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2008/08/31

プラ・ビィーダ

ヨミウリ・ウィークリー
2008年9月14日号

(2008年9月1日発売)

茂木健一郎  脳から始まる 第118回

プラ・ビィーダ

抜粋

 黄色いバスにゆられて移動し、アレックスの話を聞いているうちに、コスタリカの人たちの生き方に大いに共鳴するようになった。
 アレックスが言う。
 「コスタリカには、軍隊がないんだ。コスタリカ人にとっては、「陸軍」は軍隊アリで、「空軍」はハチドリで、「海軍」は亀なんだよ!」
 自然とどのように共生するかということを含め、コスタリカの人たちの選択には、文明にまみれて生きている私たちが大いに参考にすべき叡智があるように感じた。
 コスタリカ人は、自分たちの生きる上での哲学を「プラ・ビィーダ」と表現する。スペイン語で「純粋なる人生」といような意味。何がプラ・ビィーダなのか、明確な定義があるわけではない。しかし、イメージとしてはこれ以上ないくらい鮮明に伝わってくる。
 自分たちを包む自然と、調和して生きること。何が生きる上で本質かを、見きわめること。そして何よりも、やさしい笑顔があること。

全文は「ヨミウリ・ウィークリー」で。

http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/

8月 31, 2008 at 09:32 午前 | | コメント (6) | トラックバック (2)

アカタテハから学んだ

 フジテレビの湾岸スタジオにて、
『ベストハウス123』の収録。

 前回好評だった、サヴァン能力に
ついて、私がレクチャーする「脳スペシャル」
と「二時間スペシャル」の二本。

 朝倉千代子さんや、齋藤智礼さん、
冨田英男さん、笠原裕明さんなどなど、
スタッフの方々や、YOUさん、
アツシさん、リョウさん、柴田理恵さん、
荒俣宏さんなど、おなじみの方々と
いろいろ話す。

 UFO研究で有名な矢追純一
さんがいらしてプレゼンした。

 私「アダムスキー型円盤を報告した
アダムスキーですが、ぼくはあれはアダムスキー
の創造だったと思っているんですよ。
あれ以来、皆が空にアダムスキーのような
円盤を見るようになった。
その意味では、アダムスキーというのは20世紀
最大のクリエイターの一人だと思うんですよ。」

矢追さん「アダムスキー型円盤をアダムスキーが
作ったというのは、間違っているんです。」

私「えっ、そうなんですか。他の人が作ったん
ですか。」

矢追さん「そうではなくて、
アダムスキー型円盤を、アダムスキーが
作ったという考え方が間違っているんです。
あれは、本当に飛んでいたんですよ。ただ、
アダムスキーの宇宙観が、時々暴走してしまった
だけのことなんです。」

中尾彬さんが、
「宇宙人よりも人間の方が大切だよ。」
とブツブツ言っている。

 ここのところの雷は子どもの時の
ような「点」や「線」ではなく、
「面」で迫ってくるように
感じられて、
 それは、毎日夕方になると雷が
鳴っていたコスタリカの天気の様子に
似ているように感じる。

 これからの子どもは、雷
というものはカキッとしたものでは
なくて、ジワジワとピカピカ
するものだと思って
育っていくのだろうか。

 子どもの頃の「仮想」の世界の表れは、
大人になってからのそれよりもより
激烈な性質を持っていて、本当に魅せられる。
その中に引き込まれてしまうような
力を持っている。

 生まれ落ちて、「仮想」
という現象学の成り立ちに
感染してすぐだから
毒性が強かったんだなあ
とふりかえって思う。

 ものごころつくかつかないかの
時に手に入れた昆虫図鑑で、
 野原にアカタテハを初めとする
蝶が飛んでいて、
 その様子がゆかしかった。

 本当にそのような「蝶の楽園」
があると信じていて、それはあたかも
プラトン的観念のようだった。

 だから、家の近くの草むらで本当に
アカタテハを見たときには絵の世界から
それが飛び出したように感じて興奮したが、
 一方では、
焦げ茶色の裏羽を持ちふるえている
その生々しい存在が、むしろ
イデアに対する
裏切りであるようにも感じた。

 あの時私の仮想と現実は確かに
交錯していたのであった。

 今となっては、あの、野原のあちら
こちらにまるで誇示するように
羽を広げている蝶たちの彼岸の気配が
なつかしい。

 奥行きや広がりがあって、
その感触を探っているだけでも、
至福の時間を過ごすことができるように
思うのだ。

 アダムスキーは、月の裏側に行ったら
大森林があった、などと書いている。

 宇宙についていろいろと想うことは
すばらしいが、現実との脈絡を
どのようにつけるかは別問題である。

 「仮想」を現実に安易に着地
させてしまうと、かえってその
爆発的ダイナミズムを失うことを、
私は5歳の時にアカタテハから学んだように
思う。 

 矢追純一さんがUFO問題を
扱ったきっかけは、日本テレビで
「11PM」
のディレクターをしていた時、
忙しい現代人に何とかして空を見上げさせようと
思って、いろいろ探しているうちに
UFOだと思ったことだという。

8月 31, 2008 at 09:27 午前 | | コメント (8) | トラックバック (2)

2008/08/30

稲妻という現象

ソニーコンピュータサイエンス研究所にて、
脳科学研究グループの会合。

高野委未さんが初めて論文紹介をした。

PHP研究所にて、今度出た
『ひらめきの導火線』と、
9月に出る『脳を活かす仕事術』に関連した
取材。

社会の中の多様性というと、
一人ひとりの属性の多様性を
まずは思い浮かべるが、
実際にモデル化しようとすると、
単一の性質をもったユニットの
間の結合関係の多様性に帰着
せざるを得ない。

すなわち、グラフ理論的なアプローチ
となる。

実際、脳の神経細胞のネットワークに
おいても、各細胞の個性の振れ幅は
限られている。

アインシュタインをアインシュタインにし、
モーツァルトをモーツァルトにするのは
グラフ理論的結合関係である。

部分をとれば、そのどこにも
特別なことは起こっていない。
にもかかわらず、ある塊として
見ると、明らかな個性が創発
している。

世の中には突きつめれば
繰り返し単位と関係性しか
ないのだが、
そのあるひとかたまりを
私たちは属性を持った個物と
みなすのである。

通常のアプローチでは、
個物は個物として前提として
その上で結合関係を扱えば
良いが、場合によっては結合関係から
個物が創発するプロセス自体を扱わなければ
ならなくなる。

意識の問題は、そのような一般的問題群に
属する。

空を稲妻が走る。
その度に、広い領域がぴかぴかと
光る。

稲妻という現象は、関係性に付けられた
かりそめの名前に過ぎない。

私という顕れもまた。

8月 30, 2008 at 10:09 午前 | | コメント (10) | トラックバック (4)

2008/08/29

コーチは真実を伝える

コーチは真実を伝える

プロフェッショナル日記

2008年8月29日

http://kenmogi.cocolog-nifty.com/professional/ 

8月 29, 2008 at 08:02 午前 | | コメント (1) | トラックバック (1)

視点・論点 『脳と自己意識』

視点・論点
茂木健一郎 『脳と自己意識』
NHK教育 
2008年8月29日(金)
21時50分〜22時00分
(「芸術劇場」放送のため、通常より
一時間早い放送です)

番組表 

8月 29, 2008 at 07:39 午前 | | コメント (9) | トラックバック (0)

赤毛のアン

朝日カルチャーセンター講座

『赤毛のアン』

2008年9月9日(火)
18時30分〜20時30分

詳細 

8月 29, 2008 at 07:34 午前 | | コメント (8) | トラックバック (0)

ビッグ・イッシュー5周年

ビッグ・イッシュー5周年記念イベント

2008年9月7日(日)
13時30分〜
明治大学 リバティホール

茂木健一郎/香山リカ/大津和夫

http://www.bigissue.jp/news.html#london 

8月 29, 2008 at 07:31 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

フクヘン

フクヘン。展

鈴木芳雄 × 茂木健一郎

2008年8月31日 15時〜
亘/KOU

http://www.lammfromm.jp/exhibition/2008/08/post-3.html

8月 29, 2008 at 07:28 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

モモの薄皮

久しぶりに30分走った。

7時間眠った。

どうも疲れがたまっていたようで、
そうしたらモモの薄皮がはがれた
ようになってハハハハと笑うことができた。

腕立てふせと腹筋をした。

夏はあっという間に通り過ぎて、
秋の気配に、心の奥の部屋で
コマが歳差運動をしながら
くるくると立ち上がり始めた。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の収録。

水泳コーチの平井伯昌さん。

北島康介選手が小学校の時に
出会い、以来、オリンピック二種目
連続金メダルの偉業を達成するまで
二人で一緒に歩いてきた。

すばらしいお話でした!

無意識の大海に潜ること。

潜って一気に急上昇する。

その時、地上を満たす陽光は
原初のそれとなる。

8月 29, 2008 at 07:25 午前 | | コメント (10) | トラックバック (3)

2008/08/28

電車が地響きを立てて

コスタリカで、
世界地図でメキシコから下の中南米は
ほとんど「スペイン語」なのだと
気づき、そうか、スペイン語を勉強したいなあ
と想いつつ、
私の人生でおそらくそんな暇は
ないのだろうとふと想う盛夏の底の
秋の始まり。

都内の公園で『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のロケ。

いつものスタジオ部分を公園で、という
山本出ディレクターの発案。

広々とした公園を歩いていると、
ふと、熱さの中に涼やかな風の塊が
あった。


住吉美紀さんと山本出ディレクター

NHKにて、『視点・論点』の収録。
脳と自己意識。

放送は今週の金曜日の予定とのこと。


解説委員の舘野茂樹さんと。


『にっぽん 心の仏像』でご一緒した神央(じんあきら)さんと

小田原の
カネボウにて、脳の研究会。
集英社の鯉沼広行さんもいらっしゃる。

人間の脳の中で起こっていることは
外部からはブラックボックスで
見えない。
それをある程度他人に見せるのが
顔の「表情」である。

自分自身にとっても、
自分の脳の他の領域が何をやっているのか
わからない。

それをある程度見せるのが「意識」
である。

「顔」と「意識」の役割はとても
似ている。

野球場の向こうの鉄橋を、
新幹線や在来線が通り過ぎていくのを
見る。

「今、ここ」に沈潜するのが
人生というもの。

ぼくにも、電車が地響きを立てて
走る音を遠くで聴きながら
練習に没頭するような
時間がきっとある。

8月 28, 2008 at 08:28 午前 | | コメント (10) | トラックバック (2)

2008/08/27

あきらめたら、あらふしぎ。

那須の二期倶楽部で、
生物学者の福岡伸一さんと対談。

万物の流転と、普遍性の関係。

那須塩原駅でカレーライス。

東京駅へ。

ヨミウリ・ウィークリー編集部の
二居隆司さんと銀座まで歩きながら
しみじみとお話する。

NHK。

本当に久しぶりの
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

住吉美紀さん、有吉伸人さん、みなみなさま、
おなつかしゅうございました。

使っているノートブックパソコンの
トラブルで、急遽新しくもう一台
購入してデータを移す。

新幹線の中で突然電源が落ちて、
その後不安定になった。

秒で追われているときに痛いが、
仕方がない、復旧まであきらめる。

あきらめたら、あらふしぎ。

お天道様や星空がぐんと身近になった。

8月 27, 2008 at 08:39 午前 | | コメント (13) | トラックバック (3)

2008/08/26

プロフェッショナル 小池康博

プロフェッショナル 仕事の流儀

つきつめろ、そして、つきぬけろ

~ 科学者・小池康博 ~

小池康博さんは、困難に出会った時に、
基本中の基本に戻る。
そして、一から自分で考え直す。

暗闇を抜ける唯一の方法は、
自分が踏み出す一つひとつの
ステップの存在意義を問い直すこと。

これは、科学に限ったことでは
ないだろう。

NHK総合
2008年8月26日(火)22:00〜22:45

http://www.nhk.or.jp/professional/

すみきち&スタッフブログ

Nikkei BP online 記事
ブラックボックスの中に潜る
〜 科学者・小池康博 〜
(produced and written by 渡辺和博(日経BP))

8月 26, 2008 at 06:17 午前 | | コメント (9) | トラックバック (10)

『脳の中の人生』『すべては脳からはじまる』『それでも脳はたくらむ』重版

中公新書ラクレ『脳の中の人生』は増刷(14刷、累計70000部)となりました。


中公新書ラクレ『すべては脳からはじまる』は増刷(5刷、累計41000部)となりました。

中公新書ラクレ『それでも脳はたくらむ』は増刷(4刷、累計39000部)となりました。

ご愛読に感謝いたします。

中央公論新社の濱美穂さんからの
メールです。

From: 濱 美穂
To: "Ken Mogi"
Subject: 中央公論の濱です(ラクレ重版のおしらせ)
Date: Mon, 18 Aug 2008

茂木健一郎さま

ご無沙汰しております。
暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

さて、ラクレのシリーズ3冊が、
おかげさまでいずれも重版が決まりましたので、
ご連絡いたしました。

『脳の中の人生』3000部(14刷・累計70000部)
『すべては脳からはじまる』3000部(5刷・累計41000部)
『それでも脳はたくらむ』3000部(4刷・累計39000部)

早いもので、もう8月も半ばを過ぎました。
また今年も12月に、読売ウイークリー連載「脳から始まる」を
4弾目としてまとめさせていただけたら、と考えております。
お忙しいとは存じますが、改めてご相談させていただけますと幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

..........................................................................
中公新書ラクレ編集部
濱美穂 


8月 26, 2008 at 06:15 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

『感動する脳』 14刷

茂木健一郎
『感動する脳』(PHP研究所)
は増刷(14刷、累計44000部)
となりました。

ご愛読に感謝いたします。

PHP研究所 小川充さんからの
メールです。

Date: Mon, 11 Aug 2008
From: "小川 充"
To: kenmogi
Subject: 増刷ご連絡とお願い

茂木健一郎先生

「感動する脳」増刷のご連絡です。
14刷、2000部がかかりました。
累計は44000部となります。
ありがとうございます。

次に、お願いの件は、
この「感動する脳」の文庫化のお願いでございます。

現在私が責任者をしておりますPHP文庫が、
文庫創刊25周年を迎えます。
そこで25周年記念として、
PHP文庫を大きくアピールしたく思っています。

つきましては、その時の25周年記念の発刊品目に
「感動する脳」をぜひとも入れさせて頂きたく願っております。
この件、承認いただければ、まことに幸いでございます。
何卒よろしくお願い申し上げます。

PHP文庫  小川充

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8月 26, 2008 at 06:06 午前 | | コメント (1) | トラックバック (1)

『ひらめきの導火線』2刷

茂木健一郎
『ひらめきの導火線』
PHP新書
は増刷(2刷、累計6万部)となりました。

ご愛読に感謝いたします。

PHP研究所の丹所千佳さんからのメールです。

Date: Mon, 25 Aug 2008
From: "丹所 千佳"
To: kenmogi
Subject: 増刷のおしらせ[PHPたんじょ]

茂木健一郎先生

こんにちは。
まだ8月だというのに、
すっかり秋らしくなってまいりました。
内藤礼さんとの対談に行き損ねて
がっくりしている今日です。

『ひらめきの導火線』、ブログで
お知らせくださってありがとうございます。
おかげさまで、さっそく増刷のお知らせです。
2刷が大きくかかりまして、
累計60,000部となりました。

もちろん読者の方々には
全編を読んでいただきたいわけなのですが、
何をおいても、書き下ろしの終章! は
お見逃しなさいませんよう、と思う次第です。


PHP研究所 新書出版部
丹所千佳

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8月 26, 2008 at 05:59 午前 | | コメント (0) | トラックバック (1)

脳を活かす勉強法32刷

茂木健一郎
『脳を活かす勉強法』
PHP研究所
は、重版(32刷、累計65万1000部)
が決まりました。

ご愛読に感謝いたします。

PHP研究所の木南勇二さんから
のメールです。

Date: Tue, 19 Aug 2008
From: "木南 勇二"
To: kenmogi
Subject: "『脳を活かす勉強法』32刷65万1,"000部です【PHP木南】

茂木健一郎先生

いつも大変お世話になります。
『脳を活かす勉強法』は32刷5,000部が増刷となり
65万1,000部となりました。

まだまだ伸びていけるかと存じます。

また、『脳を活かす仕事術』(9/9発売)は、
初版8万部に決まりましたので
ご報告申し上げます。

引き続きブラインドスポットさんにやっていただきます。

また、9/8(月)の夜19時〜に紀伊国屋ホールにおきまして
『脳を活かす仕事術』の講演会&サイン会
をお願いできましたら幸いです。

ご帰国されたばかりで誠に恐縮ですが、ご検討のほど
何卒よろしくお願い申し上げます。

木南拝

http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?isbn=978-4-569-69679-9

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8月 26, 2008 at 05:56 午前 | | コメント (3) | トラックバック (0)

『こころと脳の対話』2刷

河合隼雄 茂木健一郎
潮出版社 
『こころと脳の対話』

は、増刷(2刷、累計12000部)となりました。
ご愛読に感謝いたします。

潮出版社の川原文敏さんからのメールです。


From: "Fumitoshi Kawahara"
To: "'Ken Mogi'"
Subject: 潮出版社・川原:『こころと脳の対話』増刷決まりました!
Date: Fri, 22 Aug 2008

茂木健一郎様

お世話になっております。
『こころと脳の対話』増刷が決まりました。
2000部(2刷)で、合計1万2000部です。
おかげさまで、ありがとうございます。

ベストセラーとまではまだいきませんが、
毎日、着実に売れています。
長く、多くの方にあたたかく大切に読んでいただける本に
なっていくような気がして、うれしく思います。

川原 文敏
(株)潮出版社 出版部

8月 26, 2008 at 05:52 午前 | | コメント (3) | トラックバック (0)

『脳とクオリア』10刷

日経サイエンス社 
『脳とクオリア』
は増刷(10刷、累計1万2500部)
となりました。

ご愛読に感謝いたします。

日経サイエンス編集部 詫摩雅子さんからの
メールです。

To: kenmogi
From: Masako TAKUMA
Subject: 『脳とクオリア』10刷・累計1万2500部です
Date: Thu, 21 Aug 2008

茂木健一郎さま

日経サイエンスの詫摩です。

昨日は対談の収録をありがとうございました。
井田先生のお話は面白かったですね。
いつも昼だけの面と夜だけの面しかない惑星。
生物がいるとしたら,インタビューか密着ルポでもしてみたいものです。

さて,お知らせをするのが遅くなってしまいましたが
『脳とクオリア』は今回の増刷で10刷。累計は1万2500部になります。

初刷が1997年だったのですね・・・。
10周年をやり損なってしまったなぁ。

日経サイエンス社 編集部
 詫摩雅子 TAKUMA Masako


8月 26, 2008 at 05:43 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

『ひらめき脳』28刷

新潮新書 『ひらめき脳』は増刷(28刷、累計133000部)
となりました。

ご愛読に感謝いたします。

新潮社の金寿煥さんからのメールです。

From: "Kim Suhan"
To: "Ken Mogi"
Subject: ひらめき脳、増刷。
Date: Wed, 20 Aug 2008

茂木様

 コスタリカからお帰りなさいませ。
 ガソリンスタンドの木の上に、
 ナマケモノがいるなんてすばらしい国。
 原油高なんてバカバカしく思えます。

 さて、「ひらめき脳」が7000部増刷いたしました。
 累計28刷、133000部となります。

 そして3月に一度の「考える人」がそろそろやって参ります。
 9月アタマごろから騒がしくするかもしれませんが、ご容赦ください。
 そろそろ目の端に入れておいていただけると幸いです。

 追伸
 南直哉師の『正法眼蔵を読む』がすばらしい! 
 至極の読書体験でございました。 

 新潮社 金寿煥


新潮社の北本壮さんからのメールです。


From: "T Kitamoto"
To: "Ken Mogi"
Subject: ひらめき脳28刷
Date: Fri, 22 Aug 2008

茂木様

ご無沙汰してます!
新潮社の北本です。
相変わらず各メディアで拝見するたびに「凄まじい
バイタリティと才能……!」とそのたびに目を奪わ
れてしまっています。
なんと言いますか……「才能とか非凡ってどういう
ことなんだろう?」ということについて、茂木さんに
は深く考えさせられます。いろいろな要素の掛け算
が、茂木さんをつくっているんだなあと……。

どうも寝惚けた文章しか書けませんが、それはとも
かく、『ひらめき脳』、28刷7,000部の増刷です!
これで累計133,000部となりました!

新潮社 北本壮

8月 26, 2008 at 05:38 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

小さな歴史

サンデー毎日

2008年9月7日号

茂木健一郎 
歴史エッセイ
『文明の星時間』

第28回 小さな歴史

一部抜粋

 マクロな「巨大な歴史」のみが語られ、一人ひとりの生活者の「マイクロヒストリー」は語られない。そのような私たちの世界観自体が、この世に多くの災厄をもたらしてきたのかもしれない。
 1945年8月9日、長崎に投下された原子爆弾の第一目標は当時8歳だった母が住んでいた小倉だった。テニアンから出発した爆撃機は、小倉上空で旋回しながら投下を試みたが、雲に覆われていて果たすことができなかった。
 そのため、爆撃機は長崎に向かった。運命の11時2分が訪れ、核爆弾ファットマンが、長崎上空で爆発した。
 「もし、小倉が雲で覆われていなかったら、原爆がぴかっと光って、私もあなたもいなかったんだろうね。」
 私が子どもの頃、母はよくそのように言っていた。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

8月 26, 2008 at 05:26 午前 | | コメント (2) | トラックバック (1)

記憶の光

(続き)
渡辺真也さんはマリーナ・アブラモヴィッチ
と知り合いで、
最新作を見せてもらった。

マリーナが骸骨を背負っている。

光が回り込んで、白くきれいに浮かび上がっている。


マリーナ・アブラモヴィッチの作品(2008)と。

「やはり、ユーゴスラビアの歴史というものを
マリーナは背負っているのでしょう」
とシンヤさん。

シンヤというと、白洲信哉とまぎらわしい
けれども、白洲信哉の方は
乱暴者のシンヤなのである。

東京都現代美術館へ。

内藤礼さんの最新作「無題」(通路)を
見る。

内藤さんが一歩どこかに踏み出す予感。

対談。小さくて気付かずに通り過ぎて
しまうようなものに「魂の拡大鏡」
で光を当てる。


東京都現代美術館で、内藤礼さんと。
(photos by Atsushi Sasaki)

東京大学駒場キャンパスへ。

「進化学会」で「意識における相互作用同時性」
のタイトルで発表する。

私の他には、池上高志、岡ノ谷一夫、
藤井直敬、郡司ペギオ幸夫、杉田祐也。

いつもの仲間と、大いに議論を
闘わす。

渋谷の街は雨。

こうして日記を書きながら
記憶の光を、ゆったりと回り込ませる。

そこには無限の表情がある。

われらのささやかな人生は、
4次元時空の中で、不動のパタンとして
存在し続けるのだ。

そして、
光を回り込ませる人もやがていなくなり。

8月 26, 2008 at 05:19 午前 | | コメント (7) | トラックバック (3)

2008/08/25

数字に頼るということは

白銀台のカンテサンスにて、
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のロケ収録。

担当したのは、山本出(いずる)ディレクター。

山本出ディレクター

シェフの岸田周三さんに、「かじきのポアレ」
のつくりかたを教わった。

岸田さんの料理のすごいところは、
数値によるレシピがないところ。

すべて、自分の感覚と官能で微調整、
追い詰めていく。

考えてみれば、数字に頼るということは、
自分の感性の教えるところに耳をふさぐ
ことに等しい。

「ただし、ケーキは別です。きっちりと
プロセスが決まっていますし、あとで調整が
できませんから。」

岸田さんのすばらしい料理哲学は、
秋放送予定の『プロフェッショナル 仕事の流儀』
レシピ・スペシャルでごらんください。

http://www.quintessence.jp/chef.html 


カンテサンスの入り口にて。岸田周三さんと。

代官山にて、渡辺真也キュレーションの
『アトミック・サンシャイン』展を見る。

http://blog.goo.ne.jp/spikyartshinya 

芸術は、衝撃を与え続けなければいけない。
そして最後は愛につながらなくてはならない。

オノ・ヨーコさんの作品に渡辺真也と二人で
すわり、「今、ここ」にあることのふしぎさを
言祝ぐ。

しんや、すばらしい展覧会おめでとう。

キュレーターの渡辺真也さんと。

(この日続く)

8月 25, 2008 at 10:23 午前 | | コメント (8) | トラックバック (2)

2008/08/24

ゲシュタルト崩壊

ヨミウリ・ウィークリー
2008年9月7日号

(2008年8月25日発売)

茂木健一郎  脳から始まる 第117回

ゲシュタルト崩壊

抜粋

 大学院の博士課程に在籍している時は、とにかくさまざまなアルバイトをやった。家庭教師や塾講師といった「定番」のものもあったが、ちょっと変わり種だったのが、模試の採点である。
 受験生の時には、自分たちが受けている模試の点は誰がつけているのかなど考えたこともなかったが、実際にはお金のない大学院生がやっているのだった。世の中というものは実に、表から見るのと裏から見るのとでは大違いである。
 模試の採点は枚数をこなすとそれなりに良いお金になるから、学生にとっては有り難かった。大学から一駅くらいの場所にある大手予備校の校舎まで、答案を取りに行く。多い時には千枚くらい持ち帰るから、分厚い封筒になる。手に提げた時のどっしりとした重さがそのまま自分の収入につながるような気がして、ちょっとほくほくした気持ちで帰途についた。


全文は「ヨミウリ・ウィークリー」でお読みください。

http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/

8月 24, 2008 at 06:17 午前 | | コメント (3) | トラックバック (2)

ひらめきの導火線

茂木健一郎
PHP新書 『ひらめきの導火線』
発売中

amazon 

<あとがき>より抜粋

 本書の第一章から第四章までは、私がお話した
内容を桑原晃弥さんと吉田宏さんがまとめて下さった。終章は私自身による書き下ろしである。トヨタ生産方式(TPS)について取材するために、トヨタ自動車株式会社の元町工場及び上郷工場を見学させていただいた。本書の企画、編集にあたっては、PHP研究所の横田紀彦さんと丹所千佳さんに大変お世話になった。また、本文中に名前が登場する方々からは、直接、間接の対話を通して多くのインスピレーションをいただいた。ここに心から感謝する。
 本が多くの方々の熱意によって出来るように、創造性もまた、情熱のリレーによって育まれる。本書を「ひらめきの導火線」のリレーに参加するきっかけとしていただけたら、望外の幸せである。


<最終章>より抜粋

 私たちがそれとは気付かずに培ってきたさまざまな思想のかたち。日本人にとってはあまりにも当たり前のことだから、かえってその本当の姿に気付かない。外の世界に「ほら、これ」と指し示すことができるようなかたちで、ものごとをみきわめることができない。
 きちんと日本人の生命哲学を掘り下げることができさえすれば、今まで日本の習慣として「負」の評価を受けていたことが、新たな光を当てられて輝き出しさえするかもしれない。
 本書では、「日本人には独創性がない」と言われてきたことについて、「トヨタ」と「ノーベル賞」の世界観を比較することで全く別の見え方ができると論じた。皆が平等に智恵を出し合い、ネットワークの結びつきを通してわかちあう。これこそが、日本人が大切にしてきた価値観であり、また洋の東西を問わず脳が創造性を発揮する際に実際に起こってきたことである。
 「トヨタ」が世界企業になる上では、「万葉集」以来の分かち合う日本の文化が大きな力を発揮した。まだまだ、日本の中には私たちが気付かないすばらしい価値が埋まっている。しかし、それらのかけがえのない原石は、村社会の中で談合していたのでは磨かれずに曇ってしまう。せっかくの種が、芽を出さずに腐ってしまう。
 今の私たちに必要なことは、私たちの思想そのものを、グローバルな行き交いの中に思い切って出して、鍛え、磨き、そして世界の人たちと分かち合うことではないか。その過程で、世界の「メジャーリーグ」のプレイヤーたちとの激突があるかもしれない。完膚無きまでの敗戦があるかもしれない。しかしそれで良い。
 「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」(空也上人)
 私たちの先人の生命哲学は、そんな事態はとっくの昔にとらえていた。私たちは、何もおそれることはない。
 日本の可能性をみきわめること。そして、それを「贈り物」として世界に差し出すこと。その勇気さえあれば、日本の未来は限りなく明るい。

8月 24, 2008 at 06:13 午前 | | コメント (4) | トラックバック (2)

裏山の人

「九州創発塾」
の日程は無事終了。

お昼過ぎ、豪雨となり、雷鳴が聞こえた。

毎日のように稲妻が走っていたコスタリカを
思い出す。

空港に向かいながら。

薩英戦争で使われた砲台跡を見る。

薩摩藩主であった島津氏の別邸
「仙巌園」。

折からの「篤姫」ブームで
たくさんの人が訪れていた。

島津本家の養女から、13代将軍
徳川家定の正室となった篤姫。

家定の死後は出家し、「天璋院」となる。

私が「天璋院」という言葉を初めて知ったのは、
小学校の時に読んだ『吾輩は猫である』
だった。

主人公の名前がない「猫」が大好きな三毛子と
交わす会話の中に出てくる。

 障子の内で御師匠さんが二絃琴を弾き出す。「宜い声でしょう」と三毛子は自慢する。「宜いようだが、吾輩にはよくわからん。全体何というものですか」「あれ? あれは何とかってものよ。御師匠さんはあれが大好きなの。……御師匠さんはあれで六十二よ。随分丈夫だわね」六十二で生きているくらいだから丈夫と云わねばなるまい。吾輩は「はあ」と返事をした。少し間が抜けたようだが別に名答も出て来なかったから仕方がない。「あれでも、もとは身分が大変好かったんだって。いつでもそうおっしゃるの」「へえ元は何だったんです」「何でも天璋院様の御祐筆の妹の御嫁に行った先きの御っかさんの甥の娘なんだって」「何ですって?」「あの天璋院様の御祐筆の妹の御嫁にいった……」「なるほど。少し待って下さい。天璋院様の妹の御祐筆の……」「あらそうじゃないの、天璋院様の御祐筆の妹の……」「よろしい分りました天璋院様のでしょう」「ええ」「御祐筆のでしょう」「そうよ」「御嫁に行った」「妹の御嫁に行ったですよ」「そうそう間違った。妹の御嫁に入った先きの」「御っかさんの甥の娘なんですとさ」「御っかさんの甥の娘なんですか」「ええ。分ったでしょう」「いいえ。何だか混雑して要領を得ないですよ。詰るところ天璋院様の何になるんですか」「あなたもよっぽど分らないのね。だから天璋院様の御祐筆の妹の御嫁に行った先きの御っかさんの甥の娘なんだって、先っきっから言ってるんじゃありませんか」「それはすっかり分っているんですがね」「それが分りさえすればいいんでしょう」「ええ」と仕方がないから降参をした。吾々は時とすると理詰の虚言を吐かねばならぬ事がある。

意味がよくわからないままに、
「天璋院様の御祐筆」という言葉の響きに
魅せられて、子ども心に強く記銘された。

桜島と錦江湾を借景するという
スケールの大きな設いの庭園を
歩きながら、「テンショウインサマノゴユウヒツ」
という言葉が繰り返し頭の中に響いてならない。

島津家の別邸というのは実にいい。
とりわけ、裏山がいい。

本物の森がそこにあって、別邸から
歩いていけるようになっている。

裏山を見上げると、自然万物の
エネルギーが自分の心の中に注入されて
くる。

これでは、日本の夜明けは近いはずである。

さらに奥へと登る道の入り口まで行って、
もう閉園の時間となる。

島津の志士たちが、この道を上って
散歩をしながら想を構え、胆力を鍛えたのだと
白昼夢を見る。

篤姫もまた時には裏山の人となったのであろう。

8月 24, 2008 at 05:58 午前 | | コメント (10) | トラックバック (4)

2008/08/23

固有の力学に従って

「桜島はここのところ
活発なので、いつ噴火するかわかりません」

その言葉に、いつ来るかと
心待ちにしていたが、
今のところ「花火の音を大きくしたような」
響きは聞こえてこない。

鹿児島の不動産は、桜島が見えるところが
値段が高いのだという。

目に見える活動はなくても、地下では
マグマが固有の力学に従って変化を
重ねている。

人もまた同じ。いかに
アンダーグランドの「パス回し」
を続けるかであろう。 

8月 23, 2008 at 03:09 午後 | | コメント (6) | トラックバック (3)

2008/08/22

アトミック・サンシャイン

渡辺真也が渾身のキュレーションで実現した
展覧会、アトミック・サンシャイン。


http://blog.goo.ne.jp/spikyartshinya 

みなさん、見にいってください!

8月 22, 2008 at 01:41 午後 | | コメント (2) | トラックバック (0)

一瞬の稲妻のうちに

講談社にて、
 棋士の矢内理絵子さんと対談する。

 矢内さんは、現在女流名人、女王の
二つのタイトルを持つ。
 
 「創造性」を発揮するという
命題を考えたときには、
 成長してもいかに「子どもらしさ」
を残すかということが課題となる。

 「子ども」の頃、「勝ち」
「負け」ということに異常なまでに
こだわった記憶を持つ人は多いだろう。
  
 大人からみれば大した意味をもたない
ゲームでも、負けると世界が崩壊したと
思うくらい悔しがる。

 あのような激烈なる感情の起伏を、
大人になってもいかに持ちうるか。

 勝つことと負けることが
天国と地獄の違いに通じる
将棋界。

 その中で闘い続ける
 「負けず嫌い」の
 矢内さんとお話して、そんな
インスピレーションを得た。

 「九州創発塾」のために
鹿児島入り。

 雷雨を伴う悪天候のために、羽田からの離陸が
一時間遅れたらしい。
 
 眠っていた私にとっては、一瞬の稲妻の
うちに飛び立ったようにしか思えなかった。

8月 22, 2008 at 07:30 午前 | | コメント (11) | トラックバック (6)

2008/08/21

存在の精緻さ

 コスタリカの雲霧林の気候は
日本のそれと近く、夏で比較すれば
むしろ涼しかった。

 それでも、植生の密度は違う。

 公園をジョギングしながら、樹木や
草を見てそう思った。

 常に湿度が100%近い空間。
 上から強烈な太陽が降り注ぐ。

 気温が同じでも、結果が全く
異なる。

 日経サイエンス編集部で、
東京工業大学の井田茂さんと対談。
 
 井田さんは、原始の地球に火星
程度の天体が衝突し、その時生じた
破片が地球の周囲で集合して「月」
ができたというジャイアント・インパクト説
の実現性をシミュレーションで検証した
ことで知られる。
 
 太陽系の外にある惑星は、
地球外生命との関連で注目されるが、
 長年にわたる探索にもかかわらず
発見されなかった。

 それは、太陽系のような惑星を
想定していたからで、
 1995年に実際に見つかった惑星は
恒星のすぐ近くを木星のような巨大惑星が
公転する「ホット・ジュピター」という
「異形」の惑星だった。

 一つ見つかると、次から次へと発見され、
近年では年間100個程度見つかっているという。

 離心率の大きな楕円軌道を描く
エキセントリック・プラネットなど、
 恒星と惑星の関係性のあり方の
多様性が明らかにされた。

 地球という一つの天体の上に、
コスタリカも日本も南極もある。

 宇宙という存在の精緻さを
思う。

 私たちを感動させるものの
背後には、常に「奇蹟」が隠れている。

 私たちの意識の中にクオリアが
あふれているということも、
物理主義的世界観から見れば一つの
「奇蹟」である。

 最初から大きな物語を目指すのでは
なく、
 一つの小さな「奇蹟」から、
始めてみたい。

 久しぶりに歩く東京の街は、
中国語や韓国語といった、
異なる言葉の響きにあふれていた。

8月 21, 2008 at 07:45 午前 | | コメント (12) | トラックバック (2)

2008/08/20

10分の1も

成田空港から、東京へ。

集英社の岸尾昌子さん、
カメラマンの中野義樹さんと
一緒に集英社近くの「ラーメン二郎」
の向かいにある「ちょうなん」で、
つけめんを食べる。

渋谷のセルリアンタワー東急ホテル。

作家の古川日出男さんと対談。

古川さんの2000枚を超える
大作『聖家族』をめぐって。

http://www.shueisha.co.jp/furukawa/ 

『聖家族』は、東北をめぐる歴史や、
特異な運命を背負った家族や、現代の
風俗や、もろもろが実験的かつ
エンターティンメント性に満ちた
多声の中に展開する傑作。

2時間しゃべっても、
論ずべきことの10分の1も語れなかった
ように気がする。

大森林を疾走す。

古川さんは野心的かつ元気な人。

私は、爆発するような元気に満ちた
人が好きだ!

『聖家族』を執筆中、100日間
編集者にも連絡をとらず閉じこもって
いたことがあるという。

街でたまたま編集者に会ってしまって、
その時は手をあげてそのまま通りすぎて、
「声をかけられないオーラが出ていたみたい
です。ははは。でも70日目くらいから
おかしくなりました。宗教の修業で100日とか
区切りがあるのは、一つの叡智ですね。」
と古川さん。

話が大いに盛り上がって、
共通の知り合いである大竹伸郎さんと、
古川さんがずっとその表現に
注目してきたという金森穣さんに電話して
しまった。

大竹さん、金森さん、突然すみませんでした。
久しぶりにお話できてうれしかったです。

つけめんを食べて、古川さんと
「金田中」ですっぽんを食べて、
なんだかおいしい日本帰国の夜だった。
さあ、元気でバリバリ働くゾ!

小説すばる編集部の伊礼春奈さんから
メールをいただいた。

From: 伊礼 春奈
To: 茂木健一郎さん
Subject: ありがとうございました! 小説すばる・伊礼

茂木健一郎様

本日はコスタリカからのご帰国早々に
古川日出男さんとの対談にお越しいただき、
ありがとうございました。

まさに茂木さんと古川さんのパッションがぶつかりあい、
爆発する瞬間に立ち会えたように思います。
素晴らしい時間でした。

お忙しいなか、本当にありがとうございました!


集英社・小説すばる編集部
伊礼春奈(いれい はるな)


古川日出男さん、小説すばる編集部の伊礼春奈さん、
小説すばる編集長の徳永真さんと。

8月 20, 2008 at 07:38 午前 | | コメント (10) | トラックバック (5)

2008/08/19

カツブシ

無事成田に到着しました。
飛行機のシートには、
ジャガー/ピューマは隠れて
いませんでした。

空港にあった「そば・うどん」
という何の変哲もないスタンドが
実に魅力的に見えました。

カーッとかつおぶしの利いたやつ。

とにかくカツブシが恋しい。

しかし、これからすぐに
都内で仕事なので、
そちらに向かいます。

太陽と空は確かに日本のそれでした。

8月 19, 2008 at 02:49 午後 | | コメント (16) | トラックバック (2)

2008/08/18

西田賢司さんのホームページ

西田さんのホームページです。

http://www.kenjinishida.net/index2.html 

8月 18, 2008 at 10:19 午後 | | コメント (0) | トラックバック (1)

西田賢司さんからのメール

西田賢司さんから、メールをいただいた。
西田さん、お世話になりました。
本当にありがとう!

From: NISHIDA 西田 KENJI 賢司
To: Ken Mogi
Subject: from Kenji Nishida
Date: Mon, 18 Aug 2008

Hola Dr. Mogi,

西田です。無事にコスタリカを立たれ、アメリカに着いたことと思います。

さて、先生のブログを拝見しておりますが、スペイン語では’V’もばびぶべぼのおとで発音しますので、例えばMonteverdeはモンテベルデ、La Selvaはラ・セルバとなります。

あと、ピューマのお話ですが、あれは確かジャガーだったと思います。子連れ母親ジャガーには出くわしたくない。。。 
ピューマは単独でも相手が小さければ襲ってきますので、できるだけ自分を大きく見せることが肝心。だからゴミ袋やリュック、厚着は効果的で、その上両手、両足を広げる。。。 でピューマさんが逃げない場合は戦う?

2008/08/13
クオリア
のチョウの写真は、シジミタテハです。その下の翅の透き通ったのは昼間飛ぶヒトリガの一種(スカシマダラに擬態)。またその下のハゴロモは、ヨコバイの一種です。

鳥になりますが、スズメのような。。。はツバメの仲間です。ナマケモノの写真Exelente!です。

2008/08/12
コスタリカのイメージ
では、ハムシ?はハムシでOKです。

ほんなら、お疲れのところ失礼します。

皆様によろしくお伝えください。

西田賢司

8月 18, 2008 at 10:14 午後 | | コメント (2) | トラックバック (0)

ショートを飲んだら

アトランタの空港に来た。

カフェラテの
ショートを飲んだら、
何だかもう日本に戻ったような
気がした。

あと一時間で飛行機が出る。
おやすみなさい。

8月 18, 2008 at 10:00 午後 | | コメント (4) | トラックバック (1)

みそラーメン

 コスタリカの首都サン・ホセから
アメリカのジョージア州アトランタへ。

 乗り継ぎの関係で、空港近くの
ホテルに一泊する。

 一つひとつ文明の階段を上って、
いつもと同じ生活圏に近づいた。

 アトランタ空港は、到着後、
出口に至るまでに再び
ターミナルをいくつか通る
レイアウトになっているため、
 荷物を受け取ったあと、アトランタで
降りる人も再びセキュリティの
チェックを受ける。

 二年前のSociety for Neuroscience meeting
で経験済みだが、今回も
大変で、着陸から空港を出るまで
二時間以上かかった。

 午後10時過ぎに
 ホテルにやっとついて、
レストランがしまっているので
 スポーツバーでビールと
ワインとステーキを食べ、
一息つく。

 日高先生もお疲れのところ、
12時近くまでお付き合い下さった。 

 もう少しすると日本行きの
飛行機に乗り、日常に戻る。

 みそラーメンが食べたいなあ。

8月 18, 2008 at 06:56 午後 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2008/08/17

鮮烈な淡さ

モンテ・ヴェルデからサンホセに戻ってきた。

すでに文明の中に包まれているという感覚を
持つ。

熱帯雨林や、雲霧林がなつかしい。

いつも雨が降り、霧に包まれ、さまざまな
生きものの気配がするあの場所。

ただ一つ良いことがあるとすれば、
ホテルに入ってすぐにせっけんで
洗った下着やくつしたが乾きやすい
ということだけだろうか。

同行してずっと撮影し続けて
下さった中野義樹さんは、昆虫写真への
関心が開花したようである。

「昆虫にも、一つひとつ表情があるんですよね。」
中野さんは言う。

中野さんが撮影した写真が、
「すばる」や『熱帯の夢』(仮題)を
飾るはずである。


昆虫を撮影する中野義樹さん

こちらで求めた
Philip J. DeVries. The Butterflies of Costa
Rica and their natural history.
Volume II: Riodinidaeは、
大好きなシジミタテハ科の解説書。

多くの種の解説に、
This butterfly is encountered as rare, solitary
indiviuals.....

と書かれている。

温帯では、同じ種の蝶が群れて
たくさん飛んでいることがよく
あるが、
熱帯では、種の数が圧倒的に多いことも
あって、
飛んでいる蝶が極端なことを言えば
すべて違う。

rare, solitary individuals

という言葉を繰り返し味わう。
そこから広がる詩的宇宙は無限である。

モンテヴェルデで、最後に
訪れたリザーヴ。

ケツァールはこの季節はいない、
と言われていたのだけれども、
最後のさいごになって、ガイドのイアンが
「ケツァール! ケツァール!」と叫んだ。

目を凝らしても、あまりにも高い場所に
いるのでわからない。

さまざまな国籍の人たちが殺到して、
ガイドがセットした望遠鏡を
のぞいている。

しばらく探ったあと、私も
見せてもらった。

いた!

その色彩の美しさに息をのむ。

ふしぎな印象であった。緑と赤の
コントラストが美しい。

ジャングルの中にはさまざまな
色彩があふれているけれども、
ケツァールの色は、そのどれとも
違っていた。

 少年の頃、ハドソンの小説
『緑の館』を夢中になって読んだ。
ジャングルの中からふしぎな少女
が現れる。

たとえばその可憐な奇跡のような、
密林の空気その
ものから析出したような気配に
満ちていた。

苦労して、やっと自分の肉眼で
確認できた時には、何かがとろけそうに
なった。

あまりにも高くにとまっていて、
木々の葉が邪魔をし、
すぐに飛び去ってしまったから、
写真には、色彩の印象として
しか定着されなかったけれども、
その鮮烈な淡さが、
今回の旅の印象として
きっといつまでも残る。

私たちが見たケツァールは、
孤独な若いオスだったのだという。



はるか頭上のケツァール。ワンチャンス。
ピントが合わず。


「鮮烈な淡さ」の印象。

8月 17, 2008 at 10:34 午後 | | コメント (9) | トラックバック (4)

『熱帯の夢』

今回の日高敏隆先生とのコスタリカへの旅行は、
集英社から書き下ろしの新書(仮題『熱帯の夢』)として出版される予定です。
その一部分は、集英社の文芸誌「すばる」
に掲載される予定です。

お楽しみに。

草稿の一部を公開します。

 低地熱帯雨林が広がるラ・セルヴァについた日。夕闇が暗くなって、そろそろ気をつけなくてはならないのかな、と思いながら、どうしても気になる小径があった。
 宿舎から、食堂に向かう道の左側に、斜めに降りながら続いていく小径。両側から茂みが覆い、まるで緑のトンネルのようになっている。トンネルの向こうに何があるのか、目を凝らして見ても、もう薄暗くなっていて見通すことができない。
 どうやら、開けた草地のようなものがあるようにも思う。今日のうちに、到着したその勢いのままに、その草地まで行ってみたいと思った。
 初めての場所はよくわからないのでどうしても警戒をする。その一方で、ある程度踏み込んでいかないとせっかく訪れた自然と一体となった感じがしない。
 小学校に上がるかあがらないかの頃、母の親戚が住んでいた北九州市朽網の山で、それまで親やおじさんおばさんと行ったことがある範囲を超えて、どこまでもどんどん踏み込んでいったことがある。
 捕虫網が、自分の背のたけよりも遙かに高かった。網の方に私が引きずられるかのごとく前進する。踏み出す足が心もとない。正直肝が少し縮み上がっていた。それでも、進まなければならないと感じていた。
 年月を経た墓地の横を抜ける細い道を行こうとすると、突然、鮮やかな色の緑のセミが空に向けて飛び抜けていった。音を一切伴わない、純粋な視覚現象であった。
 ミンミンゼミ、アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクホウシ。そのあたりにいるセミは全て見知っているつもりだったが、墓場から大空に飛び抜けたセミは、そのどれとも違っているように思えた。その輝く翡翠の軌跡が子ども心に強烈に刻印されて、四十年経った今も忘れられないでいる。
 あの時、足を踏み入れていなければ、私は翡翠の軌跡と出会っていなかったであろう。心惹かれる場所があった時には、行って見た方がよい。「明日になったら」と先延ばしにしていると、何かが失われる。一日だけ年を取る。それだけ、生命の鮮度が失われる。慣れてしまってから出会っても、恋に陥ることはできない。 
 部屋に荷物を置いてすぐに、トンネルの道に向かう。午後の時間帯に雨が降ったのだろうか。足元は悪い。泥状になってぬかるんでいる。足をとられないように気をつけて、少しずつ進んでいく。薄暗がりが気付かないほどゆっくりの速度で濃くなっていく。蛇はいないかと、注意しながら足を踏み出した。
 中程まで到達した時、開けた草地だと思っていたところの正体がわかった。それは、水の流れだった。泥の河だった。水かさが増しているのか、斜面のぎりぎりのところまで急な流れが迫っている。近づくにつれて、引き込まれるような力があった。そうか、この流れに出会うためにトンネルの道を抜けてきたのかと悟った。
 後になって食堂でテーブルを囲んでいる時に、私が見たその川にはワニが棲んでいるのだと聞いた。足下の蛇、流れの中のワニ。熱帯雨林の危険には、どこか人を魅了するところがある。蛇ににらまれたカエルは動けなくなると言う。私たちの中に、自分の生命を確実に奪うことになる危険な存在に惹き付けられてしまう破滅的な傾向がある。
 次の日の朝、森の中へと歩きながらの道すがら、西田賢司さんに、「ラ・セルヴァにピューマはいるのか」と質問すると、「いることはいるけれども、出会うことは難しい」と言う。
 「出会えたら、かなりラッキーだと思わなければなりません。ただ、ピューマはシャイなので、隠れてしまうでしょう。」
 「そうか、なかなか出会えないのですね。」
 「ただし、ピューマが子どもといる時は話が別です。子どもを守るために、向こうから襲ってきます。だから、ジャングルを歩いていて、ピューマの子どものかわいらしい鳴き声が聞こえてきたら、ああ自分の命はおしまいだと思わなければならないのです。はははは。」
 西田さんは軽やかに笑う。
 命がおしまいになってしまうのかもしれないが、ピューマの子どもの、鈴を鳴らすようなかわいらしい声を聞いてみたいと思った。
 その時、心は極度に緊張し、その底に甘美な感触を探りあてるのだろう。
 やはり、人の心の中には破滅に見せられる傾向がある。「熱帯の夢」の中には、あらかじめ死への衝動(タナトス)が織り込まれているのだろうか。

8月 17, 2008 at 09:47 午前 | | コメント (7) | トラックバック (3)

みどりとひかりのたわむれ

みどりとひかりがたわむれる
その様子がとてもうつくしく。

8月 17, 2008 at 03:24 午前 | | コメント (14) | トラックバック (3)

2008/08/16

空気のようなもの

 今回のコスタリカ旅行は、
生態学者や昆虫学者が研究のために
滞在する施設を泊まり歩いている。

 ラ・セルヴァでも、昆虫学の
研究館があったし、今滞在している
モンテヴェルデにも、立派な
研究設備がある。

 ハーバードやMITといった
アメリカの大学の学生たちも
滞在して研究していく。

 そのようなところに滞在する
メリットの一つは、虫好き特有の
変な行動をしても、誰も不審がらない
ということである。
 いわば、空気のようなもの。
 放っておかれる。それが良い。

 ラ・セルヴァでも、モンテ・ヴェルデ
でも、西田賢司さん、桜井一彦さんが
タッグを組んで「集虫灯」をしかけて
いたが、そのようなことをしても、
誰も何とも思わない。

 私と日高敏隆先生は、今回、西田
さんの「共同研究者」として、コスタリカ政府
から正式の「調査許可」をもらっている。

 おかげで、熱帯雨林や雲霧林の
生態系について、随分いろいろな
ことを考える機会を得た。

 至福というのは、このような時間の
ことを言うのであろう。


西田さんの許可証に添えられた、私と
日高敏隆先生の写真。


集虫灯にあつまった虫たちを調べる桜井一彦さん


ヘッドライトをつけて夜の探索にでかける桜井さん


吸虫菅を扱う日高敏隆先生


突然「虫こぶ」を熱心に調べ出す西田賢司さん。
(不審者ではありません)

8月 16, 2008 at 09:12 午後 | | コメント (7) | トラックバック (2)

2008/08/15

樹冠を伸ばしていく

このところ、海外に出るといっても
せいぜい4泊6日。
2泊4日などは当たり前で、
今回のコスタリカの11日の旅程
は最後にそうだったのがいつくらいだったか
思い出せないほど久しぶりである。

いつもの感じだと、そろそろ日本に
帰っている頃であろう。

そのしきい値を超えたせいかもしれない。

長く外に出ている時に見られる一つの徴候が
現れた。
日本の夢を見た。

その中で私は忙しく立ち働いていて、
一つの仕事が終わって、
タクシーを拾って次の現場に行こうと
するのだが、なかなかタクシーが
捕まらない。

奇妙なディテールに満ちた長い
夢だった。

目覚めて、全体として
クレイジーだなあと思った。

日本における私の日常は、
どう考えても狂っている。

文明全体が一つの狂気の
中にある。
しかし、それに付き合うという
ことが現代人にとって「生きる」
ということである。

森の中を歩いていると、ふと
した瞬間に自分の内面に帰る。

先に山中温泉を訪れた時に得た
大切なインスピレーションが
自分の中で育ちつつある。

グローバリズムの中で、
人々と行き交い、
世界に広く発信し、
できるだけ大きなプラットフォームの
中で表現することを目指すこと。

その一方で、仕事の価値の基準は、
あくまでも自分の内なるクオリアに
寄り添うこと。

「私」の内部にもまた、さまざまな生物
たちが密接なネットワークをつくり出す
一つの熱帯雨林があり、
その木々たちが天上からの光を
求めて樹冠を伸ばしていくその
精神運動のうちに、
私の内的発展はなければならない。

グローバリズムの中で、他律的な
価値観を安易に取り入れることは、
ブルドーザーで固有の生態系を
根絶やしにすることに等しい。

8月 15, 2008 at 10:12 午後 | | コメント (13) | トラックバック (4)

探検昆虫学者

今回の旅には、日高敏隆先生に加えて、
成城大学の桜井一彦さん、
それに
コスタリカ国立大学で昆虫学を研究する
西田賢司さんの二人の昆虫専門家が
同行している。

桜井一彦さんは「オトシブミ」の
専門家で、著書に
『オトシブミ観察事典』 
がある。

ラ・セルヴァ生物学ステーションの
自分の部屋の前で、桜井さんは自作の
装置の中にオトシブミを入れ、
虫が葉を切り、巻く様子を
観察していた。


オトシブミを観察する桜井一彦さん

西田賢司さんは「探検昆虫学者」
を名乗る。
「ぼくの先輩で一人、探検昆虫学者
という名にふさわしい人がいたのですが、
引退したので、ぼくが後を継いだ
んですよ。」
と西田さん。

西田さんは新種の蝶や蛾を発見して
記載したり、昆虫とカタツムリの
共生関係を世界で初めて報告するなど、
コスタリカ国立大学を足場に
活躍されている。


探検昆虫学者、西田賢司さん

子どもの頃から著書を愛読してきた
動物行動学の碩学、日高敏隆先生と
一緒にコスタリカに来ることができるのは、
すばらしい経験。

日高先生の自然に向き合う姿勢から
多くのことを学ばせていただいている。

路傍のガソリンスタンドにて、日高敏隆先生と。
(撮影 中野義樹)


雲霧林の探検を前に、日高敏隆先生と。
(撮影 中野義樹)

8月 15, 2008 at 10:35 午前 | | コメント (12) | トラックバック (1)

ストロベリー

 熱帯雨林の自然をたっぷりと観察したラ・セルヴァに別れを告げて、活火山であるアレナル山のあるフォルトゥナに向かう。
 アレックスの運転する黄色いバスが道を行くにつれて標高が上がる。結果として気温が下がってくる。赤道直下ながら、温帯と似た環境に発展する雲霧林。それでも、日本の対応する生態系に比べて生物の数は多いように思われる。
 途中、激しい勢いで水の落ちる滝のある場所を通る。「ほら、見てごらん。前は木の橋がかかっていたんだけれども、10年くらい前に大きなトラックが通って、橋と一緒に落ちたんだ。」とアレックスが教えてくれる。
 川の下をのぞき込んでいると、アレックスが、「今でも木の橋の残骸を見ることができるだろう」と後ろから声をかけた。
 ラ・セルヴァで見た低地熱帯雨林のように、「生物多様性」の密度の高い場所が、地域の生命を育む「コア」のような役割を果たすのだろうか。局所的に見れば日本の森林と同じ環境でも、生物多様性がより高いような印象がある。
 モルフォチョウやドクチョウ、シジミタテハなど、コスタリカ特有の蝶の標本をお土産として売る露天の上を、件のモルフォチョウがひらひらと飛んでいった。
 昼食は、さくらトラベルの下村昌也さんがアレンジして下さったレストランでとった。
 ラ・セルヴァと同じコスタリカにあるとは思えない、高原のような気候と景観。緑の牧場が広がる中を、道が大きくカーブするちょうどその場所にそのレストランはあった。
 レストランの外に出てみると、不思議な光景に出くわした。高原の向こうの方は激しく雨が降っているのが見えるのに、自分が立っているところはぽつりぽつりとしか降っていない。
 はて面妖な、と空を見上げると、びっしりと厚い雲に覆われている。やはり、と思っているうちにざーっと雨が降ってきた。
 みるみるうちにたたき付けるような激雨となった。天の底が抜けたように大量の水が落ちてくる。屋根に当たる音で、注文のやりとりも聞こえないほどである。
 大声を張り上げて、セットメニューをポーク、ビーフ、チキンの中から選ぶ。日高先生はビーフ、私はチキンにした。
 ジュースは、パパイヤ、ストロベリー、パイナップルの中から選べという。
 「パパイヤはやめておいた方がいいです。」  
 すかさず、西田賢司さんが言う。これまでの経験で、この人の言うことは信頼しておいて良いとわかっていたので、素直に従った。
 日高先生も、「パパイヤ!」と一度言いかけてから「ストロベリー」を選びなおす。
 莓ジュースは新鮮でおいしかった。
 食事も美味である。
 「イチゴはこのあたりでとれるんでね。さくらトラベルのマサヤは、何ごとにもパーフェクトを求めるんだよ。」
 レストランのオーナーが満面の笑みを浮かべて言った。

8月 15, 2008 at 05:58 午前 | | コメント (9) | トラックバック (1)

2008/08/13

クオリア

熱帯雨林には独特のクオリアがある。
一つひとつはもちろん、全体として
奏でている基調低音がある。

さざめいている。
うごめいている。
きらめき、ざわざわと音を立てて、
そして心の奥底に届く。

一生懸命思い出そうとしている。
生まれたその瞬間からずっと内側に
あるもの。

ありとあらゆるものに心を
向ける。
包まれる。
あちらにもこちらにも
そして自分の内側にも。

多様性の背後には、普遍性がある。
開かれていくその感覚を信じる。


トラップのライトに集まった昆虫たち


シジミチョウ。足に毛が生えている。


美しいセセリチョウ。


ビワハゴロモが集団で樹皮に止まる。


ドクチョウの一種

幹から直接実がなる。


いのししが走る。


ハゴロモに雨がかかり、水滴が光る。


ハチの巣。


オオハシを発見。


サギ。


木の上でコウモリが一列に並んでいた。


スズメような鳥がたくさん止まっていた。


「鵜」のような鳥を発見


亀が顔を出す。


カワウソの迫力のある顔。


川岸にペアでいた鳥。


ワニ発見!

8月 13, 2008 at 11:50 午前 | | コメント (27) | トラックバック (6)

2008/08/12

コスタリカのイメージ

コスタリカのイメージ


トンネルを抜けた場所で見つけたハムシ?


ハムシ? 飛ぶ。


ハチドリ。


熱帯雨林の樹幹に豊かな生態系。


コンドルが上空を舞う。


ガソリンスタンドの近くの木のてっぺん近くに
ナマケモノがいた。


バッタ。La Selva Biological Stationにて。


木陰に咲く花。La Selva Biological Stationにて。


蝶。La Selva Biological Stationにて。


ハキリアリ。La Selva Biological Stationにて。

8月 12, 2008 at 07:17 午前 | | コメント (17) | トラックバック (4)

ハキリアリ

 ハキリアリの行列を見つけた!
 どこまでも続いている。追いかけると、
川の方に至った。
 
 川にはワニがいるそうだ。

 夜になって、最後に午前1時くらいに
なっても、ハキリアリたちは
葉を運んでいた。

 ところが、朝になって見ると、
同じところに行列はあったが、
もう葉を運んでいないのだ。
 
 植物から切った葉が、尽きた
のだろうか。

 ジャングルの夜はさまざまな音がする。
シンフォニー空間では、万物が
共演せざるを得ない。

8月 12, 2008 at 04:02 午前 | | コメント (8) | トラックバック (4)

2008/08/10

アトランタでのトランジット。

入国審査の係員が中国人で、
練習のつもりか、
最初は日本語で話しかけてきて
いたのだけれども、
そのうち英語で「昨日の開会式を
見たか」「ああ、そうか、東京で
見たのか」「ほとんどリアルタイムだな」
「東京と北京は、そんなに時差がないだろう」
「いやあ、すごかったなあ」
と次々と畳みかける。

誇りなのだろう。うれしいのだろう。

ゲートの近くの
モールでサミュエル・アダムズを飲む。
アメリカに来たなあ、という気がしてきた。

8月 10, 2008 at 05:58 午前 | | コメント (11) | トラックバック (7)

2008/08/09

コスタリカ

本日より8月19日(火)夕刻まで
日高敏隆先生とコスタリカに
行くため、留守にいたします。

この間、できるだけメールは読む予定
ですが、現地のネット環境が定かでは
ないので、いつもより反応が遅くなるかも
しれません。ご了承ください。

茂木健一郎拝

8月 9, 2008 at 12:40 午後 | | コメント (9) | トラックバック (1)

アウトフィッティング

どこかに旅立つ前は、
カウントダウンのように、
その前に何をしなくては、
あれをしなくてはと慌ただしくなる。

ふだん無限の時間があると
思っている方が、むしろふしぎだ。

 ソニーコンピュータサイエンス研究所にて、
脳研究グループのゼミ。

加藤未希さんがcueを用いて
attentional stateを制御した
ときのprimingの効果について
review.

Priming自体は無意識のプロセスだが、
時間という制御可能なパラメータを
用いてオン/オフできる
システムを構築したところが
面白い。

続いて戸嶋真弓さんが
非言語的なstory tellingにおいては、
どの地域の人間でも
言語由来のSVO SOVといった
構造とは無関係に
同じ順序でpresentationを
行うという研究を紹介。

相手に対して話す、といった
communicativeなcontextでは
ないかたちで状況を設定している
ところにポイントがある。

花野剛一さんが、靴や靴下や
雨具やその他もろもろを持って
やってきた。

袋一杯。
「茂木さんへの愛ですよ。」

お蔭で、ぼんやりしているうちに
アウトフィッティングができた。
ありがとう、花野さん。
やさしい人です。

フジテレビの朝倉千代子さん、
ダイナミック・リボリューション・カンパニーの
冨田英男さん、笠原裕明さんがいらっしゃる。

花野さん、朝倉さん、冨田さん、笠原さんを
交えて、五反田の「あさり」で研究室の
メンバーと懇談。

さて、君たち、一つ暴れてやろうではないですか。

明けて今朝、カウントダウンに追われて
必死に手足を動かすも、
果たしてすべてはつながっている
のかしらと思う。

セミよ、トンボよ、
すべての生きとし生けるものよ。
君たちもまた、カウントダウンしているのだね。

8月 9, 2008 at 12:28 午後 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2008/08/08

恥じらい

 札幌。
 武部勤さんの勉強会でお話させて
いただく。

 北海道は、東京と変わらないくらい
暑かったが、
 夜になるとぐっとひんやりして、
まるで季節を先取りしているかのよう
だった。

 東京に戻る。

 ソニーコンピュータサイエンス研究所にて、
三笠書房の能井聡子さんにお目にかかる。

 赤坂で、椎名誠さんと対談。
 大場葉子さんのアレンジ。
 「恋愛」について大いに語る
趣向だったが、話は脱線して
「恥じらいのある狂気」についての
本格バトル・ロワイアルとなって
いった。
 
 椎名誠さんの『哀愁の町に霧が降るのだ』
は最初は編集者との「書け」「まだ書けません」
といったやりとりなど、
うねうねぐねぐね別のことが書かれていて
なかなか「本編」が始まらない。

 たまには、そんな対談があっても
良いのではないかと思った。

 椎名さんは裸足、下駄でやってきたが、
足の裏のぎりぎりの線までこんがりと
焼けていた。
 
 「恥じらい」の話。

 椎名さんは、「スポットライトの
当たるところにいるのが苦手なんですよ」
と言う。

 友人が賞を受けて、そのパーティーでも、
「ぜひ行ってあげたいと思うから」行くけれども、
遅れていって、15分くらい会場にいて、
隅の方でおめでとう、と言って、
それで帰ってしまうのだと椎名さん。

 「だから、椎名が来た、来ないの二つの
説が生まれることになるんだよなあ。ははは。」

 何かについて恥じらうということは、
それだけ、大きな器をもっていて
あふれそうになっているということだと
思う。

 椎名さんは、大盛りの稲庭うどんを
注文して、それでも「これで俺たちに
とっては小盛りだ」と言いながら
わっしわっしと食べ、さっと風のように
帰っていった。

8月 8, 2008 at 07:26 午前 | | コメント (11) | トラックバック (4)

2008/08/06

冥利

次から次へと仕事に
追いかけられているが、
数日前から心の中では反撃の狼煙が
上がっていて、虎視眈々と
機会をうかがっている。

水脈の在処を探りあてると、
ひんやりといい気持ちがする。

地球はぐるぐる凄いスピードで
回っているんだなあ。

いやあ、宇宙というのは実に
一つの神秘じゃないかね、君!

ウィスキーに落とした氷一つから、
万物を説き起こすことが
できるんだぜ。

春風亭昇太さんにお目にかかる。

二つ目から「昇太」の名前で出ているという
師匠を、私は高座で何回も拝見したことがある。

『笑点』に出るようになって、
街を歩いていても反応が一段と変わったという。

「化ける」ということがどういうことか、
昇太さんは、「本人に自信がつくことでしょう」
と言われる。

ある時、たまたまどこかで受けて、
それが自信となって、お客さんにも
伝わる。

昇太さんの高座は爆笑に包まれるが、
いちばんすごい時は、客席を指揮しているような
気分になるという。

「お前らここで笑え、1、2、3,はい!」
みたいにどっと湧く。
このところ寄席に行くことができないで
いるが、久しぶりに訪れたくなった。

神田の学士会館で、
三省堂主催の「脳を活かす勉強法」
についての講演会。

子どもたちとやりとりしながら、
脳の潜在能力を活かすにはどうすれば
良いのか、熱弁する。

テレビ朝日の
「ワイド! スクランブル」の
取材で、映画監督の山本晋也さん
がいらした。

青山のソニーミュージックで、
竹村真一さん、枝廣淳子さんと
鼎談。

竹村さんの環境問題についての
お考えを興味深くうかがう。

枝廣淳子さんとは東京学芸大学附属高校の
同窓。

地球スケールでものを考えることが、
ごく当たり前の時代になった。

言い尽くされたことだが、
宇宙から見れば国境線など引かれていない。

京都についての原稿を和樂の
渡辺倫明さんに送ったら、お返事を
いただいた。

思いを読み取ってもらった時が、
いちばんうれしい。
渡辺さんが読むと思って、
一生懸命書いたのである。

From: 渡辺倫明
To: "'Ken Mogi'"
Subject: 原稿有難うございます。
Date: Tue, 5 Aug 2008

茂木様

原稿拝読させていただきました。

ほんとうに有難いことであると、実感いたしました。
まさに、編集者冥利につきる原稿である……と。

自分の中である程度想定した方向性の原稿で
ありながら、想像を超えた内容でありました。
クオリアの連載時とはまた違った
感銘を受けました次第。

暑さが和らいだら、ぜひとも連載の件も
ふくめて打ち上げをさせてくださいませ!

「和樂」渡辺 拝

8月 6, 2008 at 07:50 午前 | | コメント (16) | トラックバック (5)

2008/08/05

プロフェッショナル 宮崎駿のすべて

プロフェッショナル 仕事の流儀

宮崎駿のすべて
~ 「ポニョ」密着300日 ~

新作『崖の上のポニョ』が
大ヒット中の宮崎駿監督の
創造の秘密に迫るスペシャル版。

荒川格ディレクターが2年間にわたり
密着取材した、迫真のドキュメント。

私と住吉美紀さんが、宮崎監督を
スタジオジブリに訪ねて
たっぷりと話を聞きました。

ゼッタイに見逃せません!

NHK総合
2008年8月5日(火)22:00〜23:28(88分拡大版!)

http://www.nhk.or.jp/professional/

すみきち&スタッフブログ

Nikkei BP online 記事
自分の仕事に身を捧げ尽くす
宮崎駿のすべて 〜「ポニョ」密着300日〜
(produced and written by 渡辺和博(日経BP))

8月 5, 2008 at 08:07 午前 | | コメント (14) | トラックバック (9)

東大入試中止

サンデー毎日

2008年8月17日号

茂木健一郎 
歴史エッセイ
『文明の星時間』

第25回 東大入試中止

一部抜粋

 私たちの小学校の校歌は、「校庭の木々はみどりに風青くすぎゆくところ」と歌い出し、「小学生われら、ここに学ぶ」と終わる。二番、三番も「小学生われら」という歌詞が繰り返されるので、印象に強く残っていた。
 私と一緒にいたのは、一学年先輩の二年生だった。一緒に草野球などをする仲間だった。突然、先輩が、「こう〜ていの〜」と歌い始めた。「なぜいま校歌なのか」と戸惑っていると、「小学生われら」のところにきて、にやっと笑った。
 「小学生われら、ここにゼンガクレン!」
 「ゼンガクレン!」先輩のその言葉を聞いて、なぜか心が震えた。「ゼンガクレン!」その響きに「ジンコウエイセイ」と同じようなインパクトがあり、心に突き刺さるものに感じたのである。

全文は「サンデー毎日」でお読みください。

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

8月 5, 2008 at 08:00 午前 | | コメント (3) | トラックバック (0)

シンガポールに見た「マッシュアップ」という方法

ヨミウリ・ウィークリー
2008年8月17ー24日号

(2008年8月4日発売)

茂木健一郎  脳から始まる 第115回

シンガポールに見た「マッシュアップ」という方法

抜粋
 シンガポールは、もとともマレー系住民が住んでいた土地に中国系住民が流入して出来上がった国。英国の植民地支配も長く、それがまるでさまざまなものを「混ぜ合わせた」ような国のあり方につながっている。
 インターネットの世界で、「マッシュアップ」という言葉がある。さまざまなウェブページの情報、それを支える技術をまぜこぜにして新しいウェブページやサービスをつくり出してしまうこと。シンガポールの繁栄は、まさに「マッシュアップ」の強みを象徴しているように思う。

全文は「ヨミウリ・ウィークリー」で。

http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/

8月 5, 2008 at 07:57 午前 | | コメント (1) | トラックバック (1)

関根崇泰 + 茂木健一郎 「合理性」 再考


現代思想 2008年8月号
特集「ゲーム理論」

関根崇泰 + 茂木健一郎 
「合理性」 再考
 ゲーム実験はゲーム理論の経験的妥当性の検証に使えるか?

関根崇泰クン渾身の「青年の主張」です!

詳細 

amazon 

8月 5, 2008 at 07:51 午前 | | コメント (0) | トラックバック (2)

人間らしく

京都から名古屋で途中下車して、
VOICE掲載の対談のため、
山田日登志さんにお目にかかる。

工場の生産効率化において
抜群の実績を誇る山田さん。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
第84回に登場下さった。

http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/080415/index.html 


再会して改めて想う。人の内面は顔に出る。
まるで、太陽そのもので出来ているかの
ように明るく輝く山田さんの表情。

人に元気を与える人は光っている。

青山にて、東京国税局が学校の先生を
対象に行う研修会でお話する。

財務省の刀禰俊哉さんと、将棋の話題で
盛り上がる。

とても楽しかった。

移動で歩いていると、都会のど真ん中で
大きなねずみを見る。

ちょろちょろと恥ずかしそうに
動くそいつは、
何だかとても人間らしく
感じられた。

8月 5, 2008 at 07:46 午前 | | コメント (7) | トラックバック (3)

2008/08/04

一つの基準として立てる

 ソニー広報の滝沢富美夫さんの
友人の鹿野雄一さんのアレンジで、
 山中漆器の職人さんたちの
お仕事ぶりを拝見する。

 木工芸で人間国宝の川北良造さんを
はじめ、卓越した技を持つ方々
とお話しして、とても勉強になった。

 宿泊でお世話になったのは「日本一の朝食」
で有名なかよう亭。

 裏山の緑が露天風呂からも
すぐそこに見渡せ、生命の気配から
たくさんのものを受け取った。

 「かよう亭」の部屋から
 「ケータイ大喜利!」に挑戦するが、
あえなく撃沈。

 3つのお題で41万件の投稿という
壁は厚かった。

 鹿野雄一さんが副住職を務められる
医王寺でお話する。

 「本堂」での講演は初めて。
 どこか、「法話」をしている気分になる。

 特別な計らいで、「流しそうめん」
をして下さった。
 滝から直接水をとるという
ぜいたくな設い。

 水の中をそうめんがふしぎな生きもの
のように走り抜ける。

(photos by Tomio Takizawa)

 楽しかった山中温泉を離れて
京都へ。

 京都造形芸術大学のオープンキャンパスにて、
秋元康さん、和田秀樹さん、林真理子さんと
ディスカッションする。

松尾貴志さん、滝沢富美男さん、海豪うるる
さんも加わって、秋元さんお薦めの
見せ「ますだ」へ。
銀座「グレ」の山口さゆりさんも。

すばらしい味だった。
秋元さん、ありがとうございました。

グローバリズムの中、
世界的な視野に立ってその偶有性に
身を投じることは必要だが、
一方で、とりあえずローカルな
コミュニティにおいてあこがれと価値の
体系を作り、その中で切磋琢磨することも
またかけがえがない。

加賀百万石の頃は、
江戸に「徳川」の殿様がいても、
「前田」の殿様の方が大切だった。

ローカルなプライドの
体系があってこそ、漆器や
蒔絵は発達した。

何でもすぐにニューヨークや
東京と比べればいいというものではない。

そして、それは畢竟、
「自分」というものを一つの
基準として立てるということにも
つながる。

世間など関係なく、自らの
心がどれくらい動いているか。
厳しく脈動しているか。

朝のコーヒー一杯に
静寂を測る。

8月 4, 2008 at 08:06 午前 | | コメント (10) | トラックバック (7)

2008/08/03

京都造形芸術大学オープンキャンパス

京都造形芸術大学オープンキャンパス

茂木健一郎×和田秀樹×サプライズゲスト×秋元康

2008年8月3日(日) 16時30分~18時30分
詳細 

8月 3, 2008 at 08:28 午前 | | コメント (7) | トラックバック (2)

『山中温泉』と『山中漆器』

『山中温泉』と『山中漆器』
山中温泉 国分山 医王寺(石川県加賀市山中温泉薬師町リ-1)

2008年8月3日(日) 10時〜

詳細 

8月 3, 2008 at 08:23 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008/08/02

ケータイ大喜利

着信御礼
ケータイ大喜利!

2008年8月2日(土)深夜0時10分〜
NHK総合

箭内道彦さんと私が、携帯による
大喜利投稿に挑戦いたします。

http://www.nhk.or.jp/o-giri/ 

8月 2, 2008 at 06:09 午後 | | コメント (6) | トラックバック (0)

検索deゴー とっておき世界遺産

検索deゴー とっておき世界遺産

2008年8月2日(土)19時30分〜20時45分

NHK総合

http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/ 


番組表 

8月 2, 2008 at 06:08 午後 | | コメント (3) | トラックバック (0)

「詩」のモード

飲み会の時などに、
ときどき「疲れたのですか」
と聞かれることがあるけれども、
そのような時は「詩」のモードに
なっていることが多い。

 「散文」のモードが
元気に見えるのだろう。

 いついつまでにこれを
やらなくてはならない、終わらせなくては
ならない、ここに行かなくてはならない。

 それが散文というものだ。

 無意識の中の脈打つ軟体動物と
対話を始めると、個別化の原理に
基づく世界の気配は消え始める。

ソニーコンピュータサイエンス研究所

脳科学研究グループの会合。

関根崇泰、柳川透と議論。

高川華瑠奈、関根崇泰が
論文紹介。

ハーバード・ビジネス・レビュー日本版の
取材。

朝日カルチャーセンター。

Journal of Neuroscienceの
論文を読み、ワグナーの『ワルキューレ』 
を見る。

そして、『赤毛のアン』という作品について
論ずる。

「詩」のモードになったのは、
アサカルが終わった後だった。

8月 2, 2008 at 08:46 午前 | | コメント (12) | トラックバック (2)

2008/08/01

朝日カルチャーセンター ー脳と音楽 08ー

朝日カルチャーセンター
「脳とこころを考える」
ー脳と音楽 08ー
第二回

2008年8月1日(金)
18時30分〜20時30分
東京新宿朝日カルチャーセンター

http://www.asahiculture-shinjuku.com/LES/detail.asp?CNO=28748&userflg=0 

8月 1, 2008 at 06:52 午前 | | コメント (5) | トラックバック (1)

『すべては音楽から生まれる』22刷

PHP新書
茂木健一郎 『すべては音楽から生まれる』
は増刷(22刷、累計15万6000部)
が決定しました。

ご愛読に感謝いたします。

PHP研究所の丹所千佳さんからの
メールです。

From: "丹所 千佳"
To: : "茂木健一郎"
Subject: 増刷の件


茂木健一郎先生

『すべては音楽から生まれる』は、
おかげさまで22刷を重ね、
累計156000部となりました。
ありがとうございます。

ある意味で高飛車な本がれほど売れるのはすごい!
というようなことを以前おっしゃっていたと記憶しています。
茂木先生のいわんとされること、
「高飛車」という表現の指すところのものは
(たぶん)わか(ってい)る(つもりである)一方で、
あの本はむしろ読者に「寄り添う」もののような気もいたします。
読んでくださった方々の反応をうかがっていると、そう思われました。

PHP研究所 新書出版部
丹所千佳

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8月 1, 2008 at 06:52 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

泉から流れ出る水

高校の頃、人生に絶対の
目的など理論化できないと
思い定め、
だからこそニーチェの「舞踏」
(Tanzen)の概念が自分の
座右の銘となった。

今になって、より実際的な
見地からふりかえれば、
とにかく「元気」であること
が大事だということ。

四の五の言わずに、
何かをしていれば、巡り会える
気付く、開ける。

講談社の西川浩史さん、それにライターの
三浦愛美さん、石井綾子さん相手に
『赤毛のアン』についてしゃべること
三回目。

作品の最後までたどり着き、
小学校5年生の時に出会った
この小説の「本当の姿」がはっきりと
見えた時には驚いた。

ああこれが、というようにくっきりと
わかる。

掘り起こされた彫像に、しばし
手を休め見とれる。

『赤毛のアン』のことを考えている
場合じゃないよ、と昨今の忙殺に
負けていたら、この姿は見ることが
できなかったなあ。

万事そう。とにかく、ガタガタ
言わないでやれ!

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の収録。

プラスティックの光ファイバーの
研究で世界的に著名な慶應大学の
小池康博さん。

1910年に出版されたアインシュタインの
光学に関する論文に導かれて、
14年の苦闘の末ついにブレイクスルーに
至った小池さん。

そこにどんな困難があっても、どれほど
無理に見えても、とにかく「元気」
にやっていくのが良い。

「元気」という泉から流れ出る
水のうちに、さまざまな生きものが
暮らすようになる。

意味など問わなくていい。
ただ、踊り続けることで、
精神の生態系は充ちていく。

8月 1, 2008 at 06:47 午前 | | コメント (20) | トラックバック (4)