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2007/12/29

巨いなる循環

東京証券取引所にて、
年末恒例の「大納会」の
記念打鐘をさせていただく。

常務執行役員の
浦西友義さんに
お話をうかがう。

すべてが電子化されている
取引所。

フロアにいる方々の
大切な任務は、
異常な値動きがないか、
不適切な取引が
行われていないか
見守っていて、
何か動きがあれば
必要な処置をとることだという。

1秒違っただけで大きな
影響がある。
即応することが求められる。
そこにあるのは、一つの
アスリートの世界である。

鐘は五回打つ。
「五穀豊穣」を願ってとのこと。

東京証券取引所に
自分の会社が上場でもしなければ
打つことができない。
貴重な機会である。

余韻があるから、それを十分に
味わってから打ってくださいと
言われた。

心を込めて打つ。硬い、
しっかりとした手応えのある
打ち心地だった。

続いて大納会のセレモニー。

東京証券取引所社長 齋藤淳
さんのご挨拶に続いて、
私が短くお話させていただいた。

手締めは、「三本締め」。
めでたく今年の取引がお開きと
なった。

続いて、ソニーコンピュータサイエンス
研究所の綾塚祐二さんと、
ソニー広報の滝沢富美夫さんに
ご協力いただいた
「アハ体験」のコーナーをする。

ちょうど、小学生たちが見学に来ていて、
何人かが壇上に上がってやりとりをしたり、
来場されていた一般の投資家の方々と
会話をしたりして、楽しい時間と
なった。

<記念の打鐘>
http://eyevio.jp/movie/86327

<ご挨拶>
http://eyevio.jp/movie/86331

移動して、
「脳と美」についての研究会。
美を客観的に定義しようとすることと、
主観的体験の方から探ること。

二つのアプローチが交錯するところに
スリリングな領域がある。

ソニーコンピュータサイエンス研究所。

東京工業大学の学生たちと、いろいろ
議論。

柳川透、関根崇泰と話しながら
歩く。
歳末の街の風情が心に沁みる。

五反田の「あさり」にて、小俣圭
くんの送別会。

小俣君は博士号を取得し、1月から
国立精神・神経センターの本田学
さんの下で新たなチャレンジをすることと
なった。

本田さん、小俣君をよろしくお願いします。
小俣君、がんばってね。

「初任給で何を買うのか?」
と聞いたら、小俣が、
「ダイヤモンドを買います」
と言ったので、皆が「うぉー」
と反応した。

「給料の三ヶ月分か?」
と誰かが言ったが、そういう
ことではなかった。

「ぼくが小学生の時、新聞の折り込み
か何かで、ダイヤモンドの広告があり、
それを見て、母親に、ぼくがダイヤモンド
買ってあげるよ、と言ったらしいんですよ。
おぼえていなかったんですけど、
中学生になった時に、母親に
こんなことがあったんだよ、と言われて、
それで、初任給をもらったら、
母親にどんな小さなものでもいいから
ダイヤモンドを買ってあげようと
思っていたのです。」

そのやさしさがうれしい。
そんな気持ちを忘れないで
いれば、これから絶対だいじょうぶ。

送別会を途中で抜けて、
白洲信哉主催の忘年会に向かう。

白洲明子さん、白洲千代子さん、
MIHOミュージアムの金子直樹さん、
瀬津雅陶堂の瀬津さんご夫妻、
家庭画報の押鐘裕子さん、電通の佐々木厚さん、
陶芸家の川瀬忍さん
などが同席。

信哉さんは、私が大好きな
熊谷守一の「喜雨」をかけて
下さっていた。

すっぽんも美味しかったし、
会話も面白かった。
お猪口もお酒も味わい
が深く。

素敵な時間をありがとう。

帰りは雨がざあざあ降っていた。

雨に濡れる街は
トランスフォーメーションした
ようで。

その雨を運んできたのは、
大気の中の巨いなる循環。
海から立ち上り、
風で運ばれ、やがて
地上に降りる。

お金も、雨も、人々の
思いも巡り運ばれていく。

自分が因果の連鎖の中に
つながっていることを
想う。

12月 29, 2007 at 11:24 午前 |

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» [words]鐘は五回打つ トラックバック WordsWanderer
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コメント

2007年8月22日に別府でお会いしました長崎ものです。

「さるく」は長崎市ですが、もっと広く長崎県として、
「クーポンブック」が出ました。
 長崎市→「混沌」たる文化
 長崎県→里山ならぬ島山+隠れ文化
です。送ろうか、と思い、名刺チェックしましたが、
宛先不明にて、とりあえず連絡だけ。

投稿: ほしだん | 2008/01/07 13:35:21

 「因果の連鎖」ではありませんが、街中を歩いていて、巨大な建築機械や大型車を見かける時、電車に乗っている時、社会の、インフラの流れを強く意識することがあります。そうやっていろんなものが必要とされる所やされそうな所へ流れてきて、またいろんな人もちまちまと配置していく。自分自身をも。時々それを、利用したり購入したり、その人に話しかけてみたり、そうする自分がいる。
 (蛇足になっちゃうけど)僕の場合、お金は、数字の情報のイメージ。お金は流れとしてより、数字とその所属、人や会社というクラスの持つお金という変数、という感じで数学的な、プログラミング的なイメージが強いですね。いろんなものと交換できる数字。お金という言葉だと、陳腐だとか、何だか惑わしかねないような、というふうに感じられて嫌いです。数字が社会をより速く機能させる。できれば、その数字の機能が、経済の訳語の語源のようなはたらきを取り戻してくれたらもっとおもしろいのにな。

投稿: live | 2007/12/29 20:24:01

こんにちわ

投資家さん達に、偶有性の話をするなんて、「ギャー」と、思いながら、茂木さんのスピーチを拝見いたしました。

投資家さん達(私も含め)は身をもって偶有性の海に飛び込んでいますからね。(今年は「キャー」「ギャー」の年でしたからね。)

また、相場に偶有性が無くなると危険なのです、バブルか、逆バブルが起こっている事になっていますからね。


来年は、日本経済、世界経済が良くなるように!!(^^)

投稿: 旨みクオリアby片上泰助 | 2007/12/29 13:58:56

茂木さま、そして、皆さま、どうぞ佳いお年をお迎えください。

投稿: F | 2007/12/29 13:38:18

東証大納会のニュース映像をみていましたが、本当に驚きました。
茂木博士が証券取引所に来られるという
場面は、今回みるのが初めてです。
セレモニーで力強くスピーチされていた場面が印象的でした。


小俣さん、新しい旅立ちおめでとうございます。
初任給で、お母さんにダイヤモンドを買ってあげる...。
本当に、やさしいですね。

親孝行はやっぱりしたほうがいいですものね・・・。


私たちが住まうこの世界は、因果を伴って、絶えずぐるぐると、巡り巡っているのだなぁ。

もし、そのぐるぐるが止まってしまったら、私たちの世界はたちまち、管が詰まったように閉塞し、そこから、世界の崩壊が始まってしまうかもしれない。因果の連鎖も、途切れてしまうに、ちがいない。


投稿: 銀鏡反応 | 2007/12/29 13:11:14

小俣圭くんがお母様に買われるダイヤモンドは、100カラット1000カラットのダイヤより輝くでしょうね。お母様は、きっと結婚指環より大切にすることでしょう。そんな(見ず知らずの)お母様が羨ましくて、朝から涙しました・・。

投稿: | 2007/12/29 12:15:17

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