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2008/04/04

一回性の真白きスロープ

『脳を活かす勉強法』

の中で書いた「鶴の恩返し勉強法」
を実際にやってみてくれと
本間一成さんが言うので、
ハングル文字を覚えてみた。

どうせなら役に立つことを、
と思い、今月島田雅彦と
韓国に行くので、その時の
ために読めるくらいにはして
置こうと思ったのである。

ハングルについては本当に知識
ゼロである。
少しは事前に見ておこうと
思ったが、やらなくては
ならない仕事がたくさんあって、
白紙のままでNHKに着いた。

会議室に連れていかれて、
二時間でハングルを覚えた。

ちなみに、「鶴の恩返し勉強法」
とは、読む、聞く、書くといった
モダリティを総動員して覚える
というもので、自慢ではないが
その集中力は小学校の頃から
凄まじかった。

なぜ、「鶴の恩返し勉強法」
であるかというと、
「鶴の恩返し」でつうが
「誰も見てはいけない」
と言うように、集中しているところが
あまりにもすさまじいので
「見たなあ」となってしまう
ほどだからである。

本間一成ディレクター、
カメラの愛甲明正さん、
音声の藤村宗信さんが
見つめる中、
集中すると三人がすっと消えて
ハングルを覚えていった。

「なんでハ行が二0になるんだ!」
「ラは「2」か」
「マは「口」なのか」
「アは右で、オは左だな」
「パはAがひっくりかえるのか!」
「無音は空集合か!」

など、ハングルを知っている人には
「あのことか」とわかり、
知らない人には「なんだ、それ」
という奇声を発しながら、
二時間かけて書くこと、読むことを
覚えていった。

ハングルは理論的にできていると
言われているが、感心したのは
「無音」の「0」の記号と、
それから「パッチム」である。

「パッチム」を最初に見た時には、
「なんじゃあ、こりゃあ」
と思ったが、
だんだん親しんでいくと、
「これはいいよ」
「きもちいい」
「やっぱりそう来るか」
と次第に快感になってきた。

そして、時折、明示的なルールでは
描くことのできない
ある独特な感覚のようなものが
かいま見えたような気がして、
基本単語をハングルで書いている
時に、「ここはこうくるんじゃないか」
と感じて、実際にそうだった時には
「やった!」とうれしかった。

知らない分野を学ぶ時の最初の
くらくらするような目眩の感覚は、
何ものにも代え難い。

英語のように慣れ知った言葉では
なくて、初めての言葉を学ぶその
魂の前傾姿勢は、
まさに一回性の真白きスロープ。

チャレンジが終わって
話している時に、
本間さんが、「茂木さん、図書館で
勉強できないタイプですね」
とぽつりと言った。
「どうしてわかりましたか?」
「いやあ、あんなにうるさいんじゃ、
そもそも追い出されてしまいますよね!」

4月24日のスタジオ収録 
にいらした方は、「鶴の恩返し勉強法」
の様子をオンエアよりも先に見ることが
出来ると思います。

住吉美紀さんとお話しする。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
でこれからやりたいことなど。

意識の中で感じられるクオリアの
一つひとつの鮮烈な「個性」
は、その変化と明示的に
共変動する神経活動よりも、
むしろ、すべてのクオリアを
感じる共通の「主観性」の構造に
起源する。

感覚系の神経細胞のネットワーク
がやっていることは、つまりは
外界から入ってくる感覚情報を
整理、カテゴリー化する
ことであるが、そのような
コンベンショナルな作業の
プロセスに寄与する一連の
神経活動の履歴のクラスターを
「私」に感じられるクオリアに
転換するのは、「私」という
主観性構造の方である。

マガーク効果、共感覚、
幻覚などに見られるように、
暗示的な主観性構造がある限り、
そこに感覚的に接続している
神経細胞の活動のクラスターは、
ほぼ「自動的」にクオリアへと
変換される。

同時性の構造を含めて、
暗示的な主観性の構造という
「暗黒大陸」の成り立ちを
明らかにしなければならぬゆえんである。
([12])

4月 4, 2008 at 09:16 午前 |

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コメント

「鶴の恩返し式ハングル語勉強中継」読んでいるだけで
その場面が頭に浮かんできました。
そして同時に「そうだった!わたしもスペイン語勉強するんだった」
とあらためて気づきました・・・!
勉強したいなぁと思っても「先にあれをやらなくちゃ」
と他の事に時間を使ってしまうと
勉強したいと思ったことすら忘れ去ってしまう。。。
脳のはたらきから見たら、あとから、とか明日から、
なんてだめなんですよね。
思いついたらすぐにやらないと
どんどん頭の引き出しの奥にしまわれていってしまう。
茂木さんの本やブログを読むようになって、
脳のはたらきについてはもちろん自分の生活においても
いいヒントがたくさん与えられている気がします。
春を感じながら「すべては音楽から生まれる」を読んで
ココロ穏やかに過ごしている今日この頃です♪

投稿: | 2008/04/07 10:13:37

こんにちは。

ただいま通勤中のバスにて。

昨日の夜、犬の散歩中桜並木は歩道がピンクの絨毯でしたよ。

そして、ちゃんといってまいりました!
また、このお話しはのちほど。

今日も、お仕事がんばってください。
はる。ですね。

投稿: | 2008/04/05 11:29:13

こんにちは。いつも楽しく日記を拝見しています。

>知らない分野を学ぶ時の最初のくらくらするような目眩の感覚

鶴の恩返し勉強法おもしろいですね。つい声に出してしまうっていうの、なんだか分かります。私も「え、なんでそうなるの~?」と「ああ、そうかそうか」とか多分無意識に声を発していて、きっと図書館では勉強できないタイプです。

そう、知らないことを初めて学んだときのくらくらするような感覚、あるいは未知の世界へ探検に出かけるときのようなわくわくした気持ち。
宇宙のことに興味を持ったとき、ドイツ語を学び始めた時、絵を観ることが楽しくなったとき、着物を着るようになったとき、などがまさにそうでした。。。
しかし、その気持ちがいつの間にか薄れて、好きであることはずっと変わりないのだけれど、学ぶ姿勢が長続きしないのが私の欠点かなあ。。。(^_^;)

投稿: | 2008/04/05 10:36:16

 茂木(모기)선생님、
 안녕하세요?
 한글을 습득하셨군요. 역시 머리가 좋으시네요.

 ちなみに모기は韓国語の蚊のことですから、茂木先生は、「蚊先生」になりますね。
 
 韓国で、「Dr.Mosquito」と自己紹介されたら、結構、韓国人にウケるかもしれません。

 そうそう訪韓されるのですね。ソウルですか?それとも釜山?あるいは慶州ですか?
 
 わたくしは個人的には、ソウルなどの大都会よりも、両班(貴族)の家が残る、安東市郊外の河回村や百済の都だった扶余が好きです。

 とくに、橙色の燈火が灯り始める、暮れなずむ時刻の河回村は何とも言えない風情があります。

 それから河回村は、伝統芸能の仮面劇も有名で、ぜひ一度ご覧になられるといいですね。本当、面白いですよ。

 河回村はエリザベス英女王も訪問されたことがあります。ただアクセスが悪く、車がないと大変かもしれません。あと、仮面劇も休日しかやっていなかったはず・・・。
 
 わたくしは10年ほど前、日本にまだ「ヨンさま」や「冬ソナ」ブームがなかったころに、韓国に留学したことがあります。当時は日本人で韓国語を話せる人が少なかったので、どこに行っても歓待されました。

 韓国の方は皆さん人懐っこく、とっても明るい人たちが多く、わたくしは勝手に「アジアのイタリア人」と呼んでいます。女性に果敢にアタックする姿もまるでイタリア人男性のよう・・。
 
 お食事をされるなら、日本人観光客がよく行く焼肉店とかではなく、地元の人が行くような、路地裏の流行りの店とか、幌馬車(포장마차)と呼ばれる露店とかに行って、ぜひ韓国人との交流を深めてきてください。きっとすぐにうち解け、盛り上がると思います。

 ただ、気をつけなければいけないのは、韓国人は、焼酎をショットグラスに入れて、ストレートで「ワンショッ(ト)!」と乾杯して一気に飲むのは当たり前で、それ以外にビールのグラスにウイスキーの入ったショットグラスを沈めて飲む「爆弾酒(폭탄주 )」とか、ウイスキーのグラスにビールの入ったショットグラスを沈める「水爆酒(수폭주)」とか、無茶な飲み方をするのでくれぐれも気をつけてください。

 翌日は1日中、酷い二日酔いに悩まされ、仕事になりませんから・・・。

 わたくしも以前、水爆酒4杯を一気に飲まされて目がぐるんぐるん回ってしまい、ギブアップ宣言したことがあります。

 まだまだ韓国のことなら、いろいろと先生にアドバイスしてさしあげたいのですが、本日はこの辺で・・・。

投稿: | 2008/04/05 1:43:05

韓国旅行記、楽しみにしています。

投稿: Nezuko S | 2008/04/04 17:44:48

今日もクオリア日記を読み、書いてみる。
そして分からない言葉たちを調べる。

それにより、しっかりと分かるものと、雰囲気で何となくこんな意味合いと分かるものとがある。

そして暗示的な主観性構造と呼ばれるクオリアがわかった。(気がする…たぶん、“これ”で間違いない…はず)

私自身が、今日のクオリア日記を読ませて頂き感じていた、くらくら感が、やっと解けた。

これが解けても暗示的な私の主観性のクオリアは、揺らぎない。

投稿: | 2008/04/04 14:22:43

こんにちわ

たとえば、つがいやボスがいる群れ等個体を認識するレベルの動物、たとえば、鳥など、相手を記憶する必用があるので、自動的に自己を認識する必要があります。鳥なので、「私」と言う言葉ありませんが、自己を認識していると思います。

私が、小学校低学年の頃、国語の授業で、音読があり、家で練習する時、家族に聞かれないように、隠れて音読していました。(^^)

投稿: | 2008/04/04 13:30:31

ハングル文字は科学的原理の組み合わせです。
きっと覚えやすいと思います。
ハングル文字で茂木君とメールのやり取りができる日を
楽しみにしております。

投稿: | 2008/04/04 10:36:41

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