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2008/04/24

科学者

早稲田大学国際教養学部の
授業。

教室に入ると、内田亮子先生が
いらした。

TAの駒形君を紹介いただく。

「登録学生数が240名を超えているのです。
茂木先生、がんばってください」
と内田先生。

国際教養学部は、英語で授業をする。

theory of mindの話をして、mirror testを
復習し、イルカが鏡に姿を映している
動画を見て、そしてcomputer and brainの
比較へと進み、Turing testの議論を
始めたところでおしまい。

黒澤明の「生きる」の一部分を見る。

志村喬が、小田切みきと向き合う。
うさぎが走る。
志村が、うさぎをつかんで
階段を下りる。

折しも、向かいの部屋で行われていた
パーティーの主賓の女子高生が
到着し、志村と入れ違いに階段を
上ってくる。

「ハッピィーバースデー・ツー・ユー」
の合唱が流れる。

二つの異なる流れが交錯する、
「アンビヴァレンツ」のドラマトゥルギー。

科学的に要素分解し、単純化
された状態ではなく、
日常の複雑な文脈の中で
「人の表情を読む」という
ことについて考えてみる。

「黒澤映画を見たことがある人は?」
と聞くと、十名くらいしか手を
挙げない。

「この学部は、School of Internaional Liberal
Studiesと言って・・・」
と学生たちにハッパをかける。

Bertrand Russel, Alfred North Whitehead,
Allan Turing, Kurt Goedel。

偉大な足跡を残した先人の
名前を挙げて、知っているか、
とたずねる度に、
「この学部は、School of Internaional Liberal
Studiesと言って・・・」
と励ます。

学生たちが、明るく笑う。
SILSの学生たちは、前向きで好きだ。
英語という言語の特性が、
そうさせるのだろうか。

世の中には、これを知らないと
話にならない、ということがある。

「教養」とは、長く厳しい道のりなのだ。
そしてそれは、一生続くのである。

国立劇場にて行われた、日本国際賞の
授賞式に出席。

天皇、皇后両陛下が御臨席。

今年受賞されたのは、
インターネットを支える
TCP/IPの基礎を築いたヴィントン・サーフ博士、
ロバート・カーン博士、それに
遺伝医学の分野で大きな貢献をされた
ビクター・マキューズィック博士。

伊藤正男先生が、賞の贈呈をされる。

閉式後、
ホテル・ニューオータニにて、
祝宴が行われた。

天皇陛下がシャンパンの乾杯を
される。

後席の場で、天皇陛下と
親しくお話する機会があった。

生物学。進化の問題。
遺伝子の解析による系統樹のこと。

御自身は、ハゼの分類学がご専門。

科学の諸分野について、大変活き活きとした
ご関心を持っていらっしゃることが
伝わってきた。

日本国民統合の象徴は、一人の科学者
でいらっしゃる。

そのことの意味を、大切に育みたい。

日本国際賞の司会は、
伝統的に女性科学者がつとめている。

「進行は科学者が良い」という陛下の
ご意向によるものと伺った。

In the formulation of a natural law, out task is to describe a system in a manner that makes it possible to predict its development with time. A single particle, particles in a box, a living cell, and the brain are all systems that we try to describe. There are elements in a system. The interactions between the elements determine the temporal evolution of the elements and the system. Causality refers to the idea that given the state of the system at a certain time, we are able to derive the state of the system at a little later time, based on the state of the elements and interactions in the system. The state of the system at present is the "cause", which brings forward the state of the system at a later time as the "result". When a certain set of rules succeeds in describing the evolution of the system in the above sense, we call that particular set of rules a "causal" law.
"Causality", in the general sense outlined above, is satisfied by any natural laws that the humanity has had the chance to conceive up to present, and is represented in the purest and advanced form in the physical sciences.[30]

4月 24, 2008 at 07:40 午前 |

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コメント

読み進めていくうちに、うわぁ〜の連続でした!

天皇・皇后様とのお話、素敵な時間を過ごせたでしょうね。

ウサギと、お誕生日をむかえた学生さんのお話、心に残っています。

投稿: | 2008/04/25 9:55:08

こんばんは。

一人の科学者。

大切に育む、
その大きな大きな
意味をしる。


日常の数々の文脈は、なぞることで
そっと
寄りそってみる。

投稿: | 2008/04/25 1:36:56

茂木さん、こんばんは。
日本国際賞の季節なのですね。
2002年のときに審査に関わったので懐かしいです。
司会は今年もK先生だったのでしょうか?

投稿: 仙台通信 | 2008/04/25 1:13:44

「因果の法則」そのものは因果的に記述できないと軽く考えていましたが、
>When a certain set of rules succeeds in describing the evolution of the system in the above sense, we call that particular set of rules a "causal" law.

を読んで、このように用法としては明確に記述することができるということとその大切さが実感できました。

クオリアの問題もそうだなと感じました。クオリアが因果的に付随しないと”私が”言うのは簡単ですが、その言葉が重みを持つ為には、クオリアに関する、科学的、哲学的、芸術的、宗教的な「記述の試み」の理解と実践が必要だなと痛感しました。

クオリアについて分からないとこがあっても、今わかっていることの積み重ねから、わからないところをより鮮明に浮かび上がらせることが必要なのかもしれません。

投稿: | 2008/04/25 0:44:40

こんばんは。

いよいよ木々の緑がいよいよ深く濃くなる時期になってきました。

きょうの日記を読むに、この時期に向学の息吹きあふれる元気な青年たちに、ハッパをかけながら励まされる茂木さんの姿が浮かんでくるようです。

中学生のころ、学問に王道無し、という格言を耳にしたことがある。以来、我が頭脳の隅っこで、この格言がぐるぐると渦巻いている。

私の知るある明治生まれの人物は、北海道のとある寒村の生まれで、故郷の小学校で代用教員をしていたが、ある日、大きな志を抱いて、上京した。そして商家で働きながら、懸命に数学や英語を学び、苦学を続け、20代の終わり頃には東京某所に私塾を開くまでになったと聞いている。

彼は数学の大家で、また優れた教育者でもあったという。子供達の幸せを何より第一と考え、その為には、あらゆる工夫も惜しまず、当時の少年少女たちの中に、本当の学ぶ心と、本当の教養を身につけさせていったということだ。

天皇ご一家の科学への並々ならぬご関心を思う時、今上天皇陛下の父君、昭和天皇も生物研究者であられたことを思い出す。

その昭和天皇が生前語られていたお言葉を思い出した。
“雑草”という草はない…と。自然界に生きる草花や生き物たちをこよなくいとおしまれた昭和天皇の思いが伝わる言葉だ、と思う。

どんな身分であろうとも、何かを学び、感じ取っていくことは、本当の知の豊穣を自己の内面に肉化していく為にも、本当に大切だなァ、と今日もこの日記を読みながら思う。


投稿: 銀鏡反応 | 2008/04/24 20:20:59

こんにちわ

(英語が苦手なためよろしくお願いします。)
脳は、因果関係を探すようになっているのではないでしょうか、たとえば、ネズミがレバーを押すと、餌が出てくる、野生のねずみは、この場所で、餌がよく落ちている等、そこがチューリングマシーンと違うとこではないでしょうか?


この国の象徴である天皇陛下が科学に詳しいのは、何か安心します。(^^)

投稿: | 2008/04/24 20:14:55

初めまして。
「宇宙の起源」や「人間、動物の意識」、「時間と空間」、「無」の存在(矛盾?)、「何故私はここにいるのか」を理解したくて、ずっと生きてきたような気がします。人は皆どこかで同じ疑問を抱えているものの、大抵は、日々の生活に忙殺されているものなのではないでしょうか。
 茂木先生の研究していらっしゃる心脳問題は、ご著書の中でで語られている「世界全体を引き受ける」ような人類の叡智を求めるための要であると思います。日々のクオリアを大切にしながら、茂木先生を応援させていただきたいと思います。

投稿: | 2008/04/24 16:54:15

新しいことを追うには、まず過去の足跡をしっかり咀嚼していないといけませんよね。私も心していきたいと思います。

投稿: 大学院生 | 2008/04/24 12:18:26

お疲れ様です

各媒体で お見かけする 先生 
相変わらず お元気そうで 何よりです

この文章も 淡々としていて 素敵ですね

ところどころに ”楽しかった♪” も 読み取れますし

わが後輩が 今年 早稲田大の門をくぐりました
廊下ですれ違うだけで ドキドキしちゃうのかも

日常は 単純でいて 複雑ですね
そして 
複雑でいて 実に 単純ですね

投稿: | 2008/04/24 10:53:05

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