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2007/12/18

芥子粒の夢

鬼怒川温泉から一路南下した
スペーシアは、浅草へ。

 「たけちゃんマンセブン」(増田健史)、
「怪奇オオバタン」(大場旦)と
別れて、大手町。

 日経サイエンス編集部にて
対談。
 景観工学がご専門の、
東京工業大学 齋藤潮教授。

 最近は、道路は「早く安く」
つくれという圧力が高いが、
 以前は、景観の流れを考えて
きちんと丁寧に設計して
いたものだという。

 設計者がやぶをかき分け
予定ルートを歩き、
 「ここで富士山が見える」
などというように見分けて
いたとのこと。

 当時は、道路をつくる上で
ドイツのアウトバーンなど、
諸外国の関連文化を直接
学んで来た人たちが多かった。

 それが、いつの間にか、
国内で完結するかたちに
なってしまったというのである。
 
 東京芸術大学。

 ウェッジの打ち合わせ、
 朝日新聞の取材、
 別冊PHPの取材。

 池上高志の授業。

 Kurt Vonnegutの言葉を
引きながら、
 自由と創造性について深く
考えさせる名講義。

 井戸のある裏道をふらりふらりと
歩いて、
 そのまま、根津の車屋二階で
忘年会。
 30名くらいが集まる。

 布施英利さんもいらっしゃる。

 宴もたけなわなころ、
 蓮沼昌宏と粟田大輔が何やら
始めた。

 窓に白い布を張り、
プロジェクタのスィッチを入れる。

 宴席にいろいろ持ち込んでいるから
妙だなとは思ったが。
 
 DVDの上映。
 今年の「美術解剖学」の授業の
映像を編集したもの。
 もうすでになつかしい。

 私自身が喋った回。
 塩谷賢、白洲信哉、福武総一郎さん、
小柳敦子さん、鈴木芳雄さん、そして、
池上高志。

 最後に、江村哲二さんが
昨年講義してくださった時の
映像が流れた。

 偲んで、よみがえる。

 オレが講義をした一回分が
テープが破損して映像がないという
ことで、
 その回だけ、音声に蓮沼が
アニメーションをつけた。

 口パクだけの表現だったけれども、
面白かった。

 蓮沼クン、粟田クン、ありがとう。
その気持ちがうれしかったよ。

 池上と向き合って
話す。
 信頼できる魂が目の前に
いると自分でも思わぬ告白が飛び出す。

 「オレはさ、ど真ん中にまっすぐ
行くんだ。それが欠点なくらいだ。
 クオリアだって、世間から見たら
端の方にあると思えるかもしれないが、
 オレから見たら、ど真ん中。
 むしろ、conventionalな
脳科学の方が、端の方にあると
思う。
 ベイズだって、今の流行から
見ればど真ん中にあるのかもしれぬが、
 オレにとっては、統計的な
アプローチから外れる
自由や一回性の問題の方が
ど真ん中に思えるんだよ。」

 池上は、うんうんと聞いてくれた。
そうして、池上自身の告白。

 「オレはさあ、一つひとつの
創造物を眺めてこれはいいなあ
と思うのもいいが、そういうものを
システマティックにつくり出す
装置のようなものの方に興味を
惹かれるんだよ。
 そのためには、普遍的
法則として、variationを
つくりだす、その方法を
見つけなければならぬ。」

池上はvariationをつくり出すことに
かけている。

 思えば、池上高志と、何度、
深い話、遠い夢、巨きな抱擁を
交わしてきたことだろう。

 オレたちの抱くのは芥子粒の夢だが、
どこにいようとも、大宇宙に抱かれて
いる。
 自分が小さいほど、
世界とのコントラストに戦慄する
その甘美な震えもまた大きくなる。
 
 素晴らしい友人たちに恵まれ、
芥子粒はほんのり赤くなる。

(photos by Atsushi Sasaki)

12月 18, 2007 at 07:37 午前 |

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コメント

スライドに写って出て来た茂木さんの、アニメーション似顔画…いやぁ、味があっていいなぁ。
特に髪の毛の爆発具合(?)が何とも言えないです(笑)。

嗚呼、行けばよかったなぁ、昨日の美術解剖学講義。

そして後の飲み会。

脳科学と複雑系、各々のジャンルで、自分の究めたい道をまっしぐらに進む、夢を胸いっぱいにはらんだ、2人の科学者の、魂の共鳴。

茂木さんと池上さん、お2人の各々歩まれる道には、数々の艱難が待ち構えているのに違いない。

しかし、ご自分の向かわれるものにまっしぐらに立ち向かい、そして夢に燃えているお2人のことだから、必ずそれらを克服され、其々の道を堂々と進まれるに違いない。

果ての知れない大宇宙は、そんなお2人の夢がかなう日が来るまで、じっと見守ってくれていると思う。

宇宙の、果てし無き大きさの中に、自分を、ぽーん!と投影する時、芥子粒、あるいはそれよりも小さな、素粒子程度の大きさでしかないことを思う。

一人一人が持つ色々な夢も、非常に小さなものだが、その広がりは大宇宙に匹敵するほど、無限大だ。

私たち一人一人が歩む人生の道程も、程度の差こそあれ、艱難に満ち満ちている。試練塗れである。

でも、それらと闘って乗り越えていくことで、自分自身の価値を創りあげていくものなのだと思う…!夢は、その為の原動力だと思います。

茂木さんと池上さんの進まれるそれぞれの夢が、益々輝きますよう…!


投稿: 銀鏡反応 | 2007/12/18 23:13:39

こんにちわ

「多くの芥子粒の夢を、夜空の星のように、大宇宙は、輝かさせている。」、そんな感じがします。(^^)

投稿: tain&片上泰助 | 2007/12/18 16:06:14

こんにちは。

茂木先生のイラスト、ときに見せる表情かな?可愛い~~~~!です。
上手いですね~(笑)

昨日は、先生の盟友である池上高志さんのお話を
是非聴きに伺いたい気持ちで心が揺れました・・。
けれども、きっと、また機会があるだろうと思い・・。
今年は4度もそちらの講義で私の脳に刺激を与えて戴きました。
大変ありがとうございました。

茂木先生のど真ん中に真っ直ぐ投げられる球・・・
池上さんの探り当てていく忍び足・・
得体の知れない何ものかが見つかりそう~。

投稿: tachimoto | 2007/12/18 15:39:45

大宇宙の存在を感じている芥子粒ってかっこいいじゃないか!

おい、どういうことだ! お前かっこいいじゃないか!

応援するしかないじゃないか!

                   
                ノミのふんより。
          

投稿: おおはたみやお | 2007/12/18 13:11:38

寒くなりました。
私は、北野武の猛烈、熱烈な28年以来のファンです。

茂木さんの「たけちゃんまんセブン」にいつも違和感を感じながら、読んでいます。
こうなったら、養老さんも「たけちゃんまん」なので、「たけちゃんまんエイト」に
してください。お願いします(ほとんど破れかぶれ)。
落ち着いて文章が読めないほど、たけちゃんまんセブンという単語に動揺してしまう
自分を日々発見しています(笑)。

投稿: Kom | 2007/12/18 10:59:39

あ~、行きたかった。
仕事なんか放り投げて、行きたかった。
池上先生の名講義を聴きたかった。
茂木先生にも、塩谷さんにもご挨拶したかった。

いっそ、東京に住みたいと思いながら、
梅の剪定におわれている毎日です。
いつかお会いしたいです。

投稿: 河村隆夫 | 2007/12/18 9:49:17

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