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2008/10/30

人生は短く

サンデー毎日

2008年11月9日号

茂木健一郎 
歴史エッセイ
『文明の星時間』

第37回 人生は短く


一部抜粋

 ニュートン研究所があるのは、ケンブリッジの中心街から少し西に離れた、緑あふれる一角。ワイルズが「フェルマーの最終定理」の証明を発表して間もない頃、私は会議に参加するためにニュートン研究所を訪れた。
 ワイルズが証明を発表したのは、所内のごく普通のセミナールームだったが、当時すでに伝説化していた。若い研究者たちが、まるで神殿のことを語るかのように噂をささやき合っていた。
 ニュートン研究所の中には、廊下や、階段の踊り場など、至るところに黒板が置かれている。どこでも議論ができるようにという配慮である。実際に、黒板に数式を書きつけ、心ここにあらずという表情で話し続けている男たちがいた。
 数学者たちは、この世にあらざるさまざまな概念世界を見ている。その宇宙は、一生かかっても窮め尽くせないほど大きい。黒板の上の一つの数式が、「無限」への入り口となる。
 ニュートン研究所では、驚いたことにトイレの中にも黒板がある。入って行くと、そこに一つの落書きがあった。
 「私はワイルズの証明に致命的な欠陥を見つけたが、この余白はそれを書くには小さすぎる。」
 ユーモアに富んだ、素敵な思いつき。時を超えて、フェルマーの本の余白と研究所の黒板が一つにつながった。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

10月 30, 2008 at 08:35 午前 |

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コメント

出てすぐ「脳を活かす仕事術」を読ませていただきました。

<感覚系(入力)と運動系(出力)のバランスを取る
現代は入力が多いので出力をすこしずつでも行う
運動系と感覚系は直接つながっていないので「作品(アウトプット)」を媒介にリンクさせていくしかない。>

これは意外でした。脳の中ではつながっていないなんて。
私の仕事はドイツ語翻訳なんですが、原文を読むのはインプットなんでしょうが、日本語にするのはアウトプットなんでしょうか・・・。
外国語に堪能な方は、洋書を読むとき頭の中では翻訳はされていないと思うんです。日本語を仲介しないで直に理解しているというか。
理解したものを日本語へ置き換えているので、やっぱりアウトプットでしょうか・・・・

すみません、とりとめのないコメントで。
ご活躍を影ながら応援させていただきます!
お忙しそうですのでお体にはお気を付けてくださいね。

投稿: translife | 2008/10/31 0:52:19

こんばんは。

ピタゴラスの定理x²+y²=z²を満たす解は無数にあるのに、
単にその指数を2から3(4・5・・・)に変えただけで
一つも解を持たない式となってしまう。
ありとあらゆる数を探しても全く当てはまるものがない、
まずはそれがマジカルに思えてならないのですが。。。

数学書の余白に残された人騒がせな走り書きと
300年余りに及ぶ試行錯誤の集積による証明の完結。
フェルマーが余白に「狭すぎるのでここに記すことはできない」
と書き付けたときの真意は分かりませんが、
ある意味、見事な仕掛け人ですね。

取り組むべき難問がある、そして、
一人の走者が倒れても次の誰かがバトンを受け取る。
なんて尊いことでしょうか。

有限の生の中で無限を志向すること。
人類全体にとっての未知があり、
それを追い求めていくこと自体が
文明の星時間のようなものなのでしょうか。


以前(5月頃)、茂木先生デザインの
月とキリンTシャツを弟にプレゼントしたとき、
弟からお礼に「これ、貸してあげる。」と差し出された物が
サイモン・シンの『フェルマーの最終定理』(笑)。
戸惑っている私に「おもしろいから読んでみな!」と。
以来、本棚に入ったまま、
ずっとこちらに背表紙が向いています(汗)。
弟は時折、尋ねてきます。
「姉ちゃん、フェルマー読んだ?」
・・・・・・た、助けてぇ。。。

投稿: | 2008/10/30 23:10:06

茂木先生、本日「脳を活かす仕事術」を書店で買い、今読んでおります。まさに目からウロコでいかに自分がムダな作業をしていたのかが良く分かりました。早速、明朝からクオリア日記始めます☆

投稿: | 2008/10/30 22:25:15

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