クレーの覚醒
サンデー毎日
2008年6月29日号
茂木健一郎
歴史エッセイ
『文明の星時間』
第18回 クレーの覚醒
一部抜粋
1914年、画家パウル・クレーは、チュニジアに旅行した。クレーは、34歳だった。
旅行中の4月16日の日記に、クレーはこう書いた。
「私は作品を感じ、作品は私に労することなく自信を与える。色が私をとらえる。それを追い求める必要はない。色は私をずっととらえ続けるだろう。私は確信している。この幸せな時間の意味が明らかになった。私と色彩は、一つである。私は画家なのだ。」
読む者の心を動かす文章である。忘れがたい言葉が連なるからこそ、また、その時の芸術家の心情が推し測られるからこそ、今日でもしばしば引用されるクレーの言葉。それだけで一つの完結した世界を作っている。付け加えるものも、差し引きするものもない。
しかし、このチュニジア旅行において、クレーの頭の中で一体何が起こったのかを正確に説明するのは難しい。すぐにその意味はわかるものの、本質を見きわめようとすると簡単には尽くせない。そのような両義的な人間体験の真実が、クレーの言葉からは垣間見えるのだ。
全文は「サンデー毎日」でお読みください。
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/

6月 19, 2008 at 08:26 午前 | Permalink
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コメント
茂木さん、人間体験の真実?―本質を見極める?とは、Uh、難しい…。クレーがチュニジアを旅行中、何を感じ、思い、旅の間に観たもの、出会った人々から得たものが何だったのか?言葉の奥にある深層心理…。確かに旅をすると非日常空間の中からふと我に返って“気付き”を得る事がありますが、そういう事なのか…創造するのは面白いですね。日本語教師の資格を得る為、東大の近くのスクールで、東大から来られていた、耳相が得意な先生から言語学を最後に学びましたが…。時々、クオリア日記で真面目に創造する力を鍛えてみるのはよさそうです
投稿: 茂木さんの崇拝者より | 2008/06/19 21:13:54
神は遍く、全ての恵みを降り注ぎ、、
恵みの一雫でも掬い得た者が、、、
天才の名に値するmissionを
なさるんでしょうね。
投稿: 亀井隆行 | 2008/06/19 12:51:20
もう10年以上前になるでしょうか。クレーの絵を初めてみた時に、周りの空気がその色で包まれるような感覚をもったことがよみがえります。
暗い色彩にさえ温かい空気で包まれる気持ちが湧いて、決して恐ろしくならなかった。
ここで、クレーの名前がでてきてちょっとビックリです。
突然、あの日感じた感覚に包まれています。
投稿: 直 | 2008/06/19 10:27:46