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2008/02/27

来し方行く末

来し方行く末

朝起きてすぐにすることは
いつもはブログを書くことだが、
今日はちがっていた。

2008年2月29日から
2008年3月26日まで
FUJIFILM SQUAREで
開かれる
『椎名誠写真展「ニッポン ありゃまあ お祭り紀行」』
に寄せる「烏天狗」のお面の
ペインティングをした。

椎名さんの笑顔を思い浮かべながら、
せっせと描いた。

筆を動かしていると、
まるで職人の朝のよう。

アインシュタインがあこがれた
職業は「灯台守」だった。

さかのぼる。

久しぶりの「プロフェッショナル 仕事の流儀」
の打ち合わせ。

夏休みを終えた登校日のよう。

住吉美紀さんが、しばらく顔を見なかった
クラスメートのように
思えた。


寺岡環ディレクターがナレーションを読み上げ、
すみきちはビデオを見る。

有吉伸人さんと、来し方行く末の
話をする。
時は流れ、そして積み重なっていく。
「今、ここ」からの健やかで
若々しい跳躍。

NHK出版で大場旦さんと
話す。

最初は「久しぶりですねえ」と
誤魔化していたが、
やがてのこと、オオバタン攻撃が
始まった。

「やっぱり、何日かまとまって
時間をとっていただかないと。」

「気持ちを入れないと、すぐに6月、
7月になってしまいますからねえ。」

そのうちに、オオバタンが
どん! どん! と机を叩き始めた。

おお。

オオバタンは、こうでなくてはならない。
原稿の催促の勢いで、
オオバタンの元気がわかる。

オオバタンのどんどん! が、
何だか、かけがえのない
「文化遺産」のように思えてきた。


どんどん! する前のにこやかな大場旦。

ソニーコンピュータサイエンス研究所へ。

柳川透くん、田辺史子さん、張キさん、
田谷史彦くんといろいろ議論し、
今後の方向を話し合う。

大切なのは、スピード感。

三田の「コートドール」へ。
橋本麻里さん、和楽の渡辺倫明さんと
来し方行く末を。

和楽連載もあと数回で終わり。

時は過ぎ、二度と戻らない。
積み重なったものは
化学反応を起こし、光を発し始める。

「新・森の生活」の原稿をお送り
したら、中央公論の井之上達矢
さんがお返事をくださった。

言葉には、時間をつなぎとめ、
永遠へと結ぶ力がある。

井之上さん、ありがとうございました!

*****

今回の原稿で、
多様性を担保する「拡散」が、
いわゆる「横」への広がりではなく、
「メタ」方向へも広がっていることに
気づかされました。

たしかに
「意識」の原初を解明するために
“意識的”に考えていくと、
今、私たちが持っている人間の意識すらも、
意識が進化していく階梯の「踊り場」に過ぎないのではないか、
ということを想定せざるを得ません。

この指摘だけでも、
十分に面白いと思いますが、
ここで
「思考のグルグル巡り」に終わらせることなく、
この意識の創発システムから
「同一性の再生」と「喪失」の物語、
つまりは
多様性の物語を
読み取られたところが、
茂木さんの面目躍如といったところでしょうか。

脳の問題と
心の問題と
生命の問題は、
「相互関係が生み出す多様性」がその
謎を解く鍵を握っているという点で、
同じ問題なんですね。

連載を重ねるほどに
茂木さんが
最初の打ち合わせで
熱く語っていた
「とにかく多様性なんだよ」という言葉の意味が
わかってきます。

中央公論新社
雑誌編集局「中央公論」編集部

井之上 達矢

***

2月 27, 2008 at 07:28 午前 |

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コメント

おはようございます。
私は、これから「おやすみなさい」ですが。
大場タンさんのどんどん!はデズモンド・モリス的に観ると
どうなるのかなあ?と気になり始めました(笑)。
おそらくこれからの一週間、かなり「ルサンチマン」を
意識せざるを得ない状況になりそうな予感…。
「永遠回帰」を目指して頑張ります(うそ…笑)。

投稿: Boo! | 2008/03/01 6:02:07

言葉は悪い方向に使うと、当然乍ら他者を傷つけ、滅ぼす力をもってしまう。しかし、いい方向に使うと、他者を救い、温かく包む力を発揮する。

使うほうの“心”ひとつで言葉の力は、様々に多様な方向に開けていく。
言葉というカテゴリーの中にも本当に多様性は含まれているのだ…。

どうせ言葉を使うなら、いい方向に使えるような人になりたいと常に思うが、短気な性分ゆえ、うまく行かない時がある。

心の鏡面を研ぎ澄まし、メタな視点に少しでも立てるようになれれば良いがと、いつも思っている。

投稿: 銀鏡反応 | 2008/02/29 5:54:03

椎名誠さんというと、グレートジャーニーと、本(旅行記でしょうか)が思い浮かびます。

過ぎてしまった時は、戻らないけれど、積み重なったものの化学反応を起した光は、どんな風に輝くのでしょう。

言葉には、時間をつなぎとめ、永遠へと結ぶ力がある。と云う文章、すごく素敵です。
そして、灯台のように、遥か遠くの海上からもココにあると分かるような存在に憧れ、私自身もそのようになれたら。また、そのような場所に帰れたら良いなと思います。

投稿: 奏。 | 2008/02/27 16:41:37

ソニーコンピュータサイエンスのHPを見てきました。
ロボットに字幕の洋画を見せ、同時に二ヶ国語の学習を進行させることによって、学習効率を上げることはできないかと、つまらないことを考えてしまいました。。

投稿: Nezuko S | 2008/02/27 15:13:47

茂木先生有難うございます。すみませんでした。

椎名誠さんの写真展興味あります。
場所もここから行きやすそうです。
去年、土門けんさんだったかな?
酒田に行った時写真見にいきました。昭和初期、お父さんが子供の頃の写真って明るい笑顔してるな~と実感。
仏像の写真も素敵でした。仏像っていいですよね。

お気に入りに入れました☆
シューベルトのもww

同一性障害と脳の関係って興味あります。
周りに友達がそうだという人もいるし。
好きになる相手が同性って言う場合も。
あのレオナルド・ダ・ビンチも信長もそうだし。
人間の中にはなぜ?どうして?理解できない事たくさんある。
でも今の世の中の常識って人間が作り出した物だし。
常識=一般論みたいな感じがします。

答えわかりそうで、解けないっていうのに似てるのかなぁ~

投稿: kazu | 2008/02/27 15:07:00

こんにちわ

PS3のゲーム(デビル・メイ。クライ4)をクリアーして、部屋を見ると、「ゲームよりすごい事が目の前で、起こっている。」と、感じた事があります。

意識と宇宙の関係を考えていて、来し方行く末の現在の事象点が、完全な点ではなく、形を持っている、それが意識ではないか?と、考えたりします。


「大場旦さん→オオバタン」、への、Befor afterの写真を見てみたいです。(^^)

投稿: 宇宙のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/02/27 12:14:42

「積み重なったものから"光"が発し始める」
という所に、茂木さんから感じられる暖かさの源泉を垣間見た気がします。

五官を通して知る世界はあまりにも狭い。
全体を見渡す「メタ」視点に立つこと、
そして立って眺めるだけではなく、
"光"を見出すこと。"光"を発すること。

明るさに向かい、飛んでいく茂木さんに幸あれ。

投稿: しん | 2008/02/27 10:02:42

茂木さんの記事を読んで、階段の踊り場で
オオバタン氏が床をどん、どん!とやる所を
想像しました。
どん! のない階段のどんなに淋しい事か。
そして茂木さんは建物の外の非常階段を
高速で上り下りしていて、時に
「えいやっ!」と飛んでおられる。
そんな事を思いました。

投稿: おやじスケロプター | 2008/02/27 9:26:02

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