新・森の生活 政治と希望
茂木健一郎
連載
新・森の生活(17) 政治と希望
中央公論 2008年5月号
一部抜粋
「世界の歴史とは、自由の意識の進展に他ならない」。ヘーゲルは、その大学における講義をまとめた『歴史哲学講義』の中でこのように述べる。歴史というものを、単なる支配・被支配をめぐる権力闘争としてとらえるのではなく、あるいは経済的利害をめぐる調整の過程としてとらえるのではなく、より人間存在の本質に関わるような「精神運動」としてとらえること。精神運動である以上、それは、ふくよかなものでなければならない。聖別された舞踏でなければならない。春風のような政治。そのようなふくよかな感覚は、案外強靱さを秘めていて、私たちが住むこの世界に見え方を変えることができる。
政治においては、しばしば対立が生じる。その際、異なるものが並び立つというのは一つの解決である。しかし、それだけでは溶けない何ものかもある。対立や並立は、多様性を扱う政治の芸術としては拙い。
本当にすぐれた政治は、偶有性を抱きしめる。春風のような生命原理に、強靱な知性を浸す。それが、自由や平等、友愛といった人類の理想への道だということを、ヘーゲルはその直観の中にとらえていた。

(同号に、私の話を井之上達矢さんがまとめて
下さった
知的整理法革命
すべてを脳に任せよう
茂木健一郎
も掲載されています。)
4月 11, 2008 at 08:31 午前 | Permalink
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kirikouが寝ている間にと想って、先ほどまでブログを書いておりました。
それからコメントいただいた方へのお返事を書きながら
「一体なんで、私はブログなんて書いているんだろう〜?」と改めて想いつつ…... [続きを読む]
受信: 2008/04/12 8:47:39
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コメント
とても小さいけれど
小見出し下の茂木さんが撮られた写真の数々が
エッセイに和らぎを与えている印象。
高校時代の友人、和仁陽さんとのやり取りが
「です、ます」調で書かれていて
三島由紀夫の小説を読んでいるかのような
典雅な響きを感じました。
論理と独自の感性が織り交ざる
茂木さんの文章からは、やはり目が離せません。
投稿: 高橋純子 | 2008/04/13 11:34:49