指がポキっと鳴った
耳にするところによると、小腸や大腸など、
消化器系の疾患に対する手術を
行った後、
いわゆるホウヒが観察されると、
それは治癒の明らかな徴候であり、
お医者さんや看護婦などの
メディカル・スタッフは
「おめでとうございます」
と言うのだという。
韓国に行く直前に派手な突き指を
した左手。
ずっと薬指が痛かった。
昨日の朝、ふと無意識に指を
ポキポキと鳴らす私がいた。
まず右手の小指。ポキ。
右手の薬指。ポキ。
右手の中指。ポキ。
右手の人差し指。ポキ。
左手の小指。ポキ。
左手の薬指。ポキ。
左手の中・・・あれっ?
左手の薬指がポキっと鳴った!
うれしくて、一日中、時々
左手と右手の指をポキポキ鳴らした。
ポキ。ポキ。
いやあ諸君、指が鳴るということは、
実に素晴らしいことですね!
早稲田大学国際教養学部の授業。
記憶のシステムについて概説した。
short-term memory
long-term memory
working memory
episodic memory
semantic memory
declarative memory
procedural memory
transient global amnesia
patient HM.
このうち、HMはepilepsyの治療のために
海馬を含む脳の部位を除去したが、
その結果海馬が新たな記憶を
形成することができなくなった。
HMは、結果として、記憶研究の
大きな進歩に貢献することになった。
長い間イニシャルのみで知られ、
1926年生まれであることなどを
除けば
そのプロフィールの詳細は
公開されていないHMだが、
80歳を超えた今でも生存しており、
アメリカのNational Public Radio
でそのインタビューの一部を聞くことが
できる。
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=7584970
この中で、HMはインタビュワーと
会話する。
「今、アメリカの大統領は誰ですか?」
「わかりません。私はものを覚えることが
できないのです。」
「男の人でしょうか、女の人でしょうか?」
「おそらく、男の人だと思います。」
「イニシャルは、GBです。助けになりますか?」
「いいえ。助けになりません。」
HMは新たな長期記憶が形成できなくなったが、
知能は正常なままであり、会話も
普通に行うことができる。
HMの物語や、幼児期の偽の虐待記憶を
「思い出して」しまうfalse memory syndromeの
話などをして、記憶というものの
不思議さを実感してもらった。
新潮社。「旅」編集部の
葛岡晃さん、吉田晃子さんと
打ち合わせ。
写真を撮っていたら、葛岡さんが
「どうせだったらツーショットがいいでしょ」
と吉田さんの隣りに座った。
「どうせだったら、旅をもっていた方
がいいでしょ。」
「どうせだったら、下から煽るように
撮った方がいいでしょ。」
「どうせ」が重なって、「旅」
についてのproduct placementの
写真が出来上がった。
「旅」の葛岡晃さん、吉田晃子さん
この二人が作っている雑誌ということは、
きっと必ず面白い!
ソニーコンピュータサイエンス研究所。
脳研究グループの会合。
石川哲朗がone-shot learningに関する
最近の「勉強」の成果を紹介する。
田谷文彦が、working memoryに
おけるselective filteringの
効率にかかわる論文を紹介した。
論文について解説する田谷文彦博士
ホワイトボードに、おそらく
例によって関根崇泰だと
思うが、ヘンな生きものの絵が
描いてある。
そのまわりに、ボクが田谷が
紹介した論文を議論するために
書いた式や図が添えられた。
10年くらい経って、
今のメンバーが地球上のさまざまな
場所に散らばった頃、
このような光景を見ると
「ああ、懐かしい」と思うんだろうな。
なんとなくそうしたくなって、
指をポキポキならす。
小春日和の匂いがした。
A human being is able to reflect on the his or her own mortality. We perceive that death would certainly come one day. All religion, metaphysics, philosophizing in history have been a desperate effort to somehow come to terms with this brutal fact. As the ultimately imminent death is such an integral part of our spiritual life, it comes as a revealing shock to realize that animals most probably do not perceive their fate when near death. In the wild daily, thousands of creatures meet their final destiny without realizing what is happening to them.
In Richard Wagner's music drama Der Ring des Nibelungen, Siegfried is depicted as a brave hero who does not know what fear is. Siegfried is not afraid even when he fights with a terrible dragon (Hafner). He finally learns what fear is when he encounters a beautiful woman (Brunnhilde), realizing that she might refuse his love, in a poignant observation of human psychology.
When Siegfried falls to Hagen's malicious sword in Gotterdammerung, he continues to remember his meeting with Brunnhilde, oblivious of the fact that he is going to die very soon. This depiction of Siegfried at the final moment as a world-saving hero who falls prematurely is reminiscent of the conditions of wild animals at the time of their deaths. Siegfried dies without a knowledge that he is bidding farewell to this world. A truly terrible and yet world-shatteringly beautiful artistic achievement. [51POL]
5月 22, 2008 at 09:19 午前 | Permalink
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もしも、神を気取りたいなら、
もう少しはまともな組織力を持つ天使を雇ってくれたまわれ。 [続きを読む]
受信: 2008/05/22 20:30:53
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言葉の主観的意味は、クオリア。そして、いずれの物理的事象(電磁波、耳の周囲に存在する気体分子の振動、運動量(圧迫感))によっても、言葉の意味は脳内で生起される。そして、その言葉を使って、私たちは意識の起源の解明に迫ろうとしている。
言語によって意識の....... [続きを読む]
受信: 2008/05/22 20:38:28
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やっぱりいま振り返れば、サザンオールスターズの『キラー・ストリート』はビートルズ [続きを読む]
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「倹約取究」のような郡中議定をみると、
近世後期には
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我が家の古文書からもうすこし読... [続きを読む]
受信: 2008/05/23 5:58:47
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コメント
HMのインタビューを聴きました。新しい長期記憶が形成できないはずなのに、手術後に起きたケネディ暗殺事件やインタビュアーの名前を覚えている、というのはどういうことなのか。人間の脳の持つ測り知れない可能性に驚愕します。静かなピアノの音色の中でのインタビューには何とも言えない哀愁を感じずにはいられませんでしたが、最後に自分が「幸福だ」と言い切る場面、聴く人全てが勇気づけられるのではないでしょうか。Spiritが脳の手術に影響を受けなかった、という結論も興味深かいものでした。
投稿: (マ)ゴグ | 2008/05/23 1:28:17
茂木さん、こんばんは(^0^)★
突き指、長い間痛かったんですね(>_<)
私も痛いのは大嫌いです
茂木さん大変でしたね。
でも、小春日和のなか、指をポキポキならせるようになって本当に良かったです
こちらは、ついに昨日から梅雨入りですよぅ~
例年より二週間も遅い梅雨入りですが。
これは、梅雨がずれ込んで涼しい夏になるのか、
梅雨が短く水不足になるのか…
ちょっと心配です。
茂木さんの海馬と記憶の日記を拝読して…
色んな考えが巡ったのですが、
なんだか今日はうまくまとまりません
「旅」編集者のお二人の写真は、ホントに楽しそう
あー私も旅に出たくなってきました(笑)
関根さんのイラストと思われる、二足歩行の猫?、
もしかしてドラえもんのご先祖様でしょうか
今、私の脳にキョーレツなインスピレーションがッ(笑)
ではでは、
今日はもう眠いので、この辺りでコメントを閉めたいと思いますm(__)m
投稿: ももすけ | 2008/05/23 0:41:51
指ポキは完治の証拠。よかったですね!
残念なことに私は指ポキができません。茂木先生、ひょっとして体育会系ですか!?
最近私は、けがややけどをしたとき、とりあえず応急処置をして、あとは自分の体に心から謝ります。すると、不思議なことに痛みが続かず、治りも早いことに気づきました。最初は自分でも信じられませんでした。
でも考えてみれば、都会の雑踏の中ですれ違いざまにぶつかったときなど、すぐお互いに「ごめんなさい」を言えば、その痛みがスーッと消えていくことは、よくあることですし、それが自分にも応用できることなのかなあ、などと勝手に納得しています。
ところで、指ポキはだめでも、指パッチンは両手共できます。条件さえ整えば、火の用心の拍子木の音みたいに大きい音が出せます。あと、口に指を入れて、「ポン」とシャンペンを抜く音も出せます(どちらも自慢にはなりませんが)。
関根さんの絵、傑作ですね(笑)。この絵と、茂木先生のレクチャーの板書とのアンバランスさかげん、奇妙なユーモアの雰囲気も、なかなかですね。
これを見て、ペンローズのパブリック・レクチャー(at Perimeter Institute)をネットで見たときのことを思い出しました。
プロ並み!?の自筆のマンガが描かれたOHPシート何枚も出して説明していたのが、とても親しみが持てて印象的でした。
ジョン・サールも、Byond Dualismという講演で、下手ながら爆笑ものの絵を描いたOHPシートを出して、大いに受けていました。
真面目さ+ユーモア=脳の活性、だと感じました。
本日も楽しいブログありがとうございました。
投稿: 遠藤芳文 | 2008/05/22 23:13:57
健一郎先生も 幸せ者、
カモノハシさんも 幸せ者
ここのコミュニティは コロニーみたいで 好きです
言葉を置かさせて頂けるだけで
私も 幸せ者、ね
ありがとうございます
「凸凹のはなし」
僕は 凸凹で
私は 凹凸、ね
二人は 二人で 二人前
アイツが 凹凹で
コイツは 凸凸、か
それでも やっぱり 二人前
私は 凸凹で
僕が 凹凸、だ
時々 代わりばんこの 二人前
ついでに ご飯も 二人前♪
「わたし」を 大切にしたいものです
「あなた」を 大事にする為にも
では、
茂木研究船 船長殿
本日も お疲れ様でした!
で、
おやすみなさい
投稿: hi | 2008/05/22 22:37:37
茂木先生 こんにちは♪
突き指 良くなって良かったですね!先生のポキポキで中学の時、男子がやっぱり指をポキポキ 鳴らしていたのを思いだしました。ほんとによく鳴るんですね~。もうバキバキって感じで鳴らしてました。どうゆう訳か 関節をポキポキすると指が太くなると思っていて 私はやったことはないのですけど、でも一度鳴るのかやってみたら 上手くいかなくて鳴りませんでした!その代わり?足首ならポキポキ鳴らせます!足首をクルクル回すとポキポキ 音がします。足首は回すほど細くなる気がして 時々クルクル回してます。指のポキポキは 懐かしい中学の男の子の音です! 音や 音楽は思い出を一瞬に甦らせてくれます。 ところでそのあと指太くなってませんか?突き指すると指が太くなると言うのもウワサでしょうか?まだまだ油断は禁物です!まだまだお大事は続きます♪
投稿: 平井礼子 | 2008/05/22 21:34:32
…突き指がよくなられて、よかったですね!
ところで、私は幼少の頃に初めて、手足の指の関節がポキポキ鳴る面白さに気付いて、それ以来、遊びでポキポキ鳴らしているうちに、手指のほうの関節がココロなしか、太くなってしまったようです。
記憶というのは、本当に不思議なもので、普段はなかなか思い出せない記憶が、外部の刺激(例えば、TVなどで「なつかしの映像」などを見た時)、“あったあった、そういえば、こんなことが!と明確な形をとって、ぽっと思い出されたり…。
兎に角、いろいろな「形」や「色」をもって、我が脳の中に仕舞われた様々な思い出が、何かの拍子でぽっと出て来たりする。
ところで、私はよく、小さな頃を思い出すと、何故かボロボロと、必要以上に涙を流して泣くことがある。
とてもたまらなく、懐かしくなって、じわ~んとした思いが胸いっぱいになり、涙となって、溢れてくる…。
我が幼い頃からの、長期記憶の為せる技なのかもしれない。
(これって、自分だけなのかな?)
記事の内容とずれるけれど、以前に喘息の薬の副作用で、それまでの膨大な記憶も、言葉も失われてしまった人(高次脳機能障害)のドキュメンタリーを見たことがある。見ていて、言葉を失った。
それまで蓄積していた高度な知識、話していた言葉にいたるまで、その副作用で失われ、まるで赤ん坊に戻ってしまったようなその人の姿に。
けれどもその人の中にも、以前の自分の記憶は残っていて、言葉を発することも出来なくなった今の自分に対し、もどかしさを抱えていることは、TVの画面を通して、確かに伝わってきていた。
副作用などの事故やepilepsy(癲癇)の手術等で以前の「自分」ではなくなってしまった人達も、限りある生を懸命に生きている。今日の日記を読み、そんな思いがよぎった。
(滅裂な文にて、何卒お許し下さい)
投稿: 銀鏡反応 | 2008/05/22 20:49:42
茂木さん、おこんばんは。
つき指、治ってよかったですね!
この3日間のクオリア日記から、あたしの中にまた発見がありました。無意識の中にあるものを適当な言葉ですくいあげられずにいますが、知る楽しみを存分に味わいたい。
投稿: 柴田愛 | 2008/05/22 18:26:17
今一番気に入っているネイルカラーはシャンパンベージュ(ピンク系のパールの入ったベージュ)にスパークリングゴールド(金の細かいラメ)を爪の先でグラデーションします。海の泡かな。。
ところで、島田雅彦氏は、ネイルアートがとてもお似合いかも。中年作家が、ある日、突然、ボチチェリのビーナスになりたくて、絵画内部に意識を存在させる、そして、起こることは?
博士、怒らないでぇ!
投稿: Nezuko S | 2008/05/22 17:11:53
こんにちわ
突き指が治ってよかったですね、キーボードOKですね。
ファイヤーキャット・アンド・ホットドックと数式のホワイトボード、絵を数式で表しているように見えます。(^^)
投稿: ファイヤーキャットのクオリアby片上泰助(^^) | 2008/05/22 13:35:23
指が鳴ったといふ事は…
おめでとうございます!
その間…ご主人様には申し訳ないけれど、指さん達は、ゆったり と骨休めできたかしら。。
と、こんなコトを思いつつ。
てんかん の治療で海馬の手術をしたHMさんの事を考えています。
なぜだか頭を離れない。。なんでかしら。
この感じなんだろう。
投稿: 奏。 | 2008/05/22 11:35:35
突き指完治されたとの事、とても嬉しいです
ポキポキ指を鳴らすと、指が太くなると祖母に注意されました。
迷信?
実は「林檎のシャリシャリ音」が苦手で、鳥肌が立つんです
林檎の味は、大好きなのに・・・
林檎の皮をむく時は「歯を食い縛って」やっています
食べる時は「身体をこわばらせて」食べています。
そんな無理をせずに、食べなければいいんだけど・・・
そのかわり黒板のチョークのキー音や、ガラスの引っかく音は、平気なんです。
石川さん、頑張っていますね
関根さん、絵本を出して欲しい「茂木先生と仲間たち」
投稿: 玉露 | 2008/05/22 10:58:10