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2008/03/04

不意打ち

タイガー・ジェット・シンによる
「いきなりの場外乱闘」の
問題の続きであるが、
ベートーベンという人は、
音楽において「いきなり」
を実践したのではないかと思う。

有名な第五交響曲の冒頭の
旋律にしてもそうであるし、
突然現れるスケルツォ、
楽想の転換。
ベートーベンは「場外乱闘」
の音楽家と呼ぶにふさわしい。

"So pocht das Schicksal an die Pforte!"

「このようにして運命はドアを叩くのだ。」

作曲者自身の言葉に、
「場外乱闘の秘儀」が込められている。

たいへんに手元の仕事が忙しく、
朝から晩まで息をつく暇もなかった。

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

今回の担当は座間味ディレクター。
ゲストは、北九州市で心臓内科医として
活躍する延吉正清さん。

「心臓カテーテルの神様」
と言われる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/延吉正清

座間味さんが小倉に一ヶ月滞在して
撮影し、編集室に河瀬大作デスクと
籠もって編集した渾身のVTR。

若き弟子ががんばる様子を見つめる
延吉さんの表情が、素敵だった。
「慈母観音」がそこにいらした。

誰も予想はしていなかったのではないか。

人生の最も美しい瞬間は、
きっと私たちを不意打ちする。

生まれたまま、誰にも気付かれずに
消えていくものもまたあるかも
しれない。

文明の予定の外に、
生命にとっての本当のことは
起こっている。
その瞬間をとらえることができた
者は幸いである。

3月 4, 2008 at 08:06 午前 |

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コメント

心は死んだ・・・

全ての感情と言う感情は
心という器から零れ落ち
その器を 表すのなら「空虚」


でも どうやらそれは違っていたらしい・・

心は簡単には死なない・・

本格的な春を待たずに
私の中に確実に芽生えつつある「躍動感」

休憩を終えつつある私の心は

ささやかなるギフトにも胸躍り
他の者の心の動きまで 共振する・・・

この世の「美」とされるもの全てを
享受したい・・・そんな欲さえも感じている・・

生まれ変わりつつある心を
たたき起こしたくて

躍動感の背中を押したくて

ここ2週間ほど聴いていたのが
ベートーベン5番・・・


この記事を読み 何となくシンクロ・・

          ・・とてつもなく嬉しい・・・

 Allegro con brio・・・(1楽章)


       人生 急がなくても良いが・・・


             <輝き>をもって 生きてみたい・・・


投稿: エミ | 2008/03/06 1:52:37

ベートーヴェンの音楽は、聴く者の心にぐわんと渦巻く怒涛を引き起こすような、激しい精神の響きがあると思う。

「第5」…「運命」を初めて真面目に聴いたのは、ひどく幼い頃か小学校時代ではなかったか。とにかく、そこらへんの記憶が曖昧である。

冒頭部分を聴くと、自分が寄って立つ「地面」の底がいきなり、ズドン!と抜け、底無しの世界に落ちていくような気分に、いつもなる。

よく、暗い気分になった時、暗い音楽を聴くとよい、と言われるけれど、それはきっと、気力がなくなった時ほど、暗い音楽が逆に脳の眠れる活力を引き出しているのかもしれない。(勝手な推測で済みません…。)

ただ、中学のいっとき以来、下手に落ちこんで深い鬱になったことがなくなった為、暗い調子の音楽よりも明るいそれのほうが、好きになっている。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/03/04 23:30:29

茂木さん,さきほどはへんてこりんな独り言を投稿してしまいました。茂木さんのおっしゃる趣旨からいつもズレてしまうのですがそこから発生したことで,以前よりいろいろなことを考えられるようになりました。思ったことが言葉にならないこともしばしばですが…人に伝わるよう書くというのは話すより難しい。話には表情,声色がある。耳から聞くより,目で読むほうが早いから難しいのだろう(でも伝えるという作業に集中するのは楽しい)
茂木さんが紡ぎ,茂木さんの手から離れた言葉たちが,それぞれに降り注ぐ。
受け取りかたも多様だ。
面白い。
書き手である茂木さんにこれからも好き勝手に書いてほしいです。

投稿: 柴田愛 | 2008/03/04 18:28:55

第5番の冒頭は「じゃじゃじゃじゃーん♪」ではなく実は「ン(←休符) じゃじゃじゃじゃーん♪」らしいです。
休符があるので指揮者にあわせずコンマスの弓の動きに合わせるようです。

プロフェッショナル楽しみです。

投稿: はるこ | 2008/03/04 17:10:51

茂木さん,こんにちは。
不意打ち…。あたしにとっては自分の予定してること以外に起きる出来事や,自分で感情を把握するよりも早いカラダの反応を思い浮かべました。
変な話なんですが,最近パワーが充満していると感じる日に不思議なことが起こります…手で触れたものが狂う…例えば備え付けの電話で受話器を置いた途端,デジタル表記が狂う。ビールサーバーに触れたときはへんなところからもビールが吹き出す(いつもと同じ力でしたから驚きました,ほかの人が触れると正常でした)
昨日まで普通に上がっていたファスナーが壊れる…などなど偶然かもしれませんが…ククク
よし,ほかのことに(勉強に)このエネルギーを注ごうとひとりごちてます。

投稿: 柴田愛 | 2008/03/04 14:29:46

こんにちわ

ユーチューブ、100円ショップ、場外乱闘から始まり、リング上で勝負が決まる。私たちを楽しませてくれるなら、不意打ちは歓迎です。(^^)

投稿: 不意打ちのクオリアby片上泰助(^^) | 2008/03/04 13:39:54

叩かれた運命のドアは、どんな開き方をするのでしょうか。

人生の最も美しい瞬間は、きっと私たちを不意打ちする…甘美な詞です。


私自身、揺らぎないキモチを抱きしめつつ、生命にとっての本当のコト、その瞬間をとらえたい。とらえられたら…と思います。

投稿: 奏。 | 2008/03/04 12:41:27

深い森のなか、ひっそり咲いた小さな花。
見つけたのは、タヌキの親子。
「おかあさん、お花の首飾りを作って」
「そうね、もう少し先へ行ってから」
まぁるい背中が、hokonnと揺れた。

投稿: Nezuko S | 2008/03/04 11:28:45

ベートーベンの交響曲で好きなのが5番と9番です。
よくクラファンには初心者的扱いをうけるが・・初心者だけどもw
音楽はその人人で感じ方が違うって思ってます。
自分の好きな音楽を追及していきたい。
5番の中にベートーベンの心の葛藤みたいな物が感じるんです。
特に3楽章の終わりから4楽章にかけては神が降りてきたって。
理論を勉強してるわけじゃないので想像ですが、当時文字が読めない人とかもこの曲を聴いてキリストの存在的みたいなもの感じてたのかな~とか思ったり。当時は宮廷とか劇場だからお金もちが多かったのかもしれないけど。
9番も同じく4楽章になると神みたいな物を感じる。
小林研一郎さんが好きで、年末の第九行くようにしてますが
最初聴いた時、こばけんの上に雲がよく絵画で描かれている雲がみえたんですよね。光みたいなのが。
その時涙が出てきて感動したのを今でも覚えています。
たぶん小林さんの指揮を初めていった日かもしれない。
それからファンですw
ベートーベンの田園もベートーベンが庭を散歩している時に鳥の声が聞こえたって。
耳の不自由なベートーベンの頭の中でかかっていた曲がいま構成の私たちが聴いているのって感動します。
バロック的な曲もあれば、ロマン派的な音楽もあってすごいな~って思います。全部聴いてるわけじゃないですが。

いい演奏の時思わずブラボーって言ってしまうけど本当は女性は言わないみたいなのかな?
ブラビーでしたかな。女性・・ブラボーの方がいいな。
日本人だからいいかと思ったりw

投稿: kazu | 2008/03/04 11:03:46

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