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2007/12/05

「希望」が鮮烈に表象されることの不思議

夕刻、セイフィコ・フィールドに中継車の
入り口から入った。
 考えてみると、一年中試合があると
中継に入っているNHKのスタッフが
いるのである。
 プレジデンシャル・ルームは、
チーム・オーナーがお客さんを招いて
観戦する部屋。

 アンバー色の落ち着いた部屋の
中で、すでに翌日の撮影に向けた
照明などの調整が行われていた。

 絵作りを検討し、段取りを
確認し、当日にすべてがスムーズに
行くようにするのである。

 そのために詰めるべき点は
驚くほど多い。
 たとえば、映像のフレームの
中に入るアイテムをどのような
ものにするか。
 一つひとつ検討する。

 プレジデンシャル・ルームの
ガラスに金属の柱が反射して
目立つ。
 そこで、黒いガムテープで
ガラス側の表面を覆う。

 照明も微調整する必要がある。
 壁に掛けられた歴史的写真に、
照明が当たって目立つ。
 そこで、角度と広がりを
整える。

 私と住吉美紀さん、それに
NEPの早野明生さんが
座り、段取りを確認した。

 内側から見たセイフィコ・フィールドは
美しい。
 クリスマスということで、特別に
内野の部分にイルミネーションが
施されていた。

 回廊を歩くと、写真、新聞の記事
その他のドキュメントによってマリナーズの
歴史をふり返ることができる。

 イチロー選手の存在がいかに大きく、
そしてシアトルの人たちにどれほど
愛されているかということを
実感できた。

 イチロー選手がマリナーズ入り
した年、セイフィコ・フィールドで
初めてオールスター・ゲームが
開かれた。
 その時の選手たちの先発・控えの
リストも掲示されていた。


 二度と還らない、しかし
光輝に満ちた時間の記憶。

 有吉伸人さんはどこにいっても
有吉さんで、
 自分のやり方でアメリカ人スタッフを
交えて準備を進めている。

 ボクは有吉さんについて
面白いことに気付いてしまった。
 細かいところにおっちょこちょい
なところが、私の親友にして畏友、
田森佳秀に似ているのだ。

 空港で移動する電車に乗って
いた時、他の旅行者に
「ジッパーが開いているわよ!」
と言われて、「すみません」
と荷物を直していたし、
 報道ビザで入国しているのだけれども、
 どの書類が必要なのか、
よくわかっていなかったし、
 「この、アメリカ国内に
残していく品物の値段はいくら、
というのはどういう意味でしょう?」
とお土産の項について聞いていたし、
 なんだか眺めていて、
大丈夫かなあ、助けてあげたいなあ
と思ってしまうのだ。

 それでいて、番組作り、ドキュメンタリー
の演出論、映像の詰めについては、
余人を寄せ付けない鋭さとひらめきを
見せる。
 やはり、一つのことに集中している
人というのはこうなってしまう
もんなのだろう。

 今回、イチロー選手をシアトルにて
ずっと撮影していたのは堤田
ディレクター。

 プレジデンシャル・ルームで、
撮影の指示をいろいろ
出す「フロア・ディレクター」
役を担う堤田さんは、
「いよいよ大詰めだ!」
というりりしい雰囲気に
満ちていた。

 堤田さんと一緒に撮影指揮に携わるのが
河瀬大作デスク。

 いったんホテルに返り、
さて、食事へ、と待ち合わせる
河瀬さんと堤田さんは本当にうれしそう
であった。

 とりあえず、仕事に一段落
つけた男たちのつかの間の安堵。
 河瀬さんと堤田さんは、一日早く
シアトル入りしているのだ。

 クィーン・アン地区の中にある
タイ料理での食事会には、
長年イチロー選手を取材されている
小西慶三さんがいらした。

 小西さんと、楽しく談笑する。
 今回の番組は、小西さんの
助けがなければ成立しなかった、
と堤田さん。

 小西さんに深謝。

 街の至るところに
クリスマスのイルミネーション
がある。

 暗闇の中の光を見る時、私たちの
中に「希望」が鮮烈に表象される
ことの不思議を改めて想う。

 私の意識はいつしか
薄暮の中をさまよい、
 やがて朝の光の中で目覚める。

12月 5, 2007 at 01:23 午前 |

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コメント

こんばんは…!

セイフィコ・フィールドでは、内野にクリスマス・イルミネーションが灯るんだ!おお~。
ロゴのサインも眩しく輝いています。

日本の球場ではまず見かけない、おしゃれな演出ですね。

有吉さんをはじめ、スタッフの皆様の、明日の収録にかける一所懸命さがきょうの日記から伝わって参ります。

皆様、本当に、ご苦労様です。

有吉さんの、何処においてもご自分の「流儀」を貫く姿勢は本当に素晴らしいですね。

イチロー選手は、もう本当に、ここシアトルでは愛される存在になっているんだな…。ここまで来るには彼自身、粘り強く地元社会に馴染むための、傍からはわからない、血の滲むような努力を、その華々しい活躍の陰でやってきているんだな、と深く感ずる次第。

クリスマス・イルミネーションといえば、ここ東京でも本番が近づくに連れ、あちこちでキラキラと輝くツリーや飾り付けが見られるようになりました。

それらの光は、まさに希望という名を象徴する輝きに満ちていますね…。

希望…それは人々が決してなくしてはならない、大切な魂の宝物の一つ。ましてや今の時代、世界のあちこちで哀しい出来事が沢山起こっているからこそ、希望という宝は、益々何者にも換えがたいものに思えてくるようです。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/12/05 21:16:19

私は74歳。根っからのイチローファンで、このブログも、「イチローボード」というファン(というよりかなりマニアックな)HPで知りました。来年初頭の放映ですが、本文を読んで期待が高まっています。この一文には惹きつけるちからがあります。

投稿: | 2007/12/05 21:15:11

こんにちわ

日本のショービジネスと、アメリカのショービジネスの融合と言う興奮が伝わってきます。

日本とアメリカの球場の映像を見て、映像の雰囲気が違う感じを受けていたのですが、映像の雰囲気が違うのではなく、球場自体の雰囲気が違うのですね。

昨日と違って、ドーパミン放出状態の茂木さんの文質を感じ、安心しております。(^^)

投稿: | 2007/12/05 1:45:46

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