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2007/11/07

ささやかなことの中にこそ

映画館に行く暇がほとんどないので、
飛行機の中は作品に接する貴重な
機会である。

行きは、Live free or die hard (ダイハード4)
を見た。

帰りは、Transformersを途中まで、
そしてHairsprayを最後まで見た。

意外な収穫だったのが、Harispray。

舞台は、1962年のボルチモア。

スリムでない高校生の女の子が、
地元のテレビ局の
ダンスショウに憧れ、周囲の
「君の体型とルックスではダメだよ」
の声にもかかわらず
見事レギュラーになる。

そこに「黒人と白人は一緒に踊ってはいけない」
といった、当時の人種差別の問題が絡んでくる。
アメリカらしい、ストレートな
メッセージ性。
ポップでカラフルな画面と音楽が
楽しい。

Live free or Die Hard, Transformersの2作品は、
どちらも、
ホワイトハウス、国防総省などの
中枢が攻撃されるというストーリーで、
敵が圧倒的に高度で手強く、
世界最強の軍事力を持ってもとても
勝てそうには思えない、というのが
共通点。

Tom Cruiseが主演した『宇宙戦争』
(War of the worlds)もまた、
そのような無力感を描いていた。

911以降のアメリカ人の
精神性の一端を表しているのだろう。

何ものかと敵対関係になければ
自らのドラマトゥルギーを確認
できないとしたら、それは不幸なことではないか。
しかも、その敵は、本当ならば自分たちが
全く太刀打ちできないほど強い。

ストーリーとしては、
最後はもちろんアメリカ文明側が勝つの
だが、リアリティは、むしろ
コテンパンにやられてしまうシーンの
方にある。

それでも、最後は自分たちが
勝つと信じたい。
無力感と全能感が表裏になっているのである。

京成スカイライナーに
乗り、まだサン・ディエゴにいる
箆伊智充、石川哲朗、星野英一たちが
送ってきた発表資料をモバイルで拾い、
さっそく発表のfinalizationへ向けた
仕事を始める。

NHKへ。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

お土産に、シーズのチョコレートを
置いておいたら、住吉美紀さん(すみきち)が
気が付いて、
「わあ。私、これで育ったんですよ!」
と言った。

住吉さんは、シアトルに住んでいたことがある
帰国子女なのである。

すみきちがいつも使っている
コーヒーカップには、猫の絵が描いてあり、
その青い瞳がシーズのチョコレートを
じっと見つめているようだった。


「ボクも欲しいよう」。シーズのチョコレートを
見つめるすみきちのカップ。

2007年10月3日の日記
既報の通り、有吉さんは出されたものを
目の前に食べものが
出た時の、「食い出し」までの
着火時間が短い。

出されたと思うと、もう食べ始めている
のである。

ところが、様子がおかしい。
有吉さんが大好きな
鶏の唐揚げが入った打ち合わせ弁当にも、
シーズのチョコレートにも手をつけない。

いつまで経っても手をつけない。

「これは天変地異だ!」と大いに驚いた。


好物の唐揚げ弁当や、シーズのチョコレートを
前に、余裕の表情の有吉伸人チーフプロデューサー。

「どうしたんですか、有吉さん?」
と聞くと、
「ふふふ。これはね、夜食なんですよ」
と有吉さん。

打ち合わせ開始前に、すでに夕食は
済ませていたのだった。

有吉さんの「夜食」は、午前2時とか
3時とかそういう時間に平気でなるから
怖ろしい。

担当の生田聖子ディレクターと
山本隆之デスク(タカさん)は、
シーズのチョコレートを「ほう、
これがすみきちの好物ですか」
とスムーズな流れで食べた。

今や熱烈なファンがいる、
タカさんの前傾姿勢(食べる時に、
やる気を出して前のめりになること)
が再び見られた。


山本隆之デスクと生田聖子ディレクター

いつも見事な芸術的さばきで
フロアディレクターをして下さり、
すみきち&スタッフブログ
では「えふでぃーズ」の名で魅力あふれる
文章を綴っている
山口佐知子(さっちゃん)は、
大坪悦郎ディレクターが描いた私の似顔絵と、
「Ichigeki」というロゴの入った
シャツを着ている。

大坪さんはこうして手描きで趣味のファッションを
作るのであって、その「ブランド」
がIchigekiなのである。


Ichigekiシャツを着用。山口佐知子さん。

NHK局内で、「プロフェッショナル班は
めちゃくちゃに忙しいのに、
なぜ皆あんなに楽しそうなんだろう」
と不思議がられている。
そのチームワークは、
個性的な人々がいてこそである。

打ち合わせで、VTRにつけられている
「コメント」に問題点が見つかると、
それを修正する「コメント直し」
という作業がある。

NHKでの打ち合わせを終えた後、
私も、箆伊と石川の発表について、
細部を詰める「コメント直し」
をやった。

サンディエゴの北米神経科学会の
学会会場に向けて、
「がんばれよ!」とエールを送る。

ご苦労様のビールを一杯だけ飲んで、
深夜のコンビニに歩いた。

短い距離だが、
ひんやりとした空気の中をゆったりと歩む。

ただそれだけで、この上なく幸せな
ことのように思える。

地上の幸福は、ささやかなことの
中にこそある。
ただ、それを見いだすのに手続きと
工夫がいるだけのことだ。

人生の要諦はつまりそこにある。

11月 7, 2007 at 07:16 午前 |

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コメント

ヘアスプレー、
私も今日丁度観ました。

私も太っているので
仲間意識を期待していたのですが
ふとっちょな主人公こそ
外見で恋をしてしまったことに
悲しさを感じ。

何故に映画の主人公の恋の相手は
常に外見最高級
一番人気なのかしらん。
何のご褒美なのかしらん。

しかし主人公の内面の
美しさを見い出すことに期待する。

自分には内面要求で
相手には外見要求で

「無力感と全能感が
表裏になっているのである」

曲とダンスは楽しいですね。

投稿: ohituji | 2007/11/08 5:48:35

こんにちわ

今日、ダイ・ハード4のブルーレイが届いたので、観ました。

「無力感」と、「全能感」、難しいですね、スーパーマン2(3?)で、スーパーマンが助けてくれると、民衆が思うようになると、助けてくれないと、その怒りをスーパーマンにぶつけるようになる。

釈迦の言葉の、「種の芽が出たのは、鳥が種をついばらなかったからだ。」を、思い出す。また、「無知は罪だ。」も、思い出す。

「無力である罪」、「全能である罪」どちらが大きいのだろう?(^^)

投稿: tain&片上泰助 | 2007/11/07 23:43:08

日常の、ほんのささやかな、何でもないようなことの中に、幸福は潜んでいるもの。それを噛み締められることもまたこのうえない幸せ。

こういう幸せを感ぜられる“人間”なる存在であるということに、感謝していきたいものだ。

さて映画についてですが、自分の場合は、土・日に映画館に行けるチャンスがあるというのに、何故か他の事に気を取られ、本当は「如何しても見たい!」映画があるのに(それもロードショーものとは違う、単館上映ものが多い)、ついつい見逃してしまうのが常なのです。

映画に隠された人種差別などの問題で思い出したのだが、故フランシス・クリック博士と共にDNAの2重螺旋構造を見出し、ノーベル賞を受賞したワトソン博士がつい最近、人種差別と取られかねない発言をして物議を醸し、所属していた大学を退職せざる得なくなった出来事があった。

人類はまだまだ、この差別という呪縛から逃れられないのだろうか…。

差別と言えば、この島国もまだまだ、異質な他者への寛容の足りなさからくる差別、という問題が根強くある。もっとも、それは多くの誠実な人々の懸命な努力により、徐々にだが確実に薄れつつあるようです。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/11/07 23:19:06

積んでは崩し、積んでは崩し、賽の河原の石積みのような日常に、足りたるを知らなければ,味わ得ない幸福感、少し悟りが必要なような・・(あくまで私はですが)

投稿: s.matsui | 2007/11/07 14:06:57

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