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2008/03/26

真・クオリア日記

「プロフェッショナル 仕事の流儀」
の打ち合わせ。
東京消防庁のハイパーレスキュー隊の
隊長宮本和敏さんの回。

担当ディレクターは、赤上亮さん。

打ち合わせの時は、VTRに橋本さとし
さんのナレーションはまだ入っていないので、
ディレクターが朗読する。

オープニングで、スガシカオさんが
作詞・作曲したProgressの前奏が
なり始めるところ。

スタジオでは、私と住吉美紀さんが
「茂木健一郎です」
「住吉美紀です」
と名乗って、イントロダクションのコメントを
話す。

打ち合わせで、ちょうど前奏が終わる時間
(34秒)でディレクターがコメントを
喋り終わるかどうかが、いつも一つの
「サスペンス」となる。

赤上さん、残念ながら宮本さんの
紹介コメントを言い終えることが
できなかった。

「あっ、間に合わない!」
と赤上さん。

「自分で言っているし!」
と住吉美紀さん(すみきち)

「赤上さんはゆっくりしているから」
と的確な指摘をする山口佐知子さん。

「打ち合わせ」という生きものが
歩み始めた。


デスクの山本隆之さん(タカさん)と
赤上亮さん。


VTRを見る住吉美紀さんと、コメントを読む
赤上亮さん。


住吉美紀さんの腕時計。

プロフェッショナル班の机に、
荒川格さんが座っているのを見て、
「あっ、荒川さんだ!」と思わず声を
上げてしまった。

久しぶりに荒川さんの元気な姿を見て、
本当にうれしかった。

春が来たような気がする。

ソニーコンピュータサイエンス研究所。

柳川透、田谷文彦といろいろと議論する。

所眞理雄さん、北野宏明さんとお話する。

六本木ヒルズへ。
ソニー銀行主催のセミナーで、
お話をさせていただき、また石井茂
社長と対談する。

司会は、大桃美代子さん。

石井さんにお目にかかると、
お金のことを真剣に考えようという
気持ちになる。

大桃さんのブログに、写真と感想が
掲載されてます。

http://yaplog.jp/o-momo/archive/846 

移動しながら仕事を続ける。

「中央公論」に連載中の
「新・森の生活」の原稿を送る。

井之上達矢さんから、さっそく感想の
メールをいただいた。

_______

茂木健一郎様


大変お世話になっております。
原稿確かに拝受いたしました。
ありがとうございました!

確かに現代における
「政治」は
「騙しや暴力は常套手段の機能的に
もっとも洗練された喧嘩」
もしくは
「その調整」
として
多くの人に諦念をもって受け入れられています。

もちろん
その「政治」の世界では
相対的に優れた「頭の回転」を必要とされます。

しかし、
そこに「本当の意味での知性」を紡ぎ出すほど、
真に「頭の回転」が優れた人はあまりいません。
彼らはどうしても、
「今の政治に必要な『頭の回転』などは、
『本当の意味での知性』からは遠く離れたものである。
くだらない。だから私は他のことを考えたい」
となりがちです。

そして
その空席に、
「ただの喧嘩上手(喧嘩好き)」
あるいは
「(自分の)利に聡い人」が
入り込むことになっている・・・・・・。

「政治」の持つ、
実際の生活に及ぼす影響力を考えると、
あまり喜ばしいとは言えない状況ですね。

今回の原稿で、
茂木さんは、
「政治」と「本当の知性」が結びつくことの大切さを、
「論理」と「クオリアを感じさせる表現」
を結びつけて描き出しました。

「論理」で押し切るのでもなく、
「感触」に頼るのでもなく、
両方を使われました。
(そして双方ともおざなりにしていません)

そうすることではじめて、
「喧嘩上手(喧嘩好き)」な人にも、
「政治嫌い」な人にも、
「新たな政治の可能性」について考えてもらえるのでしょう。

まさに茂木さんならではの素晴らしい仕事だと思いました!

また、
茂木さんの
「政治嫌いだった」高校時代から、
「政治に背を向けられない」と感じる今に至るまでの、
精神運動を、
一つの良質な「ビルドゥングスロマン」として
楽しませていただきました。

読みながら、
若き茂木さんの感じた「春のそよかぜ」が、
自分の胸の中を
通り過ぎたように感じました。

物語としての力も
持ち合わせた贅沢な評論だったと思います。

ご執筆、
本当に
ありがとうございました!!

中央公論新社
雑誌編集局「中央公論」編集部

井之上 達矢

_______

「サンデー毎日」に連載中の
「文明の星時間」の原稿を送った。

大場葉子さんから、さっそくメールを
いただいた。

_______

とことん突き詰めることによる昇華が、
「生命の秘密」への道筋となること。
生き物として生まれたからには
生理的直感を道連れにし、
その「知」をめざさなくては
生まれた甲斐がない。
そうした冒険が「生」への誠実な姿勢であり、
そのような発露はメモのような
形態での生成であっても、
受け手を替えながら幾度となく
生き返る「生の力」をもつのだ。
そのようなことがぐるぐると頭を駆け巡り、
いまは星時間にすっかり浸っています。

「両者の弁証法的な会合が歴史の歯車になる」。
このことばがたまらなく好きになりました。

大場葉子より  

_______

井之上さんからは、その前に
もう一通メールをいただいた。

______

「真・クオリア日記」では、
より細やかなレベルで
茂木さんの精神運動のヒダに
触れることができそうですね。
とても楽しみです!

_______

英語で書いている意識についての
論考のさわりの要約を、
日本語で日記に記すことで
井之上達矢さんの言われるところの
「真・クオリア日記」となる。

意識の現象学的解剖をすると、
少なくとも、(1)「私」の主観的枠組み
(2)志向的クオリア(3)感覚的クオリア
の3つのカテゴリーに分かれる。

このうち、「志向的クオリア」と
「感覚的クオリア」の間の差異は、
人間の意識表象に関する限り
「0」「1」の明瞭なもののように
思われるが、そもそも意識を生み出す
「第一原理」に立ち返れば、
本来は連続的に変化していくものかも
しれない。

通常の意味でのneural correlates
of consciousness
を考えると、(2)と(3)については、
co-variationでそれを明らかにすることが
できるが、(1)についてはそれはできない。

(1)の候補は、普通に考えれば
「前頭前野」を中心とした神経活動の
ネットワークであるが、神経細胞を
含むさまざまな構造が埋め込まれる
「時間」や「空間」といったmediumさえもが
その候補であり得る。
([4])

3月 26, 2008 at 10:03 午前 |

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コメント

茂木さん、こんばんは★

茂木さん、学生時代は政治に距離を置かれていたのですね。
私の場合は、距離を置くというより、育った環境が、考えざるを得ない土地柄だったので、政治活動まではしなくとも、色んな事を考えていました。

でもそれは、ある意味偏りのある情報の中での考えに過ぎませんでしたが、
東京に行ってから、視野が広がって、生き物を見るように政治を考えるようになりました。

政治活動をされる方と多少会話を持ったりもしましたが…
仏教好きな私には、争いに心を乱されたくないという思いと、

一方で毎日自宅の上を行き来する空軍機の轟音を聞いてキナ臭さを感じる中にいると、考えざるを得ない方向にも行き。

地政学的に魅力ある場所らしいので仕方ないこれは私の宿命だと思わざるを得ません。

東京から病んでここに帰ってきた時、空軍機の轟音に気が狂いそうになりましたが、今はこの中にあって、どう心を冷静に…安らかに保つかが、私の一つの課題になっています。

投稿: ももすけ | 2008/03/27 0:12:46

こんばんは。

きっと身体にしろ、
つづけていける事は
何よりのかたち。


数日まえの、クオリア日記にも書いてあった筋トレ。
わたしも、本などみて覚えたいくつかのヨガのポーズ。
10分くらいだけれど、続けています。
身体がリラックスし、軽くなる。
気持ちよいですよ!。

そこで茂木先生。
ヨガをプラス1ポーズ
ゆっくり行う。
なんて、どうかなあ。


信じること、
意味のあること。

必要とされる、必要だと思うことは、少しの努力と持続。
タイミングと勇気。
そして真に想えるものは、カチリとはまる。

投稿: 美容師 | 2008/03/26 23:55:11

本日のタイトル『真・クオリア日記』に、なんともいえない…奥深い魅力を感じました。


以前買っていたものの読めなかった本を読んでみたいという気持ちになり、昨日から読みすすめています。
その中に意志と決断と、それらをするため、ほんの少しの勇気があれば良いといった一文がありました。

背中を押してくれるような一文でした。これからの事に対しても、この言葉を大事にしていきたいです。

投稿: 奏。 | 2008/03/26 18:39:43

「真・クオリア日記」に早速飛びつき、[Quantun Mind]を訪問してまいりました。Toward a Science of Consciousness 2008(Arizona)を大変興味深く読んでおりましたら、PCに向かう時間はあまり長くはないと思っていた自分なのですが、この己が姿がヘビーユーザーというものではないかと、ハッとしてしまいました。
朝が早くなりましたので、ウォーキングをしながら、情報の思索化の時間を持つ必要があるかも。。。

投稿: Nezuko S | 2008/03/26 16:46:06

茂木さん,こんにちは。
『34秒のサスペンス』『住吉さんの腕時計』『久しぶりにお顔を合わせた方への,茂木さんが感じた春』昨日の茂木さんのクオリアたち。

感じない人や感じてもそれを必要としない人もいる,現実の触感。触った感じ。あたしはそこに物語を感じ,生を思う。
クオリアには愛が含まれるんじゃないかな?…ふと思った。
愛は誰にでもあるし,多くの人が持っていると仮定したら,クオリアには普遍性がある。
茂木さんは毎日クオリアを記録し,日記を公開なさっている。
どこに辿りつくのか,果てしないクオリアの物語。まさに旅人ですね

投稿: 柴田愛 | 2008/03/26 14:38:41

こんにちわ

「(1)「私」の主観的枠組み」ですが、将棋のように取った駒を打ち込めると言う点があるのではないでしょうか。

たとえば

世界2=世界1×自分(私)
世界3=世界2×自分
世界4=世界3×自分
  ・  ・
  ・  ・

上のような式になるのではないでしょうか?


住吉さんが見ているVTR、NHKなのにハイビジョンじゃないんだと思いました。(^^)

投稿: 主観的なクオリアby片上泰助(^^) | 2008/03/26 11:44:40

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