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2008/07/28

名人の手の震え

サンデー毎日

2008年8月10日号

茂木健一郎 
歴史エッセイ
『文明の星時間』

第24回 名人の手の震え

一部抜粋

 そして、勝利を確信した時、羽生さんの指す手が震え始める。ある時期から、緊迫した局面で「これからこのように指せば勝てる」という道筋が見えた時に、手が震えるようになったという羽生さん。
自分でも何故そうなるのかわからないという羽生さんの手の震えは、まさに「涙」と同じだと思った。
 人間の脳が自分では処理しきれない大きなものに出会った時に、「オーバーフロー」を起こして涙を流す。羽生さんの手の震えは、行き詰まるような真剣勝負を積み重ねてきた中で見いだした光明に、何かがあふれ出す、その印である。
 寒く暗い夜を耐えてきた野生動物が、東の空についに曙光を見て魂を震わせるような、そんな原初の感動。


全文は「サンデー毎日」でお読みください。

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

7月 28, 2008 at 07:43 午前 |

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» 行列を作るということ トラックバック なんでもあり! です 私の日記!! 
昨夜のテレビ番組 「NHK スペシャル 道具を使うサル」は面白かった。 一夜明けてもフサオマキザルの映像が蘇る。 なんだかドキドキしてくる!!  こんなことは珍しい! 石や実、台といった3つの道具を同時に使いこなすこと、 2足歩行したり、人間の介護をする(訓練中の)サル。 そのいずれも衝撃的!!! * なかでも印象深かったのは、 実を割るために「行列」を作るというところ。 行列を作るというのは、 まずそこに「やしの実を割る」という共通の目的が 認知されていなければいけない。 さらに、待つ... [続きを読む]

受信: 2008/07/29 8:10:29

コメント

茂木さん、おはようございます。ひとつ前の「文明の星時間」、とても興味深い記事で、江戸時代、将棋の「名人」位が「家元制」であったことやただひたすら「勝利」を目指すというより、駒の動かし方などの「型」が重視されていたようだ!ということ、またどのような指し手が行われるかということが事前に決まっていて御前ではその型を再現することに重点が置かれていた・・・今の「名人戦」の闘い方とは全く違うものだったのですね。茂木さんがお書きになっていらっしゃる通り、確かに「勝ち、負け」だけではない!貫かれるべき美意識、人間としての価値観をいかに大切に維持していくか!が、最も大切なことのように私も思います。それから、羽生名人の手の震えは「オーバーフロー」を起こして涙を流しているのと同じ感じ・・・「勝てる道筋が見えた時」に手が震えるのでしたね。改めて考えてみるとこれって本当に凄いことですね?茂木さんのおっしゃるように「私の日々の中、ここでやり損なうまいというような大切な勝負の瞬間があるだろうか?」、その時、手が震えてしまうような、涙を流すような、そのようなシーンが私の日々の中に・・・一番、最近の出来事で、愛犬と一緒に「ハンドリング」の資格を取るため、決められた型をひとつの失敗もなく、コースをまわり、ライセンスを取得できた時でしょうか。その時は、愛犬が失敗しないかどうか、私の心臓が飛び出しそうなくらいドキドキし、ガタガタ震えたような?!(笑)こんなことでしかない!ですねー。いけませんねー。(笑)日々の仕事では、緊張はするもののオーバーフローを起こすことがない。茂木さんがお書きになっていらっしゃる少年時代のお話で、「
珍しい蝶との出会い、もしここで逃がしたらもう一生出会えないかもしれない。」このような「人との出会い」では、人生の中で何度となくありますね?この人ともう一度、仕事をご一緒したい!とか、ゆっくりとおはなしをしたい!とか、今の時代は有難いことに、通信機能の発達において、人とのコミュニケーションの方法がいろんな手段で出来るようになったので、人と人とのすれ違いやコンタクトが取れずに困るというような場面はなくなりつつあるのかな?とは思いますが。手が震えるほどの緊迫感、オーバーフローを起こすほどの仕事?!ある意味、羽生名人がうらやましくも素敵にも思えます!でも実際、追い詰められた時の自分の心理が他の人に見えるようなことが起きてしまったら?!困るのかもしれませんね。

投稿: | 2008/08/09 10:40:00

追記です。

羽生名人の手の震えから、祖父の手の震えを真っ先に連想してしまった自分自身の思考回路が、まさに、negative thinkingだったんじゃないか…と、ずっと考え、反省していました。

実は、もう1つ、連想したことがありました。
それは、茂木先生の文章の"オーバーフロー"との単語からです。

私は、大学院在籍時、修士論文を書いていたときに、Mihaly Csikszentmihalyi著の、"FLOW-the psychology of optimal experience"という本に出会いました。いわゆる、FLOW理論です。これは、茂木先生が、本文で言わんとしている主旨に近いのでは!、と思いました。Mihalyの著書は、当時、amazonで即買いしたのですが、、いかんせん、そこは洋書…。全文英文というそれ自体が、私には、難攻不落の壁に思われ、リーディング自体をリタイアしてしまいました…。


しかし、有難いことに、和書もありました。
『「幸せ時間」ですべてうまくいく!』、ローター・J・ザイヴァート[著]、ヴェルナー・ティキ・キュステンマッハー[絵]、小川捷子[訳]、2003年、飛鳥新社、 です。タイトルだけ見ますと、いわゆる、いま流行の"自己啓発本"の類いかと思われますが、ブックカバーにありますように、著者はドイツ生まれで、時間管理の専門家であり、指導的立場にあるプロフェッショナルだそうです。また、153ページから、157ページには、チクセントミハイ氏へのインタビューが掲載されています。←訳本なので、すべて日本語で読むことができます。


私は、なにか、本屋さんの回し者ではないのですが…、「趣味は読書」というよりも、「本依存・活字依存」といったほうが適切なくらいの本好きなので、(もしかしたら、もうご存知の可能性もあったかと思いましたが)、以上、ご紹介まででした~~。

投稿: | 2008/08/04 23:16:26

茂木さん、こんばんは。

"手の震え"ですかーーー。
手の震えと聞いて、一番先に思い出すのは、いまは亡き私の祖父が、晩年、『パーキンソン病』を患ったのですが、本人の意思とは関係なく、突然、手や足が震えていて、見ていて、すごくしんどそうだったことです。
私の祖父は、第二次世界大戦中、"南方"(おそらく、シンガポールや台湾など)へ、軍医の下の衛生兵(看護婦のようなもの)として、船で治療に渡ったのですが(おそらく外科的な治療だと思われる)、そこで、祖父は、いったいどんな"惨事"や"光景"を目の当たりにしたのだろう……と、ずっと考えてきた。
Wikipediaで、『PTSD』のヒストリー研究を探ると、"戦争"が関係していることが見てとれる。 祖父は、自宅では、ずっと、無口な人だった。がしかし、たまに発する言葉、思考回路は、なにか、negative thinkingなものがほとんどであった。→それを、うちの祖母が2人3脚で、、じいちゃんの会話(volleyballに例えれば、どんなに強いnegative attackでも)を、常に、冷静に的確に理論的に、receiveしていた、まるでpositionは、"リベロ"でした。

すみません。"手の震え"との茂木さんのkey wordから、自分に浮かんだ心象を、並べてみました…。(もし、的外れなコメントになっていたらごめんなさい。)


追伸:そろそろ、今年もまた、8月15日が来ますね。

投稿: | 2008/07/28 21:28:51

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