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2008/03/07

そんなもん、入っていられないよ

白洲信哉さんと金沢に来た。

電通の佐々木さんが企画してくださった
のである。

「そういえば、今まで飲んだりは
しているけれども、泊まりがけの旅行は
初めてだね」と信哉。

 金沢に着き、まずは「第7餃子」
を目指す。
 この、風変わりな魅力に満ちた
店については、またゆっくり
お話することもあるでしょう。

 とにかく、大いに笑って、
そして食べた。

 田森佳秀が合流。

21世紀美術館で秋元雄史館長にお目にかかる。

 田森と会うと、ぼくはいつも
面白い話を聞けることを楽しみに
している。
 だからぼくは田森の車に乗った。

 「最近さあ、ぼくは相対性理論と
量子力学の効果を、スローでマクロな
システムで実現しようとしている
んだけど」
田森が始めた。

 「だけど、波動関数で、複素共役
をとって実数にするところ、あれが
どうしてもできないんだ。」
 「お前が言うようなことができたら、
マクロな量子コンピュータができるじゃ
ないか」
 「そうなんだよ。だから、考えて
みて、やっと、量子コンピュータの
難しさがわかったよお」

 話をしているうちに、
田森は、もう一つの車を
見失ってしまった。

 教訓:車を運転しながら、
相対性理論や量子力学のことを
考えてはいけません。


田森の話をさらに聞く。

しばらく前に家を買ったのだが、
ピンク色のまるでケーキのような
外観だという。

車はちょうど近くを通っていた。

「ここから見えるかもしれない。
とにかく、目立つ、ヘンな家なんだよ。」

「どうして、そういう変わった
家を買ったのか?」
聞いても、田森は笑って答えなかった。


信哉の発案で、前田家のお墓を
お参りする。
こんもりと盛り上がった土の
前に佇む。

上出長右衛門窯で、
上出恵悟くんに会う。

バナナや牛乳瓶を観賞する。

山代温泉の
「べにや無可有」 へ。

白洲信哉のおすすめの宿である。


和洋全17室。

原研哉さんによるインスタレーションや、
竹山聖さんによる寺院を摸した
空間がある。

温泉旅館の新しい可能性を
感じさせられた。

夕食をとりながら、白洲信哉と
対談。
いかに真剣に遊ぶか。

幻冬舎ゲーテ編集長 額田久徳さん
執筆の大葉葉子さん。
写真の西川節子さん。

ものと出会い、自分自身の
存在をかけて選び取ること。

翌朝、「仕事で会うと、いろいろ
話せていいね」と信哉。

白洲信哉は、三日に一度くらいしか
風呂に入らないという。
「そんなもん、入っていられないよ」

ちょうど三日目だったらしい。

朝、待ち合わせの場所に行くと、
風呂を済ませた信哉が、
ジャケットを着込んで、
髪の毛を整えて座っていた。

お酒をのんだ時とはひと味ちがった
しらふしんやがそこにいた。

3月 7, 2008 at 11:42 午前 |

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コメント


おはようございます。

この時間、コメントさせて頂くのは、はじめてかな。

自然光。
カーテンごしのやわらかい光りは、見ているだけで気持ちのよい風景です。

たまに早く帰ったり、少し遅く出勤したり、3週間程まるまる1日休み、ということもなくなんだか日常と仕事はイコールになっています。

まあ、
茂木先生を前に言えないですけれど(笑)。

それでは、これから仕事へ。

茂木先生、お仕事むりせずに体が第一ですので、と言っても今は無理ですね。
わかってはいるが、ついつい言ってしまいます。
それでは、また。

投稿: 美容師 | 2008/03/08 10:36:45

今更ながら高橋悠治との対談、面白く拝見しました。自然科学者である茂木さんにとってモダニズムへの評価は当然であって、モダニティの批判をし続けてきたピアニストとすれ違うのもむべなるかなと思います。ただ斉藤環との往復書簡には応じるべきではないでしょうか?今の脳科学の知見ではわからない部分もあるのでしょうが、いずれラカン派のようなポストモダニズムとの対決は必要に思います。

投稿: アナーキスト | 2008/03/08 9:51:56

第七餃子好きや、田森さんの癖が相変わらずですね。

金沢を懐かしく想う今日この頃です。

投稿: madqow | 2008/03/07 21:18:50

茂木さん、はじめまして!金沢に住んでいます。第7ギョーザに行かれたなんて、かなりの通です。あの店はいろんな意味で本当に凄いです。またぜひ、遊びにいらしてくださいね!!

投稿: やすこん | 2008/03/07 20:40:34

今東京は雨が降ったり止んだりしているようです。金沢のほうは如何なのでしょうか。まだ寒い日が続くのでしょうか。

金沢と聞いて、北陸の海のことが何故か頭に浮かびました。

夜の日本海に幻想的に光る、蛍烏賊(ホタルいか)を思い出しました。

茂木さんが何時かこの日記の別記事で紹介してくださった、ライアル・ワトソンの「烏賊の目」のエピソードが頭に浮かんできました。

…烏賊の目は、きっととてつもない“大きなもの”を見ている…(ということだったかな?)

その大きなものを見ている烏賊は、そのささやかな意識の中で、何を思い、何を考え、生きているのか。

子孫を残すことだけをただ、考えているのか。

それとも、決して見ることのない「宇宙」に思いを馳せているのか。わからないけれども、蛍烏賊は蛍烏賊なりに、懸命に思いを廻らしながら、天然の連環の中で生かされているのでしょうね・・。

またもとりとめのない文章を書いてしまいました。本日はこの辺で失礼します。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/03/07 19:47:31

私は体が弱いので、なかなか思うように生活が出来ないのですが、体調の良い日にはそれなりに充実した一日となる日があります。
博士には、お友達が大勢いらして羨ましいなぁと思っていました。たまたま、OXFORD JOURNALSで「The British Journal For The Philosophy Of Science」を探し、このHPの内容を見ていくと、とても面白いことに気づきました。私と遊んでくれそうです(笑い)。もう少し探索してから、オンライン購読の申し込みをしようかなと思っています。博士の記事に刺激されたせいかなぁ。

投稿: Nezuko S | 2008/03/07 16:01:33

こんにちわ

私も、意識の問題を解くと、相対性理論と量子力学が融合するのではないかと考えていました。意識側から見ると、ニューロン回路がある条件で帯電のような状態となり、量子的な絡まりの複素数部分で、色や香り、等の五感が発生するのでは?、と、考えてみたりしていました。


白洲信哉さんは「しらすしんや」、「しらふしんや」どちらが、「しらふ」なのでしょう?(^^)

投稿: 複素数のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/03/07 14:00:48

夜、色々と考えるのは、あんまり良くないなぁと痛感しました。シンプルに考えればすむことなのに、夜はそれが見えにくくなる。
ついでに、夜更かしも善くなかったと。


私の中にある揺らぎないモノを素直に信じて生きよう!

投稿: 奏。 | 2008/03/07 12:12:06

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