初めての感触
橋本麻里さん、『和楽』の渡辺倫明さんと
奈良へ。
京都駅の近鉄乗り場の前で合流。
奈良駅から車で15分くらい走ると、
そこは笠置山だった。
奈良からほど近いのに、
受ける印象はまったく違う。
巨岩が続く。
古の人々が、ごく自然に
信仰を抱いたことが伝わる。
優美な線刻の
「虚空蔵磨崖仏」がある。
752年には、第一回の「お水取り」
が行われた由緒ある古刹。
巨大な岩が寄せ合うように
形づくる「千手窟」。
東大寺 二月堂の前身となった
「正月堂」。
後醍醐天皇が一時籠もったという
場所も見る。
歴史の歯車が回った
痕跡を、想像して補い、
つつまれる。
柳生街道沿いにある
円成寺へ。
http://www.naranet.co.jp/enjyouji/
運慶の現存する最古の作と言われる
国宝の大日如来を拝観していると、
声をかけられる。
とても親切、丁寧に案内して
いただいた。
春日大社の旧社殿が寄進
された春日堂・白山堂が
仲良くゆかしく並んでいる。
お寺の前の池には、端の方から氷が
張って白濁していた。
ならまちを歩いて、
「つる由」へ。
よもやまばなしを楽しむ。
感受するクオリアは、
出会って見なければ、その
存在すらも予想できない。
笠置の巨岩にも、大日如来の
横顔や組まれた足の風情にも、
初めての感触があった。
この世の中には、
まだまだどれほど、
見知らぬクオリアがあるものかと
思う。
眠りにつく部屋の窓からは
となりの開化天皇陵の
森の木々が見えた。
1月 22, 2008 at 07:33 午前 | Permalink
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寄って立つ足下に、澱んで流れる。
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いまにも嗚咽をしそうに見える。
草原も枯れ藁いろになり、
カサカサと音を立てて、
ひんやりな刃の風に揺れ吹かれる。
自販機で買った、焼けるほどに熱いコーヒーカン。
凍った手で握ると、指先に温かい血がまた通い始める。
道行く人々は、寒々とコートの中に身体をうずめ、
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コメント
こんにちわ
笠置山の岩って、寺が出来る前からあったわけで、弥生時代、縄文時代の人も、見ていたと考えると、不思議な感じがします。
それから、リンクを貼ってもらって、楽しめました、ありがとうございます。(^^)
投稿: 笠置山のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/01/22 21:01:57
冬のきれいな風景の写真、しばらくながめました。
いつもと同じ場所にいても、ほんの一瞬、
広大で美しい風景を心に思い描いてみる、という、
ただ、それだけの、自己流とれーにんぐをしています。
不思議なほど、すうっと気持ちが落ち着きます。
いま、ストーブのそばで歳時記をみています。
冬梅の既に情を含みをり 高浜虚子
投稿: F | 2008/01/22 13:25:42
こんにちは
毎日、楽しく興味深く拝読させて頂いております!
先日は大胆にもトラックバックをさせて頂きましたが
(載せていただいてありがとうございました)
今回は初めてコメントさせて頂きました。
私は以前、奈良で初めての感触、体験『雨の切れ目』を体験しました。
藤ノ木古墳の出土品の展覧会を観に行ったときの事ですから、20年ほど前のお話になります。
石舞台の近くを歩いていたところ
雨粒の感触が残るほど、しっかりとした雨降りだったのに
一歩足を進めたら、全くその感触が無くなり雨が降っていませんでした。
でも、相変らず一歩前では雨が降っており…
まるで、透明のカーテンがひかれてるようでした。
科学的にみたら、よく起こる事なのでしょうか…?
私は不思議で不思議でたまりませんでした。
でも何故か、そのそばから「この地で起こるなら当然かも」と納得してしまいました。
ここはきっと、今でも神様仏様が空を駆け巡り、大地を闊歩している場所なのだと。
特に宗教を持たない私でもそう思うのですから
古の人々は、どれ程の思いをこの地に抱いたのでしょう。
投稿: aqua | 2008/01/22 10:58:00
奈良方面へ旅行しようと思っていました。奈良ネット等、参考になりました。季節感というものも、クオリアでしょうか?
博士にとって、今頃の奈良はどんなクオリアなのでしょうか?
できれば、それを頼りに訪れてみたいと思いました。
投稿: Nezuko S | 2008/01/22 10:01:53
こんにちは。茂木さんのブログをいつも楽しんで拝見している奈良のものです。奈良は東京以上に寒いのではないでしょうか?
奈良の歴史や風景に触れられたことを「初めての感触」と言っていただいて何だかとてもうれしいです。ぜひ奈良を楽しんでいってくださいね!
投稿: みすれお | 2008/01/22 9:10:38