走れ、走れ、走れ。
久しぶりにまとまった距離を走る。
イビチャ・オシム監督の口癖は
「走れ」「走れ」「走れ」
だそうである。
身体の中から何かが目覚めるか。
走る。走る。走る。
日本テレビ「世界一受けたい授業」
の収録。
打ち合わせ室に竹下美佐子さん。
「午後1時からずっとやっているんですよ!」
と竹下さん。
4時間のスペシャルの収録なので、
いつもの4倍のボリューム。
秋山仁さんや、東国原英夫さん、
武田双雲さんなど多彩な講師陣の中で、
私の担当は、「アハ体験」である。
「アハ体験」は、もともとは
"aha experience"と言い、
何かに気付いた瞬間に
脳の神経細胞が一斉に活動し、
「一発学習」(one shot learning)
が起こる現象を指す。
文章の単独では意味がわからないが、
ヒントが与えられた瞬間にわかる
「アハ・センテンス」(aha sentence)
白黒の模様の中に絵が隠れている
「隠し絵」(hidden figure)。
画像の中の一部分が変化しても
気付かないchange blindness。
画像が静止画の場合もあるし、
動画の場合もある。
「世界一受けたい授業」に
お誘いいただいた時、
私がパワーポイントを使って
「こんな面白い話があるんですよ」
と脳科学の現状をご説明した時に、
スタッフが「それ!」
と反応したのが「アハ体験」だった。
日本テレビのスタッフは、
とりわけ、change blindnessの
問題の作成に、卓越した技量を
見せる。
今回、
杉本ルリ子さんが制作した
問題は素晴らしい出来。
とりわけ、動画の一部が
変わる「アハ アクション」
(この名称は日本テレビのスタッフの
考案したものである)の一つの
問題は、「何と、そう来るか!」
という驚きの設定であった。
動画を一フレームずつ加工するから
こそできる業。
杉本さん、お見事!
収録。
日本テレビの番組対抗で、
解答席がとても賑やかであった。
藤崎マーケットの二人と
お話しする。
現場には放送作家の富樫香織さん
もいらしていた。
富樫さんは、電通の佐々木厚さんと
大学時代のゼミの後輩である。
「アハ・センテンス」を作る
天才、倉田忠明さんにもお目にかかった。
フレキシブルに動く様々な
やわらかな筋肉に支えられて、
「世界一受けたい授業」
という番組はある。
日本テレビへ向かう時は
Roger Penrose The Road to Realityを
読みながらいく。
帰りは、新潮社『考える人』
に連載の「偶有性の自然誌」の二回目の
原稿を書いた。
走れ、走れ、走れ!
走っている途中に見た
公園のビオトープの水の中には、
メダカがゆっくりと泳いでいた。
冬がやっと終わろうとしている。
3月 9, 2008 at 06:35 午前 | Permalink
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コメント
「走れ走れ走れ!」が、マルクス(グルーチョ、チコでなくカールの方)の「学べ、学べ、学べ」から来ていると知った時には本当に驚きました。しかも共産主義者ですかの問いに「(共産主義を)信奉するほど若く見えますか?信じる事と学ぶ事は別でなければいけません」との答。
本当にいるんですね、傑物というのが。
投稿: TH | 2008/03/10 11:41:53
来年度の契約更新のお話があり、安堵。。
これで、安心して課題に取り組んでいけます。博士の側にいると、なんとなくうまく行きそうで、テキストを捲ることが楽しくなります。
秋からは現状の”課題”を”学問”にすべく、目標を設定しました。
ほとんどメタボ?の私、走れたら、陽光の下、体中に沈殿している老廃物、浮かして、流して、リフレッシュできるでしょうか?
投稿: Nezuko S | 2008/03/10 4:31:19
人は何故 大人になると 走らなくなるのだろう・・
気ばかりは急くのに・・・・
普段「走る」とういう行為をしないせいだろうか・・
私は「走る」と 心が幼少期に戻る
感じる風 普段より早く通り過ぎる景色
心拍数と共に上昇する体温・・・
それらが 小学生の頃に 私を誘い
普段忘れている記憶を呼び戻すこともある
走る度に背中で上下運動を繰返すランドセル
中でカタカタと音を立てる筆箱
緩い運動靴が片方脱げて慌てて引き返す
前のめり つんのめり・・・
転んで 擦りむけ 赤チンで真っ赤な膝小僧
泣いて こすった泥んこ手
気付けば顔も泥だらけ・・
それでも 走るのが好きだった・・
走れ走れ走れ!!
走ってバクバクする心臓
走れ走れ走れ!!
走るとワクワクする心
「走る」という行為に付随するクオリアが
然程変っていない・・・というのは
喜んでよいのだろうか・・・・?
それとも・・・ ・・・・何とも 複雑なるこの思い・・・^^;
投稿: エミ | 2008/03/10 3:07:34
こんにちは。
近く(と、云っても隣の町)のお寺さんへお水を貰いに行きました。
成長の時間が進み始めた中で、色々な事が、頭の中を駆け巡り、なんだかよく分からない気持ちにもなっています。
ただ、小さい頃(幼稚園の時)、夢見ていた仕事を目指したいと思い、お寺でもこの夢が叶いますようにとお願いをしてきました。
夢見たお仕事をするには、まだ未熟ですが、日々努力します!
私が、このお仕事に対して持っていた思い入れは、やはり特別なもののようです。
(こちらで、小さい頃描いていた夢が何だったかを書くことは…お許しください)
投稿: 奏。 | 2008/03/09 16:00:30
こんにちわ
白黒の模様に絵が隠れているアハ体験で、これは、平面から立体をみる時の脳の回路が働いているのではないでしょうか。
今度の、世界一受けたい授業の問題、楽しみにしております。(^^)
投稿: アハのクオリアby片上泰助(^^) | 2008/03/09 14:14:01
こんにちは。
「世界一受けたい授業」長時間の収録、大変におつかれさまでした。
今日(03/09)、外出したとき、やや冷たさを含んでいるものの、感触はほとんどすっかり春の空気になっていました。
おとといは仕事からの帰りに電車に乗って、車窓から外を見ていたら、鉄路の築堤にはすでに黄色いアブラナが咲き始めていました。本格的が春が、いよいよですね!
番組の放映を、今から楽しみにしています。
以前『ペンローズの量子脳理論』(竹内薫・茂木健一郎共訳/ちくま学術文庫)を買って読んだ時に、文章内に示された数々の理論についてはわかりにくい面があったものの、原著者が脳について本当に深い考察をされていることに、正直、驚きを隠せませんでした。
また、同著に収録されていた茂木博士とペンローズ教授との出会いのエピソードにも、心を動かされました。
「創造とは、思い出すことに似ている」といった同教授の言葉が、時折私の脳裏をかすめることがあります。
自分が「いま、ここ」の現在で見聞きしていることも、無意識の中にたたまれているという過去の記憶も、錬金術のように自分の中でぐるぐると錬り合わせ、そこから新しい「何か」を生み出すように創りだしていく・・・。そういった生き方をもっと強く志向していかなくては、と思う。
投稿: 銀鏡反応 | 2008/03/09 13:38:51