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2008/06/19

重窓

火曜日。
電通にて、ミーティング。

NHKへ。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

がん専門看護師の田村恵子さんの回。
担当は、座間味ディレクター。


山口佐知子さん、座間味さん、柴田周平さん

命の懸かる現場での田村さんの
働きぶりに心を動かされた。

病室の父に向かう花嫁姿の娘。

人生の大切な瞬間の目撃者。

スタジオで田村さんにお目にかかるのが
楽しみ。

そして、座間味さん、取材お疲れ様でした。

放送は6月24日(火)の予定。

http://feature.tv.jp.msn.com/news/1191.htm 

続いて、ヤクルトの宮本慎也選手の回。

守備、攻撃に卓越した技量を
見せる宮本選手。
同時に、「キャプテン」として
ヤクルトの選手を、そして
日本代表チームを牽引する。

担当は、
山本出ディレクター。
打ち合わせシートに書かれたコメントが、
質・量ともにとても充実していた。


山本出ディレクター


メモをとる住吉美紀さん

横浜美術館へ。

6月20日から開催される「私の美術館展」

http://www.webdice.jp/dice/detail/500/ 

http://www.yaf.or.jp/yma/pdf/080528_release.pdf 

の様子を見る。

キュレーターの八柳サエさん、木村絵理子
さんが最後の仕上げをして下さっている。

八柳さん、木村さん、ありがとうございます!

横浜美術館の膨大なコレクションを丹念に
見て、「これぞ」というものを選びました。

皆さん、ぜひ見に行って
ください!


八柳サエさんと木村絵里子さん。
背景は、松井冬子さんの≪世界中の子と友達になれる≫

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のスタッフ数人で、
すきやばし次郎の小野二郎さんに
久しぶりにお目にかかる。

「スタジオで住吉美紀さんの
手を握ったでしょう。どうだった、
とお客さんに聞かれるんですよ。」
と二郎さん。

番組を見て、たくさんの方々から
手紙が寄せられたという。

小学校に上がってすぐに
奉公し、苦労しながら
今日に至る。

そんな小野二郎さんの生き方に共鳴
した多くの人々。

83歳の小野二郎さん。
その笑顔に、人生というものの
奥深さを感じる。

小野二郎さん、いつまでも
お元気で!

プロフェッショナル-仕事の流儀-修行は、一生終わらない-すし-小野二郎の仕事 

水曜日。

早稲田大学国際教養学部授業。

顔の認知過程について。

大塚の江戸料理の店『なべ家』
にて、和楽の渡辺倫明さん、
橋本麻里さんとともに
御主人の福田浩さんに
お話を伺う。


福田浩氏

場所を移して、
和楽の花塚久美子さん、
五十嵐佳世さんを交えて
打ち合わせ。


渡辺倫明さんと五十嵐佳世さん


花塚久美子さんと橋本麻里さん

赤坂の重窓にて、
武者小路千家の
千宗屋さんにお茶をいただく。

「重窓」の号は、昭和初期、
武者小路千家ゆかりの方が
初めてビルディングの中に茶室を
設けた時、千宗屋さんの御祖父さまが
茶室の窓と、建物の窓が重なるという
意で「重窓」と名付けたことに
由来するという。

掛け軸、道具を拝見し、
茶碗をこの手で感じる。

ゆっくりと、官能が開かれていく。

橋本麻里さんとお父様の
小説家・高橋源一郎さん、それに千宗屋さんと
会食。

高橋源一郎さんが持参した、
千宗屋さんの生年に出来たワインを
賞味する。

千さんは、7月から文化庁に派遣される
形でニューヨークのコロンビア大学に
一年間visiting scholarとして
滞在される。

千さん、どうぞお気を付けて。
充実した刻を。

千さんの横顔を見ているうちに、
官休庵でお茶をいただいた時の
ことが、鮮やかによみがえった。

 いよいよその時が来た。庵に戻り、連客とともに畏まって座す。軸が、利休尺八の花入れに換わっている。
 「濃茶を差し上げます」と千宗屋さんが言う。所作をしながら、次第に半眼に入る。手つきは確かにここにありながらも、精神は遠空に遊ぶかのようである。
 突然、戦慄が走った。目の前に千利休その人がいる。かつて、百戦錬磨の戦国武将たちを畏怖させた、侘び茶の宗匠の精神が、肉体に受け継がれている。間違いない。
 人を斬り、国取りをしてきた猛々しき者たちを、こぢんまりとした庵の中に導き、膝を屈させる。それだけのラジカルな力への志向が、茶の湯の中には元来ある。だからこそ、半眼になる。現世を根底から相対化する眼差しが、危うく息の根を止めんばかりの生命の芯ぎりぎりのところで貫く。
 長次郎の赤楽茶碗でいただく。その中に生命も死も全て合わせ濁らせたような、濃密な緑の泥状のもの。それまで頂いた全てのご馳走に対抗し、虚空へとうっちゃってしまうほどの強靱な存在感が、その一椀の中に潜んでいた。
 さては、末期の眼だったか。寄付に座して以来、自分の中に次第に高まってきていたものの正体に気付き、私の中で何かが溶け始めた。
 ずっと、自分はぎりぎりの縁を歩んで来たのだった。精妙な所作に熟練し、それが半ば無意識化する時、初めて精神は自由を得る。制約を引き受けてこそ、命は輝く。それが生であったか。
 利休は掴んでしまったのだろう。掛け替えのない真理が、亭主と客がほの暗い「胎内」に連座し、官能の秘儀に与してこそ受け継がれる。人間という歴史的生命のあり方に未だ見ぬ本質があるような気がして、景色が揺れた。

小学館『和楽』連載
茂木健一郎「日本のクオリア」
第13回より

「日本のクオリア」は27回で完結し、
小学館から単行本として発行される
予定です。

Instead of the adjective "world", as used in such expressions as "world music" or "world literature", I would thus like to ponder the expression "earth" as an adjective from time to time. Expressions such as "earth music" stresses the incredible homogeneity and unity rather than heterogeneity or variety that are to be found on this (compared to the cosmos) small planet.
"World leaders" stress variety and sometimes opposition. "Earth leaders" would indicate common destiny and the need to cooperate. From the vantage point of the outer space, we are all cuddled on this small planet, cozily together, breathing the thin layer of air, at once intimidated and inspired by the great expansion of nothingness that extend once we cross the border of earth-zone. [67: Philosophy of Life]

6月 19, 2008 at 08:00 午前 |

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「すしオン・デマンド」 金沢の回転寿司事情を伝えるテレビ番組。回転寿司の一大消費 [続きを読む]

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きょうは○○○○○○法について お話ししようと思っています。 その内容は、 いま私が書きためていることに直結しているので ちょっと秘密にさせて下さい。 近いうちに、 それは今年の暮れか、あるいは来年になるのか、 ある程度の日月を経たあとで公開することにいた... [続きを読む]

受信: 2008/06/20 6:48:18

コメント

仕事時間を変えたので、長らく『プロフェショナル』を見ていない。
小野二郎さんのは見たかったなあ。

最近、小野さんの経歴と意見を読売新聞の連載インタビューでじっくり拝見した。一筋の典型のような職人から出る判りやすいご意見が味わい深かった。大阪の私には、「関西の鯛のうまさは別物で、東京では手に入りません」が、なんか嬉しかった。

投稿: fructose | 2008/06/28 14:40:44

茂木さん、おはようございます
今日も、梅雨明け真っ青な青空&輝く太陽のパワーをお届けしますっ(笑)!!

こちらの日記、
昨日拝読させていただき、
なんと言葉で表現してよいのかわからず、
ただただ茂木さんの受けた衝撃の大きさに、
ぼーーーっとなっておりました!

茂木さんが、脳SPの質疑応答のときでしたっけ、
教育について、
早いうちから本物を見せることが大事、っておっしゃってましたけど、
私も本当にそう思います。

こうしたお茶会だけじゃなく、
様々な本物を見ることで、
まっさらな子供たちの感受性は、
のびのびと本物の方向に伸びてゆくのだと思います。

脈々と受け継がれてきた、
千利休の精神。
時間に耐えうるだけの、本物があります。
それを見ること体験することって
すごいことです。

そして、茶の湯とは、
命のやりとりに似たところがあるのかな、
生命そのものをかけているのだな、と
感じました。

ぎりぎりのところで歩んできた茂木さんだからこそ、
それを受け取ることができたのでしょうね。

その場に自分が置かれたらどうなるのだろうか・・・
一瞬、考え込んでしまいました。


このような機会は凡人の私には
ないかと思われますが、
茂木さんが日記を通して開放してくださるので、
時間を超え、千利休の精神を宿した千宗屋さんのお茶を
追体験させていただくことができます!
ありがとうございます!

投稿: ももすけ | 2008/06/20 9:43:01

おはようございます茂木博士。


お忙しい中での「重窓」での一時は、癒しと高揚のお時間だったようですね。

軸から花入れへと、丁寧なおもてなしの描写に、私も癒されました。
掛け軸の絵と尺八の花入れ…どんなお話だったのでしょう。
人から聞いた話では、茶室に入る前の洋式のモダンな部屋からは、東京タワーの全景が見えるとか…

心眼をもって魂をたてるが如くなお姿を、一度拝見した事があります。そして、掛け軸、花、花入れ、その他全てが一つの巨大な流れとなっていく空間。
流れに身を任せた博士が感じた衝動。

お読みしながら“あぁ…これこそクオリアなのだ”と感じました。

“おもてなしのこころ”というクオリア。
心に残るお話でした。


今日は朝から何となく蒸し暑いですね。おからだご自愛くださいませ。
では(^O^)/

投稿: Marie | 2008/06/20 8:35:15

こんにちわ


クオリアについて、考えていたのですが、脳は情報を「生き物」として扱っている、意識に入ってきたものは、「生き物」になるのではないか?。たとえば、子供が石につまずき、その後、石を蹴る、目覚まし時計を、「うるさい」と言って、止める、テレビの調子が悪いと叩く。つまり、ニューロンと言う生体に情報を取り込まれると、その情報は「生き物」の振る舞いをするのではないか、「クオリア」と「生き物」は、近い関係にあるのではないかと考えた次第です。


写真の中の住吉美紀さんのペン、天才バカボンのボールペンでしょうか?NHKのプロフェッショナルの打ち合わせ室に「天才バカボン」なんか面白いです。(^^)

投稿: 生き物のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/06/19 17:31:29

茂木さんのサイン会で私は左の手を差し出し、茂木さんは右の手を出されていたとか、同行した人達から散々いわれております。「何か違和感はあったのですが緊張していたのかよくわからず…。」私は両手利き腕みたいなところがあり失礼いたしました(笑)茂木さんにお聞きしたかったのは「アンブックスを読むきっかけ…」だったのですが、茂木さん「Uh…何だったかな?!」と。イラストをいっぱい?描いてくださっていたからなのですね。それも後で気付きました。私は一度、取材を受けた事があります!「アンブックスとの出会い」について。宝物です。

投稿: 茂木さんの崇拝者より | 2008/06/19 16:42:41

今日は。横浜美術館、行きたいですねー。茶の道は奥深く亭主による掛け軸・道具にはもてなす人を思う気持ちが表現されているのですよね。しばし見つめ、その思いを受け、そして感じる…今となっては死語になりつつある“奥ゆかしさ”なる心の世界、素晴らしい日本の文化と歴史がそこにはありますね。精神の自由や未だ見ぬ本質とは…とても難しい事ですが多くの制約があり意識ある中でそれを受け守ろうとする心が働くからこそ美しいし、輝くものだと思います。好きなこと、大切なものは何かを知っているうえに在るものかと…。ところで握手と言えば…

投稿: 茂木さんの崇拝者より | 2008/06/19 16:14:37

朝一番。クオリア日記を見に来ます。
昨日は、ちょっと寂し。
お仕事プラスαで…と考えると、すごいです!

見に来てコメントを書いていく…この流れ、なんだか呼吸のよう。

投稿: 奏。 | 2008/06/19 15:57:25

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