてくる情熱を大切にしながら、日々修行ですね。

投稿: にしおです | 2008/11/05 13:54:09

Dear Dr. Mogi

Are you OK? Please keep yourself warm and get a good night's sleep.

Let's cross our fingers for Obama to win!

投稿: | 2008/11/05 12:40:19

僕は天才脳科学者の茂木さんに
一日も早くノーベル賞を受賞してもらいたい

そして その茂木さんの
端正でロマンチックで詩人のようであり
どことなくE・シュレディンガーのような
お顔立ちの茂木さんのお写真が

新聞の1面記事を飾る日を楽しみにしている

投稿: | 2008/11/05 10:10:44

 今回の茂木先生の写真と記事はシトロンの匂いがします。クオリア日記に思わず、いつもありがとう!といいたくなりました。昔、芭蕉の訪問を待っていた各地の名士も、こんな気分だったのかなあ。今この自然科学の柔らかなアプローチの時空に生きることができて幸せです。

投稿: | 2008/11/05 9:32:04

茂木健一郎さま

「 脳とクオリア 」

昨晩、久々に手が伸びて
びっくり
クオリア 海に例えられ、水面近く分かりやすい時と、はるかかなたの洋上
あ!
私の場合
茂木健一郎さまの書籍が近くの天体に感じ時と何万光年先から輝く星空にと考えていたので
驚きの部分は拝読を止めて考えて、それで読み進み 海を例えにされている文章に
私、読書家ではないので本当に拝読を止める時は止めて思考なんですが
自分なりに、これかな!納得し拝読を
それで、進みましたら、海を例え
びっくり

凄いです「 脳とクオリア 」 低価以上の何かがあります
読み手の心理、そこまで?
購入して幸運です。

投稿: | 2008/11/05 8:28:18

コメントを書く