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2008/03/31

空っぽ

西表島の川でカヤックを漕ぎ、
マングローブの林を向けて
滝に向かってトレッキングする。

ガイドをしてくださるのは、高野さん。
北海道出身。
「南の島って、楽園という
イメージがあったんですよ。」

向かう山道の雰囲気が
すばらしかった。

アカギのこぶだらけの根
キノコの円環状の色のグラデーション
聞こえてくる鳥の声
すべてが意義深く、
生命の濃厚な気配の
うちに包む。

滝に着いた。
落差50メートル
の水のしぶきを飽かず
眺めているうちに、
次第に空っぽに
なっていった。

「今、ここ」で起こっている
ことが把握できない時に、
人はもっとも充実した生を
送っている。

カヤックを繰って
マングローブの林に至る
浅瀬に上陸する。

汽水域で生育する
彼らも、塩分は苦手で、
古い葉に濃縮して
落葉させる。

その黄色い葉を
巻き貝が食す。

色付いた葉の葉脈を
かじってみると、ほんのり
しょっぱかった。

人類の精神史は、「鏡」
の発達の歴史だと見ることも
できる。

生を受け、やがて死すこの存在。

「鏡」というものを獲得した
時に、私たちの自己イメージは
変わった。

私たちは自分自身を思い浮かべる時に、
ほとんど無意識のうちに自分の姿、
とりわけ「顔」を想起するが、
これも鏡あってのことである。

20世紀の人類に起こった
最大の出来事は、
宇宙空間から「地球」
の姿を垣間見たということ
だった。

ここに、人類の自己認識の歴史は
新しいステージを迎える。

時間はかかるが、私たちは
必ず変貌しなければならない。

「意識」を理解する試みも、
また、新しい「鏡」の発明へと
つながる。

その「鏡」が一体どのような
ものなのか。
「鏡」が存在する前の
自我にそれが予想できなかった
のと同じように、今の私たちには
ただ予感することしかできない。
([9])

沖縄に来ると、島らっきょうを
食べるのが楽しみ。

オリオンを飲みながら
島らっきょうを味わっていると、
もう本当にその他のものは
何も要らないと思う。

空っぽの中に、来るべき
ものが予感される。

3月 31, 2008 at 06:59 午前 | | コメント (12) | トラックバック (5)

2008/03/30

上手に思い出すこと

「和樂」の取材で西表島に来た。

緑が濃い。さまざまな
生きものの気配がする。

案内してくださるのは、山下秀之さん。


夜、山下さんの案内で
山中に入り、八重山ホタルが
舞うのを見た。

日暮れの後、30分程度だけ
飛ぶ。

チラチラと暗がりを点滅する
光に包まれて、地上に星空
が降りてきたように感じた。

「今、ここ」をとどめておく
ことはできない。
時は流れ、消え去る。

かろうじてかすかな手がかりが
あるとすれば、それは記憶である。

だからこそ、上手に思い出すことが
大切なのだ。

意識の中でクオリアが
感じられるメカニズムには、
波動関数の収縮が関与している
かもしれない。

古典的な図式において、
収縮を起こすのは「観測」
である。

脳は、自分自身を「観測」
するのだ。

より技術的な記述の下では、
観測とはつまりミクロな
パラメータにマクロなパラメータが
関与する形式のことである。

脳は、「クオリア」がメタ認知の
メカニズムを通して「私」
に感じられるように、
上手に自己観測するのだ。
([8])

亜熱帯以南で板根が発達するのは、
有機物の分解が早く、
できるだけ地表近くに
根を張りめぐらせて
吸収しようという
植物の戦略と関連している。

圧倒的な速さで流れていく
「今、ここ」の現象学的
豊饒を留めておこうとする時、
精神がふしぎなかたちの
うちに構造化される。


山下秀之さん


板根

3月 30, 2008 at 07:29 午前 | | コメント (9) | トラックバック (5)

2008/03/29

「真水」の部分

歩いていたら、
今年初めてのモンシロチョウを見た。

二日前には、今年初めて、
ビオトープの水面を
アメンボウが跳ねていた。

寒い冬、サナギとして、あるいは
枯れ葉の下の越冬個体として、
耐え抜いたのである。

これから生命が爆発する。
奇跡による通り抜け、
オメデトウ、君たち。

国立博物館で、「ダーウィン展」
を見て、読売新聞の取材を受ける。

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の本間一成さんのクルーも
来る。

本間さんが時折私に張り付いている
のは、「脳スペシャル」の取材のため。

ゲストが一ヶ月以上、毎日張り付かれる
時の感覚を部分的に体験する。


「ダーウィン展」にて。撮影 滝沢富美夫

上野公園は桜が満開で、そのうるわしい
空気の中をゆったりと歩いた。

「このあたりを、ボクは大学院生の
頃走っていたのです。」

東京芸術大学。

大浦食堂で、
ビジネス社の岩崎英彦さんと
打ち合わせ。

美術解剖学教室にて、
布施英利さんの研究室の学生と、
私の研究室のメンバーで
合同のworkshopを行う。

布施さんは、残念ながら
スケジュールが合わずいらっしゃら
なかった。

脳と芸術 第一回ワークショップ

2008年3月28日

東京芸術大学 美術解剖学教室

13:00 ~ 18:00

茂木 「意識的体験の起源について」

斉藤 「描くことの起源に関する生物学的考察」

関根 「身体の時間と空間についての探究」

古川 「枯山水庭園に関する遠近法の論考」

田谷 「注意というもの」

粟田 「マルセル・デュシャンの創造過程」

恩蔵 「不確実性と一回性」

植田 「ピカソの芸術」

半分ホーム、半分アウェー。

汽水域でいきいきとした精神運動が
立ち上がる。

実質的に新しい文化を創る
「真水」の部分を重視したいと
思う。

そのためには、魂から、
パッケージの部分をはがさなければ
ならない。

芯と芯の部分がぶつかりあって、
弾み、融合する。

根津の車屋で、懇談。

ブルータスの鈴木芳雄さんも
いらした。


時間は、因果性の形式そのものである。
固有時は因果性を満たすかたちで
構築される。
しかし、それは、とりあえずは
ローカルな相互作用によって、
局所的なものとして構築される。

局所的な時間と、大局的な時間の
間の関係がどのようなものになるか。
その帰趨こそが、
意識が生み出される一つの
重要な契機となる。

あるシステム内で固有時が共有
されていることと、
意識の枠組みとしての
「私」という現象が生じることは、
同義となる。

こうして、志向的プロセスと
感覚的プロセスの間のマッチングが
必然化されるのだ。
([7])

3月 29, 2008 at 03:52 午前 | | コメント (7) | トラックバック (5)

2008/03/28

奇跡の脳ミステリー

奇跡の脳ミステリー

テレビ東京系 
2008年3月28日(金)
20:54〜22:48

茂木健一郎、布施博、麻木久仁子、矢口真里

http://tv.yahoo.co.jp/bin/search?id=110329730&area=tokyo 

http://www.tv-tokyo.co.jp/kiseki_mystery/index.html 

3月 28, 2008 at 09:12 午前 | | コメント (4) | トラックバック (2)

たとえ思いがあっても

たとえ思いがあっても

プロフェッショナル日記

2008年3月28日

http://kenmogi.cocolog-nifty.com/professional/ 

3月 28, 2008 at 09:07 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

世界の大三角形

椎名誠さんと会った直後だけは、
腕立て伏せと腹筋をする
(椎名さんは、それぞれ200回ずつやる。
夜寝る前にやる)と発作的に
思って実行する人生を送ってきた。

2月上旬に偶然お目にかかって以来、
今回だけはなぜか続いている。
時々走ってもいる。

なぜか、気分は中学校の部活の
ようになっているんだなあ。

「空気イス」こそしないけれども。

近くの公園のビオトープに、
二日前の朝、はじめてアメンボの
姿を見た。

近くの枯れ葉の下で越冬して
いたのであろう。

モンシロチョウが飛んでいるのを
今年初めてみた。

お前は偉いなあ、
とぼくは声をかけたくなった。

サナギのまま、どこかの片隅で、
冬の寒さに耐えていたのである。

こうして羽化し、オレンジ色の分子が
増えてきた空気の中をはばたく
ことができるのは、一つの奇跡である。

その気になってみれば、
この世は至るところ奇跡に満ちている。
ものが安定してずっと同じままに
存在できるという当たり前の事実で
さえも。

モンシロチョウが春飛ぶのを
子どもの頃から何回も見てきたが、
そのかけがえのない奇跡を
胸に深く刻み込んだ。

意識の「今、ここ」には
明白な時間の非対称性はない。

記憶のシステムにおいては、
「過去」と「未来」についての
明らかな時間の非対称性がある。
なぜ、私たちは「過去」のみを
覚えていて、「未来」を覚えていないの
か。
熱力学の第二法則と結びつけて
きちんと議論した明確なロジックは
存在しない。

物理学においては、統計的法則である
熱力学の第二法則に加えて、
量子力学における波動関数の収縮
という明らかな時間の非対称性がある。

ミクロな時間の非対称性、
マクロな時間の非対称性、
そして意識はどのように結びついて
いるのか。

意識は、ミクロであり、しかも
マクロでもある現象である。
意識、熱力学の第二法則、
波動関数の収縮。
この「世界の大三角形」をいかに
解くか。
([6])

昨日走っている時に思いついて、
ばかだなあ、と思ったが、
地面に手をついて腕立てふせをした。

通行人が見たら、どう思うだろう。

大地そのものに自分の身体を
ぶつける。

手のひらが土だらけになって、
ぼくははははははと笑った。


パタパタと払いながら、走り続ける。

土がつく。幸せな洗礼。

3月 28, 2008 at 09:06 午前 | | コメント (10) | トラックバック (1)

2008/03/27

衝動は桜の花びらのように

クオリアは一つひとつユニークな
感触を持っている。
視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚それぞれの
モダリティのクオリアは、ゆるやかに
変化する類似性を持ち、
他のモダリティのクオリアと
主観的には明白に区別される。

視野の中で二つの色のクオリアが
並列される時、
私たちは一つひとつのクオリアの
ユニークさとともに、
それらの間の相違(類似)にも
注意を向けることができる。

たとえ、その相違(類似)の
関係の感触に、言語的表現を
与えることができないとしても。

配列されたクオリアは、
鮮烈でユニークな感触として
主観の中で把握される。

私たちはそれに「モナリザ」
といったシンボリックな名称を与える
こともあるが、そのような記号は
意識の「今、ここ」で実際に
観じられている感触の総体に
決して届くことがない。

クオリアに目覚めることは、
私たちの生の一瞬一瞬を過剰に
おいて把握することである。

クオリアは、私たちを諦念させる
とともに、限りない感謝で満たすのだ。
([5])

NHK総合『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のチーフ・プロデューサーの有吉伸人さんは、
時折、「ああ、言うなよ〜」と叫ぶことがある。

誰かが、思わず、サッカーの日本代表戦の
結果を口走ってしまいそうになった時である。

有吉さんは家に帰ってから録画しておいた
試合を見るのが楽しみで、
会話はもちろん、ニュース、新聞の見出し、
電光掲示板、あらゆる情報源からの
「試合結果」を頭に入れないで、
あたかもリアルタイムで経験しているかの
ように映像を見るのだ。

ワールドカップの第三次予選
「日本対バーレン」戦で、「有吉方式」
を試してみた。

現実には、もう結果が出てしまっている。
世界の人々は、すでに知っている。

自分は知らないままに、数時間遅れで
ビデオを見ると、確かに身体の
芯をとらえるシビれる緊張感があり、
たった一つの知識の有無が人間の
精神状態を一変させることを
実感するのだった。
有吉さん、ボクも試してみましたよ!

東京工業大学大岡山キャンパス。

正門のところで、本間一成さんと
会う。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の脳スペシャルの取材で、私たちが
ゼミの議論をするところを撮影するのだ。

ちょうど、修士の卒業式。
桜並木は満開で、その中を背広や袴を
着た学生たちがちょっと誇らしげに
歩いていた。

晴れて修士となった野澤真一くん、
石川哲朗くんが修士号記を
見せてくれた。

野澤くん、石川くん、がんばったね。
三人で記念撮影。

新たに修士となった、石川哲朗くん(左)
と野澤真一くん(右)

二人は、博士課程に進学する。

野澤クンがメールをくれた。

_______

茂木さん

無事、修士課程を卒業することができました。
入学してから二年間、ありがとうございました。

SfN、修論発表会、池上研との合同ゼミ。
その3つが自分にとっての
ターニングポイントだったと思います。
どの一つも、乗り越えるのが本当に辛かったです。

特に、修士課程の仕上げとして
アレンジしてくださった、
池上研との合同ゼミで発表したことは
自分にとって大事な経験になりました。

それまで、自分がやっている研究が
あまりにもサイエンスの牙城に
対して歯が立たないので、
正直、このまま学問の世界にいても
楽しくないのではないか、
という気分になっていまいした。

でも、あの合同ゼミは、本当に楽しかった。
自分がまだまだサイエンスの世界で
未熟なのは認めつつも、
学問の世界というのは
思っていたよりもずっと自由で
楽しいものなんだ、
というのを知りました。

学問の世界で生きることがどういうことなのか、
これからの3年間で見極めたいと思います。
そして、その世界で自分の力を
思う存分振るってみたい。
無力感ばかり際立って感じられたいままでとは
違った時間がはじまるだろうと感じています。
これから3年間、
どうぞふたたびよろしくおねがいします。

野澤真一
_______

野澤くん、一緒にがんばろう!

修士をとったばかりでご苦労さま
だけれども、
石川くん、野澤くんが研究の構想に
ついて発表する。

石川くんは強化学習におけるdiscount factor
を未来にどうやって外挿するか
という話をした。

credit assignmentの問題は、actionとrewardの
関係が二体問題から多体問題になった
時に難易度を増す。

複数のactionとrewardのassociation
a1, a2, ....., aN -> R
をどう扱うか?

この領域では、discount factorを通した
通常のcredit assignmentでは扱う
ことができず、logic やinferenceが
必要となる。
認知的進化の必然性がそこにある。

野澤真一がThomas Aquinasを持ち出したのは
面白かった。

自発性の問題を、善や悪といった倫理の
問題と絡めて議論することは理論的に
面白い。囚人のディレンマのような
利害対立ゲームと結びつけ、さらに
アクションが行われるタイミング自体も
自明に与えない構造にした時に
どんな展開ができるか。

私たちのでこぼこ議論を見守ってくださっていた
本間一成さんに、「それではサヨウナラ!」
「またNHKで!」
と言って、ダッシュで大岡山を後にする。

白金高輪駅近くで、私の小学校時代からの
親友である井上智陽、廣済堂出版の
川崎優子さん、Biz Style編集長の駒井誠一さんと
打ち合わせをする。

いやはや、
おもしろいことになりそうだなあ。

イタリア大使館へ。
科学技術関係のミッションの来日に
合わせたビュッフェ形式のレセプション。

ソニーコンピュータサイエンス研究所所長の
所眞理雄さんの姿も。

三修社社長で、「ブレイン」という
会社をつくった
前田俊秀さんの話をうかがう。
とても面白かった。

前田さんと私には、ドイツ贔屓という
共通点がある。
前田さんはドイツの大学に留学した。

イタリア大使館の中で、おいしい
イタリアワインを飲み、イタリア料理を
味わいながら、ドイツの話で盛り上がる。

まさに、欧州は連合しているなあ。

欧州連合(EU)の一等参事官、
科学技術部長のDr. Philippe DE TAXIS DU POET
と話す。

フィリップから聞いた欧州連合の理念は、
私の心に忘れがたい感触を残した。

「第二次大戦が終わった時、ヨーロッパの
国々が連合できるなんて、誰が思ったか?」

「だからこそ、少数の人たちが、理想を抱いた。」

「経済的な格差は当然ある。しかし、域内で
富める国が貧しい国を助けることで、
富める国にも恩恵がある。それは、ウィン=ウィンの関係なのだ。」

「欧州連合の人は、どの国にも住むことができ、
どの国でも働くことができる。誰もが、貧しい
加盟国から富んだ加盟国への人口の大移動が
起こると思った。しかし、実際にはそんなことは
起こらなかった。皆、自分の国に住みたいし、
自分の国を良くしたいんだよ。」

フィリップは、アジアだって同じじゃ
ないかと言いたかったのだろう。

確かに、アジアには、理念の
天翔る勢いと強度が足りない。
現実主義者であることは大切だが、
それだけでは、奇跡の花を地上に
咲かせることはできない。

異なる価値観、文化、歴史の中で
培われたものと触れあうとき、
私たちの中で開かれて血が通うなにかがある。

だからこそ、居心地のよい場所から
離れて、遠くそのまた向こうまで、
旅をしていきたい。

衝動は桜の花びらのようにやさしかった。

3月 27, 2008 at 09:47 午前 | | コメント (13) | トラックバック (6)

2008/03/26

脳を活かす勉強法 16刷

茂木健一郎
『脳を活かす勉強法』 
PHP研究所
は、重版(16刷、累計40万部)
が決まりました。

ご愛読に感謝いたします。

PHP研究所の木南勇二さんから
のメールです。

茂木健一郎先生

いつもお世話になります。
おかげさまで16刷20000部が増刷となりまして
累計40万部となりました。
誠にありがとうございます!


PHP 木南拝

http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?isbn=978-4-569-69679-9

amazon

3月 26, 2008 at 10:04 午前 | | コメント (4) | トラックバック (2)

真・クオリア日記

「プロフェッショナル 仕事の流儀」
の打ち合わせ。
東京消防庁のハイパーレスキュー隊の
隊長宮本和敏さんの回。

担当ディレクターは、赤上亮さん。

打ち合わせの時は、VTRに橋本さとし
さんのナレーションはまだ入っていないので、
ディレクターが朗読する。

オープニングで、スガシカオさんが
作詞・作曲したProgressの前奏が
なり始めるところ。

スタジオでは、私と住吉美紀さんが
「茂木健一郎です」
「住吉美紀です」
と名乗って、イントロダクションのコメントを
話す。

打ち合わせで、ちょうど前奏が終わる時間
(34秒)でディレクターがコメントを
喋り終わるかどうかが、いつも一つの
「サスペンス」となる。

赤上さん、残念ながら宮本さんの
紹介コメントを言い終えることが
できなかった。

「あっ、間に合わない!」
と赤上さん。

「自分で言っているし!」
と住吉美紀さん(すみきち)

「赤上さんはゆっくりしているから」
と的確な指摘をする山口佐知子さん。

「打ち合わせ」という生きものが
歩み始めた。


デスクの山本隆之さん(タカさん)と
赤上亮さん。


VTRを見る住吉美紀さんと、コメントを読む
赤上亮さん。


住吉美紀さんの腕時計。

プロフェッショナル班の机に、
荒川格さんが座っているのを見て、
「あっ、荒川さんだ!」と思わず声を
上げてしまった。

久しぶりに荒川さんの元気な姿を見て、
本当にうれしかった。

春が来たような気がする。

ソニーコンピュータサイエンス研究所。

柳川透、田谷文彦といろいろと議論する。

所眞理雄さん、北野宏明さんとお話する。

六本木ヒルズへ。
ソニー銀行主催のセミナーで、
お話をさせていただき、また石井茂
社長と対談する。

司会は、大桃美代子さん。

石井さんにお目にかかると、
お金のことを真剣に考えようという
気持ちになる。

大桃さんのブログに、写真と感想が
掲載されてます。

http://yaplog.jp/o-momo/archive/846 

移動しながら仕事を続ける。

「中央公論」に連載中の
「新・森の生活」の原稿を送る。

井之上達矢さんから、さっそく感想の
メールをいただいた。

_______

茂木健一郎様


大変お世話になっております。
原稿確かに拝受いたしました。
ありがとうございました!

確かに現代における
「政治」は
「騙しや暴力は常套手段の機能的に
もっとも洗練された喧嘩」
もしくは
「その調整」
として
多くの人に諦念をもって受け入れられています。

もちろん
その「政治」の世界では
相対的に優れた「頭の回転」を必要とされます。

しかし、
そこに「本当の意味での知性」を紡ぎ出すほど、
真に「頭の回転」が優れた人はあまりいません。
彼らはどうしても、
「今の政治に必要な『頭の回転』などは、
『本当の意味での知性』からは遠く離れたものである。
くだらない。だから私は他のことを考えたい」
となりがちです。

そして
その空席に、
「ただの喧嘩上手(喧嘩好き)」
あるいは
「(自分の)利に聡い人」が
入り込むことになっている・・・・・・。

「政治」の持つ、
実際の生活に及ぼす影響力を考えると、
あまり喜ばしいとは言えない状況ですね。

今回の原稿で、
茂木さんは、
「政治」と「本当の知性」が結びつくことの大切さを、
「論理」と「クオリアを感じさせる表現」
を結びつけて描き出しました。

「論理」で押し切るのでもなく、
「感触」に頼るのでもなく、
両方を使われました。
(そして双方ともおざなりにしていません)

そうすることではじめて、
「喧嘩上手(喧嘩好き)」な人にも、
「政治嫌い」な人にも、
「新たな政治の可能性」について考えてもらえるのでしょう。

まさに茂木さんならではの素晴らしい仕事だと思いました!

また、
茂木さんの
「政治嫌いだった」高校時代から、
「政治に背を向けられない」と感じる今に至るまでの、
精神運動を、
一つの良質な「ビルドゥングスロマン」として
楽しませていただきました。

読みながら、
若き茂木さんの感じた「春のそよかぜ」が、
自分の胸の中を
通り過ぎたように感じました。

物語としての力も
持ち合わせた贅沢な評論だったと思います。

ご執筆、
本当に
ありがとうございました!!

中央公論新社
雑誌編集局「中央公論」編集部

井之上 達矢

_______

「サンデー毎日」に連載中の
「文明の星時間」の原稿を送った。

大場葉子さんから、さっそくメールを
いただいた。

_______

とことん突き詰めることによる昇華が、
「生命の秘密」への道筋となること。
生き物として生まれたからには
生理的直感を道連れにし、
その「知」をめざさなくては
生まれた甲斐がない。
そうした冒険が「生」への誠実な姿勢であり、
そのような発露はメモのような
形態での生成であっても、
受け手を替えながら幾度となく
生き返る「生の力」をもつのだ。
そのようなことがぐるぐると頭を駆け巡り、
いまは星時間にすっかり浸っています。

「両者の弁証法的な会合が歴史の歯車になる」。
このことばがたまらなく好きになりました。

大場葉子より  

_______

井之上さんからは、その前に
もう一通メールをいただいた。

______

「真・クオリア日記」では、
より細やかなレベルで
茂木さんの精神運動のヒダに
触れることができそうですね。
とても楽しみです!

_______

英語で書いている意識についての
論考のさわりの要約を、
日本語で日記に記すことで
井之上達矢さんの言われるところの
「真・クオリア日記」となる。

意識の現象学的解剖をすると、
少なくとも、(1)「私」の主観的枠組み
(2)志向的クオリア(3)感覚的クオリア
の3つのカテゴリーに分かれる。

このうち、「志向的クオリア」と
「感覚的クオリア」の間の差異は、
人間の意識表象に関する限り
「0」「1」の明瞭なもののように
思われるが、そもそも意識を生み出す
「第一原理」に立ち返れば、
本来は連続的に変化していくものかも
しれない。

通常の意味でのneural correlates
of consciousness
を考えると、(2)と(3)については、
co-variationでそれを明らかにすることが
できるが、(1)についてはそれはできない。

(1)の候補は、普通に考えれば
「前頭前野」を中心とした神経活動の
ネットワークであるが、神経細胞を
含むさまざまな構造が埋め込まれる
「時間」や「空間」といったmediumさえもが
その候補であり得る。
([4])

3月 26, 2008 at 10:03 午前 | | コメント (6) | トラックバック (6)

2008/03/25

常に精神のどこかが筋肉痛であるような

明治記念会館で、矢内理絵子女流名人の
就位式があり、うかがう。

お祝いの言葉を慎んで述べさせて
いただく。

これで、名人戦三連覇。
成し遂げたことの満足に内側から輝く。
矢内さんの笑顔は素敵だった。

矢内さん、おめでとうございます!
そして、これからもがんばって
ください!

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080325-OHT1T00030.htm 

六本木ミッドタウンのフジフィルム・
ギャラリーにて、椎名誠さんの
写真展
「ニッポンありゃまあお祭り紀行」を見る。

何しろまあ、沖縄の泥だらけの人「パーントゥ」
の祭りの写真がとてもいい。
頭から一つちょこんと出ている草が
素敵だなあ、といつまでも見ていた。

カラットから出版されている椎名誠さんの
「ニッポンありゃまあお祭り紀行」 を会場で購入する。

「パーントゥ」の写真は、椎名さんの
エッセイと合わせて眺めると味わいが
増す。

椎名誠さんの友人、知人がお面に
思い思いのペインティングをしたものが
会場に飾られている。

私も寄せさせていただいた。

会場に来た人は、その「証拠」に
壁面にサインをしていたので、
私もサインをした。



椎名誠さんの展覧会に寄せたお面のペインティング


椎名さんの展覧会は、明日26日まで。
みなさん、ぜひいらしてください!

麹町の日本テレビにて、
『世界名作劇場』の収録。

所ジョージ、西尾由佳理、今田耕司、
上地雄輔、関根勤、西川史子、ウド鈴木、
小倉優子、勝俣州和、千原ジュニア、
千原せいじ、チュートリアル、
南海キャンディーズ、羽野晶紀、
Bコース、森三中のみなさん。

世界の名作文学について、
プレゼンターの方々が
熱く語る。

羽野晶紀さんの『二十四の瞳』
のプレゼンテーションでは、
何ものかが降臨して、スタジオの雰囲気が
変わった。

日企の竹下美佐さん、宇佐見友教さんと
お話しする。
竹下さんは、なんだか春のようなぽかぽか
した雰囲気だった。

意識の中枢には「メタ認知」がある。
あるシステムにおいて、その一部分が、
自分の「内部」であるにもかかわらず
あたかも「外部」であるかのように
感じられること。

このような「位相的両義性」を
どのように実現するかが、
本質的な課題となる。

心理的時間における「同時性」
もまた、このような位相的両義性の
中で成立する。

各トラジェクトリに固有時がまとわり
つくのではなく、「私」という枠組みに
普遍的なものとして固有時が
成立すること。

そのような「公共性」が実現される
枠組みとして、「私」という位相的
両義性の下でのメタ認知はある。


街を歩きながら
高尾山で松岡修造さんが
言われていた「普段使っていない
ところを使うと、筋肉痛になる」
ことについて考える

いつもどこかが筋肉痛だという
ことは、つまりは新しいことを
やっているということ。
あるいは、今までのレンジを
超えようとしている
ということ。

もしそうであるならば、
常に精神のどこかが筋肉痛で
あるような。そんな人生。

3月 25, 2008 at 08:09 午前 | | コメント (12) | トラックバック (3)

2008/03/24

『文明の星時間』 リンカーンの法則

サンデー毎日

2008年4月6日号

茂木健一郎 
歴史エッセイ
『文明の星時間』

第7回 リンカーンの法則

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

3月 24, 2008 at 09:06 午前 | | コメント (1) | トラックバック (1)

旦さんかっこいい

朝早く高尾山へ。

車が行けるのは発着駅までで、
それから先は
ケーブルカーやリフトで行かなければ
ならない。

ケーブルカーの始発を待つ
ということを初めて経験した。

修験道の人が使う滝があり、
その流れを佇んで見つめる。

始発が動いた。
乗っている人たちは、どうやら
ほとんどが働いているようで、
薬王院へ向かう道が時ならぬ
「ラッシュ」となった。

薬王院の宿坊の前に、
森島留美子さんがいた。

「修造学園」の収録。
今回は、環境問題をテーマにする
ということで、
私は三日目の朝に子どもたちに
自然を守る上で
大切な「気づき」の話をすることに
なっていた。

中央公論の「マシンガン口撃男」
こと岡田健吾くんと家をシェアしている
文化工房番組制作部の辻成人さん
が、流れをいろいろとご説明くださる。

松岡修造さんがいらした。
いつもの素敵な笑顔である。

「松岡さん、僕は、珍しく、過去一ヶ月
くらい、腕立てとか腹筋が続いている
んですよ。」

「そうなんですか」

「それで、いつもどこかが筋肉痛になって
いないと満足できないような、そんな感じが
出てきたんですけれども、そういうことは
ありますか?」

「あります。特に普段使っていない
筋肉を使うと、そうなりますよね。
ぼくも、山登りをすると、ふとももが
筋肉痛になって、ああ、きたきた!
と思いますよ。」

「でも、ぼくは、せいぜい5分くらいしか
身体を動かしていないんですよねえ。
松岡さんはどれくらいやるんですか?」

「ぼくは、1時間くらいですかねえ。
ビリーズ・ブートキャンプをやって
いますよ。」

「えっ、そうなんですか。」

「でも、何をやるのかだいたいわかって
いるので、ビリーズ・ブートキャンプ
のビデオと一緒に、録画しておいた
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
も見るんです。」

「うわあ、ありがとうございます!」

「それで、どうしてなんですかね、身体を
痛めつけている時って、なぜか
情報がすっと入ってくるんですよね。
身体の動きがピークになっている
瞬間に、例の黒くて「ポーン」
となるやつが来たりして、そうすると、
とてもいい感じになるんです。」

山を下りてきた後で、
辻成人さんからメールをいただいた。

_____

茂木様

 お世話になります。お忙しい中、
高尾山山頂まで朝早くから
足を運んでいただきありがとうございました。
あのあと、子供たちがゴミを拾いながら、
高尾山の急坂を登る時に、修造さんが、
「つらいことを乗り越えると楽しいことが
待っているぞ!茂木先生の顔を思い出せ!」と
おっしゃっていました。

毎度貴重な話を頂き、本当にありがとう
ございます。

放送日は5月5日10:30〜11:25 
テレビ朝日 修造学園5
です。よろしくお願いします。

辻成人

______

『脳内現象』(NHKブックス)が、「第25回日本文芸大賞」
を受賞したということで、
授賞式及び祝賀パーティーが
行われる京王プラザホテルへ。

一緒に『脳内現象』を作って下さった
NHK出版の大場旦さん、大場旦さんの
パートナーで
『すべては音楽から生まれる』のライティング
をしてくださり、「サンデー毎日」の
『文明の星時間』の編集、
「トゥープゥートゥーのすむエリー星」
の編集と、大変なお世話になっている
大場葉子さん、
公私ともに様々にご一緒している電通の
佐々木厚さん、取材案件について行き届いた
配慮をくださり、仕事を超えた友情を感じる
ソニー広報の滝沢富美夫さん、中谷由里子さん、
「たけちゃんマンセブン」の
愛称で知られ、『「脳」整理法』や
『意識とはなにか』、そして『思考の補助線』
を一緒に作って下さった筑摩書房の増田
健史さんがいらして下さった。


日本文芸大賞は、職業
作家に限らず、広く文芸作品全般
から選出されるもので、
故小松茂朗氏が創設された
「日本文芸振興会」によって運営
されている。

現在の会長は小松栄子氏。

素敵な式、及びパーティーでした。
関係者の皆様、本当にありがとう
ございました。

パーティーで、大場旦と
「ぐわー」っとした。

それから、大場旦、増田健史と
「ぐわー」っとした。


大場旦と「ぐわー」


増田健史、大場旦と「ぐわー」


二次会で、6人でゆったりと語り合った。
大場葉子が、となりのオオバタンが
ニヒルに佇んでいるのを見て、
「旦さんかっこいい!」
と言った。

ぼくも思った。

「オオバタン、かっこいい!」

かっこいいオオバタンと、すてきな
オオバヨーコが薄がりへと溶け込んで
いく夕べに。


暗闇にたたずむ大場旦氏。


大場旦氏と大場葉子氏。

ぼくは大場旦に言った。

「今朝から新しいことを二つ始めました。」

「それはなんですか?」

「一つは、二、三日すればきっと
わかります。もう一つは、少し時間が
経てばわかります。」

「すぐにわかる新しいこととは何ですか?」

「いえ、クオリア日記を、本当にクオリア
日記にしようと思うのです。」

「なるほど。」

オオバタンは、煙草をくゆらせて
虚空を見つめた。

意識を生み出す最終的な原理は、
かならず事象間の相互関係に求められなければ
ならない(「マッハの原理」)。

現時点では、神経細胞の活動が相互関係を
考える際のrelevantなscaleであると
考えられる。しかし、本来は素粒子まで
ずどーんと底が抜けている。
クオークでとどまるかさえもわからない。

何らかの第一原理で、特定のスケールが
relevanceを持つことが与えられなければ
ならない。
しかし、それは、デジタルコンピュータでも
本来同じことなのだ。

私たちは、情報表現の基盤自体を反省しなければ
ならない。

3月 24, 2008 at 09:03 午前 | | コメント (9) | トラックバック (4)

2008/03/23

タイガー・ジェット・シンの生命哲学

ヨミウリ・ウィークリー
2008年4月6日号

(2008年3月24日発売)

茂木健一郎  脳から始まる 第98回

タイガー・ジェット・シンの生命哲学

抜粋

 島村君が、真剣な顔になったのはその後である。
 「いいか、茂木。他の選手は演技かもしれないけれども、タイガー・ジェット・シンだけは本気だからな。あの人は、本当にあぶないから、来た時に目を合わせたらダメだぞ。目が合って、実際に襲撃されて怪我をしたファンもいるんだぞ!」
 「タイガー・ジェット・シンだけは本気だからな。」島村君のひと言で、私はわくわくと興奮して、居ても立ってもいられなくなった。

全文は「ヨミウリ・ウィークリー」で。

http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/

3月 23, 2008 at 07:01 午前 | | コメント (1) | トラックバック (1)

塀の上を歩く人は忙しい

クオリアの問題が将来
どのように解かれるか、
ということは、あらかじめ
予想することはできない。

それは、E=mc2的な、
思いも掛けないサプライズ
とともに、私たちが現在
想像していない「もの」と「もの」
を結びつけるのだろう。

あるいは、あらたに「もの」
が定義されるのであろう。

あるいは、「定義」のされ方
が変わるのだろう。

川上未映子さんと対談。
川上さんの人生の軌跡と、
樋口一葉の「たけくらべ」の間の
内的相関などをめぐって。

講談社のGRAZIAに掲載される予定。

養老孟司さんと、朝日カルチャーセンターにて
対談。

小柴昌俊さんが、養老さんと私の
対談の前の時間に会場にいらして、
そのまま、前半だけ聞いてくださった。

小柴さんが出られる前に、
ひと言、コメントをいただく。

養老さんは、「塀の上を歩いてきた」
と言う。
「塀の上」を歩く人は忙しい。
あっちを見たり、こっちを感じたり。
それで、バランスを取る。

「塀の内側」
あるいは「塀の外側」
にいる人に比べて、「塀の上」にいる
人の精神生活ははるかに忙しい。

ソニー広報の滝沢富美夫さんの
案内で、
「インディペンデント」誌の
取材を終えた川上未映子さんが、
会場にいらっしゃる。

ちょうど良い折を見て
川上さんに発言していただいた。

養老さんが「元気じゃない人を見ると、
何とかしてやろうと思んだけれども、
そうすると巻き込まれることが多い。
茂木クンのように元気で動き回っている
人は、その点安心だ。ひやひやしながら
見てればいいから」と言われて、
対談が終わる。

「兆一」にて打ち上げ。
井上智陽がやってくる。

クオリアは、典型的な「多様性を生み出す
普遍的な法則」の事例である。
かくも様々な感覚質が、
「私」という統合された並列性の
中に感じられる、そのような奇跡が
一瞬一瞬まさに生起しているのだ。


GRAZIAの対談の折、川上未映子さんと。
(撮影者の滝沢富美夫さんのコメント:
「窓からの十分な自然光をほぼ45度から使い、
カメラのソフトポートレイトモードで撮影しました。」)

3月 23, 2008 at 05:58 午前 | | コメント (13) | トラックバック (8)

2008/03/22

自然にぐわーっと

東京大学広域科学科の
池上高志は私の「まぶだち」である。

「茂木、おまえな〜」
「池上、てめえ〜」
と言い合う「まぶだち」である。

 あれは、一ヶ月ほど前のこと
だったか。
 4月から博士課程一年に
進学する野澤真一の顔を見ていて、
私は「こいつをどうしよう」
と思った。

 野澤は今、自発性
(spontaneity)に大変深い関心を
抱いている。だが、こいつが本当の感触
を掴むためには、何かが欠けている。

 そんな風に感じた。

 その時、池上高志の顔が浮かんだ。

 「おお、そうだ。池上と
噛み合わさせよう。池上に
鍛えてもらえば、ぼろぼろに
なって、野澤くんは再生するだろう。
新しい人間に生まれ変わるだろう。
そんな野澤くんが見てみたい。」

僕は、池上高志にメールをした。
「自発性についての、オレと
お前の研究室のjoint workshopを
やろう。」

Spontaneous One (「自発性その一」)
というタイトルには、「自発的なものたち」
という意味も込められている。


Spontaneous One

Joint Workshop on the cognitive process of spontaneity.

21st March 2008
University of Tokyo Komaba campus. 15-409

13:00-13:30
Consciousness and Spontaneity Mogi

13:30-14:00
The essence of Spontaneity Nozawa

14:00-14:30
Microslip Ogai

14:30-15:00
Spontaneous neural activities Yanagawa

15:00-15:15
Short Discussion

15:15-15:30 Break

15:30-16:00
Dichotomy of tools and objects Sato

16:00-16:30
Emotion and spontaneity Onzo

16:30-17:00
Spontaneity of fish group Nishimura

17:00-17:30
Autonomy and Homeodynamics Ikegami

17:30-18:00
Long discussion

18:00 Trip to BYG bar, Shibuya


東京大学駒場キャンパス15号館
409号室でワークショップは
始まった。

自発性について、
池上研と茂木研の
人たちが話す。

野澤真一はと言えば、
りっぱに自分の話をしていた。

そして、何よりも良かったことに、
野澤には、すばらしい友人が
見つかったような気がする。

「同じ世代のやつらの中に、
オレにとっての池上高志、
田森佳秀、郡司ペギオ幸夫、
塩谷賢みたいな、全面的に
共感できるやつを探せ!」

常々そう言って来た。
しかしながら、自分の感性
(フィーリング)にぴったりと
合うような友人を見つけることは
そんなに簡単なことじゃない。

佐藤勇起が野澤にはぴったりだ!
研究会の後の談話の様子を見ていて
突然そうひらめいた。

「野澤、お前、佐藤ぴったりだろう」
「友だちになりました。」
「そうだ、そのようにして、大いに
切磋琢磨するのだゾ!」

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の「バックギャモン担当」、
本間一成さんが、ワークショップの
様子を見に来ていた。

「茂木さん、ちょっと聞いて
いいですか」
と本間さん。

「なんで、皆、あんなに難しい
言葉を使って話しているんですか?」

「いや、やさしい話を難しく話そうと
しているのではありません。
問題について考えていて、そのエッセンスを
簡潔に表現しようとすると、
自然とあのような言葉遣いになるのです。
いわば、呼吸をするようなものなのです。」

ワークショップの後、渋谷のBYGに
歩いた。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
に出演いただいた長沼毅さんがいらっしゃる。

池上と三人でぐわーっとした。

わざとぐわーっとするのでは
ありません。
心に従っていると、自然に
ぐわーっとなるのです。

元気になることを考えていると、
いつでもどこでもぐわーっとなる。

ぐわーっ。


池上高志、長沼毅さんと。
(渋谷B.Y.G.にて。
photo by Atsushi Sasaki)


3月 22, 2008 at 09:26 午前 | | コメント (11) | トラックバック (3)

2008/03/21

独学者 中村勇吾さん

独学者 中村勇吾さん

プロフェッショナル日記

2008年3月21日

http://kenmogi.cocolog-nifty.com/professional/ 

3月 21, 2008 at 09:57 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

自然の季節とは関係なく

ホテル・ニューオータニにて、
読売新聞の配達をしながら
学校に通う「読売奨学会」
の学生さんたちの卒業式で
お話をさせていただいた。

ヨミウリ・ウィークリーに
連載しているご縁で、編集部の
二居隆司さんにお誘いいただいた。

朝刊と夕刊を配達する。
あるいは、朝刊を配達し、集金業務を行う。

学業と両立させながらの日々は、
さぞ大変だったことと思う。

心を込めてお話しさせていただいた。

二居隆司さんからメールをいただく。

******

お世話になっております。
本日は本当にありがとうございました!

心に響くお話でした。私がお話を
うかがっていて、いちばん感心しのたのは、
茂木さんが若者たちと同じ目線でお話されて
いる点でした。あのような場では、えてして
大上段から構えた、タテマエの話に終始する
ことが多いのですが、若者たちを真っ正面から
受け止めようという、茂木さんの真摯なお姿には、
本音の部分で感動いたしました。
タイガー・ジェット・シンばりの、
フルアクセルでしたね。

それと感動したことがもう一つ。

茂木さんのデイバッグ、重かったです。
毎日これを背負って、全国を駆けめぐって
いらっしゃるとは。虚弱体質の私は、
背負った瞬間、頭の芯がくらくらしました。

毎日これを背負う覚悟。茂木さんが常に
前向きに、元気に世間とかかわり合って
いける、その秘密の一端を見た思いでした。

これからも末永くよろしくお願い申し上げます。
取り急ぎお礼までに。

*****


講演が終わり、
二居さんは笑顔で、ヨミウリ・ウィークリー
編集部へと向かっていった。

二居さん、こちらこそありがとう
ございました!

NHKへ。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の収録。
ウェブデザイナーの中村勇吾さん。

インターネットの話をたくさん
できて、とても幸せな気分になった。
今回の番組の担当だった
生田聖子さん(生田ガンコさん)が
一仕事を終えて解き放たれて
いる様子を見て、「ああ、良かったなあ」
と思った。

心を込めて仕事をすること。
そして、解き放たれること。
そう考えれば、自然の季節とは
関係なく春は来ることが
できる。

3月 21, 2008 at 08:55 午前 | | コメント (7) | トラックバック (4)

アントニオ・ネグリ氏について

『帝国』などの著書で
知られるアントニオ・ネグリ氏
の来日が中止となったと報じられた。

詳しい経緯、及びアントニオ・ネグリ氏
からのメッセージは、
国際文化会館のホームページで
読むことができる。

http://www.i-house.or.jp/jp/ProgramActivities/ushiba/index.htm 

ネグリ氏の著作が引き起こした論争の質、
招請にあたって、国際文化会館、
東京芸術大学、東京大学などの関係者が
費やした努力の量と質を知っているだけに、
外務省からの連絡に端を発した今回の事態は、
きわめて遺憾である。

ネグリ氏によると、この5年間に
訪れたどの国も、今回外務省が要求
したような書類を要求したことはない
という。

しかるべき担当者、ないしは政治的な
判断を行う権限を持つ高官が、
国際的な「カモン・センス」に照らして、
適切な措置を行い、ネグリ氏ができる
だけ早く来日できるよう対処
してくださることを
自分は「文明国」に住んでいると
信じている一人の人間として強く期待する。


アントニオ・ネグリ氏の
来日が実現した時には、
会場にいる者全員のスタンディング・
オベーションで迎えてあげたい。

3月 21, 2008 at 08:52 午前 | | コメント (6) | トラックバック (0)

2008/03/20

涙の理由

NHKの
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
ディレクター本間一成さんと、
脳のお話をする。

本間さんは、量子テレポテーション研究の
古澤明さんや、コンピュータのインターフェイス
を研究している石井裕さん、辺境微生物学の
長沼毅さんと、番組に科学者が登場した
回を担当してきた。

だから、「入り込んだ」人だとは
思っていたが、ここまで「入り込んだ」
人とは知らなかった。

待ち合わせ場所に近づくと、本間
さんがさっと何かをしまう。

「あれ、本間さん、今しまったのは
何ですか!」

バックギャモンの本だった。

501 Essential Backgammon Problems 
by
Bill Robertie


「今、はまっているんですよ」
と本間さん。

私はバックギャモンはやったことが
ないから何も知らないが、
写真にサイコロがあるのが目に留まった。

「あれ、サイコロがある! ということは、
確率的に決まる要素もあるということ
ですか?」

「そうなんですよ。ただ、各局面に
おいてどんな手を打つとどれくらいの
確率で自分に有利になるかという
計算があって、その確率計算に
従って最善手を打つんですよ!」

バックギャモンにおける偶然と必然。

その成り立ちを語る本間さんの
目はらんらんと輝き、
どこか、本の著者でバックギャモンの
世界選手権で二回優勝している
ビル・ロバーティーに
似ている。

その、狂気の気配が似ている。

本間さんはバックギャモンの
人だった。

バックギャモンについて熱く語る本間一成さん
(photos by Ken Mogi)

重松清さんとの対談。

宝島社の田畑博文さんに企画書を
送っていただき、重松さんと
飯田橋のキャナル・カフェで
お目にかかったのが2006年の
3月。あの時から、
宝島社の西山千香子さんもいらして
いろいろとご手配くださった。

あしかけ二年で、対談が
完結を迎える。

対談のテーマは、『涙の理由』。

田畑さんの企画書を読んで
驚嘆して、「この仕事だけはやろう」
と思ったのだった。

重松さんと二人で、ずっと
「涙の理由」を探ってきた。

涙には単純なものもあるが、
もっとも価値があるのは
その人の人生の記憶、感性、
周囲との関係性、
志向性、思い、後悔、
希望、驚き、反復・・・などの
パズルの要素が「カチッ」
とはまった時に流される涙。

物理学者のリチャード・ファインマン
は、妻のアイリーンを亡くした時に
涙が出なかった。

しかし、それからしばらくして、
街中を歩いていて店のショウウィンドウの
中にきれいな服が飾られているのを
見て、「ああ、アイリーンだったら
こんな服を着たがるだろうな」
と思った瞬間に、もうこの世には
アイリーンがいないのだと気づいて、
号泣したと、自伝『ご冗談でしょう
ファインマンさん』にある。

すぐれた映画や小説もまた、
私たちを泣かせるが、
自分自身の人生のさまざまな
要素がそろって凝縮した時に
流れる涙は、天からの贈り物であって、
一つの奇跡である。

それは、一生に一回訪れるか
どうかもわからない不意打ち。

私はこのところずっと
「インターネット」への対抗軸を
探していた。

インターネットはすばらしいものであり、
これからもヘビーユーザーで
あり続けると思う。
一方で、それだけでは危うい、
なにかが失われると感じていた。
その対抗軸が、単に「身体に還れ」
とか、「自然に親しめ」では
いけない、とも思っていた。

counterpointはそんなに
簡単には見つからないと
思っていたが、重松さんと
向き合っている中で感触を得た。

さまざまなものが
はまることによって初めて流される、
「私の人生だけの涙」。

そのような涙をいつか流す
ことのできる人生を志向し続ける
ことが、流通性とグローバルな
ネットワークによって私たちの
生活を便利なものにすると同時に、
「今、ここ」のかけがえのなさを
下手をすれば侵食する可能性のある
インターネットの作用に対する
美しい解毒剤になると思う。

いやあ、すべてが終わりました。

重松清さん、田畑博文さん、
西山千香子さんと記念撮影。

『涙の理由』が完結した。

対談『涙の理由』は、宝島社から
9月頃発行の予定。


「戦友」たちの記念撮影。
茂木健一郎、重松清、田畑博文、西山千香子

ソニーコンピュータサイエンス研究所へ。

田谷文彦くん、
柳川透くんや、箆伊智充くん、
高川華瑠奈さん、田辺史子さんと
議論。

所長の所眞理雄さんと、研究上の
さまざまについてお話しする。

「涙の理由」がわかった夜は
天からの慈雨が降る。

世界のすべては、何かの奇跡のように
温かかった。

3月 20, 2008 at 08:13 午前 | | コメント (13) | トラックバック (6)

2008/03/19

ガンコという名の生き方がある

ガンコという名の生き方がある

プロフェッショナル日記

2008年3月19日

http://kenmogi.cocolog-nifty.com/professional/ 

3月 19, 2008 at 09:17 午前 | | コメント (2) | トラックバック (0)

『すべては音楽から生まれる』11刷

PHP新書

茂木健一郎 『すべては音楽から生まれる』

は増刷(11刷、累計77000部)
が決定しました。

ご愛読に感謝いたします!

PHP研究所の丹所千佳さんからの
メールです。

茂木健一郎先生

こんばんは。
いつもお世話になっております。


さて、増刷のお知らせです。
おかげさまで『すべては音楽から生まれる』
の 11刷が決定し、
累計77000部となりました。 ありがとうございます。

「題名のない音楽会」はすばらしかったですね。
先日、件の「夢と魔法の王国」へ行き、
小さいころより魔法にかかりにくくなっている
自分に気づいてしまい複雑だったのですが、
杖の一振りでたちまちに響き出すあの調べは、
まぎれもなく魔法でした。見事にかかりました。

一本の笛からはじまり、ひとつまたひとつと
波紋のように広がってゆく笛の音に、
震えたのはわたしだけではないはずです。

冒頭、楽器のチューニングにはじまり、
鳴り止まない拍手のそのあともなお。
耳をすまし息をつめて、聴き逃すべきでないのは、
気配と余韻をこそ、なのかもしれませんね。

颯爽と春の鬣をなびかせて
天翔ける馬になりたいと思いつつ。

PHP新書 丹所千佳

amazon 

3月 19, 2008 at 09:12 午前 | | コメント (4) | トラックバック (1)

うんともすんとも

 お台場。
 フジテレビ「Pabo talk」の収録。
里田まいさん、スザンヌさん、
木下優樹菜さんに脳の話をする。

 収録前、ソニーコンピュータサイエンス研究所の
綾塚祐二さんが作成した
 白黒の隠し絵をプロデューサーの
神原孝さんが一生懸命見ていた。
 
 それでも、わからない。
 神原さんは、携帯でその写真をとって
去っていった。

 朝倉千代子さんと打ち合わせをして
戻ってくると、
 神原さんが「わかったあ!」
と叫んでいた。

 綾塚さんの隠し絵は大変
質が高く、「わからない」状態と
「わかった」状態の差異が大きい。
また、「わかった」状態になると、
「確信度」が高い。

 「いやあ、すっきりした」
と神原さん。

 諦めずに考え続けることで
喜びを得ることができる。

 Paboの三人とのトークは
とても真剣で、面白いものだった。

 里田さんのアスリート性。
 スザンヌさんの温かさ。
 木下さんの愛のある自己懐疑。

 放送は4月1日の予定。

 「プロフェッショナル 仕事の
流儀」の打ち合わせ。
 挿入曲を作曲されている
村井秀清さんがいらっしゃる。

 有吉伸人さん、本間一成さんと、
脳の話をする。

 銀座の東武ホテルでスミセイ・ベスト・ブックスの取材を受ける。

 『思考の補助線』を取り上げてくださった。
 筑摩書房の増田健史が同席。

 電通の佐々木厚さんがいらして、増田健史
とのツーショットが実現した。


佐々木厚(左)、増田健史(右)

 リクルートのG8ギャラリーにて、
箭内道彦さんの展覧会を見る。

 箭内さんと対談。

 創造性の「ドキドキ」「わくわく」
の背後にあるものについて。
 
 本当に楽しかった!


箭内道彦さんと、G8ギャラリーで。
Photo by Tomio Takizawa


 閉塞感が言われる現代だが、
本当に大切な問題は、難しいままに
残っている。

 いわば、魚が小さな器の中で
泳いでいるようなもので、
 器自体をとっぱらわないと
本当の意味での景色の変化はない。

 達磨さんは面壁九年だったが、
壁というものはしつこく辛抱強く
向き合わないと、うんともすんとも
言ってくれない。

 壁に向き合う時間は、
やがて来る啓示への期待感に満ちている。

3月 19, 2008 at 08:33 午前 | | コメント (10) | トラックバック (3)

2008/03/18

プロフェッショナル アンコール 寺門嘉之

プロフェッショナル アンコール

冷静に、心を燃やす
~海上保安官・寺門嘉之~

寺門さんの、逃げ場のない状況で
自分の身体一つに託すその強靱
な生き方は、忘れることができない。

海難救助の厳しい現場での
寺門さんのお仕事ぶりを
再び見ることができると
思うと、本当にうれしい。

NHK総合
2008年3月8日(火) 22:00〜22:45

http://www.nhk.or.jp/professional/

すみきち&スタッフブログ

3月 18, 2008 at 08:55 午前 | | コメント (4) | トラックバック (0)

箭内道彦 茂木健一郎 

クリエイティブサロン

箭内道彦 茂木健一郎

2008年3月18日(火)

19:10〜20:40

リクルート 
クリエーションギャラリーG8

http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/g8_ex_current/g8_ex_current.html 

3月 18, 2008 at 08:54 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

死と縄文 島田雅彦 茂木健一郎

集英社 すばる 2008年4月号

クオリア再構築vol.4
死と縄文 島田雅彦 茂木健一郎

目次 

3月 18, 2008 at 08:49 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

実軸と虚軸

荒俣宏さんと対談する。

何回かお目にかかっていたけれども、
実際にゆっくりとお話するのは
初めてだった。

荒俣さんは、子どもの頃、
幻想的なものへの関心に
自覚的になり、それが世間に
おいてあまり良い目で見られない
ことにも気づいたが、
「まあ、いいか」
と開き直ることをかなり早い
時期に覚ったのだという。

ぼくは思った。

現実と仮想の関係は、
いわば、実数論における
real numberとimaginary numberの
関係に相当する。

量子力学などの多くの計算において、
実軸と虚軸の両方がそろって
いなければ完備にはならない
ように、
精神運動においても
実軸と虚軸の両方が必要
なのではないか。

実軸だけに限定してしまうと、
遂行することのできない
計算がある。

一度虚軸に「潜って」、
それから実軸に「戻って」
くる。
その往還運動において
初めて可能になることがあるのだ。

荒俣さんの大変粘り強い、
うねるような精神運動の
感触を確かに受け取った。

1986年と言えば、
今から21年前。

その年に毎日小学生新聞に
連載された
『トゥープゥートゥーのすむエリー星』
がこのほど毎日新聞から出版される
ことになった。

イラストを描いてくれたのは、
小学校時代からの親友井上智陽。

編集を担当してくださる
大場葉子さんから、
「井上智陽が当時のイラストの
写真を送ってきた」
とメールがきた。

井上智陽のブログに、
連載の一部が掲載されている。

井上も言っていたが、
まさに「青春」であって、
眺めると
さまざまに甦る。

http://white.ap.teacup.com/applet/chii/20080115/archive 

3月 18, 2008 at 07:56 午前 | | コメント (12) | トラックバック (4)

2008/03/17

The annunciation

The annunciation

The Qualia Journal

17th March 2008

http://qualiajournal.blogspot.com/ 

3月 17, 2008 at 09:13 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

『文明の星時間』 アインシュタインの孤独

サンデー毎日

2008年3月30日号

茂木健一郎 
歴史エッセイ
『文明の星時間』

第6回 アインシュタインの孤独

http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/ 

3月 17, 2008 at 07:29 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

山本モナ 茂木健一郎 対談

山本モナ 茂木健一郎 対談

朝日新聞社 AERA
2008年3月24日号

3月 17, 2008 at 07:25 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

「受胎告知」

六甲の山並を見つめ、
春の息吹を感じながら
知性というものが胎動である
ということを考えていた。

ああ、そうかと思った。
新しいアイデアの端緒が
脳の中に生まれた瞬間のことを
記述するメタファー。


想念の端緒は、つまりは
「受胎告知」である。


The Annunciation by Leonardo da Vinci

その瞬間、天使ガブリエルがひざまずき、
新しい想念という生命が脳内で
動き始めたことを伝えるのだ。

1994年の2月、電車に乗っていて
「クオリア」の問題に気づいた時、
私の中で一つの想念が生まれた。

それは有機体としてうごめき、
今でも育ち続けている。

我が生涯の最大の出来事。

あの時、電車の連結部分で、
天使ガブリエルは私の前にひざまづいて
いたのだろうか。

英語では、受胎することも考えを
思いつくこともどちらも"conceive"という。

想念が次々とつながり、広がっていく。

東京へ。

黛まどかさんとの
対談。

黛まどかさんの大ファンである
電通の佐々木厚さんもかけつける。

黛まどかさんは、最近、メールマガジンでの
配信時にも大きな反響を詠んだ
「生きるための力」を
与えてくれる古今の名句のアンソロジー
『あなたへの一句』を出版されている。

「俳句」を読むことができる
環境についての、黛さんのお話が
面白かった。

 生活のある場所でなければならない。
 人工的な設いの庭園などは、
案外俳句を詠むことができない。

 俳句は、一つのway of lifeであり、
俳句を詠むことができるような生活を
続けている限り、「日本人は大丈夫」
とまどかさん。

 自分のやっていることに
命を懸けられない人は
許せないとまどかさんは言った。

 まどかさんとの対談は、
角川書店から6月頃に出版される予定。

(photos by Atsushi Sasaki)

 チベットで起こっていることに
重大な関心がある。
 
『プロセス・アイ』 
にも書いたように、この問題についての
私のスタンスははっきりしている。

http://kenmogi.cocolog-nifty.com/qualia/2005/12/post_d8d3.html 

新幹線の中で、Japan Timesの記事を
読みながら、全ての人間にとっての
普遍的価値について考えた。

多様性の背後にある普遍を志向して
活き活きと生きる時にこそ、
人は「受胎告知」に出会う
ことができる。