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2008/05/19

楽しかった夜が明けて

土曜日。

帝国ホテルにて、塩沼亮潤さんと
対談。

塩沼さんは、1300年の歴史の
中で二人目という大峰千日回峰行
を達成された方。

さらに、9日間飲まず、食わず、眠らず、
横にならずという「四無行」も
達成された。

四無行の5日目に、一回だけ
うがいをすることがゆるされる。

一つの器に盛られた水を
口に入れ、うがいをして、
もう一つの器の中に吐き出す。

この時、量が少しでも減っていると
「飲んだ」と見なされて
行は失敗と判定されるのだという。

「口に含むと、もうそれだけで、
ほほの内側の細胞がチュルチュルと
吸収し始めるのですよ。」

と塩沼さん。

机の上に置かれた茶碗を
指して、塩沼さんは言われた。

「こうやってここから見ていると、
向こう側の模様は見えないでしょう。
あっち側に行って、始めて見える
模様がある。
それと同じなのです。」

自分の限界を見きわめる
といことを、文明の中に生きる
人間はあまりやろうとしない。

千日回峰行も、四無行も、
人間が耐えることのできるぎりぎりの
レベルに設計されている。
古からの智恵なのだろう。

「四無行も、10日になったら、死んでいる
でしょうね。」
と塩沼さん。
  
難行を達成するためには、
ペース配分を十分に考えなければならない。
自分の身体、精神が今どのような
状態か、ありのままに見つめる
ことが大切だと塩沼さん。

自分の至らなさ、不完全さに
ついて日々振り返り、
欠けることのない円を
目指す日々。
 
非日常的な修業と日常は
一つながりになっている。

「日経Kids +」の取材を受ける。

電通の佐々木厚さんと、
東銀座のADKへ。
 
日本広告学会にて講演。
人間の脳の創造性のメカニズム、
感情、そして広告の未来について。

エイベックスの岩瀬恵美さんが
迎えに来て下さり、
佐々木さんと移動。

渋谷のタワーレコードにて、
「すべては音楽から生まれる」
CD版のトークショウとサイン会。

トークショウは、音楽評論家の
片桐卓也さんと一緒に。

一生懸命にサインをした。
サインペンで太い線を描いて、
いくつか「新作」ができた。

湯河原へ。

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のスタッフの合宿。

ふだんずっとハードスケジュールで
働いている皆が、楽しみにしている
レクリエーション。

着くと、もう宴会は始まっていて、
有吉伸人さんが楽しそうに
佇んでいた。


佇む有吉伸人さん。

今回の幹事である赤上亮さんと
本間一成さんが、ギターを片手に
余興を始める。

それが、ミュージック・スタートの
準備だった。

場所を移し、カラオケを歌う。

最後に、番組の主題歌、
kokuaのProgressを皆で歌った。

住吉美紀さん(すみきち)が、
歌詞が出ているテレビ画面にしがみついた。

三次会では、大いに談論風発。

翌朝、山本隆之さん(タカさん)は
部屋の床で気持ち良さそうに
眠っていた。

しばらくして、むくっと起き上がった
タカさん。
さわやかに、河瀬大作さんと話している。

楽しかった夜が明けて、
何となく名残惜しげな、
そして満ち足りた朝。

前夜に見た、須藤祐理さんの
「関取」のような姿が、瞼に残像となり甦る。

横浜美術館へ。

カンディ・ハウスの創業者で、
会長の長原實さんと対談。 

横浜美術館の天野太郎さんの
発案で、非常に興味深い展示
空間がつくられた。

カンディ・ハウスの家具と、
フランシス・ベーコンの名画が一体と
なっている。

特別に制作された巨大な椅子もある。

長原さんは旭川で生まれ育ち、
若き日に片道切符だけを持って
ドイツに行った。

「人生で、三回、すっからかんに
なってしまいましたよ。」
と笑う長原さん。

筋の通ったロジック、遠い夢を
あっけらかんとした行動力で実現して
しまう長原さんのお人柄に魅せられた。

終了後、美術館の8階で懇親会。

横浜美術館の方々は、とても元気である。
いつもお世話になっている八柳サエさん、
木村絵理子さんを始め、
皆仕事を楽しんでいる。
明るく前向きである。

窓から見える港未来の風景は、
「今、ここ」のかけがえのなさを
運んできてくれた。

How to pin down the origin of the individual uniqueness of each quale is perhaps the hardest of all the hard problems. In some time to come, it may be possible to describe the process in which the qualia and the self emerge as the result of interactions between events in the brain. Even with that theory, it may still be difficult to account for the uniqueness of the redness of red, why it should be this particular sensation.
Take any simple objects around you, say, the coffee mug. As you look at the coffee mug, the image consists of a distribution of sensory qualia, the gradation, the sheen, the texture, the volume. If you then ask yourself why and how the visual sensation should assume this particular phenomenal quality. It is very difficult to reconcile the acute individuality of a single quale with the description of the universe constructed in terms of mathematical formulae. If you face a single quale in earnest, that single quale becomes equal to the whole universe. ([48])

5月 19, 2008 at 08:26 午前 |

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コメント

<非日常的な修行と日常は一つながりになっている>

私は比叡山で回峰行を2回も達成された、別の方の新聞インタビューを今年読んで、深く感じ入ったので、少し書きます。

この人は一時期東京でラーメン屋をやっていた時のことを引いて「大回峰とラーメン経営は同じ」と答えた。
毎日毎日が仕込み、店の掃除、販売、収支計算、掃除の繰り返し。
これらをいかに丁寧に休まずするか。これだけ、と答えておられた。
大回峰でなにも非日常の特別な悟りを得たわけでもない。

「神は細部に宿る」

投稿: | 2008/05/20 2:53:15

こんにちわ

塩沼さんの話を聞いて、海で遭難して、水や食料が無ければ10日が限度だ、と、言うのを思い出しました。


タカさんの、寝ている姿、縦にすると、ロシアにありそうな銅像のポーズをしているようですね。(^^)

投稿: | 2008/05/20 1:15:09

茂木さん、おこんばんは。
雨ふりです。
あたしのココロには静かに陽射しが差しこんでいます。

さきほど年若い友人とたわいのない話をしていました。受け応えしているうちに、あたしのモヤモヤに対して自身の中に答があることに気がつきました。

こういうことはよくあって、そのつど(な〜んだ!)とあたしを笑い飛ばす。

てくてく夜道を歩いていたら、どうして茂木さんの小走り(サイン会での)が瞼に焼きついたのか、わかってきました。(急いでいらしたのかもしれませんが)周りが見えている冷静さに「今ここ」を強烈に感じた瞬間だったから。
茂木さんが普段おっしゃっていることと現実が一致していることを目の当たりにし、感服いたしました。
(すみません。疑い深いもので)

投稿: | 2008/05/20 1:13:27

>「今、ここ」のかけがえのなさを
この言葉に巡り会えたのは、やっと数年前のことでした。言葉として知るということではなく、この状態を体験したのでした。それまでは、精神的に右往左往して、どこにも行き着かない、あちこち探しても、どこにもない状態でした。結果、苦しくても、腰を据えて「今、ここに」集中するしかなかったようです。
それが逆に展望を開いてくれました。でも、右往左往は無駄ではなかった。"nowhere"まで行き着いて、"now","here"を見ることができたからです。
普通の意識の中では、uniqueness は時間とともに、commonness(mundaneness)へと推移するのでしょうが、「今、ここ」にとどまることができれば、uniquenessは、noveltyを伴った「未知」とともにある、ことに気づきました。
だから以前の私には、mundaneだった道端の草花、石ころ、雲、風……、今は、新鮮で、未知で、かけがえのない「友だち」です。ということは、クオリアは「生きて」いるんですね!
フロイトはかつて、「精神分析の役割は、病的な惨めさ(hysterical misery)を、通常の惨めさ(common unhappiness)に変えることだ」と言ったそうですが(笑)、ともすればcommon unhappinessに甘んじてしまう私たちを引き上げ、uniquenessとnovelty、unreasonableなhappinessに浸らせてくれるのが、「今、ここ」なのだと感じました。

茂木先生が毎日お元気なのは、簡単のようで、実は超難しい「今、ここ」を実践されているからなのでは、と推察しました。

投稿: | 2008/05/19 23:07:15

「工事中 散歩で築く 抜け道よ」

「広がれ僕の地図」

僕の散歩道
工事中の看板があって
僕とママは 少し 遠回りする

初めて通る道かもしれない
ぼこぼこしていて 心配だったけど

キラキラ光ってる 小川があって
サワサワって 森が 歌うんだよ
小さな翠の鳥が横切ってね
お空が 綺麗だったんだよ

小さい頃 通った道かもしれないね
砂利の 細〜い道なんだよ

向こうの畑で 何か植えてるおじさん
あっちの奥の方に 木彫りの熊がいた
ひらひらって 木の葉が落ちてきて
ぴかぴかって 魔法みたいだったよ

僕のお散歩 白地図が 広がってく
色塗りは まだ 終わらない
だって やっと 始まったばかりだもん

素敵な色を 塗っていきたいね

春は 桜の色で
夏は ひまわりの黄色
秋は 向こうのお山の色と
冬は 雪と霜柱色だよ

色んな色を 塗っていきたいね

ほら 見て
広がっていくよ 僕のお散歩道 白い地図
ほら 見て

僕のお散歩 白地図が 広がってく
色塗りは まだ 終わらない
だって やっと 始まったばかりだもん

健一郎先生の言葉って 少年を イメージしちゃいます
井上陽水さんの 少年時代が 流れます

お仕事 大変ですよね
体 気をつけてください、ね

投稿: | 2008/05/19 21:40:37

こんばんは。

お元気で何よりです。

今日の日記でご紹介の、カンディ・ハウスのサイトを拝見しました。スッキリとして、落ちつきと温かみがあり、かつシャープな佇まいの家具たちに、惚れ惚れしました。

サイトのデザインも、家具のそれとマッチしていて、とても素敵なものに思えました。

湯河原での合宿のお写真、「プロフェッショナル」のスタッフの皆様がとてもリラックスしていて、楽しそうですね!

山本タカさんの寝姿、とても気持ち良さそうで、いいですね。(微笑)


CDのサイン会にお邪魔し、また横浜美術館でのご対談を拝見しようとは思いましたが、すでに先日の朝カルでお目に掛かっているので、敢えて泣く泣く(?)我慢しました…。


毎日の生活の中で、自分の限界を見極めることなど、確かに私達はしていない、という感じがする。

けれども、少なくとも私自身にとっては、この毎日こそが「我が生命を限界まで磨く“修行”」なのだ。そう思って煩雑な日々を、生きることにしている。


今『思考の補助線』を再読し、この世の様々なこと、対立する物事などについて深い思索を廻らせる、博士の思考の軌跡を辿りつつ、万物について、深く広く思いをめぐらすことが、人生にとって如何に大きなものになるか、ということを、奥歯でピーナツを噛み締めるように、心の歯で強く噛み締めている。


これから初夏が過ぎて、入梅のシーズンも近づいて来ました。御存知のように、台風のシーズンにも突入しています。

今日はこの辺で失礼します。

p・s・ご体調には十分に気をつけて下さい。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/05/19 19:42:08

楽しそうな夕べ。

普段の現場を離れ、皆さんで ワイワイして そのワイワイのパワーを現場の結束力にする。。


こんな感じがしました。

同じ方向を向いた仲間たちと楽しく、同じ時間を過ごすのって素敵だなぁと感じました。

投稿: | 2008/05/19 15:36:45

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