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2008/05/29

炎(fire)

早稲田大学国際教養学部の授業。

Richard DawkinsのThe Gold Delusionを
引き合いに出して、
神あるいは絶対的な自然法則は
存在するのかという問題を、
自由意志の関係において、
Benjamin Libetの実験を引用しつつ
議論した。

サントリーホール。

東京フィルハーモニー交響楽団の
プッチーニ生誕150年ガラ・コンサート。

リハーサルには、独特の
雰囲気がある。

皆、思い思いの色とりどりの服で、
本番と違わぬ音を奏でる。

ダン・エッティンガーの指揮は
踊るよう。

7年間オペラ歌手をやっていた
と後ほど知った。

舞台は、私が4回ほどステージに
出て、マエストロや歌手たちに
話を聞くという形で進行していく。

韓国出身のハ・ソクベさんは、
「胸からわきあがる炎」
で歌うのだと言った。

炎(fire)。

これこそが、昨晩を記述するにふさわしい
言葉だったのではないか。

私は、時々出たり入ったりしなければ
ならないので、
ずっと舞台のそでで聴いていた。

ダン・エッティンガーは、
「トリスタンとイゾルデ」の
「前奏曲」と「愛の死」を
指揮する直前、
This is such a treasure
と言って舞台に出ていった。

シュー・チャンさんが出ていく前に
「ブラボー、ブラブラボー」
と発声を試したり、
腰越満美さんがすっくりと
立って身体のすみずみまで
調整するかのように
細かなしぐさをしたり。

福井敬さんは理論家。
ヴェルディとプッチーニの違いを
端的に説明し、
プッチーニが、いかに
よく舞台を知っていて、
観客がここで何を求めるか、
どれくらい経つとそろそろ
解放してほしいと思うか、
しっかりと把握しているのだと
語って下さった。

ダン・エッティンガー
と東京フィルの共演はこれで
10回目。

ダンにとっては、東京フィルは
家族のようなものだという。

コンサートマスターの青木高志さん
は、マリオ・デル・モナコ
と出会ってオペラを愛するように
なり、音楽の道に進んだ。

シンフォニーとオペラのバランスを
とることが、指揮者にとっても
オーケストラにとっても大切だと
ダンは言う。

最後に、「アジア三大テノール」
であるハ・ソクベ、シュー・チャン、
福井敬さんがトゥーランドットから
Nessa Dorma(「誰も寝てはならぬ」)
を一緒に歌い、
アンコールでフニクリ・フニクラを
熱唱する。

東京フィルの村尾真希子さんが
言っていらしたように、
何か今まで感じたことがないものが
動いた夜だった。

打ち上げの席で、
ハ・ソクベさんと
腰越満美さんがイタリア語で
語り合っているのを心地よく聴く。

オペラの世界では、イタリア語が
共通語なのだそうである。


リハーサルの際に、ダン・エッテンガーと。


終演後、記念撮影。
今回のコンサートに対して特別協賛
して下さった株式会社マルハンの韓昌祐会長夫妻の姿も。

(photos by Atsushi Sasaki)

In his paper published in the Mind ("The unreality of Time", 1906), The English philosopher J.M.E. McTaggart discusses the great difficulty when we try to reconcile the phenomenology of time as we know it with the convention in the scientific community to represent time in terms of real number along the t-axis.
Memory extends the relevance of time into the distant past. In the case of human beings after the dawn of civilization, in which the written records can tell us things of ancient times, the relevance of time is extended towards the past. When it comes to predicting, humans sometimes can or at least try to predict things in the future, although the existence of chaos makes this in practice and in principle difficult. From the point of view of the functional significance of time for the biological systems, however, only the properties in the vicinity of the "specious present" (William James) [58OOC]

5月 29, 2008 at 09:23 午前 |

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コメント

今晩は。

プッチーニ・ガラ、とても素晴らしい演奏会だったのですね!…今日の日記を読ませていただき、こちらも心躍る思いになりました。

3大テノールといえば、世界のそれと謳われたドミンゴ、カレーラス、パヴァロッティを思い出します。アジアの3大テノールの歌声、聴いて見たかったなぁ。

オーケストラを生で聴くたび、また録音されたものを聴くたびに思います。

自分の好きな音、本当に美しいと思う音の響きは、耳を澄まして聴いていると、心が身から飛び出すように躍動する、まるで炎が燃えるように…。

そう遠くない昔、ある企業持ちのオーケストラの音を聴いた時も、心がわくわくと踊り出したものでした…。

今年のゴールデンウィークにラ・フォル・ジュルネと出遭えて、その時の感動を再び味わうことができた。

ただ、一人で行って聴いてきたので、そのぶんだけ何とも寂しい思いをした。

もしこれが友人や家族といっしょだったら、互いに素晴らしい音楽を聴けた歓びを分け合えたかもしれない…。

ともかく、この命尽きる前(!)に、出来得る限り、いいものを聴きたい。今はそんな思いでいっぱいです。
(…クラシックでも、その他のジャンルでも!)

投稿: 銀鏡反応 | 2008/05/30 20:20:45

先日は、プッチーニ・ガラ・コンサートを鑑賞させて頂きました~♪

大変楽しめました。東京フィル、4方のテノール・ソプラノの美しい響きのある声~。
茂木先生の楽しいトーク~。
サントリー・ホールは大変素敵だったので、すっかりあのホールのファンになりました。オーケストラの後ろはどんなかしらと、気になりましたが、あそこは、オーケストラの方々の譜面が観れる楽しみがあるそうですね。私はS席で向かってやや右手で鑑賞しました。
「運命の力」序曲、「トリスタンとイゾルテ」より前奏曲”愛の死”、蝶々婦人より”愛の二重奏”がお気に入りになりました。
音楽は人を動かす力がありますね~。
急なことでしたが、鑑賞して、音が全身に波打ちました・・。ありがとうございました~♪

投稿: | 2008/05/30 8:05:31

>"specious present"
大地から湧き出て、水のように形を変え、炎のように燃え上がり、風のように消えていく。そして気がつくと、再び大地が胎動し、新たな「地水火風」のサイクルが始まる。文明が始まる前の古代の人々はこんな風に世界を見ていたのかもしれません。
文明はヒエラルキーを生み、ヒエラルキー間の有効な接着剤として、直線的な時間が生まれたのでしょうか。すると労働力が集約でき、サイクリックな時間が支配的な世界では不可能だったピラミッドも建造できる…。

一方、私たちの脳の中では、あの思い出、この思い出は、タイムカプセルとなり、ネットワークのノードとなって、堅固な順序構造を持つ直線時間は解体されているような気がします。
しかし、相変わらず直線時間が幅を利かせている世界では、過去は後悔であり、未来は不安であり、現在は、過去と未来を見つめているヤヌスにすぎないように見えます。
The Time Delusionに踊らされ、「今、ここ」が窒息させられているのが現代なのか、と考えさせられました。

投稿: | 2008/05/30 1:27:27

こちらのブログで演奏会を知り、私も聴きに行きました。
私は普段、多くの楽器から放たれる、極小の音の粒子が降って
くるような感覚が堪らなく、もちろん好きな曲を中心に
交響曲や協奏曲などを良く聴きに行きますが、オペラ自体は、
今までにもほんの数度、観劇したに過ぎず、しかもトスカを
ウィーン国立歌劇場で観劇したときでさえ、後に残るほどの
感動を持って帰れなかった記憶もあり、
特に声楽は未開の域になっていました。

がしかし、茂木先生のブログで、このプログラム(オペラ音楽の
美味しいところだけのアラカルト演奏会?!)を知り、偶然にも
席を確保できて、知人でしかも福井氏と古くから交友のある方と
一緒に、最前列で迫力を体感して、声楽とオーケストラの
シンフォニーの素晴しさに、久々に音楽でしびれてしまいました。

加えて、福井氏に引き合わせて頂き、しかもしかもしかも、
いままで大方の著書を拝読させて頂いて、勝手に好意を抱き、
ひそかに機会を伺っていた茂木先生にもお会いできて、
願ったり叶ったり、心躍る一夜でした。有難うございました。

投稿: | 2008/05/29 21:28:39

The difference of past, present, and future is illusion; however persistent.
----A. E

投稿: | 2008/05/29 20:56:23

客席からのものと 舞台そでから見るもの。
どちらも素敵でしょうね。

出番待ったりで、ゆったりと楽しめたでしょうか…。

クオリア日記にて雰囲気を感じられ嬉しいです!


茂木さんのクオリア日記を知らなければ(見なければ)知らなかった世界が沢山広がっています。
知らなかったから背景も知りたくて本を探して読んだりとか…。

出会えて、きっかけを頂けたこと…とても嬉しく思います。ありがとうございます!

これからも世界を広げていきたいです。


今は、〜(←何とか)フィル等のコンサートや歌劇もテレビで楽しむ事が出来ます。歌劇など初めて通しで見る事ができたものもあり、こういうお話だったんだ!という発見もあり、素敵です♪

その中で、演奏している方々の間近、上方で見ている人達がいますが、あそこで聞くコンサートは、どんなだろう!?と思います。
そしてどういう人が座るんだろ…。。

どちらにしても素敵だなぁ。

投稿: | 2008/05/29 16:38:44

こんにちわ

昨日、「グッド・シェパード」と言う、最近出たDVDを見ました。CIA創立の話なのですが、最後のほうにCIAの建物の入り口に、「汝は真実を知る事が出来る。その真実は汝を少し自由にさせる。」(たぶん、こんな文章だったと思います。)と、書いてあって、主人公が「誰の言葉?」同僚「国家秘密だ」、と、いう場面があります。この言葉は、科学ににも当てはまるのではないでしょうか?元素から原子核への探求が、原爆や、原子力を生んだように、ある事を知れば、それにより何か自由を得られると、言う事では無いでしょうか?

ウィンドウズプログラムを作る場合ウインドウズAPIと言う、関数を使います。その関数の使い方を知れば、プログラミングの自由度が上がるわけです。
絶対的自然の法則は、組み立て可能であり、法則を知れば、組み立ての自由度が高まる、つまり自由意志も高まると言う事ではないでしょうか?

音楽も、そんな所があるのでは?(^^)

投稿: | 2008/05/29 10:20:25

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