すべては音楽から生まれる サイン会
『すべては音楽から生まれる』
刊行記念サイン会
2007年12月30日 三省堂書店神保町本店
http://sanseido-eventhonten.hontsuna.net/article/1974661.html
12月 27, 2007 at 09:44 午前 | Permalink
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: すべては音楽から生まれる サイン会:
» 本「すべては音楽から生まれる 脳とシューベルト」 トラックバック 富久亭日乗
(PHP新書497、茂木健一郎) ※序1 音楽は微笑む2 音楽との出会い3 音楽と創造力4 音楽のように生きる5 特別対談「音楽の力」--ルネ・マルタン×茂木健一郎終 ※ モォーツァルトの音楽を聴くと頭がよくなるなどと 俗にいわれているが、 本当のところ脳と音楽の関係はどうなっているのだろう。 「端的にいって、頭がいい人とは脳の中に いい音楽が流れている人だと思う」 脳の中では1千億個のニューロンの間で、 常に物質が伝達されている。 そしてそれは、多様なリズムのビート... [続きを読む]
受信: 2007/12/28 7:11:57
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
『すべては音楽から生まれる 脳とシューベルト』について
「恐れることはない。飛び込んでみればいい。きっと音楽は受け止めてくれるはずだ」(107頁)、という言葉がこの本を要約している。また、末尾の長めの対談が私には新鮮な音楽論に思えた。対談相手のマルタン氏は只者ではなさそうだ。音楽を分かちあおうとして実行しているスケールとエネルギーに感心する。
本書を貫くのは、音楽への愛と感謝である。これほど、前向きで肯定的な音楽についての意見は貴重ではないだろうか。既にスネてしまっている私の様な者が音楽を考え直すためにも、クラシック入門を模索している若者にもきっとユニークに訴えるはずだ。
音楽はいい。言葉では伝わらないとは判っていても、語らずにはいられない。語る場合に白熱し易いのは、33頁にあるように、かつて茂木さんも罹患していた技術的側面である。(ベルリンフィルが来たときのFM放送で、トランペットのピッチが低いと思っていたら、まもなくズバリ同じことが新聞に書かれていたのを発見した私の熱狂の日の記憶が懐かしい)。
なぜ音楽オタクが発生しやすいか?それは各個人にとって音楽がかけがいがないからである。だから、ムキにならずにおれない。そして、音楽オタクの議論は確かに面白い。
音楽の奥深さはこのような愛好家も軽々と易しく包んでくれるような、とてつもなく深くて人生に必須なものであることを、詩的な言い回しも駆使して、茂木さんは強調する。
ご専門の脳科学の成果も引用されているが、今回の本は音楽への愛と感謝が前面に強く出ていて、あくまでも脇役であった。新書という制約から、モーツァルト、シューベルト、ワーグナーなどについての茂木さんの経験と意見が十分に展開できていないのは仕方がない。「指揮者の謎」についての脳科学的見解などは、今後じっくり書いて欲しい例である。『現代思想』(1985年4月号)に載ったレヴィ・ストロースのワーグナー論のような、こってりとしたものを今後期待したい。脳科学的ワーグナー論もぜひ。
気になることも書いておきたい。
今回はamazonでこの本を買ったが、もし本屋で見つけていたら買わなかったかもしれない。帯が、2008年フォル・ジュルネ宣伝用のお手軽本かと思わせる可能性を感じさせる。帯がネガティブに働く可能性を孕んでいる(考えすぎ?)。
私はこの本が来年夏にはとぼけた内容の本となっていないためにも、タイムリーに改訂されるべきと思っている。例えば、各年のフォル・ジュルネを総括するようなマルタン氏との対談が毎年付けば、私は毎年新版を買う。
投稿: fructose | 2007/12/28 9:05:01