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2008/09/13

「うまい」のパス回し

近所の森を走っていると、
ヤクルトを売る人がいた。

たくさん入った
カートを前に
木陰で休んでいる。

飲んでいるヤクルトがおいしそうだった。

一周して戻ってくると、まだ佇んで
飲んでいた。

ますますうまそうに思えた。

内田百閒はものがない時、
ごはんつぶをヨウジに刺して
それをあぶって醤油につけて
酒のつまみにしたそうだ。

うまいまずいは工夫しだいで
いかようにも変わる。

「うまい」のパス回しをもっと
工夫しよう。

ソニーコンピュータサイエンス研究所にて、
脳科学研究グループの会合。

柳川透がラットのbarrel cortexの2/3層の
神経細胞が、ラットがresting状態か、
あるいはwhiskerを使って探索行動を
している状態であるかに
応じて自発的活動状態を
変えるという論文を紹介する。

張キさんは、ラットの条件付けにおいて、
報酬をめぐる全体条件に対応する要素と、
具体的な報酬の性質に対応する要素を
分離した論文。

そして、星野英一は、
natural sceneを少しずつ断片的に
見せた時と、連続して提示した時で、
cumulativeなvisual memoryがほぼ
同じであるという不思議な論文を
紹介した。

ゼミをやっている最中に、
所眞理雄さんがいらした。

研究所
20周年の本について、お話する。

朝日カルチャーセンター。

「脳と音楽」第三回。

歴史における「大数の法則」
と「個人」の関係について論ず。

科学は統計的真理を追究しようとする。
しかし、往々にして、歴史を
動かすのはy=ax の上には
乗らない特異点である。

統計的傾向に回収されてしまうのか、
それとも異彩を放つか。

森の梢をキラキラと飛んでいる
ウラギンシジミがきれいだった。

9月 13, 2008 at 10:18 午前 |

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コメント

投稿二度目で、失礼します。


ゴハンつぶひとつもちょっとした酒の肴にしてしまう、内田さんの発想は凄くユニーク。

うまい不味いは工夫次第…確かにそうですね。

戦時中の様々なエピソードを時折聞くことがあるが、その時に発光されていた婦人雑誌の付録に“おからパン”の作り方が書いてあった、という。

物がないあの時代、内田さんだけじゃなくて、人はいろんな工夫を廻らして、どんなものでも美味しく食べようとしていたんだものなあ。

今、よそから輸入などしたりして、自給率も低いのに私達の食生活は恵まれ過ぎているけれど、もしいきなり戦時中と同じ状況になったら、みんなそれぞれ「うまい」のパス回しを工夫しなくちゃならなくなるだろう。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/09/14 11:29:53

「異彩を放つ存在」がいわば主要登場人物として入れ替わり立ち代り交代する劇のようなものが私達地球人類の表向きの「歴史」。

文明の繁栄と滅亡、盛者の必衰、永劫に流転を繰り返すその劇の中で、常に変わらずそれぞれに慎ましく生きてきたのが、私達のような「普通の人々」。

先日の「サンデー毎日」を読みましたが、歴史は普通の私達個々人が生きてきた、ささやかなれど、その人にとってはかけがえのない生の軌跡の積み重ね、あるいはモザイクのようなものだと得心した。

地球上は驚天動地の事態が今も続いているが、道端でヤクルトを飲める小さな幸せを噛み締められる、そんな平穏が何時までもあってほしいと願う。

p・s・昨日からイスラエルに赴かれるとのこと、今回もお土産話を楽しみにしています。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/09/14 8:56:45

お仕事中のちょっとした一休み。
その一杯が、とっても美味しそう

内田百聞(この方しか思い浮かばなかったのですが、お名前を知っているだけの人なので…茂木さんのお話の方と合っているかしら…)が食べたお酒のおつまみですが、なんだか五平餅みたいですね

そうですね。考え、手を加えると別のものに変わりますもんね。
そして…それを誰とどう食べるか

こちらのコメントを書いていて、茂木さんの食育と炎の揺らぎのお話が思い浮かびました

投稿: 奏。 | 2008/09/13 21:55:29

茂木健一郎さま

異彩を放たれている方は その認識があるのでしょうか

特異は一瞬で集約されないと異彩が普通に? 年中、異彩を放たれている方は ご自身の感覚は逆に普通でしたり。 感覚的にそう感じただけですので ただ 最初のヤクルトさんの お話で 

うまいまずいは工夫しだいで いかようにも変わる

異彩を放つ放たないも 自分しだいで いかようにも変わりますよね、

それは限られた方ではなく、誰にでも。


投稿: 町田市の高木英樹 | 2008/09/13 21:51:01

Cutest Dr. Mogi

The highlight of yesterday's lecture was...when you danced to "Every breath you take" (just kidding). In fact, you are 17 years older than me, but I thought in my mind "Boys will be boys"...isn't that true? Of course it's a compliment.

I understand your point about statistics. Average height, average weight, average income, etc...they do not make any sense when it comes to personal issues. For each individual, it's either 100% accurate or nothing. Who cares about the average longevity when a person you love or yourself are dying...I do respect science though.

It was interesting to know other people's "shivers-down-the-spine" experience. In my case, Beethoven's piano sonatas deliver the "chill", especially the "Tempest" 3rd movement promises me an enchanting mental orgasm all the time.

Please take care of yourself. Have a nice trip!

投稿: tomoko | 2008/09/13 21:07:02

横文字や公式?
は今一つ解りませんが、統計でまとめられないものは沢山ありますね、噬竹・卜占・水晶・他、これ等の占いは意識世界が軸ですし、星座や暦にまつわるものは各方位からの磁力線が人体にどの様に影響するか、それ等を纏めた統計学。

ぶっちゃけ月の満ち欠けが血流にも影響する、そんな関連事項。

ふと思ったんですが、統計を取るのにはっきりした意思表示は実数を、曖昧なものには虚数を当てはめたり出来ませんか?
単なる思い付きなのですが…‥
頭使うの苦手なのでお任せ丸投げで(^^;

物理的に物が動くにはエネルギーが必要ですが、逆にニュートリノの様な素粒子は始めからマイナス、人の中にも陽気や陰気ありますね。

と、ダメだ…‥
気力がガス欠!

明日はバイト二つ掛け持ち、体調不良につき本日これまでm(__)m

投稿: タナトス | 2008/09/13 18:29:05

茂木さん、「ヤクルト」って、本当に身体によいものですよね。私は幼稚園の頃からず~っと今日まで飲み続けていて、ヤクルト愛飲家です。
夫にもず~っと飲んでもらっています。確かブラジルでも大人気なのですね?健康飲料として、茂木さんも是非、どうぞ!(笑)それから「うまい」のパス回しの工夫?うまく回していかなければなりませんね?それには、何が必要なのでしょう?何だか、笑いがこみ上げてきてしまい
どうしてでしょう?!私ももっといろいろ頑張らなくては。茂木さんも表現者として、常に私たちのお手本でいてください。クオリア日記の茂木さんの言葉の数々、とっても美しくて好きですね。トークは?!
茂木さんの語り口調って、独特ですね。いつも音声ファイルを楽しく聴かせていただいていますが、お話の内容が面白くて何度かお聴きしていると私の耳が慣らされているのがわかります。ついこの間、ある情報が欲しくて、自分の昔のENGを観てみたのですが吹き出しそうになりました。ここにも歴史あり!って感じでした。(笑)最後に「個人の持つ力」についてですが、「異彩」を放つか・・・よくはわかりませんが、何かにつけ、取り敢えずでも一所懸命に力を注いでいればよいのではないのかな?!と思うのです。何と言ったらよいのか、例えば働く喜びを知ってしまうとどんな仕事でも楽しく出来ると思うのです。私の場合だとどこかのレストランに行って何かを教えたとして、ついでにウェイトレスのまねごとをすることもあるのですが、それも楽しいのです。自分の本業とは全く違う仕事なのですが、喜んで「いらっしゃいませ~」と言って張り切って出来るのです。なんでそこまでするの?という人もおられますが、私に垣根のようなものは無い!ですね。何をしていても楽しくて。(笑)今いる場所が自分のステージだと思えば、その役になりきって、楽しく働けるのではないのかな?!って思います。そこでキラッ!と輝くものがあればそれを見てくださっている方もまた居て、チャンスは広がるはずですから、取り敢えず一所懸命であればよい!と思います。肩書きはあくまでも自分を名乗る為だけで、私はそれにあまりぶら下がりたいとは思いません。仕事においては「何が出来るか」だけだと思います。元気に楽しく働ければそれでよい!と思います。

投稿: 茂木さんの崇拝者より | 2008/09/13 17:33:25

茂木さん、いつもたくさんの事を学ばせていただき、ありがとうございます!「個」をなくして「大数」は語れないのではと思います。本やお話を通して、茂木さんの「個」を重んじられる「あたたかさ」「ぬくもり」が、ひしひしと伝わって来ます。昨夜も、著書『脳と仮想』を読ませていただき、いろんなことを考えました。わたしも、茂木さんの様に生きたいです。小林秀雄さん、夏目漱石さんの本も、近日読みたいと考えています。

投稿: 月のひかり | 2008/09/13 17:21:59

こんにちわ

統計にも正規分布とカオスの関係ががあるのではないでしょうか?
対象がたくさんいると変わった者も多くなる。アラスカで金鉱脈を探し当てると、多くの人がやってくる。ビックリ人間を集めて、TV局が稼ぐ。通常の繁殖には不利な、毒素を細胞内から抜くポンプを持つ細菌が繁殖する。一見不利な特性を持つものが、ある環境では有利になる。

こう考えると、「私たち人間も、統計学の正規分布とカオスの間に生まれた」、と、考えられないでしょうか?(^^)

投稿: 正規分布とカオスのクオリアby片上泰助(^^) | 2008/09/13 15:55:20

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