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2008/05/05

「魂の領域」が始まる

六本木のインボイス劇場で、
ブルーマン 
の公演を見る。

先立ち、ブルーマンの三人と
記念撮影をした。

昨年、ラスベガスの学会に行った
時に見て、とても面白かった。

現代アートのセンスが活かされていて、
批評性もあり、
それでいて言語に依存しない、
小さな子どもからお年寄りまで、
誰でも素朴に楽しめる、
完成度の高いステージが
日本でどのように受け入れられるのか、
楽しみだった。

インターネット・カフェなどの
モチーフを入れて、東京に
「ローカライズ」されたステージは
観衆を巻き込んで
あっという間に過ぎていった。

アルベルト・アインシュタインは、
かつて、「相対性理論」の意味を聞かれて、
「かわいい女の子の横に座っていると
一時間はあっという間に過ぎてしまうけれども、
熱いストーブのすぐ横にいるとものすごく
長く感じられるでしょう。それが
相対性理論です。」
と答えた。

ブルーマンの時間は、またたく間に
過ぎる。

どれくらい経ったかな、と
腕時計を見る者など一人もいない。

皆さん、ぜひ見に行ってください!


ブルーマンの三人と。

青山、国連大学裏のテレビマンユニオンで、
早稲田大学ラグビー蹴球部
の中竹竜二さんと対談する。

「頭の中身の70%はラグビーで
できている」
花野剛一さんがプロデュース。


中竹さんは、自分には誰をも惹き付ける
カリスマ性などないとしきりに謙遜される。

中竹さんが重視するのは、
リーダーシップよりも、フォロワーシップ。
一人のリーダーの資質をうんぬんするよりも、
構成員がいかにヴィジョンを追って
自ら考え、工夫し、行動するか。
自律分散的なシステム構成原理を
大切にするのである。

中竹さんの「スタイル」に関する
哲学は、たいへん興味深いものだった。

自分自身がどのような考え方、
行動の仕方の「スタイル」で生きていくか。

そのことを、自分自身に対して、
あるいは他人に対して明らかに
することによって、コミュニケーションが
育まれる。
チーム・ビルディングができる。

もちろん、生きていく中で、
何が起きるかあらかじめすべて
予測しておくことはできない。

スタイルや、セオリーが通用しない
局面に達した時に、「魂の領域」が始まる。

しかし、最初から直観や本能にすべてを
ゆだねてしまうのではなくて、
たとえmock upでもいいから、
自分のやり方、仮説のようなものを
確立しなければならない。

「魂の迫力が必要とされる局面は
当然ある。しかし、セオリーやスタイルで
行くことができる場所まで、
何の方針もなしにいくことは
意味がないでしょう」
と中竹さん。

緻密な準備をして、その「壁」
が破れ、「ここからは魂の領域だ」
と自己を解放する瞬間、なにかが
始まるのだという。

スタジオには、早稲田大学の
選手たちが、2008年1月12日の
大学選手権決勝を前に記した寄せ書きが
置かれていた。

まずは監督と出場選手が大書きし、
レギュラー陣が退室した後で、
100名を超える控えの選手たちが
思い思いに励ましの言葉を
書くのだという。

出場選手は、試合当日、ロッカールームに
来て初めて寄せ書きを見る。

「中には、読んで、泣いているやつも
いますよ。」と中竹さん。


大学選手権に向けての寄せ書き

大学選手権で優勝して日本一になった
時にだけ、部歌「荒ぶる」を
歌うことができる。

普段、「荒ぶる」を口にすることは
許されず、ただ、年に一回、
合宿の時に練習するだけなのだという。

大学選手権のトロフィーのような、
「外から与えられた」栄誉よりも、
むしろ自分たちの歴史の中から
育まれた「荒ぶる」を歌うという
栄誉の方が、最高の夢として
感じられるという早稲田の選手たち。

そこには、「達成」の基準を自ら
律するという、類い希なる叡智が
あるように感じられた。
 
立ち会っていた電通の佐々木厚さんの
目がキラリと光る。

「中竹さんのお話は、組織論、
リーダーシップ論という視点から見て、
本当に素晴らしかったです!」
と佐々木さん。


中竹竜二さんと話す佐々木厚さん

打ち上げの席で、花野剛一が
熱かった。

「今度、是枝裕和さんと、テレビとは
何か検証する番組を作ったんですよ、茂木さん!」

カレーを食べながら、男花野が燃える。

「テレビは、いつの間にか、閉じていって
しまったんですねえ。」

「絶対に見てくださいよ。」
という男花野の手を、「おう」と力強く
握り返した。


花野剛一、中竹竜二さんと。

When Richard Dawkins says that God is an illusion, it does not necessarily lead to an atheist's point of view, in that something being an illusion does not automatically negate its psychological or even ontological significance. If we are to take the mind-brain problem seriously, we are faced with the challenge to account for the origin of all the phenomenological entities that inhabit the conscious universe. In the cosmos of consciousness, the very foundation of the existence of everything that is to be perceived is actually one that is "illusory" in the conventional sense. The solution of the mind-brain problem would involve some forms of theorizing equating existence with illusion, the illusory school of ontology. ([36])

5月 5, 2008 at 09:28 午前 |

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受信: 2008/05/06 5:21:10

コメント

茂木先生 こんにちは♪
昨日の投稿の続きです。十日の朝日新聞で、茂木先生が書かれていたブルーマンの広告のコメント 拝読いたしました。そこに私が疑問に思っていた 青塗りの理由が書かれていました。
ブルーマンの青は“空と宇宙の間”を想起させる質感があり、人類の進化を暗示しているように思えます。と…
私は深くも考えずに単純に考えてました。色ひとつとっても 深い意味があったんですね。あれだけのパフォーマンスやるんですから すべてに意味があるのは、それはそうですね。色に疑問を持ったこと自体は良かったと思ったのですけど…
昨日の疑問が すぐ解決して気持ちも青空のように スッキリしました。
ありがとうございました。

投稿: 平井礼子 | 2008/05/10 18:30:51

茂木先生 こんにちは♪
ブルーマン見ました。ずいぶんロングランですね!私が見た時はまだ 寒い時で、けやき坂の スタバの外にストーブが出ているような冬でした。ブルーマンはどうしてブルーマンになったのでしょうか?他の色でもいいのに…
舞台映えするから?呼びやすいから? どうでもいいことですけど まず思ってしまいました(笑)
とっても面白かったです!
ただCMでは もっとペンキが飛んでいたような?日本版なのでしょうか?後ろに座っていたので 飛んで!飛んで!と思ってしまいました(前の席の方ごめんなさい)
客席全員参加!もあるしまだの方は、ぜひご覧になってくださいね。最後にブルーマンが外に出て来てくれるので写真もとれますよ!

投稿: 平井礼子 | 2008/05/07 12:29:19

魂の領域、という表現に惹き付けられて、腕組みして考える姿勢をとりました。人事を尽くして天命を待つ、という標語が浮かびました。禍福はあざなえる縄のごとし、とも。自分には不運もあるが、おおむね守護天使に護られている、とか。人の運不運は相対的であること。柳沢桂子さんの「生きて死ぬ、般若心経解釈」の中に余りにも明らかに、物質の基本様相が解き明かされていたこと。あるいは、親鸞の「言葉」に見られる阿弥陀如来の決意、イエスキリストの衆生を救うという決意。無神論でありながら苦しみの中で求めてしまう「神」の救いの手。真理を求めているのはこの脳であること。これらの思いを体系化することもできないもどかしさを感じてオチとなりました。

投稿: logo26 | 2008/05/06 18:08:05

こんにちわ

Kim Peekさんの事を思い出したのですが、Kimさんのような人は、心の代償に、特殊な能力を持つと、言われているらしいですが。
それを逆に考えれば、「忘れられた記憶」「使われていない能力」によって、「心」は生まれているのでは?、と、考えたりしました。


ブルーマンの中に「フッサフッサマン」が!!・・・ブルーマンの写真より。(^^)

投稿: 心のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/05/05 19:29:28

ブルーマンの公演は、見てみたいものの一つです!
きっと見たら忘れられないドキドキとワクワクが沢山つまった一時だと思います。


アルベルト・アインシュタインの「相対性理論」の意味の答え、思わず ふふふ…と笑ってしまいましたが、納得です。言葉が胸に、ストンとおちました! 


もがいても良いから、前に進みたいです(^ ^)

またエネルギーをもらいました。ありがとうございます!

投稿: 奏。 | 2008/05/05 14:38:48

こんにちは。

おとといのラ・フォル・ジュルネに行った時、オーケストラの素晴らしい演奏が流れている最中、この時間がいつまでも過ぎないでおくれ、永遠であっておくれ…!と一瞬思った。でも、素晴らしい時間はあっと言うまに過ぎ去ってしまった。

「瞬く間に過ぎた」と思う時といえば、楽しいものを見ている時の他に、思う存分自分が「好きな何か」に没頭している時もそうだ。

けれども、その時は、心がとても喜んでいたり、弾んでいたりしていることが多い。

アインシュタインは、とてもうまい比喩を使ったものだと思う。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/05/05 13:37:37

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