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2008/03/24

旦さんかっこいい

朝早く高尾山へ。

車が行けるのは発着駅までで、
それから先は
ケーブルカーやリフトで行かなければ
ならない。

ケーブルカーの始発を待つ
ということを初めて経験した。

修験道の人が使う滝があり、
その流れを佇んで見つめる。

始発が動いた。
乗っている人たちは、どうやら
ほとんどが働いているようで、
薬王院へ向かう道が時ならぬ
「ラッシュ」となった。

薬王院の宿坊の前に、
森島留美子さんがいた。

「修造学園」の収録。
今回は、環境問題をテーマにする
ということで、
私は三日目の朝に子どもたちに
自然を守る上で
大切な「気づき」の話をすることに
なっていた。

中央公論の「マシンガン口撃男」
こと岡田健吾くんと家をシェアしている
文化工房番組制作部の辻成人さん
が、流れをいろいろとご説明くださる。

松岡修造さんがいらした。
いつもの素敵な笑顔である。

「松岡さん、僕は、珍しく、過去一ヶ月
くらい、腕立てとか腹筋が続いている
んですよ。」

「そうなんですか」

「それで、いつもどこかが筋肉痛になって
いないと満足できないような、そんな感じが
出てきたんですけれども、そういうことは
ありますか?」

「あります。特に普段使っていない
筋肉を使うと、そうなりますよね。
ぼくも、山登りをすると、ふとももが
筋肉痛になって、ああ、きたきた!
と思いますよ。」

「でも、ぼくは、せいぜい5分くらいしか
身体を動かしていないんですよねえ。
松岡さんはどれくらいやるんですか?」

「ぼくは、1時間くらいですかねえ。
ビリーズ・ブートキャンプをやって
いますよ。」

「えっ、そうなんですか。」

「でも、何をやるのかだいたいわかって
いるので、ビリーズ・ブートキャンプ
のビデオと一緒に、録画しておいた
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
も見るんです。」

「うわあ、ありがとうございます!」

「それで、どうしてなんですかね、身体を
痛めつけている時って、なぜか
情報がすっと入ってくるんですよね。
身体の動きがピークになっている
瞬間に、例の黒くて「ポーン」
となるやつが来たりして、そうすると、
とてもいい感じになるんです。」

山を下りてきた後で、
辻成人さんからメールをいただいた。

_____

茂木様

 お世話になります。お忙しい中、
高尾山山頂まで朝早くから
足を運んでいただきありがとうございました。
あのあと、子供たちがゴミを拾いながら、
高尾山の急坂を登る時に、修造さんが、
「つらいことを乗り越えると楽しいことが
待っているぞ!茂木先生の顔を思い出せ!」と
おっしゃっていました。

毎度貴重な話を頂き、本当にありがとう
ございます。

放送日は5月5日10:30〜11:25 
テレビ朝日 修造学園5
です。よろしくお願いします。

辻成人

______

『脳内現象』(NHKブックス)が、「第25回日本文芸大賞」
を受賞したということで、
授賞式及び祝賀パーティーが
行われる京王プラザホテルへ。

一緒に『脳内現象』を作って下さった
NHK出版の大場旦さん、大場旦さんの
パートナーで
『すべては音楽から生まれる』のライティング
をしてくださり、「サンデー毎日」の
『文明の星時間』の編集、
「トゥープゥートゥーのすむエリー星」
の編集と、大変なお世話になっている
大場葉子さん、
公私ともに様々にご一緒している電通の
佐々木厚さん、取材案件について行き届いた
配慮をくださり、仕事を超えた友情を感じる
ソニー広報の滝沢富美夫さん、中谷由里子さん、
「たけちゃんマンセブン」の
愛称で知られ、『「脳」整理法』や
『意識とはなにか』、そして『思考の補助線』
を一緒に作って下さった筑摩書房の増田
健史さんがいらして下さった。


日本文芸大賞は、職業
作家に限らず、広く文芸作品全般
から選出されるもので、
故小松茂朗氏が創設された
「日本文芸振興会」によって運営
されている。

現在の会長は小松栄子氏。

素敵な式、及びパーティーでした。
関係者の皆様、本当にありがとう
ございました。

パーティーで、大場旦と
「ぐわー」っとした。

それから、大場旦、増田健史と
「ぐわー」っとした。


大場旦と「ぐわー」


増田健史、大場旦と「ぐわー」


二次会で、6人でゆったりと語り合った。
大場葉子が、となりのオオバタンが
ニヒルに佇んでいるのを見て、
「旦さんかっこいい!」
と言った。

ぼくも思った。

「オオバタン、かっこいい!」

かっこいいオオバタンと、すてきな
オオバヨーコが薄がりへと溶け込んで
いく夕べに。


暗闇にたたずむ大場旦氏。


大場旦氏と大場葉子氏。

ぼくは大場旦に言った。

「今朝から新しいことを二つ始めました。」

「それはなんですか?」

「一つは、二、三日すればきっと
わかります。もう一つは、少し時間が
経てばわかります。」

「すぐにわかる新しいこととは何ですか?」

「いえ、クオリア日記を、本当にクオリア
日記にしようと思うのです。」

「なるほど。」

オオバタンは、煙草をくゆらせて
虚空を見つめた。

意識を生み出す最終的な原理は、
かならず事象間の相互関係に求められなければ
ならない(「マッハの原理」)。

現時点では、神経細胞の活動が相互関係を
考える際のrelevantなscaleであると
考えられる。しかし、本来は素粒子まで
ずどーんと底が抜けている。
クオークでとどまるかさえもわからない。

何らかの第一原理で、特定のスケールが
relevanceを持つことが与えられなければ
ならない。
しかし、それは、デジタルコンピュータでも
本来同じことなのだ。

私たちは、情報表現の基盤自体を反省しなければ
ならない。

3月 24, 2008 at 09:03 午前 |

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コメント

「新しいことを二つ」の内の、
もう一つの新しいこと、は何なのか、
気になっています。

すぐに始められた新しいこと(真・クオリア日記)、の方も、
その内容となると、理解が付いていけてません。
例えば「クオリア入門」に書かれてあるところの、志向性の重要性が、
私の場合、理解できるまで、1年以上かかりましたから、
ゆっくり分かればいいんだな、とも思っています。

唐突な疑問を書いてしまうのですがお許し下さい。

自意識について。
人間の記憶が、たとえば、0.1秒間しか持たなかったら、
「私が私である感じ」は成立するのでしょうか?

感じ、について。
生き生きとしたクオリア、という表現は
当たり前のように受け入れられ、私も普段そう感じています。
人は健康なときは、生き生きとしたクオリアを感じられますが、
うつ状態になると、普段と同じようには感じられません。
それはどうしてなのでしょう?
普段のクオリアには、うっすらとした「感情」のようなものが
含まれている気がしてなりません。
「志向的クオリア」が少しも「感情」へ向いていなかったら、
「五感」へ向かっていても、感じが全く起こらない、ということは
在り得るでしょうか?

投稿: MiznoYuli(u-cat) | 2008/03/28 3:42:14


茂木健一朗様!


日本文芸大賞。
「受賞おめでとうございます!!!」。

得に、ここのところ
茂木先生。
楽しまれてる感。
ぐわー、っと溢れている。


大場様ご夫妻。
素敵です!
ご夫妻の、愛のありかたが伝わってくる素敵なお写真。


その空気感をカメラへおさめた。
きっと、カメラさんも愛をたっぷりともったかたなのであろう!。


ここ最近。
クオリア日記を読んで、襟元をただす。


こん日の意味のある行いがなければ、形をもって現れる事もない。改めておもう。

バランスがたいせつなのかなあ。

投稿: 美容師 | 2008/03/25 0:38:12

日本文芸大賞受賞おめでとうございます!
みなさん素敵ですね。
早朝の高尾山山頂から、「ぐわー」の夕べまで。
さすがは茂木先生、パワフルです。

…クオリア日記を、本当にクオリア日記に…
どのように解かれるかさえも予想できない
100ノーベル相当の超難問、いえ、
無限問題に注がれる熱意の中の難しさと熱さに、
恐れ多くもたったのクリックひとつで
触れさせていただくことは、本当に恐縮で
実に恵み深いことだと痛く感じます。

投稿: s.kazumi | 2008/03/25 0:34:56

こんばんは。

まずは『脳内現象』の日本文芸大賞受賞、おめでとう御座います。

大場さん、増田さんと茂木博士がご一緒に肩を組んでおられる写真、まさに“ぐわーっ!”とした喜びに満ち溢れている、とお見うけしました。


高尾山には小学校時代、夏休みによく同級生たちの家族と登ったことがあります。

朝5時ごろ起きて、眠い目をこすりながら、みんなして集合場所に集う。それから電車を乗り継いで、中央線は高尾駅で降りて、みんなで中腹ぐらいまで行って、食事などをしてから下山する。

上り下りの途中で、深い緑の鬱蒼と茂る様を見たり、山の斜面に転がっている太めの枝切れをひろって、杖の代わりに使ったり、河のせせらぎの音を聴いたり…。今となっては体験しづらくなった、山の世界との触れ合いを楽しむことが出来た。

あの時に感じた深い緑の木々と湿った土の匂い、川のせせらぎの音と、清水の冷たさは、今も時折頭の抽斗からぼんやりとした形で出てくる。

そんな、高尾山の思い出が、今日の日記を読んで、また蘇ってあらわれた。

そうした思い出を貯め込んだり、何かに心をいたく揺り動かされたり、美しい色を見て、その美しさを堪能したりする、人間の脳の振る舞い…。それは私達人間生命の存在を示す振る舞いそのものだと、常に感じている。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/03/24 22:59:00

茂木さん、こんにちは!
脳内現象の受賞、おめでとうございます\(^O^)/m(__)m

茂木さんは、ぐわー仲間が沢山いらっしゃるのですね♪
茂木さんの人徳故なんでしょうね。

そして、私の手元にもやっと思考の補助線が届きました…(ToT)
いきなり途中から読んでしまうという、変なクセのある私は、

貧者の一灯から読みました(笑)貧者の一灯という言葉が好きなもので…(笑)

いきなり読んだ最終章は、わかったようなわからないような、
今、はじめからちゃんと読んでいますm(__)m

茂木さんが何を伝えたいのか、自分を無くして読み、次に自分の立場からどう見えるか置き換え、フムフム。なるほど…と読むのでスピードはかなり遅いです。しかも辞書ひきながらですので(;^_^A

松岡修造さん!ファンです♪私も録画したプロフェッショナルは、ストレッチしながら見ようかな!ストレッチは動きが遅いかな。確かに頭に入りそうです(^O^)

投稿: ももすけ | 2008/03/24 15:56:19

こんにちわ

日本文芸大賞受賞おめでとうございます!!

意識の、わかっている範囲で、徐々にスケールレベルを作ると言う事ができるのではないでしょうか?

オオバタンさん、写真を見ると闇のドンのような・・・腰に拳銃が!!・・・うそです。(^^)

投稿: スケールレベルのクオリアby片上泰助(^^) | 2008/03/24 14:03:17

最後のほうの文で、スピルバーグの「A.I」を思い出しました。相互の意識の浸透が必要な「愛情」などは、基盤に可変の要素が必要では?
風邪の熱のせいの考えかも、失礼。。。

投稿: Nezuko S | 2008/03/24 11:30:10

度々で、すみません。
先ほどの書き込みに書けなかったことがありましたので、よろしくお願いします。

これまた、昨日のテレビからですが、私も、あきらめないで、あと一歩踏み出そうと。そして走り抜けたいと思います。

投稿: 奏。 | 2008/03/24 11:25:11

本日の日記を読み、何故かデジャブを感じつつ、読み終わりました。
何だろう…この感じ。前にも感じたのですが…。今すぐに分かりそうもないので、しばらく寝かせてみます。

思い浮かぶ事を信じて。
(思い浮かんではいますが、まさか…)


昨日、異文化理解というテーマのテレビがやっていました。
異文化理解とは、異文化との共通項を見つけていくのではなく、違いを理解し、それを受け入れていく事。心を開いていると、何でも食べられる。との事。

これを聞き、目から鱗…の感じもありましたが、なるとほど!と、合点がいきました。

これは、異文化だけに限定されるものではなく、一人の人に対してもいえることだと感じました。

人と人の関係にも、それがいえると。そして小さな社会集団である家族にも、いえると。

投稿: 奏。 | 2008/03/24 11:17:40

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