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2008/06/08

ある典型

 アイラ島二日目。
 朝早く、海の上には濃い霧が出ていた。

 輿水精一さんといっしょに
朝食をとってから外に出る。

金寿煥さんや佐藤慎吾さんが海の
方を見ている。

 不思議な現象が起きていた。

 目の前の湾の海面が鏡面となって、
空の雲が映っている。

さざ波も立たないような完璧な
「なぎ」でないと、このような光学
現象は起こらないだろう。

朝の霧から鏡への変換。
奇跡を見る思いがする。

ラフロイグ醸造所からさらに先に
行ったところにある静かな湾へ。

沖の岩の上で、ゼニガタアザラシ
(common seal)が身体を休めている。

その数、10ほど。

浜辺を、不思議なふんいきを醸し出す
鳥が時折鳴き声を上げながら
歩いている。

後に、ボウモアのホテルの外にあった
プレートで、「オイスターキャッチャー」
だとわかった。

フィオナ・ミドルトン
(Fiona Middleton)さんが来る。

フィオナは、アザラシたちにヴァイオリンを
聞かせながら、彼らの保護をはかる
活動で知られる。

輿水さんと一緒に、フィオナの横の岩に
座ってバイオリンを聴いた。

フィオナが作ったという音楽は、
ゆったりとしたリズムで哀調を帯び、
静かに海の上を漂っていく。

双眼鏡で覗くと、アザラシたちが
顔を持ち上げて、くりくりとした目で
こちらを見ていた。

岩の上にはアザミのようなピンクの
花が咲き、穏やかにないだ海の
向こうにアザラシたちがいる。

この宇宙に、こんな情景があるとは
思ってもいなかった。
妙なる調和に包まれる。

フィオナの親戚にはケンブリッジ大学に
行った人も多く、フィオナのしゃべる
英語も、ゆったりとしたオックスブリッジの
英語。

フィオナと話していて、イギリス人の
ある典型を思い出した。

森の中のニンフのようにとらえどころが
なく、ふわっとしていて、
それでいて年を経た岩のように
しっかりと大地に根ざしていて、
どこかに飛んでいってしまいそうで、
ちゃんと留まっている。

決してアグレッシブではなく、
こまやかな愛があり、
気配を感じることができる。

浜に戻り、しばらく話す。

フィオナには著書
Seal: People of the Sea
があり、日本語にも訳されている。

ハリウッドの映画制作者たちが
フィオナの人生に
関心を持っていて、
もう脚本を20回も30回も
書き直しているのだという。

別れ際、私が脳科学を
しているということを改めて言うと、
フィオナは、
「私は正常だと思いますか?」
とゆったりとして口調で聴いた。

「もちろん。正常だと思いますよ。」
と答えると、フィオナは、
「多くの人々は、私を理解しません。」
と言って、笑った。

夕食後、Bowmore hotelのパブに行く。

パブの壁のアイラ島の地図で、
フィオナのヴァイオリンを
アザラシたちと聴いた、
その小さな入り江の場所を探す。

輿水精一さんと、電通の中本実万さんが、
店のマスターと話し込む。


マスターの「アイ。アイ。」
という肯定の返事が、
耳に心地よい。


金寿煥さん、「旅」編集部の吉田晃子さんと
談笑する。

遠いアイラの地ではあるが、二人を
見ていると、なぜか、
新潮社近くのホッピーの店
「加賀屋」で飲んでいるような気分に
なってくる。

外を見ると、オレンジの街灯が
ある。

先日金さんに送った、
新潮社「考える人」連載の
『偶有性の自然誌』の原稿が思い出される。

 最初に英国のケンブリッジに滞在したのは、今から十五年前。真冬の二ヶ月間だった。フランス出身の老婦人の家に下宿した。彼女は、持病のリュウマチについて、時々こぼしていた。私の前で「ケン、私の手の中には、釘や針が入っているみたいなの」と言いながら両手をもんでいた。
 イギリスの冬は、日が短い。すぐに太陽が落ちて暗くなる。老婦人の家から大学まで歩く道すがら、広大な芝生を横切る所にくると、暗い空を背景に光っている街灯がなぜか目に入った。
 それは、遠くにあるうちからもうすでに視界に入り、意識されていた。暗がりの中を、導かれるように一人でとぼとぼと歩いていく。彷徨の道程の中頃、柱の上に掲げられたその光を見上げる頃には、心はよほどその存在に占められていた。
 ヨーロッパの街灯は、日本のそれとは異なり、淡いオレンジ色をしている。なぜ、私の心の中で、この街灯は今、このような質感を持つ存在として感じられているのだろう。あのように鮮やかに、オレンジ色が私の心を占めているのだろう。
 私の胸の中で、同じ質問が何度となく繰り返された。そして、私は、決して答えに近づくことがなかった。私の精神は、何か、がっちりとした鋼鉄製の檻に閉じこめられでもしたかのように、身動きすることができなかったのである。
 日々を積み重ねていくうちに、次第に闇が濃くなっていく。冬至の日。 オレンジ色の街灯が、最も鮮烈に輝く時。
 夕飯後、いつものように「私の手の中には、釘や針が入っているみたいなの」と言いながら両手をもみほぐした後で、老婦人は、ほっとしたように、「今日から日が少しずつ長くなっていくのよ」と言った。

(全文は「考える人」2008年夏号に掲載されます。)

皆でウィスキーを飲んでいたら、
面白いことになって、
新潮社広告部副部長の
八尾久男さんが、同僚の高橋大さん
に対して、「シュシュシュシュシュ」
とボクシングをする。

しかし、高橋さんが腕を伸ばして、
八尾さんは届かない。

動画にも音声がとらえられて
いるように、金寿煥さんが
「ユーチューブで、タイトルはアイラ島
で流したいですね。」

と言ったので、そのように
いたします。

boxing on islay

http://www.youtube.com/watch?v=sosgJt8Z_WE 

6月 8, 2008 at 03:27 午後 |

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コメント

     朝の霧から鏡への変換
 一年前の6月9日、私はこの写真をぼーっと眺めながら、前日の不思議な体験を思い出していた・・・。
 箱庭の簡易版ともいわれる創作療法を、心を映す鏡として分析する先生から学び始めて3年目、この日も無邪気に楽しみながら作品を制作した。
 日付を記入しようと、今日は何日?と思った途端、はっとした。私が思いのままに作ったはずの作品が、思いもかけない光景を映し出していた。
 周りの友人たちの、“どうしたの?誰かの誕生日?家族の?昔の恋人の?”という矢継ぎ早の質問に、曖昧な表情を返すしかなかった。
 それは学んでいることとはまったく別の、個人的な体験だったから、どうしていいか分からなかった。
 翌日、何とか動揺を抑えるために、以前私がみた夢と河合隼雄さんとの関係を確かめたくなってパソコンに向かい、そしてクオリア日記にたどり着いた。
 だから、今の状態は自然なことかもしれない。
 私とクオリア日記との接点がここならば、ここから始めればよいのかもしれない。
 その療法は、言葉だけのつながりの危うさを支えてくれる、と私は思っている。
 もし、茂木さんが関心を持たれましたら、何らかの形でお知らせください。

投稿: masami | 2009/06/09 16:54:18

素敵な旅ですね~。
美味しいウイスキーを味わいながら~。

アザラシにバイオリン~♪バイオリンは愛を表現する音ですよね!
アザラシ君は巨体でフォオナさんの奏でるメロディで歓喜し
入江で耳を立て聴いているのでしょうね~。時には海の中でダンスして~。

海水温度の上昇や、環境の変化で海の生き物もストレスを感じているのでしょうね。
フォオナさんはアザラシ君とお話が出来るのでしょう?
フォオナさんの音楽は聴いたことは無いのですが、エンヤの音楽は
以前良く聴いていました。海や宇宙に伝播していくような波長があって・・・
彼女の音楽もそんな優しさとひろがりがあるのでしょうね~。

投稿: Hanamura | 2008/06/10 0:20:43

こんにちは茂木博士。


霧のお写真、いいですね。

フィオナさん…以前TVで拝見しました。野生生物の保護に全力を傾けるひたむきな姿が胸に甦りました。

蒼い街に燈るオレンジの街灯のお写真に、懐かしさを感じてつい画像保存してしまいました。
待受画面にして癒されたいと思います。
ありがとうございました。

博士の下宿時代のお話から「イギリス人の典型」というものを感じたいと思いながらも、胸を過ぎるのは母方の叔母でした。
季節を暦で追い掛けながら、きっと今時分は梅干しと梅酒作りに忙しいだろうと思ったりしました。

何度も文章を拝読しましたが、私には「イギリス人の典型」はまだまだ理解出来ていないな、と反省しきりです。


動画拝見しました♪
程よくウィスキーの魔法が効いたご様子に思わず
「ジョぉ〜っ!」
と合いの手を入れてしまいました。楽しかった♪


本当に毎日楽しいお話をUPしてくださり、有難うございます。
これからの旅の安全をお祈りしつつ、次のお話を楽しみにしています。
では(^O^)/

投稿: Marie | 2008/06/09 12:44:52

フィオナさんとご一緒のお写真は
まるで神話の1シーンのように見えました。

お2人がまるでファンタジーの世界に迷い込んでしまったかのよう。
フィオナさんの持つふうんわりした空気が、
3枚の写真からも伝わってきます。
本当に「ニンフのような」方なのでしょうね。

茂木先生はこのところ
これまでにもましてお忙しそうでしたが
アイラの空気と黄金の水とフィオナさんの魔法で
きっと充電していらっしゃることでしょう。
アイラ旅行記は「旅」に掲載されるのでしょうか?
とても楽しみです。

投稿: 川崎優子 | 2008/06/09 11:39:37

フィオナのこと。「海からのメッセージ」で読んだ。10年ほど昔。本の中のお写真の感じとほんとに変わられていなかった・・。スコットランドはゆっくり時間が過ぎているのかしらん・・。
うみの鏡のこと。なんかぴぃーんと張っていいてすごいですね。自分をなくして相手を映し出して・・。以前カンボジアで水のない季節に民家の雨水を溜める甕をのぞいた私が甕の中にいた。身がすくむほど怖い気がしたのです・・。水ってふしぎ。

投稿: 井上良子 | 2008/06/09 9:18:02

茂木さん、おはようございます

スコットランドの旅は、不思議の旅ですね~!!!
一枚目の霧がかかった写真がそれを象徴しているかのようです。

海面に写る、雲。
海が凪いだ状態って・・・珍しいですね~~!!
湾だから、このような現象も起こるのでしょうね。
沖縄はいつも風が止まることなく吹いているので、
海面に写る雲・・・
茂木さんに紹介してもらわなかったら、
こんなことが起こるんだ、って考えもしなかったと思います!

こんな珍しい現象が起こるなんて、
茂木さん、島の精霊によっぽど好かれたのではないのでしょうか。

そしてなんといっても強烈なのが、
フィオナ・ミドルトンさん!!!
こんな風に、精霊のような生き方をしている方っていらっしゃるのですね!!
うお~~すごいっ感動しました!!!
アザラシの保護活動をされているとのことですが、
アザラシたちに聞かせていたバイオリンは、
アザラシにフィオナさんから何かを語りかけていたのでしょうか。

私は、音楽療法の起源?となった、
ギリシャ神話のお話を思い出しましたよ・・・
保護活動だからやはり
癒しの音楽を聞かせていたのかな?

私も、いつもうさぎといっしょにいますが、
歌を歌ってあげることはありますよ。
甘えてきたときは、
なでなでしながら子守唄。
(本当にすうすう眠っていきます!)
いっしょに遊ぶときは、
幼児番組の歌で替え歌つくって遊んでます(笑)
きょとんとしてますが、
楽しい、というのは伝わっているようで、
うれしそうですよ!

フィオナさんの足元にも及びませんが・・・

科学が発達した時代だからこそ、
こんな生き方をしている人は魅力的ですね!!!


そして、イギリスには、
そんな典型の人が存在しているのですね~~
ぬーーん。。。
私の友達にも、もしイギリスに生まれていたら
典型の人になったんだろうな
と思わせる人がいますよ、、、
なんとなく・・・白魔術の世界を感じます。

スコットランドには、
こうした、妖精のような人々の世界と
昨日のクオリア日記の男っぽい世界があるんですね。

今日のクオリア日記では、
何が出てくるでしょうか!
楽しみです!!


追伸、
街にともるオレンジ色の明かりの写真、
ポストカードにしたいほどきれいだなあ!と思いました。
オレンジ・・・太陽・・・幸福。
出かけるときはいつも、
オレンジのアロマオイル持っていくほど好きなんですよ。

投稿: ももすけ | 2008/06/09 8:20:33

宮本常一さんの写真を眺めていて、ふと、茂木さまのupされる写真の数々が思い浮かびました。海面と雲、オレンジの街灯。魅入ります。ttp://www.psj.or.jp/gekkan/schedule/index2008.html

投稿: 白井 | 2008/06/09 7:51:53

茂木先生、お元気なご様子、とても嬉しく感じています。
スコットランドに入られてから、スイッチが切り替わったようです。
初めはとまどいましたが、今日のブログを拝見して、理由がわかったような気がします。旅先で「物語」を紡いでおられるのかもしれない…そこは聖なる領域だから、コメントは控えようと。
でも、今日は感じたままをお伝えしたいと思いました。

この何日間か、茂木先生の周りですごいことが起きているように見えます。
海が鏡に変換したとき、時が止まったのでしょうか。
昔、ギリシャに行ったとき、そういう神秘的な経験をしたことを思い出しました。
Fionaさんは妖精の女王かもしれない。名前の由来はケルト語起源で、「白」という意味があるそうです。Fionaさんは、それで白いケープのようなものを身につけていたのかと。
ジンジャーさんは、Gingerbread Manの化身かもしれない。
そうすると、ピートは大きなビスケットのように見えてくるから不思議です。
写真も不思議です。白いものはいっそう白く、そうでないものは、薄い白いベールのようなものに覆われているのを感じます。
この白は、すべての「周波数」が混じったものなのでしょうか。
それとも、新たな「物語」が始まる前のカオスの「ネガ」なのでしょうか。
いずれにしても、カイコが純白の絹をはき出すように、物語が紡がれているのを感じます。

投稿: 遠藤芳文 | 2008/06/09 2:21:14

旅の新しい酸素と新鮮さと宵の楽しさが伝わってきて
わくわくしました。

イギリス人の「ある典型」は
なんだかそのままそっくりの言葉で
イギリスやスコットランドの郊外の風景を思い出します。

投稿: | 2008/06/09 0:50:48

茂木さん、こんばんは。
今日は附属高校のクラス会だったのに、仕事がたまっていて行くのを断念しました。石毛先生(物理)にお会いしたかったです。グラスゴーは学会で一度行きましたが、アイラ島までは行けず、今回のクオリア日記、憧れをもって読ませて頂いています。それにしても、シングルモルトってクレゾールの匂いを思い出してしまいますね。それが好きなのですが。お体に気をつけてお帰り下さい。

投稿: 仙台通信 | 2008/06/09 0:36:23

さざ波がたたない完璧ななぎ。すごく綺麗な鏡♪

滅多にないチャンス…。。偶然でしょうか?それとも必然?
そんな考えは、ふとかき消される。

出会えた人たちは、奇跡的な美しい一時を味わう。

日常の一時を忘れて。。

投稿: 奏。 | 2008/06/08 23:34:50

茂木さん、こんにちは。

今日の御写真、東山魁蝦夷さんの未発見絵画発見か!?と見紛うばかりの水に投影された景色の美しさ。

水に投影されたものを見つめる目は、当方などには投影歌随一の紀貫之を思わせられました。


藤の花色深けれや影見れば池の水さへ濃紫なる   紀貫之

水底に影しうつればもみぢ葉の色も深くやなりまさるらん  同

などなど多数・・。


英語環境でゆったりした時間を過ごされていらっしゃる茂木さんへ、遠く日本から1000年の時間を超えて送らせていただきました。(またまた、時空をかける、ということで)

紀貫之の「土佐日記」を認知テロリズムと喝破された茂木さんの目に賛成です。

この紀貫之を徹底的に攻撃したのが正岡子規さんでしたが、子規さんが余りに偉大だったため、紀貫之の水位は相当に下がったと思われるんですけど、今、もう一度、紀貫之が称揚されてもいいのではないか、というのが私見です。

古今和歌集仮名序に、

「力をも入れずして天地を動かし」

と書ききった貫之は、やはりタダモノではないと。

公には漢文ばかりだった時代に(仮に「漢字ラング」と呼ぶとして)、ひらがな入り和歌を打ち立てた(仮に「ひらがなパロール」と呼ぶとして)のは完全に言語革命そのものではあ~りませんか。そのひらがなパロールは現在に至るも漢字ラングに取り込まれることなく息づいていて・・・。

国風文化の象徴にもされている古今和歌集ですが、カクメイ宣言書、認知テロ宣言書と読み直すべきではないかと(少しカゲキでしょうか。)。

でも、貫之の筆と伝えられる「高野切」などの連綿体は流麗で、すばらしいと思います。やっぱり、日本には日本の良さがありますよね(偏狭なナショナリズムではなく)。

そういえば、小林秀雄は「新古今和歌集」をわかっていないと言う人がいたとのことでしたけど(「音楽を「考える」」)、いい根性しているなあと敬意は表しておきたいと思います。

800年を超え、なお、論争点山盛りで、日本語としても「超絶技巧の極み」(塚本邦雄など)である新古今のことを、この方はわかったんですね。だったら、「新古今」を超える歌を詠んでいただきたいものだな~と思います。

明日は和歌の会です。みんなワカラナイ、ワカラナイの連発なんですが、それが健全な姿であっていいのではないか、と思いつつ・・・。う~ん、それにしても素晴らしい御写真から、いろいろ想が広がってしまいました。


投稿: 砂山鉄夫 | 2008/06/08 22:49:43

今晩は。

水墨画のような朝の海辺が、鏡のようにないだ海面に雲を映す光景に変わる…。まさに奇跡ですね!

アイラ島の大自然は、本当に美しい奇跡が起きる世界のように感じられる。

オイスターキャッチャーを見て、日本の海辺にも好く見かけるときく、ミヤコドリ(日本では時にユリカモメを「ミヤコドリ」と呼ぶことが多いそうだが、本当のミヤコドリとは鴎とは別の種類で、シギやチドリに近い仲間だという)なる水禽(水鳥)の仲間を思い出した。

このミヤコドリを、以前、上野動物園で見た記憶があるが、それは今回の日記に出ているオイスターキャッチャーに凄く好く似ていたように記憶している。

それにしても、この鳥はツートンカラーの姿に赤い嘴、縁が赤くて丸い眼がチャーミング。スマートでかわいい鳥だと思う。

日記を拝見していると、フィオナ・ミドルトンさんのヴァイオリンの音色に、鏡のようにないだ海面からぽっこりと顔を出して、耳を澄ましている海豹くんたちの姿が、頭の中に浮かんできた。

ヴァイオリンを奏でる妖精と、その妙なる響きに静かに耳を澄ます生き物たち。そんな光景が…。

普段は弱肉強食という、逃れられざる天然の掟に従いて生きる海豹たちも、この時ばかりは、フィオナさんの優しい心が奏でる弦の響きに、いたく打たれて、聴きいっていたのだろう。

妖精というと、森の中に棲み、蝶や蜂のはねをもった“ニンフ”のイメージが頭に浮かび上がってくる。

そのニンフたちは、その存在が空気のようにふわりと軽やかで、儚く優しい姿をしている。そして色々な個性をもった生き物たちといつも一緒に暮らしている。

そんなニンフそのもののようなフィオナさん、渋くてかっこいい輿水さん、そして海風のように自由な茂木さん。絵になるスリーショットですね。

私事乍ら、実はPCの調子を少しおかしくしてしまい、flashムービーやYouTubeが見れない状態になってしまった。…ので、ご紹介の動画も、残念乍ら見られない。

ここ数日のクオリア日記を拝見して思うことは、非常に月並みで申し訳ないのですが…『嗚呼、せめて生涯に一度だけは、奇跡的な自然の絶景を見に行きたいものだ…例えば、このアイラ島のような』。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/06/08 20:55:27

オレンジの町の光は
ペルーのリマ郊外もそうです。

…理由は、電力が一番少なくてすむ色だとか。。。
かれこれ、17年前の留学中に聞いた話です。

ちなみに、メキシコ郊外の貧しい村も村全体がオレンジだったりします。ヨーロッパの外灯のシステムを導入しているのかどうか。。。

投稿: 茂木先生崇拝者 | 2008/06/08 19:30:36

こんにちわ


フィオナさんは、そこで、何回、バイオリンを弾いたのであろう?
マスターは、そこで、何回、「アイ」を言ったのであろう?
英国流、「世界との調和」が、そこにある。


八尾久男さんは、ウィスキーのエタノールと調和しています。(^^)

投稿: 英国流のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/06/08 18:45:28

茂木さん、楽しい旅日記、光学現象が起きての見事な一枚、まるで絵の様です!それからアザラシの保護活動をしているフィオナさん、不思議オーラを感じますが、確固たる信念を持って活動をしておられるのでしょうね。私は本業とは別にトリマーの資格を取得し、数匹の犬と共に生活をしていますが、昔だったら考えもしなかった様なペットにアロマやペット音楽(犬のα症状緩和等の効果)なるものが、現在では多くの人に認められつつ拡がりをみせています。フィオナさんのこの活動も近い将来、何らかの結果を出す事になるのかもしれませんね。

投稿: 茂木さんの崇拝者より | 2008/06/08 17:42:58

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