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2008/09/24

階段

あれはいつのことだったか、
おそらく、学部から大学院生に
行く頃だったと思うが、
世の中に「情報」として
流通していることが、
実は「真実」そのものではなく、
真実という軟体動物(それ自体は
得体の知れないものである)に
人々が張り付けて符丁のような
ものに過ぎないという
実感をはっきりと持ったことがあった。

精神の歴史において重要なのは、
案外そのような、抽象的で
ふわふわとした感触の階段を
登ることだったりする。

そのステップの上にいるか下に
いるかで、見えてくる風景が
異なる。

ふと西の空を見上げたら、きれいな
夕焼けになっていた。

一日に一度訪れる急速な変化は、
時間というものがその進行を止める
ことの難しいものであるという事実を
教えてくれる。

どんなに美しいと思っても、
留めることはできないし、
もし止まってしまえば、
やがてそれは美しいものではなくなって
しまう。

ダイヤモンドのような永遠の輝きでさえ、
私たちの限りある命が向き合うからこそ
美しく感じられるのである。

9月 24, 2008 at 08:01 午前 |

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受信: 2008/09/24 20:28:00

コメント

はじめまして。
「フュ-チャリスト宣言」を読み終わって、今日はじめてブログに訪れました。この日の日記を読んで、自分のブログに以前書いたことを思いだしたのですが、私は最近「言葉」に必要以上に引っ張られていることにはっきり気づいて、そのことが人のコミュニケーションの効率上、ある程度変えられないのであれば、影響を認めたうえで

いい言葉に、「連れて行ってもらう」ことができればと考えています。(実践しています)
世の中が楽しい、美しい、大好き!などの感情のポジティブな言葉、生きた言葉が、僕はあまり日常会話として言いなれなてないような気がします。お国柄ですかね。

茂木さんの書いた、この夕日この瞬間が美しいということに今日は連れて行ってもらいましたので今日は得をしました。

投稿: ユキハル | 2008/09/26 22:37:04

茂木さんの詩的な短文が、今回は写真との相乗作用もあって極めてグーーですね。

今回の日記の一部を本歌取りで、中原中也風(????)にまとめてみました。

ふと見上げたら西の空、
きれいな夕焼け見えました。
毎日一度訪れる、
早い変化は
流れてる
時間の進みを止めること、
難しいよと教えます。

どんなにどんなに
美しい
とは思っても、
引き留める
ことなど、とてもできません。
もしも止まってしまったら、
もう美しくありません。

ダイヤモンドの永遠の
輝きさえも、
限りある
われらの命の向き合って
こそ美しく感じます。
-----

お粗末さま。

投稿: fructose | 2008/09/26 4:59:09

同感です。


永遠に輝き続けると人はそれに慣れてしまい、飽きてしまいます。


始まりがあるから終わりがあり、出会いがあるから別れがあるように、変化がないと人は価値を見いだせないようです。

投稿: あいみ | 2008/09/25 21:11:10

なるほど…見ているその対象だけが"留まらない"無常であるから美しいのではなく、それを見ている私達自身がまた"限りある存在"であるから美しく見える。「それ」 を見ている「私」を意識していませんでした。振り返ってみると私は美しい(と私が感じている)ものを見ると心が喜びを覚えると同時に何故か哀しくなります。この感覚は説明しにくいのですが。昔からで、何故なんだろうと疑問でしたが、ブログを読んでなんとなくですが答えを得たと思います。

投稿: 山川 | 2008/09/25 1:27:43

茂木さん、こんにちは。

たしかに「真実」らしいのだけど、実感できないことってありますね。

毎日、太陽は昇り、沈むものだ、と思って生活していますけど、どうも「真実」は違うらしいです。

朝日を見て、「何だかんだあるけど、今日も朝日は昇ってきたなー」と思いますけど、実は、これは間違いで、正しくは、「何だかんだあるけど、今日も地球は自転しているなー」と思うべきなんですよね。

最初にこの「真実」に気付いた人は、やっぱりすごいなー。確認した人もスゴイ。

日々、太陽が昇り、沈んでいるのを自分のこの目で見ているのに、なんで、あれ!?おかしいぞ。もしかして、動いているのは太陽じゃなくて、この地球じゃないか??って思えるんだろう。この大地が動いているってゆーのかよ。ヘンだよ、やっぱり。フツーの感覚じゃないな、これは。

もう一つ、不可思議なことは、宇宙空間に任意に浮かんでいる太陽と月は物理的に大きさは全然違うし、地球からの物理的距離も全然違うのに、どうして、地球から見たらピッタリ同じ大きさなんだろう?皆既日食や皆既月食という言葉まであるくらい。ただの偶然なのか?それとも何か「真実」が隠されているのか?

「はいはい、みなさ~ん。太陽はものすごく大きいから、地球から見ると、太陽は月の8倍の大きさに見えるので~す。」と言われるなら、まあ、分かる。

反対に、「月は太陽より物理的に小さいけど、地球にものすごく近いから
地球から見ると、月のほうが太陽の3倍の大きさに見えるのですよ~。」これも、分かる。

なんで、同じ大きさでなけりゃいけないんだ?


「つまんないこと考えてないで、さっさと寝なさい!」(のび太のママが出てきましたので、茂木さん、このへんで。)

あ、きのうと今日の茂木さんのすばらしい写真に一句、

道の辺の障子あからむ秋夕焼  山口誓子

やっぱり、日々、太陽は昇って沈んでいくんだっていうほうが落ち着くなあ・・・。

投稿: 砂山鉄夫 | 2008/09/25 0:47:41

同じ夕焼けを見て、似たようなことを感じました。デジカメで、夕焼けをおさえようとしたらカメラを取りに行った瞬間に色あせていました。
最近茂木さんの本を読んで、気になって日記拝見しております。記憶喪失、脳死など短かにあってから脳というものに興味をもちました。最近は脳の機能よりただ感じることがすばらしいと思える日々です。

投稿: まり | 2008/09/25 0:34:31

朝日新聞で 楽天家の勧めの中で
5時半起きである事が書かれていて、
驚きました。
茂木さんの平均睡眠時間を教えてください。

私が感動するのは、
朝まで討論だったり、忙しいスケジュールであったりしても、
このように美しい夕日を眺めて
今日なんて写真まで撮って届けてくださる。

人は、忙しさの中において、
そのように湧き出るエネルギーの源をもつことは
可能なのでしょうか?

その秘訣について
ぜひ、どこかで 語ってください!!!

投稿: つきよみ | 2008/09/25 0:24:09

美しき物…今日の日記の茜色の空の写真。
本当にきれいな夕焼けです。

流通している情報にある「真実」のお話し等、ムズカしくて、茂木さんのおっしゃっている事、受け取れた所は少しだけ。。
ですので、ここからは私が受け取ったイメージで話しをさせて頂きます。

軟体動物のような情報は、(始めの方では話されていた真実に、オヒレがついて、どんどん話が膨らんでいく所から)噂話しや伝言ゲームみたいです。

ふわふわとした感じの階段から見える風景は、日記全体を見て、希望といった言葉が似合います。


変化があるから美しい。

ダイヤモンドの輝きのように
限りある命、大切に輝かせたい。

投稿: 奏。 | 2008/09/24 22:50:40

こんにちわ。茂木さん。とても素敵な夕焼けですね…でもすこぉし淋しい気分。でも新米を食したらすっかり気分上々!!
あーやっぱり食欲の秋、ニッポン万歳!

茂木さん、エプロン姿とっても似合ってましたよ♪包丁握るお姿も素敵♪

投稿: こゆり。。。 | 2008/09/24 22:31:11

きれいな夕焼け、秋の雲は表情が豊かでついふっと空を見上げてしまいますね。
今日発売の雑誌「ATES」購入しました!
茂木さんの面白い表紙につられました。中を読んで更に笑いました。
とび抜けた知性と周囲からあそばれる隙(余裕?)の共存が
茂木さんが愛される理由だと思います。
茂木さんちょっとスリムになられましたね!

投稿: こばやし | 2008/09/24 22:18:11

茂木先生へ

とても美しい夕陽ですね。

先生の言葉はいつもわたしの心の琴線にふれて、自分にはない感覚を考えさせられます。

これからも毎日ブログ楽しみにしています。

投稿: ニモ | 2008/09/24 22:16:52

綺麗、逆さまにすると 夕日に焼ける雪原みたい

投稿: hisako | 2008/09/24 21:59:30

情報はあくまでも情報。

その中に見え隠れするものを判断するには、「真実の眼」を養っていく必要があると思います。
ここでいう眼とは、「心の目」のことです。

情報であふれる世の中。

真実を見極められないことは愚かであり、また多くの不幸を生み出し兼ねないと思います。

いつも「一つ上」にいたいですね。

投稿: みったん | 2008/09/24 19:53:55

茂木さん、こんにちは。

この夕焼け、すごかったですね。
私もまったく同じ夕焼けを多摩地方の自宅で眺めておりました。

私はなぜかデジカメに撮るのを控えました。

28歳でちょうど転職活動中。
仕事や家族、健康のことなど、不安でいっぱいです。

あの夕焼けは綺麗でしたけれど、
儚さゆえの怖ろしさがあったからかもしれません。

今はまだわかりませんが、
もう一段、自分自身が「階段」を登ったら、
また違った風景が待っているんでしょうね。

ふと茂木さんが対談本で仰ってた
「補助線を引く存在になる」のくだりを思い出しました。

まずは自分の次のステップの線を引いてみます!

投稿: yo | 2008/09/24 18:06:25

素晴らしい夕焼けですね。
情報を真実ととらえていた頃、
とても苦しい思いをしていた気がします。
真実は自分自身がここに生きていること!
だと今は思えます。

投稿: ウラッコジュース | 2008/09/24 14:08:13

やっぱり、(?)茂木さんすごいなぁ。

私にも分かるように書けるんやもんな。

実はわたしも理系??

投稿: いもうと | 2008/09/24 12:25:55

こんにちわ

写真を見ると、まるで、魚の大群が空を飛んでいるように見えます。(^^)

投稿: 魚のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/09/24 11:30:47

はじめまして。今回、初めてコメントさせて頂きます。
今、就職活動中の「30代」です。

現在、読んでおります茂木さんの著書「ひらめきの導火線」に通ずる感想を今回の記事に感じました。

世の中に「情報」として
流通していることが、
実は「真実」そのものではなく、
真実という軟体動物(それ自体は
得体の知れないものである)に
人々が張り付けて符丁のような
ものに過ぎないという
実感をはっきりと持ったことがあった。


この部分に、気が付かされた感があります。就職活動に、かなり有益になる、ヒントを頂きました。

ありがとうございます。

茂木さんの今後のご活躍を楽しみにしております。

投稿: 一番表彰台 | 2008/09/24 9:58:22

茂木さん、おはようございます!心にしみるコラムに、目の奥が熱くなりました。きれいな夕焼けですね、、。小さい頃、世界は完璧に回っていて、真実そのものだと思っていました。年を重ねて、そうではないのかもしれないと思ったとき、静かな動揺に襲われました。
わたしは11歳のとき、事故で父を亡くしました。朝いつものように動いていた父が、午後には冷たく横たわっている。人間は、こんなに簡単に死んでしまう生き物なのかと思いました。それでも、わたしの前には変わらない景色が広がり。あのとき、父だけが消えたと思いましたが、変わらない景色と、それを感じる自分も、同じことなのだと思います。だからこそ、美しいと思える瞬間の素晴らしさを思います。わたしには、美しすぎる命ですが。ふわふわとした感触の階段、ちょっとずつ登りたいと思います。

投稿: 月のひかり | 2008/09/24 9:57:33

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