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2008/07/01

エグゼクティヴ・セクレタリ

朝、ホテルニューオータニ佐賀の窓から
佐賀城のお堀の緑を
見ていると、
そのたたずまいに、
この世の中にさまざまなものが
並列的に存在することの安らぎと
救いを想う。

お前の闘うその文脈と
まったく関係なしに、ひそやかに咲く
スミレの花はあるのだ。

「それいゆ」のメンバーの方々と
ご一緒に、服巻智子さんと
自閉症をめぐるさまざまな問題
についてお話しする。

Autistic Spectrum Disorders (ASD)には
さまざまな現れ方があって、
それにかかると思われる
人はたくさんいる。

対人関係について話している
時に、executive secretaryという
概念があるのだと
服巻さんに教わった。

自分の領域に侵入されるのを
嫌がる一方で、子どもの頃の
母親のように、「この人にならば」と
認めた人に対しては、
その人がコントロールすることを
認める。

それで、畏友、田森佳秀
(金沢工業大学)のことを
思い出した。

田森は、「薔薇の折り紙は
何回折るの?」と聞くと、
山手線の二駅分黙ってから、
「82回」と答えたり、
毎年の年賀状で
123456789の間に
適当な四則演算記号を入れて
年号をつくったり、
夕方、計算が終わったらカレーを
食べに行こうと楽しみにして
机に向かい、やっと終わったと
下宿のドアを開けたらさわやかな
風が吹いていてスズメがチュンチュン
鳴いていて実は朝になっていたり、
変わった男である。

その田森は、人の数より牛の数の
方が多い北海道の豊頃町の出身。
子どもの頃、近くに捨てられている
テレビを拾ってきては、分解して、
その中に入っているトランジスタなどを
分類して大切に箱にしまっておいた。

その「宝物」を、結婚する時に
奥さんに全部「これゴミじゃない」
と捨てられてしまったのだが、
それこそが、服巻さんの言う
エグゼクティヴ・セクレタリ
ということらしい。

服巻智子さんと、とても有意義な
議論ができました。

また、それいゆの皆様、
ありがとうございました。

またお目にかかることを楽しみに!

東京に戻る。

NHKで『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

お土産の「博多の女」を持って
プロフェッショナル班を訪れると、
須藤祐理ディレクターがたくさんの
食べものに囲まれて幸せそうにしていた。


幸せの原風景。須藤祐理さん(すどちん)

荒川格ディレクターの担当で、
宮崎駿さんの回。

近日公開される『崖の上のポニョ』の
制作の過程を通して、希代のクリエーターの
素顔に迫ります。

宮崎さんという人の深さ、大きさが
荒川さんの迫真の取材から伝わってきます。

乞うご期待!


取材VTRを前にコメントを読み上げる荒川格さん

7月 1, 2008 at 06:35 午前 |

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今朝は、また曇り空。 昨日の午後、流れる雲の向こうにのぞいた青空が、妙になつかしく恋しく想われます。 [続きを読む]

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以前の自分をカタチ作っていた 「自分はこうあるべきだ」という ある種の妄想のよう [続きを読む]

受信: 2008/07/02 7:47:18

コメント

ひそやかに咲くスミレの花…
漱石のそれにも少し、似ているきがします。

投稿: | 2008/07/03 0:28:15

茂木さん、こんばんは♪

「この世の中にさまざまなものが
並列的に存在することの安らぎと
救いを想う。」

本当にそうですね・・・

届いたメールを整理してて、
ちょっと凹んでいたのですが・・・

ふと、横を見たら、
うちのうさぎが、私の傍らに寄ってきて寝そべりました。
その愛らしさに、
ほっと心が安らぎました。

昨日友人から、
無人ビーチの岩に座り、
海を眺めている人魚の像の
写真をもらいまして、

海もきれいですけど、
海を見つめている人魚も美しくて、
いったい誰がこの美しい人魚像を作ったのかわかりませんが、
この人魚を見ているだけで
心が洗われました。

美しいものだけ眺めていて
その世界に住むことができれば、
どれほど幸せだろうか、と思いますが、
生きている限りは、
自分や自分の足元を美しい場にしてゆくことが
大事かなあ・・・と思います。

疲れた時に、
癒してくれる美の存在は、
勇気とエネルギーを与えてくれます。

大きな改革をする勇者だけが尊いのではなく、
その勇者を支えるものも尊いのだと感じます。

マルチン・ルターは、
奥さまがいたから戦えた、
というような言葉を残していたかと思います。
ルターの奥様の名前は残っていないと思いますが・・・
あの仕事を支えただけの働きをしていたのですね。

そして、田森さんのお話!
素敵ですねえ!!

田森さんのお話を拝見して、
私の友達夫婦のことを思い出しました。
田森さんご夫妻を思わせるご夫婦がいらっしゃるんですよ★

私は、
二人の馴れ初めからゴールインまで
そばで見ていたので、
二人が惹かれあって結ばれるのは
とても自然に思えましたが、

二人のことをよく知らない一部の方々からは
「不釣り合い」だとか
「すぐ離婚するだろう」
とか、余計な噂がたちまして。

誰も見えなかった
互いの良き部分を引き出し合える
そんなカップルでした。

そんな変な噂があるとは知らず
そのことを耳にしたときは、
憤慨してしまいましたが。

まーーそれにしても、
世の中にはくだらない噂話が好きな人間がいるもので、
腹立たしいです。

人の噂話するぐらいの時間あるんだったら、
少しでも己の姿を鏡に映して見よ!
といいたくなります。

わあーー自分で書きながら
なんってキッツイ言葉!
私の目も吊り上っていますわ(笑)←ブラックです!!

まあ、こんな人間ですので、
きれいな海や空や花や自然やうさぎに
毎日癒されています(笑)


投稿: ももすけ | 2008/07/02 19:45:00

おはようございます茂木博士。


佐賀でのお仕事お疲れ様です。
唐津…小さいながら濃い歴史のある町です。私も好きでフラぁ〜っと行きます。河童伝説とか面白いです。

「ひそやかに咲くスミレの花」…
清楚なフレーズですね。
スミレの様に生きてみたいなと思ったりしました。


executive secretary…
田森さまのお話をお読みしていると…考えてしまいました。
田森さまは変わっているのではなく、天才的なのではないかなと。
そして私にも何かあったら良いのにと考えました。そうしたら…思い出しました。

大学生の頃歴史小説にはまって、下宿の部屋で全12巻を金曜の夜から読み始めて、読み終わったら翌週火曜の早朝でした。夕方、倒れているのを訪ねてきた友人に見付かり入院しました。

改めて考えてみるに…単にスケジュール能力と体力が無いだけでした。時を超えて凹みました。トホホ
私もexecutive secretaryが欲しいです。


「博多の女」…懐かしいです。次は是非「佐賀錦」や「まるぼうろ」もご賞味下さい。美味しいですよ♪


佐賀の言葉は…難しいですね。私が知っているのは「ひだるかぁ〜」だけです。
でもお国言葉って、温かくていいですね。
では(^O^)/

投稿: | 2008/07/02 3:18:02

>お前の闘うその文脈と
>まったく関係なしに、ひそやかに咲く
>スミレの花はあるのだ。

素晴らしい! この上なく美しい詩です!

いい詩は美と真実を直視させてくれます。
さっそく筆で紙に写させて頂き、目の前の壁に貼りました。

これまでも茂木先生のブログの中で、珠玉の言葉を拝見してきました。
今日、やっと、それらが詩であったことがわかりました。
この詩には、William Blakeに通じる何かがあります。

すでにお書きになっているのかもしれませんが、
ぜひ、『茂木健一郎詩集』を読んでみたい。
日本語では、もうお書きにならないということでしたが、
すでにたくさんの「詩」をブログに発表されている。
まとめられたら、きっと衝撃が走ると思います。

そして詩の下(あるいは巻末)に、その英訳があればと、
勝手に想像をふくらましてしまいました。

ありがとうございました。

投稿: | 2008/07/02 0:05:37

『お前のその闘うその文脈とまったく関係なしに、ひそやかに咲くスミレの花はあるのだ。』

この言葉に、
何故か心がほぐれました。
緊張がとけたような感に似て。

投稿: | 2008/07/01 21:18:40

『崖の上のポニョ』…2年前の『プロフェッショナル』で宮崎駿さんのお仕事ぶりが放映された回を思い起こすに、『ポニョ』はまだ製作の緒についたばかりだったような気がする。

それがついに完成し、近々公開…。そういえば、私の勤めている職場近くのコンビニのウィンドーに『ポニョ』のかわいいポスターが貼られ始めている。

それにしても、宮崎さんやジブリの作品たちは、何故やさしくて“暖かみ”があるのだろう。そして…如何して、何時も人間的なのだろう。

個人的には、宮崎駿氏の映画作品(それも完全オリジナル)との出遭いは「風の谷のナウシカ」が初めてだが、今思えば、あの作品は人間的で、奥底に自然への畏敬、そして全ての生命を慈しむ心情が流れていたようだ。

今、夕方にTVをつけるとアニメが放映される局があるが、単なる神懸り的なストーリィや戦闘シーンが多く、少なくとも私のような「昭和2桁・1960年代生まれ」には、シックリ来難(にく)い。

ジブリの作品に見られるような人間的なぬくもり、というか暖かさが感じられない…。

ジブリ作品が海外でも高く評価されるのは、一つにはこの人間的な温もりを湛え、人間の抱える普遍的な問題を真正面から見据えて物語を描いているからだと思う。

私はかつて、自閉症、即ち自閉的スペクトラム症候群と診断され、その「治療」と「発達促進」の為、今も港区元麻布にある「愛育病院」に毎週通っていた。そこで星先生という人に出遭い、様々なテストやパズル、時にはカラフルな小麦粉粘土遊びなどをやりながら、自閉症の治療と訓練に明け暮れていた。

一番好きだったのは「小麦粉粘土遊び」で、とにかく自分の好きなように、色々な形を作るのが、楽しくてしかたがなかったようだ。

その星美智子先生も、平成2年か3年の夏ごろ、亡くなられてしまった。思いがけない永遠の別れに、胸が詰まり、悲しみに沈んだ。

今も、星先生の優しい笑顔を時折思い出す。服巻さんの眼差しはあのときの星先生と似ているように思える。

ところで、茂木さんが田森さんのエピソードをご紹介されるたびに、
「本当にこの人は凄過ぎる…」と感嘆してしまいます…!

何故あんなにすごいことが出来てしまうのか、本当にうなってしまいます。

今夜の『プロフェッショナル』が特別番組でお休みなのは寂しいですが、次週をたのしみに、待っています。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/07/01 20:48:53

自閉症の方々にとって、特別に心を許す…という存在をつくるのは良いことなのですね?例えば、その心を許す存在がたった一人の人から二人、三人…と増えていった時に“夜明け”を迎えられるのでしょうか…。病いなのか、どうかはわかりませんが、大人になる過程でしらない間に、そのような時期や人と巡り逢っているのかな、私も!と、ふと思ったものですから…。“博多の女”美味しいですね!でも 結構、お腹が膨らみます、ご用心を…。

投稿: | 2008/07/01 15:19:51

茂木さん、今日は。佐賀城がある辺りは城下町ならではの趣がありますね。佐賀には唐津城もあり、そちらもなかなか素敵です。私はよく大阪城公園へ愛犬と一緒にお散歩をするのですがこの辺りは静かな官庁街でも一歩、公園の中へ入ると様々な人種の坩堝!特に今は経済状況を反映してか、亜細亜からの団体観光客の方々が多くて賑やかです!静かな町並みとのギャップが面白くて、しばしボーッ!と眺めています。すれ違う犬もボルゾイ、エアデール、ビション等々、犬種も様々!心のオアシスといったところでしょうか。さて、executive secretaryについて…

投稿: | 2008/07/01 14:58:33

こんにちわ

エグゼクティヴ・セクレタリは、大小、誰にでもあるような気がします。


以前プロフェッショナルでやっていた、「崖の上のポニョ」を思い出しました、金魚なのに海に居て、魚なのに崖の上に居る・・・一体どんなストーリーなのか!?。「崖の上のポニョ」楽しみにしております。(^^)

投稿: | 2008/07/01 14:33:20

佐賀城のお堀端の暗闇を
しばらく歩く。
カエルが鳴いている。
彼らの鳴き声は、静寂に
空間をつくる。
いつでも、薄暗がりの中に
自分の知己を見つけることができる。
異郷の闇の底に何かかっちりと
した足場を見いだしたような気がして
安堵する。

・・・あぁ  残念。   お会いしたかったなぁ~ ♪

投稿: | 2008/07/01 10:03:29

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