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2008/04/12

最強タッグ

東京工業大学すずかけ台キャンパス。

最近、エントランスの部分が整備
されて、広場ができた。

丘の上にはフットサル場ができた。

G3棟でゼミ。

まずは、私が、

Dunn et al. (2008)
Spending money on others promotes happiness.
Science 319, 1687-1688.
を紹介する。

この論文は、全米のサーベイ、
企業に勤める人のボーナス前後の調査、
5ドルないしは20ドルを渡した
実験と三つのスタディーから、
「幸せ」の度合いと最も強く
相関していたのは「収入の額」
でも「自分のために使ったお金」
でもなく、「他人のために使ったお金」
であったことを示したものである。

happinessにせよ、utilityにせよ、
スカラー関数であって、
それが人々のchoiceやpreferenceを
与えるというモデルには、
当然のことながら問題がある。

toy modelでも良いから、
人間の世界とのかかわり方の
モダリティ(感覚入力とか、運動出力
とか)を反映した何らかの
図式をたたき台として出す
必要があるだろう。

続いて、関根崇泰が二つの
論文を紹介。

Jensen et al. (2007) Chimpanzees Are Rational Maximizers in an Ultimatum Game. Science 318, 107-109.

Fliessbach et al. (2007) Social Comparison Affects Reward-Related Brain Activity in the Human Ventral Striatum. Science 23, 1305-1308

論文に入る前に、
関根は、黒板に私の似顔絵を描き始めた。

何だか、デッサンが間違っているような
気がスルゾ、てめー、この関根。


これがMOGIだと絵を描く関根崇泰クン

気持ちの良い陽光に包まれて、
すずかけ台駅前の「てんてん」へ。

天ぷらを食べ、帰り道、今年初めての
ツマキチョウを見た。

ツマキチョウは年に一回出る。
モンシロチョウと比べると
少し弱々しく飛んでいるので、
見分けることができる。

ちょうど桜が散る頃に現れるので、
ボクは、桜の花びらの精霊が
飛翔しているように感じる。

その姿は、本当に美しいんだなあ。

http://homepage3.nifty.com/ueyama/shubetsu/shirocho/tsumaki/tsumaki.html 


本当に愛らしい、可憐な、
そしてはかない君よ、
ガンバレ!

午後のセッション。
戸嶋真弓さんが、

Sarah-Jayne Blakemore, Uta Frith
The Learning Brain : Lessons for Education.
Blackwell 2005

から文字の歴史や言語と
関連する脳部位を扱ったチャプターを
紹介。

続いて
須藤珠水による「クエスチョン・タイム」

駅に歩きながら考えた。

一人ひとりの人間の個性というものは、
本来は、夏の空にわきあがる入道雲の
ように、モクモクと力強く発達するもの
である。

課題となるのはその非線形的発展の
ためのスペースをエイヤっと
いかに確保するかということだろう。

大空が欲しい。
どんな文明でも、時代でも、
ただ見上げさえすれば。

半蔵門のイタリア・レストランにて、
椎名誠さんと対談。

先日、椎名さんと偶然会った
時からボクは発作的に腕立て伏せ、
腹筋を始めて、今回だけは
未だに続いている。

しかし、椎名さんは連続200回
やるのであって、
ぼくは30回がやっと45回に
なっただけだからまだまだ
なのである。

一つ発見があった。椎名さんは、
時々発作的に身体を張ったケンカを
する。
ボクは時々発作的に口げんかをする。

ケンカにおいて、身体担当と
口担当であって、
二人で組めば最強タッグである。

そんな結論を赤ワインで流し込んだ。
ワハハワハハと楽しくなった。

45回が200回になるように
がんばるゾ。


椎名誠さんと(photo by Atsushi Sasaki)。

The perception of fairness clearly entails the perceived intentionality attributed to the other party. We may even define an "ultimatum" version (ref) of the Turing test (ref), for example. "Theory of mind, thus, is likely to have played an essential role in the evolution of fairness perception. Here, the intractability of the mind reading task is crucial in nurturing the main attributes of social cooperation, where each party maintains the respective identity and interests while defining a domain of mutual benefits. It is advantageous for both parties to be able to read the other's mind to a certain extent, so that a degree of predictability is attained which is necessary for the nurturing of cooperation. On the other hand, if it was too easy for the other party to read one's mind, that would lead to an encouragement of "unfair" manipulations, eventually resulting in the disruption of the basis for cooperation. Thus, fairness would co-evolve with the intractable theory of mind, with each party being immersed in the never ending "ocean of contingencies". ([19])

4月 12, 2008 at 08:54 午前 |

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雑誌「考える人」の中で、 養老孟司さんが、 「宗教と現代」という題で執筆され、 「科学と宗教の関係」という項目に着目した。 [続きを読む]

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» 幸せの度合いと最も強く関連していたものは「他人のために使ったお金」である。 トラックバック 神泉ではたらくたまごのブログ
Science 21 March 2008: Vol. 319. no. 5870, pp. 1687 - 1688 DOI: 10.1126/science.1150952 Spending Money on Others Promotes Happiness Elizabeth W. Dunn,1* Lara B. Aknin,1 Michael I. Norton2 Although much research has examined the effect of income on ... [続きを読む]

受信: 2008/04/12 12:58:10

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受信: 2008/04/13 0:59:05

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まさか あれほど大きな新聞記事に取りあげられるとは 思いませんでしたから その反響の凄まじさにおどろいています。 インターネットでの申し込みは 三日目の今日もまだつづいていますし 来客もございます。 できるかぎり丁寧にお答えしているつもりですが 不慣れな点�... [続きを読む]

受信: 2008/04/13 6:08:53

コメント

こんにちは~。毎日楽しく拝見させていただいています。

以前、会社の中の従業員満足度調査を分析した際に、意外なことがわかりました。
会社で働くことの満足度に影響を与える因子は、その人の給与の額そのもののよりも、働き甲斐、すなわち組織で自分がどれだけ貢献しているかという実感を持つことの方が強い、ということです。給与水準が高い、低いはあまり満足度に影響せず、給与が低くても満足度が高い人もいます。これは別のやりがい変数が効いているからだと思うのですが、この米国のサーベイと相通じるんじゃないかなと思いました。

人は誰かのために、大きく言えば、自分が外界に何らかの影響力を持っていることを実感できたとき、満足するんだなぁと思います。
それが給与という評価に反映できれば、一番ベストですが。

但し、ここからは仮説ですが、そのような「やりがい」を得にくい環境の組織(いろいろありますがトップからの価値観が示されない組織だと思うのですが。。。)においては、満足度は今度は一転、給与水準が影響力を持ってきます。しかし、それすらも、給与が高くなれば「不満がなくなる」っていう程度で、ポジティブな満足度にはつながらない、衛生要因的なもんじゃないかな~と思います。

投稿: mackey | 2008/04/14 13:32:59

茂木さん★そういえば茂木さんは蝶々がお好きなんですよね…
何かの番組で蝶々のことをお話されていたのを思い出しました。

蝶々といえば…私はギリシャ神話の、エロスとプシュケの純愛を思い出します。
様々な試練を乗り越え、エロスの元に辿りついたプシュケ、美しい蝶の羽を背中にもらったプシュケ。

エロスって現代では、性的な意味が濃いですが、ちゃんとギリシャ神話読むとそうじゃないですよね…深いですよね。
互いに愛しあいながら、補完しあう、ギリシャ神話ではある意味最強タッグに入る二人かもしれませんね★
そんなエロスとプシュケの恋物語は、永遠のロマンです★★★

投稿: | 2008/04/14 5:10:31

つまきちょう、ステキですね。
さくらの精霊だなんて、なんて美しい。
茂木さんのブログからは、いつも生命の暖かさというものを
感じさせていただいてます。
あたしもつまきちょうにであえるかどうか・・・
ぜひともみたいものです。

腕立て伏せ、UPしたんですね。
すごいです。
あたしは今日、近所の5年生に短距離競走でまけました(笑)
32歳の体はどうやらなまりかけているようです。
今の目標はゆかちゃん。
そして最終目標は今年の町内運動会で3丁目のリレーの勝利です!!
あたしもがんばるぞぉ!!

投稿: | 2008/04/13 21:41:39

いつも楽しく拝見させていただいております。茂木さんのmp3,blogは世界遺産に認定されるべきだと思っておりますw 影響受けまくりのインフルエンサーでございます。

投稿: tosee | 2008/04/13 4:26:31

大空の上で聞いていたり見つめてくれる、大切なモノがあるかもしれませんね。


たびたびの投稿、お許しください。
人に伝える言葉、伝わる言葉は難しい。

ここ最近の私は、言葉の海から私自身が拾いだしたい、優しい言葉等をすくいあげんとする作業人です。

できたら人に対して、思いやりもあって大切な人には愛のある言葉を送りたい!紡ぎたい!その一心です。

もちろん、皆さんがみて不快に思わないような言葉を使わなければと心に置きながら。

ただ文字で伝えるのも大変だな…って思います。

投稿: | 2008/04/13 1:55:12

こんばんは。

>課題となるのはその非線形的発展のためのスペースをエイヤっといかに確保するかということだろう。

私の職場のボスは、「考えは遠慮なく口に出し、議論すること」を大切にします。トップの側がそういった環境を実質的に保障してくれれば、少なくとも安心して議論することはできるように思います。痛みは伴いますが、活き活きと議論しお互いの個性を磨くことで、最終的には、組織としての総合力につながることが理想です。難しいのは承知していますが。

>45回が200回になるようにがんばるゾ。

フフフ…応援してます。

ところで、茂木先生の出てくる夢を見ました。
なぜか、新年度の授業カリキュラムを選択するというシーン。講義内容一覧が教授の顔写真入りで掲示板に紹介され、全部で約100科目くらいあるうち、茂木先生の講義は5科目。毎年希望者が殺到するため、受講できるのは1科目のみに限定という扱い。トライアル受講というのがあって、法医学の授業に参加してみると、白衣を着た茂木先生が学生さんたちの前でプロジェクターを操作しながら、生々しい映像をもとに死因についての熱心な解析をされていました(笑)。参加者の中に韓国人の方もいて、ハングル文字で真剣にメモを取る姿に私はなぜか焦っている・・・っていう夢でした。
また、夢に出てきてください☆

ようやく、地元では桜が満開となりました。
この季節を切望しながら長くて厳しい冬を過ごしてきたつもりでしたが、いざ桜を目の前にすると、過ぎ去りし冬との間に、不思議なくらい分断された距離を感じます。
樹の下、立ち止まる。咲いてくれてありがとう。
可愛らしい花びら。見て、触れて、嗅いで、感じる。
見上げると、淡いピンクの向こうに広がるライトスカイブルー。
追い越していく風。止まらない時間。
目の前のエラン・ヴィタールをただ精一杯に感じたくて。    

投稿: | 2008/04/13 0:31:10

こんにちわ

赤ちゃんには、自己と他者の区別がなく、誰かが泣けば、泣く、誰かが笑えば、笑う、と、聞いた事があります。すると、超自己は、みんな持っていることになりますね。(^^)


関根崇泰さんが描いた、茂木さんの絵の目が吊りあがっています。時々、凶器攻撃をする時の茂木さんかも?(^^)

投稿: | 2008/04/12 18:32:49

『大空が欲しい。
どんな文明でも、時代でも、ただ見上げさえすれば』

こちらの文章、素敵でした。空は、どこまでもどこまでも繋がっていて、大切な人や大好きな人もこの空の下にいる。

そう思うと、ますます空が愛しくなる。
あの空の青に溶け込みたくなる。大切な人達が近く感じる。
(でも、傍でいろんな事を共有出来ればもっと良い!と思ってしまう私は、欲張りなのかも…)


この世の中、全てに偶然がある。その中に偶然が積み重なって必然となる出来事もある。と、信じたい。

それが思い描いている夢達であってくれたら良いなと思う。

投稿: | 2008/04/12 16:36:35

こんにちは!

ツマキチョウは私の住んでいる近くではなかなか見かけないですね。

ご紹介のホームページにて、彼らの姿を拝見しました。なよやかな”妖精”のように繊細で、優しい風情のある蝶ですね・・・。

この間から、自分の職場の近くでは、こってりした黄色の山吹の花が咲き始めています。木々の緑が日一日と濃さを増していきます・・・。

春の日に当てられた空気が、ぬくぬくと暖められていくこの時期、かのトルストイが遺したこの言葉が思い出される。
「他者を助け、出来る限りのことを為した、との実感があれば、死さえも、苦しみでなく歓喜となる」

この先如何なることが起ころうと、また自分が如何なる姿になっていこうとも、他者の為に尽くしていくんだ、という「決意」はとても大切なことのように思える。

その決意のままに人々の為に尽くして、生きていこうとするならば、何時死ぬかはわからないけれど、そのときは喜びにみちて、安らかに死ねるのに違いない。

人と自分とのかかわり合い、ということを考えるとき、どうしても上の点をはずすことが出来ない。

問題は、何をもって人に尽くすか、また、どう人と交わり、関わっていくか、ということだ。

とりあえずは、自分に確実に出来ることをもって、人の幸せ・・・自他ともの幸せの為に尽くしていくに、如くはあるまい、と思う。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/04/12 13:09:14

こんにちは。

茂木さんの似顔絵、かわいいと思いますよ。でも、目は垂れ目気味の方がより似るのではないかなあ。。。あ、学生さんから見ると、怖い先生だから釣り目気味に見える??

口げんかは女性の方が強い、とよく言われてますけど、茂木さんは女性と比べるとどうなのでしょうか?女性には(奥さんとか)やはり負けますか?

大空がほしい。。。思考や仮想がどこまでもはばたいていけるような。いや、人の中にはすでにあるのかもしれないけれど。

投稿: | 2008/04/12 13:07:41

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