アスリート
耳に残る言葉がある。
先日の『科学大好き土よう塾』
の新年会の時に、
中山エミリさんがふと口にしたこと。
「自分の限界を見きわめようと精進する
人は、皆アスリートである。」
いろいろと忙しく考えを巡らさなければ
ならぬ季節となり、
急ぎ足で駅からの道を行く。
野澤真一くん、石川哲朗くんが
修士論文の発表の練習をする。
野澤くんは、自発性が意識される
時とされない時について、それぞれの
脳の神経機構について興味を持つ。
現象学的な解剖学を明らかにする
必要がある。
いわゆる「自由意志」と呼ばれる事象の
まわりにあり、それを構成するものは
なにか?
大脳基底核を含む神経回路に
ついての経験的事実。
及び、実際に起こっていることに
ついてのすぐれたメタ認知。
石川くんは、one shot learningに
おいてfalse alarmがなぜ起こるのか
ということについて、
とても興味深い経験事実を
提示した。
三つの属性が明らかにされた
のである。
この三つの属性(false alarmの
方がsurenessが低い。そこに至る
behavioral parameterの減衰が
遅い。final stageにおける時定数
が高い。)を説明するnontrivialな
洞察を導くことができれば、
石川くんはヒーローとなるだろう。
田辺史子さんに「論文書いている?」
と聞いたら、「3ヶ月以内に書きます」
との答え。
がんばろう!
寒いのでマフラーを買う。
東京大学本郷キャンパスへ。
幻冬舎の大島加奈子さんの
アレンジで、河口洋一郎さんと
お話する。
冒頭、共同通信の大島寛さんが
いらして、先日書かせていただいた
新年のエッセーの掲載紙を
いただく。
寛さんは、加奈子さんのお父様である。
大島寛さま、寒い中、ありがとうございました!
河口さんのコンピュータ・グラフィックス
作品をじっくりと見る。
生成モデルを適用しただけでは
実現できないような、複雑な構造を
している。
どうやら、河口さんは引っかき回したり、
こずいたり、汚したり、生ませたり
しているようなのだが、その詳細を
表現から跡づけることができない。
さすがにすごいと感嘆した。
研究室には興味深いものが
たくさんあり。
化石や蝶の標本やら、さまざまなオブジェやら。
ドローウィングが目を惹いた。
カンブリア爆発の気配あり。
いかに、精神におけるアスリートたり得るか。
結局、そのことばかりを考えている。
1月 25, 2008 at 04:51 午前 | Permalink
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受信: 2008/01/25 8:06:32
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今朝、起きると家内に、
「今日は資源ゴミの日よ」といわれ、
慌てて身支度をし、台車にダンボール、
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受信: 2008/01/25 10:26:24
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動物には「睡眠欲」というカテゴリーが
あるくらい睡眠というのは
私たちの生活で重要な位置を占めています。
人生の約3分の1を睡眠として
利用している私たちですが
この睡眠の時間を削って
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受信: 2008/01/25 19:43:41
» 格差社会 トラックバック Progress
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ここ数年、格差社会ということがとり立たされています。
実際、「ワーキングプア」などといった言葉が紙面に踊り、日本の格差社会化に
拍車がかかったように思えます。
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受信: 2008/01/26 0:53:23
» カフェマニア!ホテル・カリフォルニアへの道 ~魂spiritsの消息をめぐって トラックバック 旅籠「風のモバイラー」
nomgrooveアーカイブス presents: ゆくえしれず・・ 魂spri [続きを読む]
受信: 2008/01/27 2:20:23
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コメント
こんにちわ 二度目の投稿失礼します。
「ミーム」の意味がわからず、ウキペディアで調べたら、何となく意味がわかりました。この「ミーム」、「一発学習」と、相性が良いのではないでしょうか?
一発学習されやすいのは、ミームになりやすい?(^^)
投稿: 一発のクオリアby片上泰助(^^) | 2008/01/26 5:06:53
精神のアスリート。
茂木先生は、すでにアスリートでは、と思っいました。
クオリア日記をよんでいてそう思える。
風を感じ走る、マラソンランナーのよう。
ちなみに、茂木先生のたいけいは、チャーミングだと思いますよ。
ただ、精神のアスリートも体調管理は不可欠です。
投稿: 美容師 | 2008/01/26 1:32:19
寒いですね。
茂木先生はマフラーがお似合いだと思います。
私なんかは首に物が触れていると調子が悪くなるので
マフラーやタートルネックは着られません。
Vネックが多いです。
先日も吹雪の中、首をさらしてましたが。
でも、あれ?気付くとVとかタイトとか、
曲線よりも直線を好む傾向にあるかも。
なぜか直線的なものを身につけているときは
物事に集中できてる気がする。
中山エミリさんの
「自分の限界を見きわめようと精進する人は、皆アスリートである。」
の言葉にも何か直線的なものを感じます。
真っ直ぐに伸びていくような。
精神におけるアスリート。
突き進むためにいかにリミッターを外すか…。
今日(1月25日)の読売新聞の【人生案内】コーナーは
茂木先生が担当でした。
脳科学的な根拠を示してもらったうえでのアドバイスは、
なんだか問題が解けたような感覚でスッと納得できます!
今年は多方面でより一層お忙しくなりそうですね。
え~、でも、このコーナーで人気が出すぎて
“行列のできる茂木相談所”みたいになっちゃったらどうしようっ。
投稿: s.kazumi | 2008/01/26 0:29:35
人と比べれば、自分は、アスリートじゃない。
でも、比べなければ、そうなれるですね。
(エミリさんの、その定義づけに、賛成!)
投稿: F | 2008/01/25 19:16:02
自由意志とは言いますが
何処までが自らの自由意志かが
現実的には問題だと思います
例えば暑いプールサイドを急いで歩く時の意思はどちらでしょうか?
或いは危険と感じて110番する時の意思
自分の事を鑑みると自由意志で動くよりプールサイドの速歩が多いようです
情けない話ですが・・
投稿: nobori | 2008/01/25 19:02:45
こんにちわ
自発性の意識するか、しないかで、TVゲームをしていると、コントローラーの事を忘れてしまう事があります。ゲーム中TV画面に集中すると、最初は、意識してボタンを押しますが、次第になれてくると指を意識しないで動かしている事があります。
イチローがバットに神経が通っている感じに似ている感じです。
「ゲーム画面←コントローラー←指←脳←目←ゲーム画面」と、ループになると思います。脳の所で自発性がありますが、ゲーム画面に集中すれば、ゲーム画面の他の事を意識しなくなる事があると思います。これを脳内のゲーム画面に当たる所が自発性と関係しているのではないかと思います。
限界を見極めるアスリートですが、私の場合、限界を求める所もあれば、すぐあきらめる所もある、ムラが多いです。(^^)
投稿: TVゲームのクオリアby片上泰助(^^) | 2008/01/25 13:54:16
博士の記事を拝見いたしますのが、毎日、大変楽しみになってしまいました。
今回は、「自由意志」についてのご説明。-実際に起こっていることについてのすぐれたメタ認知-は理解できましたが、-大脳基底核を含む神経回路についての経験的事実-に関しては、脳に関する専門書が数冊ありましたので、「経験的事実」の解剖学的データの記録システムに相当するものを探しましたが、見つからず、しかし、興味は増すばかりとなり、楽しくなるばかりです。
投稿: Nezuko S | 2008/01/25 10:55:52
私的に言うと「負けないこと」と「諦めないこと」と「決めること」かな?
「決めない」と身体も心も動かないから。
「決める」と言うのは、本当に不思議なこころの作用を起こしますよね。
もちろん、身体にも。
芯の様なものがデン!とできて、そこから発せられるエネルギーや、
その他、エトセトラはこの芯からしかでないものが沢山あるように思いますね。
PS コメントと全然違うのですが、今、埼玉県立美術館で、個人所有だった未発表の横山大観の絵が展示されています。それと同時に、舞台画家さんの絵も展示されていました。
こんな職業もあったんですね。
歌舞伎の好きな茂木先生は私以上に感動するん
だろうな~とフト思いながら、感動して帰ってきました。
投稿: あすか | 2008/01/25 9:22:25
河口さんの作品は去年の夏サンディエゴの学会で拝見しました。20周年記念のパーティ−では、今までの様々な分野とのコラボによる多様な作品がCGアートの歴史を物語っていました。
故郷種子島の海に潜ったときの感動を映像化しようというのが始まりだそうですね。独特な原色による生命を感じるエネルギッシュな作品の数々でした。最新の作品では視覚と触覚の繋がりの表現にも意欲的に取り組んでおられるように感じました。投射の立体化をすすめてゆきたいとの展示会場での学生さんの説明でした。
投稿: archaic | 2008/01/25 7:46:02
精神のアスリートになるべく、世界の激動の中で自分なりにぎりぎりの勝負をかけられるようになろうと思っている。その為にもっと色々なもの・ことと向き合いたい、おのれの限られた人生の中で。
投稿: 銀鏡反応 | 2008/01/25 5:41:56