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2007/11/30

表現者はいいわけをしてはいけない

しばらく前に、京都大学の
学園祭での私の講演を聞かれた方から、
「表現者はいいわけをしてはいけない」
という言葉の意味について
ご質問をいただいた。

これには二重の意味がある。
一つは表現者の側から見た場合、
もう一つは、鑑賞者の側から見た場合である。

表現者にとってみれば、
作品というものは一度自分の手を
離れれば勝手に流通していって
しまう。
自分のコントロール不可能な
領域に入っていってしまう。

その拡散の全ての局面に、
付き添っていっていちいち説明
することはできない。

「本当は、こういう意味だったんです」
「あなたのその意見は誤解です」
などと、補ったり、修正したり
することは、表現者としての本分に反する。

どんなにひどい曲解をされても、
真意をつかんでくれなくても、
我慢しなければならない。
自分の表現がまだ拙いから
わかってもらえなかったのだと、
修練による向上を志向しなければならない。

もっとも、どんなに卓越した技量で、
すばらしい表現をしても、
必ず曲解する人はいる。
天才でも、大家でも、
真意が伝わらないというリスクから
逃れることはできない。

だから、表現者という者は、
長く真摯な経験を積んだ者ほど、
じっと耐えている気配をにじませるように
なるものである。
そこには一つの諦念がある。
未熟な時には、誤解にいちいち傷ついたり
憤慨したりするものだが、
やがて古傷は癒え、魂の表面が年経た
樫の木のような風合いを見せ始めた
時に、その人は本物の表現者となる。

逆に、鑑賞者の側から見れば、
油断するなということである。

自分という「楽器」が鳴り損なう
ということだってある。
決めつけて安心してしまえば、
安泰だが、
それでは自分というものがどんどん
狭くなっていってしまう。

「私はこのような印象を受けたが、
本当のところはどうなのか、
わからない領域がある」
といった「留保」のような
ものがあるかどうか。

そのあたりの響きで、信用できる人かどうかが
わかる。

この世は、表面的にそう見えている
ような場所ではないかもしれない。
そう思うことが、いかに世界を
奥行きがあり深い場所にしてくれる
ことか。

決めつけて通り過ぎてしまう
人は、いつまでも浅い岸辺を
泳いでいるようなもので、
サンゴのある沖はもちろん、
そこから急に落ち込んで深淵に
至る大海を知らずに一生を過ごして
しまうのである。

11月 30, 2007 at 05:26 午前 | | コメント (20) | トラックバック (12)

2007/11/29

音素認識における視聴覚統合の過程

For immediate release.

音素認識における視聴覚統合の過程を「マガーク効果」を通して解明

               2007年11月29日

 小俣圭(東京工業大学大学院知能システム科学専攻大学院博士課程、ソニーコンピュータサイエンス研究所研修生)と、茂木健一郎(ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京工業大学大学院連携教授)は、人間の視聴覚情報統合のメカニズムに光を当てる研究を行い、2007年11月27日付けで発表した。

詳細は、下記のpdf fileを参照ください。

http://www.qualia.csl.sony.co.jp/person/kenmogi/research/omatamogirelease20071129.pdf

 この成果は、人間の脳内での音素のカテゴリー化における視聴覚情報統合のメカニズムに示唆を与えるものであり、また、コンピュータやロボットなどの人工システムにおける音声処理にも将来的に応用可能な基礎技術に結びつく可能性がある。
 本研究は、2007年11月27日付けで、英国の科学雑誌「英国学士院紀要」のオンライン版に(紙版の雑誌掲載の10週間前に速報されるFirstCiteの扱いで)掲載された。


<今回の発表論文>

Omata, K. and Mogi, K. (2007) "Fusion and combination in audio-visual integration". Proceedings of the Royal Society A., in press. (published on line as FirstCite on 27th November 2007)

http://www.journals.royalsoc.ac.uk/content/102023/?Content+Status=Accepted 

<参考文献>
McGurk, H. and MacDonald, J. (1976) "Hearing lips and seeing voices," Nature 264, 746–748.


<参考URL>
ソニーコンピュータサイエンス研究所
http://www.sonycsl.co.jp/ 

東京工業大学大学院知能システム科学専攻
http://www.dis.titech.ac.jp/ 


<本研究に対するお問い合わせ先>
茂木健一郎 kenmogi@csl.sony.co.jp

<著者>


小俣圭(おまたけい) 
東京工業大学大学院知能システム科学専攻博士課程



茂木健一郎(もぎけんいちろう)
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー
東京工業大学大学院連携教授

 

11月 29, 2007 at 12:19 午後 | | コメント (5) | トラックバック (1)

プロフェッショナル Xmas Special アンケート!

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』では、
2007年12月25日(火)放送予定の
「クリスマススペシャル」に向けて、
アンケートを実施中です。

みなさんの「心に響いた仕事の流儀」は
何でしたか?

また、「茂木健一郎への質問」
も大募集中です。

あなたの声が、番組に反映されます!

ワンクリックで簡単に投票できます。

奮ってご応募ください!

https://www.nhk.or.jp/professional/mail/xmas.html 

http://www.nhk.or.jp/professional-blog/ 

11月 29, 2007 at 08:47 午前 | | コメント (1) | トラックバック (1)

無数の月は生まれ

全日本私立幼稚園連合会の
全国大会で講演。

会長の森善朗元首相にお目にかかる。

高速回転でずっと疾走しなければ
終わらなかった一日。

夜、ほっとして、
街を歩きながら枯葉が路上に
落ちているのをぼんやりと
見る。

一つの有機的組織体がこうして
朽ちて行くのである。

素粒子の運動としては、
連続しており、何の断層も
ない。

私とあなた、
生と死、
喜びと哀しみの間には
無限の距離があるかのように
見える。

だが実は、全てはフラット
であり、等価なのだ。

シェーンベルクの『浄夜』に
おけるディアローグが共鳴するように。

スケールを変えれば、すべては
同じだ。

月は、地球が火星くらいの大きさを持つ
他の天体「テータ」と衝突して
分裂し、形成されたという
giant impact説が有力である。

その超弩級の現象と、
私が朝顔を洗う時、洗面台に
水滴がしたたり落ちる事象は
同じ法則にて等しい軌道を描くわけで
あり。

毎朝、無数の月は生まれ、
そして消えていく。

美醜は差異なく、賢愚は同一である。

それでもなお、おおそうだ、
私たちはこだわり、すがりつくのだ。

常にニヒリズムの通奏低音を聴きながらも、
なおも生命を称揚し続ける
ことだろう。

無意味の大海の上に
この身をかろうじて捧げ上げる。

11月 29, 2007 at 08:39 午前 | | コメント (8) | トラックバック (4)

2007/11/28

『欲望する脳』 増刷

『欲望する脳』 増刷

集英社新書

茂木健一郎『欲望する脳』

は、増刷(2刷、累計35000部)
が決定しました。

ご愛読に感謝いたします。

編集を担当してくださった
鯉沼広行さんからメールをいただき
ました。

「『欲望する脳』ですが、売れ行き好調につき、
早速重版が決定いたしました!
重版が早めに入って嬉しいです。
ありがとうございます!
読者層を見てみると、『欲望する脳』を購入している層は、
通常の新書読者層よりも「明らかに若い」です。
そろそろアンケートはがきなども来るかと思いますが、
面白い反応などありましたら、お送りいたします。」

鯉沼さん、ありがとうございます。

私の学生の野澤真一は、
「茂木さん、あの本、熱いですね!」
と言っていました。

amazon 

11月 28, 2007 at 07:43 午前 | | コメント (3) | トラックバック (1)

それはいつ、どこから来るのか

人間の自発性がいつどのように立ち上がる
かは難しくも興味深い問題である。

私は、小学校5年生の時に、突然
「絵を習いたい!」
と思い、母親に言って
油絵の教室に通い始めた。

最初に渡された素材は
「アジの開き」であった。

別に美大を受験するわけでもなく、
途中からはイマジネーションのままに
「空にさえざえと輝く月に向かって
手を上げている女」
などの自分でも謎のシリーズを描いて、
断続的に大学まで続いた。

小学生の私が、家にいて、
突然「絵を習いたい」と思った
瞬間の、あの奇妙な気持ちはよく
覚えている。

何の脈絡もなく、前触れもなく、
突然そう思って、
その瞬間には、もう決めていた。

このブログを書くこともそうだが、
突然決めてやり出す。
そして、一度始めたらやめない、
ということが、私の人生では多い。

電車の中で「ガタンゴトン」
というクオリアに目覚めた
のもその例である。

いつどんな脈絡でそうなって
しまうのか、
自省しても良くわからぬ。

ソニーコンピュータサイエンス研究所に
いく途中で、なぜか突然「そうだ、
ケーキが食べたい」と思った。

しかも、プチフールとかそういうんじゃ
なくって、普通のサイズのケーキが
ガッツリ食べたい、と思った。

自発性と言えば、修士二年の野澤真一
である。

「あのさ、ケーキを食べようと
思うんだけれども」
「はあ」
「五反田駅で合流して、一緒に
買おうぜ」
「わかりました。茂木さん、今、どこに
いるんですか?」
「これから電車に乗るから、あと十分ちょっと
で着くよ。でも、それから駅のホームで
立ち食い蕎麦を食べる予定だから、
五十分には改札に着くと思うよ。」
「ぼくは駅の近くの喫茶店にいます。
それじゃあ、これからそばを食べる、
という時になったら電話して
ください。」
「わかった!」

改札で落ち合い、
コージーコーナーに歩く。

これと、あれと、それから
そっちとあっち!

愛らしいケーキも、
たくさんあると、案外重い。

東京工業大学茂木研究室の
みんな、それから田谷文彦、張キさんと
ゼミをやりながら、みんなで
食べた。

むしゃむしゃ。ごくごく。

天玉そばのあとのケーキは
美味しい。

それからの午後の時間で、
目が回るような
忙しさの奔流に投げ込まれ、
ケーキはかみ砕かれ、
咀嚼され、すっかり
私の一部となった。

ケーキからクオリアまで。
いつも耳を澄ませて、自発性の
波が来るのを待つ。

それはいつ、どこから来るのか。

自発性のデルタ関数を
想いながら、偶有性の海を泳ぐ。

11月 28, 2007 at 07:36 午前 | | コメント (9) | トラックバック (3)

2007/11/27

プロフェッショナル 仕事の流儀 クリエイターたちの言葉

プロフェッショナル 仕事の流儀 トークスペシャル

クリエイターたちの言葉


~ 建築家・隈研吾、
アートディレクター・佐藤可士和、
装丁家・鈴木成一、
デザイナー・吉岡徳仁 ~


『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のスタジオは、毎回白熱する。

4時間にわたって、魂の会話が
続くのだ。

そのうち、放送されるのは厳選された
15分のみ。

それでも、多くの珠玉の言葉が
残される。

トーク・スペシャルは、対話に焦点を
当てて、心に響く言葉、生きる糧となる
珠玉のエピソードをお届けする。

今回は、現代日本を代表する
クリエイティヴ界のフロントランナー
たちの言葉を特集。

必ず、心の琴線に触れる素晴らしい
言葉が見つかるはずだ。

NHK総合
2007年11月27日(火)22:00〜22:44

http://www.nhk.or.jp/professional/

すみきち&スタッフブログ

11月 27, 2007 at 09:49 午前 | | コメント (4) | トラックバック (4)

心を生みだす脳のシステム 15刷

NHKブックス

茂木健一郎 『心を生みだす脳のシステム』

は増刷(15刷、累計32000部)
となりました。

編集を担当してくださった大場旦さんから
は、

「読者に着実に支持される、ロングセラーこそ尊い、
私はそう思います。」

というメールをいただきました。

ご愛読に感謝いたします。


amazon 

11月 27, 2007 at 09:42 午前 | | コメント (1) | トラックバック (1)

私秘的なものにして

姫路から移動して、京都大学の学園祭で
講演し、
米子に行き、本と脳の関係について話し、
高松の学会でお話しし、さぬき市で
お話する。

ロード生活もやっと終わった。

偶然目にした屋島の風景が忘れられない。
源氏と平家が名高い合戦を繰り広げた
地は、何とも言えない美しさを
醸し出していた。

源平合戦は、単に源氏と平家の争い
というだけでなく、平家側が
安徳天皇をお連れし、三種の神器
も護持していたため、日本という国の
かたち自体が揺らいだ歴史上の大事件
であった。

三種の神器のうち、天叢雲剣(草薙の剣)
は、今でも屋島の前の海に沈んだままだという
説がある。

史上名高い戦いであるが、
その舞台となった屋島の美しさに
触れた記述に出会ったことがない。

伊勢神宮の内宮もそうであったが、
実際に自分で向かってみないと、
「ここにあった」という感慨が
浮かび上がってくるかどうかは
わからない。

クオリアは私秘的なものにして、
そう簡単には伝わらない。

名高い美術作品において、かろうじて
クオリアは制度化され、記号化される。

西の地の、瀬戸内の空気と太陽を
たっぷり浴びた4日間。

東京に戻ってきてみれば、空の風情や
光のやわらかさが違う。

藤森照信さんは、先日お目にかかった
時に、「空間とは知らず知らずのうちに
影響を受けてしまうもののことである」
と言われた。

戦いに敗れ、海の藻屑と化していく時、
平家の武士たちの心のどこかに
屋島のあの美しい風情はきっと
刻み込まれていたのだろう。

それは、人生においてとどめることも
つかむこともできずに溢れて
いってしまうものたちの姿に似ている。

美しき屋島を見上げる。

11月 27, 2007 at 09:37 午前 | | コメント (11) | トラックバック (4)

2007/11/26

こんこんと湧き上がる泉

瀬戸内海にかかる大きな橋を
わたっての、ロード生活続く。

四国の空気はやわらかく。

生きて呼吸するすべての時間帯を、
「新しい文化の創造」に捧げたい。

自分の中でさまざまな要素が
行き交い、結びつき、融合し、
跳躍する私秘的なプロセス。

向き合うコミュニケーション
の丁々発止のやりとりだけでは
足りない。

何よりも、精神における「談合」では
いけない。

世界から息を潜め、籠もり、
つなげ、解し、温まり、
くぐり抜ける。

そして、こんこんと湧き上がる泉を
抱く。

水は、思わぬ流れ方をするだろう。
すくい取られずに、土にしみ込んで
いくかもれない。
煮炊きに使われたり、
跡形もなくなったり、
誤解や偏見にまみれるかもしれない。

それでも気にせずに、泉は
わき続ける。

内側の反応が、泉にとって
リアリティのある、かけがえの
ないものとなる。

太陽は、内部で核反応をしながら
光を発し続け、
それがどこでどのように反射され、
吸収されるかを知らない。

源平合戦の「屋島」を遠望して、
その姿にすっかり魅せられた夕べ。

11月 26, 2007 at 09:02 午前 | | コメント (10) | トラックバック (6)

2007/11/24

静かな水をたたえていれば

誰の中にも、朝の湖のような
静かな部分がある。

 パーティーの会場で、さまざまな
人たちと話しながら、
 それらの湖水に一生懸命耳を傾けていた。

 「日本文化デザイン会議」に
出席するため、姫路入り。

 「白鷺城」と呼ばれる美しい姫路城は、
いつも新幹線の中から眺めるだけだったが、
 初めて近づいた。

 しかし、手前で折れる。会場へ。

 香山リカさん、鏡リュウジさん、
八谷和彦さんと一緒にセッションをする。

 愉しく言葉を行き交わせることが
できた。

 日比野克彦さん、岡田武史さん、真山仁さん
が合流。

 パーティーで、たくさんの人たちと
話し、湖水に光がきらめいた。

 誰の中にもある、静かに、植物的に、
ゆっくりと育っていく部分。
 長い時間をかけて変わっていく
そのかたちの中に、
 パッションも、夢も、希望も潜む。

 ドッグ・イヤーなどと言われるが、
分秒を争う世界ではなく、
 ゆるやかな曲線の中にこそ本質があると、
もう少しで築城400年を迎える
 姫路城のライトアップされた姿を
見て思う。

 自分の中に静かな水をたたえていれば、
どこに行っても、何に巻き込まれても
大丈夫。

11月 24, 2007 at 07:35 午前 | | コメント (16) | トラックバック (7)

2007/11/23

自分を毛繕いする熊のような

 困ったことが起こって、
 養老孟司先生に緊急に
お願いしなければならなくなった。

 養老先生は外国に行かれていて、
それでも何とか連絡がとれないかと
手を尽くした。

 結局、養老さんの助けを
借りないかたちで、事態を収拾
することとなった。

 帰国された養老さんから、
メールをいただいた。

本日ただいま、バンコクから戻りました。
いろいろ大変だったようですね。
あまり気を遣わず、必要ならなんでもいってください。
年寄りの価値はそのくらいしかありませんからね。
一生に何度か、大騒動することはありますよ。

養老孟司 拝

養老先生の気持ちの温かさに、
心の中で涙がじんわりとにじんだ。

10年前、『脳とクオリア』
を出版した時に、読売新聞の書評で
取り上げてくださった養老先生。

それ以来のお付き合いの中で、
厳しさとやさしさが一人の
中に同居するそのお人柄に
惹き付けられた。

2005年に小林秀雄賞を
いただいた時、
選考会で、養老先生は
終始ひと言も口を開かなかった
という。

他の選考委員の方の話を
ただ黙って聞いていて、
私の受賞が決まるまでの
議論にかかわろうとしなかった。

私に決まった後で、同席していた
「考える人」編集中の松家仁之さんに、
「良かった。肩の荷が下りた。」
と言われたという。

私が、「クオリア」などということを言う
もんだから、
世間でいろいろ苦労していることを
心配してくださっていたのである。

養老先生に
しばらくお目にかかっていない。
何だか、無性に会いたくなった。

「プロフェッショナル 仕事の流儀」
の収録。

キュレーターの長谷川祐子さんが
いらした。

魂の会話を交わした。

ビタミン不足か、舌の先が荒れて
少し痛い。

それでも、朝一番から夜まで、
ずっと喋らなければならぬ一日だった。

スタジオ横で舌の先を有吉伸人さんに
ペロリと見せて、
「ほら、荒れているでしょう」
というと、有吉さんが「ストレスでしょう」
と笑った。

「でも、技術でカバーしてうまく喋っている
んです」
と言うと、有吉さんが、
「ははは。一体、どんな技術ですか」
と笑った。

本当に、どんな技術かしらん。
ただ、話がおもしろいと、夢中になって
忘れてしまうだけである。

今朝は、舌もだいぶもとに戻った。

さまざまに反芻しながら、
冬眠前に自分を毛繕い
する熊のような気持ちになる。

このまま、しばらくまどろんでいたい。

しかし、現実には、仕事は切れ目なく
続くのである。

11月 23, 2007 at 07:18 午前 | | コメント (13) | トラックバック (5)

2007/11/22

欲望する脳

集英社新書

茂木健一郎『欲望する脳』

集英社「青春と読書」に24回にわたって
連載されたessay「欲望する脳」
が本になりました。

孔子は、「七十従心」(七十になったら、
自分の欲望のおもむくままに行動しても、
倫理規範に抵触しないようになった)
と「論語」の中で書いています。

ある時、地下鉄のホームにいて、
突然この言葉が胸にひびき、
とてつもなく大切な、そして難しい
ことを言っていると直覚された。

この瞬間の気付きから、この本は
始まっています。

自己と他者との関係、現代における
欲望のあり方、脳科学の知見。
人間らしい生き方とは何か。

欲望について、渾身の思考を
展開いたしました。

編集を担当してくださったのは、
鯉沼広行さんです。

鯉沼さん、ありがとうございました。

amazon 

11月 22, 2007 at 08:40 午前 | | コメント (3) | トラックバック (2)

びゅんびゅんと概念が空気を切る

六本木のグランドハイアット東京にて、
GQ men of the year 2007の表彰式。

http://www.nikkansports.com/entertainment/f-et-tp0-20071121-285952.html

https://www.gqjapan.jp/menoftheyear07/

ユニクロを展開するファーストリテーリングの
代表取締役会長兼社長の柳井正さん、フランス料理
の平松宏之さん、タレントのルー大柴さん
と一緒に、佐藤江梨子さんからトロフィーを
いただいた。

宮崎県知事の東国原英夫さんは議会のため、
読売巨人軍監督の原辰徳さんはキャンプのため
欠席された。

GQやVogue、Vanity Fairなどの雑誌を
発行するコンデナスト社は本社が
ニューヨークにある。

Toby Youngの
How to lose friends and alienate people
という本を読んだ時、コンデナスト社の
内情にびっくりした。

アメリカ本社には、年収一億単位の
編集者がゴロゴロいるというのだ。

「一億!」

コンデナスト・ジャパンの方々に
会う度に、そのことを言うが、
「いやいや、日本はそんなことはありません!」
と答えが返ってくる。

アカデミー賞の表彰式でも、
コンデナストが主催するパーティーが
一番のホット・チケットだという。

生物種は生態系と無縁ではない。

コンデナストが輝いているのは、
アメリカという文明の中で、
ハリウッド映画のスターや
実業家、スポーツ選手など、輝く個人たちが
いるからだろう。

日本人のインディヴィデユアリティが
ポリッシュされて、グレードアップ
された時、コンデナストジャパンの
にノット・リミッティド、限らず、
各カンパニーの
エディターの中に、
いわゆるミリオンダラーズ、億の
サラリー、給料をゲット、
もらうエディター、
編集者もアピアランス、出現するんじゃ
ないでしょうか。ドンチュシンクソー?

(ルー大柴さんの「ルー語」にオマージュ
してみました)

http://ameblo.jp/lou-oshiba/

ソニーコンピュータサイエンス研究所の
ブレストミーティング。

所長の所眞理雄さん、北野宏明さん、
高安秀樹さん、暦本純一さん、
Frank Nielsenさん、それに研究所
総務の北森裕見子さん、ネットワーク・
アドミニストレーターの正垣智大さんが
出席。

所眞理雄さんがいつにも増して
言葉の創出力の切れ味鋭く、
びゅんびゅんと概念が空気を切る
音がした。

NHKにて、有吉伸人チーフプロデューサー、
河瀬大作デスク、堤田健一郎ディレクター
と打ち合わせ。

鹿島神宮にある要石。

小さく見えるが、掘っていくとどこまで
行っても掘り出せず。

七日七晩掘り続けても、取り出せなかった
という伝説。
世の中には、時々そういうことがある。

有吉さんと、深夜のご飯を食べた。

好物の
鶏の唐揚げが出たら、ぱくっぱくっと
すぐに手を出したので、
なんだか、ちょっとほっとした。

11月 22, 2007 at 08:32 午前 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2007/11/21

プロフェッショナル Xmas Special アンケート!

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』では、
2007年12月25日(火)放送予定の
「クリスマススペシャル」に向けて、
アンケートを実施中です。

みなさんの「心に響いた仕事の流儀」は
何でしたか?

また、「茂木健一郎への質問」
も大募集中です。

奮ってご応募ください!

https://www.nhk.or.jp/professional/mail/xmas.html 

11月 21, 2007 at 01:10 午後 | | コメント (0) | トラックバック (0)

日高敏隆 茂木健一郎 対談

朝日カルチャーセンター 

対談 「野生脳」

日高敏隆 茂木健一郎

2007年12月1日(土)
16時30分〜18時30分

朝日カルチャーセンター 新宿教室

日高敏隆先生は、長年京都大学で教鞭をとられ、
動物行動学の第一人者として数々の
発見をされてきました。
『チョウはなぜ飛ぶか』、『春の数えかた』などの
御著書は、私にとってインスピレーションの
源泉となってきました。また、
『裸のサル』、『ソロモンの指環』、『利己的な遺伝子』など、日本の出版史に記念すべきさまざまな
訳書も世に出されています。
とりわけ忘れられないのは『鼻行類』。
すでに絶滅してしまった、「南の島に住む
奇妙ないきもの」たちを詳述したこの
本は、ブームとなりました。

長年動物行動を観察されてきた日高
先生からは、生命は、そして人間は
どのように見えるのでしょうか?
その類い希なる学識と温かく
ユーモアあふれるお人柄に接する
貴重な機会です。

私自身も本当に楽しみにしている
対談です。

みなさま、ご来場お待ちしております。

http://www.acc-web.co.jp/sinjyuku/ 

詳細と申し込み


11月 21, 2007 at 11:59 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

日々の何気ない健康に

何年ぶりだろう。

甘く白い液体を飲み、
くるくると回った。

胃壁の上をそれが覆って
いくところを想像する。

定期健康診断(人間ドック)
の待ち時間。

ソファに座っていると、
ソルジェニーツィンを思い出した。

『イワン・デニーソビッチの一日』

スターリン時代の強制収容所
で毎日過酷な日々を過ごすイワンは、
熱が出て、診察のために
少しの間待合室に座っている間、
「こんなにきれいで暖かいところに
座っていられるなんて、天国みたいだ」
と嘆息するのである。

平成日本のイワンは診療所を出ると、
受付で配られた「お食事券」を握りしめ、
近くのソバ屋に入り、天ぷらそばを
注文した。

バリウムだと、お腹いっぱいにならない。

しかし諸君、やっぱり一番大事なのは
健康だねえ。
感謝する気持ちを忘れてはいけないよ。
ねえ、君!

ソニーコンピュータサイエンス研究所へ。

田谷文彦、加藤未希、高川華瑠奈、
関根崇泰、石川哲朗と話す。

NHKへ。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

プロフェッショナル班では、
最近復帰した細田美和子デスクを
中心に、「祭り」の企画の相談が
行われていた。

「祭り」とは、12月25日
に放送予定の「クリスマス・スペシャル」
のことである。

もともと、
私が『プロフェッショナル 仕事の流儀』にかかわるようになったのは、
細田さんのひと言だった。

早稲田大学の授業の前に、リーガロイヤルホテル
のロビーでお話していた。

帰り際、細田さんが、「そういえば茂木さん、
司会とか、そういうことには興味がありますか」
と聞かれて、ぼくが、
「えっ、あの、興味はありますけれども・・・」
と返事したら、細田さんは、有吉伸人さんと一緒に、
「それじゃあ、さよなら〜」と帰って
いってしまったのだった。

あれから、たくさんの水が橋の下を流れた。
そして、ぼくには、大切な仲間たちができました。


プロフェッショナル班の誇る
「イケメン軍団」に囲まれて想を練る
細田美和子さん

打ち合わせの時、ボクの机の上には
読売新聞のラジオ・テレビ欄の
「試写室」で
『プロフェッショナル』の加茂克也さんの回を
紹介してくださった記事が置かれていた。

ぼくと住吉美紀さんを「この二人もまた、
紛れもなく「プロフェッショナル」だと
思う」と書いてくださったのである。

担当記者の方、
本当にありがとうございました!
はげみにがんばります。

河瀬大作デスクは、連日の激務のためか、
時々、「意識が遠くなっている」
ように見える瞬間がある。

しかし、その無精髭の様子が、
乙女心を胸キュンさせるのである。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』では、
お正月に放送されるスペシャルで、
ある著名な方をとりあげるのであるが、
その人を思うと、有吉伸人チーフプロデゥーサーは
思わずしぐさをしてしまう。

そして、今や多くのファンを持つ
山本隆之デスク(タカさん)の
「食べる時にやる気を見せる前傾姿勢」
「タカさんの前傾姿勢」は私の心の
オアシスである。

タカさんが美味しそうに食べていると、
今年の紅白歌合戦の総合司会に決まっている
住吉美紀さん(すみきち)が、
「なにたべてるのお」
と乱入してきた。

すみきちは、ダイビングして、獲物に
手をのばす。タカさんは、思わず前傾姿勢
ならぬ「のけぞり姿勢になる。」

ついに、獲物(タカさんのお土産のマカロン)
を手に入れたすみきちは、
「おいしい〜!」とむしゃむしゃ
食べるのであった。

さて、打ち合わせ。
山本隆之デスクと座間味ディレクターは、
キュレーターの長谷川祐子さんの
回を担当している。

タカさんの目が、真剣にしかし
憂いを帯びて光る。

ぼくは、タカさんが愛おしくなって、
思わず指でコロコロしたくなった。

いやあ、諸君、どんなに忙しくても、
時間に追われていても、
「シャバの空気」というものは
良いもんだねえ。
人間ドックで病気のことに
ついていろいろ想像していた
おかげで、気付いた幸せ。

日々の何気ない健康に、感謝しようでは
ありませんか。

券を握りしめ、
食したエビ天そばが美味しかったから、
11月20日は健康記念日。

11月 21, 2007 at 07:58 午前 | | コメント (8) | トラックバック (3)

2007/11/20

プロフェッショナル 仕事の流儀 加茂克也

プロフェッショナル 仕事の流儀 第69回

あきらめないから、美しい
 〜 ヘアデザイナー・加茂克也 〜

加茂克也さんは、
抜群の反射神経とスピード感を
持っている。

それでいて、「考えていない」
「アタマを使っていない」
と謙遜される。

ここに、人間の脳の偉大なパラドックス
がある。
「フロー状態」と言われるように、
もっとも高度な働きをしている
時には、かえって何も苦労せず
動いているように
感じてしまうのだ。

美のアスリートとしての加茂さんの
お話に時間を忘れて聴き入った。

NHK総合
2007年11月20日(火)22:00〜22:44

http://www.nhk.or.jp/professional/

すみきち&スタッフブログ

Nikkei BP online 記事
チームの中でこそ発揮される個性
〜へアデザイナー 加茂克也〜

11月 20, 2007 at 07:48 午前 | | コメント (4) | トラックバック (10)

何ものかを降臨させるために

Lecture Records

何ものかを降臨させるために

鈴木芳雄(Brutus 副編集長)
『何ものかを降臨させるために』

レクチャーと質疑応答

2007年11月19日
東京芸術大学 美術学部 第三講義室

音声ファイル(MP3, 43.1MB, 94分)

http://fukuhen.lammfromm.jp

11月 20, 2007 at 07:42 午前 | | コメント (0) | トラックバック (1)

藤森照信さんの「高過庵」を見て

ヨミウリ・ウィークリー
2007年12月2日号

(2007年11月9日発売)

茂木健一郎  脳から始まる 第80回

藤森照信さんの「高過庵」を見て

抜粋

 ある時期から、養老さんがしきりに「藤森さんがね」と言うようになった。
 「藤森さんがね、屋根にタンポポが生えている家をつくってね。」
 「藤森さんが作ったニラが屋根から生えている家を見てきたよ。」
 「藤森さんがね、縄文の話をするんだけれども。」
 養老さんがしきりに「藤森さん」と言われていたのは、東京大学教授の藤森照信さんのことだった。その口調からも、親しみと敬愛の情が伝わってきて、私は心を動かされた。

全文は「ヨミウリ・ウィークリー」で。

http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/


11月 20, 2007 at 07:34 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

鈴木メロス

鈴木芳雄さんの話を聞きながら、
教室の窓を開け、
外の空気に触れてみた。

最初はひんやりと気持ちが
いいが、徐々に芯まで浸透してくる。

これは今日は上野公園は
ダメだなと思った。

授業の後、上野公演の砂場のところで
みんなで語り合う。

あの素晴らしい時間は、今年は
最後だったらしい。

鈴木さんは、具体例を
出しながら、雑誌を編集するという
作業の奥行き、難しさ、喜びを
縦横に語ってくださった。

印象的だったのは、「雑誌は読むよりも
作る方が何倍も面白い」という言葉。

「なるほど!」と膝を打つ。

それがプロフェッショナルの矜恃
であり、生きるよろこび
というものであろう。

題材として、2007年2月1日号
「脳科学者ならこう言うね!」
を取り上げて、詳細を解説する。

当事者だけに、舞台裏を良く知っている。

雑誌のできあがりを見た時、
そのエディトリアルの見事さに
本当に舌をまいた。

よく、あれだけの時間に、これだけの
記事を作るものだと思った。

特に感心したのは、「クオリア日記」
の使い方である。

上部の旅の記事、インタービュー記事が
「瞬発力」を表しているのに対して、
「クオリア日記」は「持続力」を
示しているのだという。

私自身も初めて聞いた構想が、
鈴木芳雄さんのアタマの中には最初から
あったのである。

鈴木芳雄さんの授業のパワーポイント等に
ついては、鈴木さんのブログ
フクヘンの昨日のエントリーに詳しい。

http://fukuhen.lammfromm.jp/2007/11/post_209.html

鈴木さんは、この日の授業のために、
九州の取材日程を一部切り上げて
駆けつけてくださった。

鈴木メロス、ありがとう!
空を見上げ、地に這い、水に身を浸して
深謝いたします。


東京芸術大学でレクチャーする鈴木芳雄さん


鈴木さんのレクチャーに聴き入る学生たち

鈴木さんや粟田大輔たちと連れ立って、
彫刻科の小俣英彦さんたちの
展覧会を、東京芸術大学美術館陳列館
にて見る。

粟田大輔は、日本語、英語で
テクストを寄せているのである。

小俣さんの作品名は「アトモス」。
樟をつかった巨大な作品。


小俣英彦さんと「アトモス」

6つの部分を組み合わせているという。

下から見上げると、照明が目になって、
まるで魔物が地上に降り立ったようであった。


降臨する。(小俣英彦「アトモス」)

すべての彫刻の野望は、降臨させる
ことである。

小俣英彦さんが、一生懸命にノミを
ふるって呼び降ろした何ものか。

鈴木芳雄さんもまた、Brutusに何ものかを
降臨させようとがんばっている。

根津の車屋で打ち上げ。

去年ニューヨークで写真を撮って
くださったうすやまきくこさん
http://www.usuyama.com/
美術ジャーナリスト藤原えりみさん、
スープストック社長の遠山正道さん
もいらっしゃる。

植田工が、遠山さんを紹介されて、
「あっ、どうも!」とお辞儀をした。


「あっ、遠山さん」と植田工。


「お世話になっています」と植田工。
となりで余裕の表情の粟田大輔くん。

4月に美術解剖学教室を卒業して、
就職した植田。

社会人としての反射神経が、もうきちんと
身についている。

遠山さんのネクタイが素敵だった。


鈴木芳雄さんと談笑する遠山正道さん。

皆で帰ろうと根津駅のホームに立った時、
向かいの壁がとてつも
なく美しく見えて、はっとした。

東京大学本郷キャンパスが近い。

学生時代、何百回と通った場所。

あの頃、毎日見ていたのに、
この美しさに気付かなかった。

美に目覚める瞬間、何らかの論理が
カチッとはまり、動き出す。

11月 20, 2007 at 07:31 午前 | | コメント (3) | トラックバック (4)

2007/11/19

ひんやりとした空気が恋しくて

このところずっと睡眠不足が
続いていたが、
久しぶりに少しまとまった
眠りがとれた。

そうしたら、何だか、眠りくんと
仲良くなれたような気がした。

いつも、眠りくんと話し始めて、
興が乗ったころに
「さようなら」となってしまう
気がしていたのである。

暗闇の中に棲んでいる、
温かく深い、ちょっと湿った
眠りくん。

またもっと仲良くなりたいな。

エンジン01二日目。

ゴングショーは、木村晋介さん、
服部今日子さん、眞木準さんと
私が一発芸を披露する。

新潟お笑い集団NAMARAの
人たちのパフォーマンスに感心した。

http://www.namara.tv/index.html

フロンテージの大皿彩子さんたち
が仕掛けた「スマイル・ショット」
の一発芸にのせられた。

人にしたくなる話シリーズ
「脳」
中村桂子さん、西川伸一さん、
宮野素子さんと脳を
中心とした生命の話をする。

3時間目は、波頭亮さんと
幻冬舎新書『日本人の精神と資本主義の倫理』
に因んだ対談。

怒りを愛に変え、光として放射できる
のが良い人間なのである。


波頭亮さんとのセッション

4時間目は私の担当はない!

地元の考古堂書店の柳本和喜さんたちが
講師の本を売りにきて下さって
いたので、自主的にサインをしに
行った。

『日本人の精神と資本主義の倫理』は
すでに完売で、
『芸術脳』(新潮社)

『芸術の神様が降りてくる瞬間』(光文社)
がそれぞれ30部ほどあった。

朱鷺メッセの横を流れる信濃川の
向こうに、次第に日が傾いていく。

赤く染まる空を時々見上げる。

目の前のものに落とし、
描き、書いているうちにいつの間にか
完売することが
できた。
皆様、ありがとうございました。


考古堂書店の皆さんと

これで役目は果たしたと、
船曳建夫さん、河口洋一郎さん、木村晋介さん、
佃一可さん、原島博さん、藤原和博さん、
やすみりえさんが出演している
「文化人大喜利」に出かける。

笹団子で飛び入りの人が大暴れで
爆笑した。

エンジン01名物の「夜楽」は、講師陣と
参加者が飲食を共にしながら語り合う。

私と島田雅彦さん、中村桂子さんの
三人でホテルイタリア軒別館の「螢」にて
楽しい時間を過ごした。

打ち上げは市内で著名な「鍋茶屋」
の大広間にて。

NAMARA代表の江口歩さん、
秋元康さん、ホリプロ社長の堀義貴さん、
NAMARAの若手芸人の皆さんと
笑いの将来について話をする。


島田雅彦、地元の舞妓さんと。鍋茶屋にて。


船曳建夫さんと。鍋茶屋にて。

3次会は奥の院。

アルヴィレックス新潟会長の池田弘さんや、
三枝成彰さん、眞木準さん、島田雅彦、
電通の佐々木厚さん、船曳建夫さん、
印田友紀さん。

二階でカラオケが始まり、
私はラルクのNeo Universeを
唄って、そのままふらっと
外に出たら、ひんやりとした
空気が恋しくて、
しばらく一人で歩いて
それから
信濃川河畔の宿に還った。

11月 19, 2007 at 08:22 午前 | | コメント (13) | トラックバック (4)

2007/11/18

東京芸術大学 美術解剖学 鈴木芳雄

東京芸術大学 美術解剖学
2007年度 後期第4回
鈴木芳雄


東京芸術大学 美術解剖学の
2007年度後期第4回の授業は、
雑誌Brutus副編集長の
鈴木芳雄さんをお迎えします。

Brutusは、その独自の切り口からの
美術特集で知られます。
古典から現代美術まで。
さまざまなアートのSpecil Issueを
企画、編集し続けてきた
鈴木芳雄さん。

おそらく世界でも有数の
「年間展覧回数」をこなしつつ、
国内外に様々なアート関係の
人脈を築き上げてきた鈴木さんに、
美の「今」はどのように映っているの
でしょうか。

鈴木さんのアートにかかわる
類い希なる経験の一端を共有する
滅多にないチャンスです。

鈴木さんの日常については、
そのブログ『フクヘン』に詳しく書かれて
います。

http://fukuhen.lammfromm.jp/

2007年11月19日(月) 
午後3時35分〜午後5時
東京芸術大学 上野校地 美術学部 中央棟
第3講義室(2F)

http://www.geidai.ac.jp/access/ueno.html


鈴木芳雄さん近影。
一緒に訪れたサンクト・ペテルブルクにて。

11月 18, 2007 at 03:04 午後 | | コメント (1) | トラックバック (1)

「ホープフル・モンスターを探して」

天才桑原茂一のプロデュースする
トークイベントがあります!

新潮社『芸術脳』として
単行本化されている
伝説のdictionary talkシリーズ。

スゴイ空間になることは間違い
ありません。

CLUBKING presents

茂木健一郎 ジャパン・ツアー「ホープフル・モンスターを探して」

【日時】12月8日 土曜日 13時〜21時ごろ

【会場】ビジョナリーアーツ(渋谷セルリアンタワー裏)

【トークゲスト】谷田一郎(CMおよび映像ディレクター)、北川フラム(アートディレクター)

【ライブ出演】tico moon、snoweffect、TOSHIYUKI YASUDA、fussy


【チケット】前売り2,000円(11/20申込締切) 当日2,500円

【詳細・前売り申込】
http://www.clubking.com/topics/archives/02event/128.php


11月 18, 2007 at 09:04 午前 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/11/17

前から好きじゃないカ

前野さんと堅い握手を交わし、
NHKへ。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
収録のゲストは、文化財修復に携わる
鈴木裕さん。

本拠地の京都と、新たなプロジェクトを
進める九州太宰府の国立博物館
の間を行き来しながら
何百年と歳月を経た紙と
向き合う鈴木さん。

「愛があるからこそ、継続
できる。」
素晴らしいヴィジョンをいただいた。

スタジオに、現在福岡放送局に異動中の
山口高志さんがいらっしゃる。

「こいつはNHKの誇る天才なんですよ!」
と有吉さん。

スキンヘッドの迫力ある風貌の山口さんは、
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
のスタジオセットをデザインされたの
である。

「山口さん、このセット、最初に
見た時にとてもインパクトがあって、
そのあと、ずっとその中にいても、
まだまださらにいいんだなあ。
ぼくとか住吉さんとか、もう二年近く
この中にいるのに、ぜんぜん飽きないん
ですよ!」
と山口さんに激賞する。

有吉伸人さん、山口高志さんと、
山口さんがデザインしたセットで
記念撮影した。


高野清一郎先生が呼んでくださった
第26回新潟県美術教育研究大会
に赴くため、直江津へ。

越後湯沢で乗り換える。
例によって、眠って乗り過ごさないか
どうか心配だった。

駅に高野先生や、大塚啓先生など、
皆さんでお迎えくださり、
感激する。

ホテルのバーでボジョレーヌボーの
祝杯。
皆さん、美術教育に対する熱い
思いを語る。

翌朝、大塚先生が進めていらっしゃる
「blue sky」折り紙のプロジェクトを見る。

青空に雲が浮かぶ。そんな折り紙を
作成し、それを鏡の上において
本物の空とマッシュアップするのである。

子どもたちが夢中になるという。

熱中できる。
それこそが、教師や親たちが
心がけてあげることではないか。

後ろ髪を引かれつつ、タクシーで
新潟へ。

エンジン01。

http://www.enjin01.org/index2.html 


オープニングシンポジウムで江原啓之
さんと対談する。

布袋寅泰さんとロックンロールスピリッツについて
アツク言葉を交わす。

紫綬褒章を受け、皇居から
かけつけた、エンジン01を主宰する
三枝成彰さん。

マエストロ、おめでとうございます!

三枝成彰さん、島田雅彦と話す。

島田と会ったのは久しぶりだったが、
やっぱり面白く、
「お前はいいやつだなあ。好きになったヨ」
と言ったら、
「前から好きじゃないカ」
と島田が言った。

波頭亮さんとも、しみじみと話す。

このところ、ずっと仕事で走ってきたから、
何だかとてもほっとする時間の
流れだった。

いやあ、島田雅彦の顔が心の温泉に見えたよ。

11月 17, 2007 at 08:21 午前 | | コメント (10) | トラックバック (7)

2007/11/16

「プライベート」から「普遍」に至る

ラーメンズの小林賢太郎、片桐仁さんと
お話する。

広告批評の河尻亨一さんがお誘い
くださった。

ラーメンズの活動については、
以前から注目していた。
そのコントの質は、きわめて
高い。
理知的ですぐれた言葉の造形力を持つ
小林さんと、圧倒的な存在感の
片桐さん。
小林さん、片桐さんともに、
最近は「ソロ活動」も多い。

面白く、温かく、動かされて
あっという間に時間が経った。

印象的だったのは、ラーメンズの「起源問題」。
小林さんが、片桐さんに出会うことで、
ラーメンズのスタイルが確立した。
その「プライベート」から「普遍」に至る
経緯が感動的である。

詳細は、「広告批評」の特集号を
ご覧ください。


ラーメンズの二人と。

日経サイエンス編集部で、
慶応大学理工学部の前野隆司教授と
お話する。

前野さんとは、以前からゆっくりと
お話したいと思っていた。

前野さんのご専門は、機械工学で、
振動工学から最近はロボットの
センサーやアクチュエーターへと
研究を広げていらっしゃる。

前野さんは、『錯覚する脳』、『脳の中の
「私」はなぜ見つからないのか』、『脳は
なぜ「心」をつくったのか』
などの一連の著作の中で、
クオリアは「幻想」であるという
議論を展開され、注目された。

現代の認知神経科学では、何ものかが
「幻想」(illusion)であるということ
自体には異議を唱えない。
そもそも、全ては脳内現象であり、
現実だと思っているものも
結局は神経細胞の活動が生み出した
「幻想」に相違ない。

途中の論理的推論、経験的検証の
ステップはほとんど同じであり、
最後の、「クオリアに機能的意義があるか」
という点において、前野さんと私は
見解を異にする。

前野さんは、エピソード記憶の記銘などの
意識の統合作用においてクオリアは
不可欠ではない、だから、とりあえずは
「幻想」であると整理しておくことで
足りると考えるのに対して、
私は、クオリアにこそ意識の機能の
本質があると考える。

初めてじっくりとお話した
前野さんとは、何となく気が
合って、お互いニコニコしていた。

前野さんは趣味が油絵を描く
ことだという。
私も、小学校5年の時に
突然思い立って油絵の教室に通い始め、
大学生になっても行っていた。

また前野さんとゆっくりお話したい。

(この日続く)

11月 16, 2007 at 08:39 午前 | | コメント (5) | トラックバック (7)

2007/11/15

「通過儀礼」であってくれれば

昨日日記をアップしなかった
直接の理由は
ココログのメンテナンスだが、
それがなくても書く暇が
なかったかもしれない。

水戸で、「ねんりんピック」
のシンポジウムがあり、
私が話した後、
木の実ナナさん、コシノヒロコさん、
宗像恒次先生、それに宮川泰夫アナウンサーの
進行でシンポジウムをする。

NHK教育「日曜フォーラム」
で放送される予定です。

本番前、会場の近くを歩いて
いたら、ウラギンシジミや
ムラサキシジミが陽光を
受けて飛んでいて、
そのちらちらを眺めて
いるだけで私は幸せになった。

その光景は、人生に繰り返し登場すること
になる。

最初は、幼子として見た
母の故郷の森だった。

熱さは穏やかに
よみがえる。

ねんりんピック終了後、駅へ。

ホームでジベタにしゃがみ込んで
猛然と
MacBookを打っていたら、
水戸芸術館の高橋瑞木さんが
偶然通りかかる。

「うっ。こんなところを
見られて!」

ミズキさんは気付かないふりをして
サントリー美術館の招待券を下さった。
イイヒトである。

NHKへ。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

すみきちが紅白総合司会!
の話題で盛り上がる。

ありきちさんが、フリスクで
遊んでくれた。

NHKからほど近い白寿ホールへ。

ピョートル・アンデルジェフスキ
さんのコンサートを聴き、
対話する。
蔵島由貴さんに対する素晴らしい
「マスタークラス」のレッスンも。

優美なモンスター、ピョートルとの
対話はとてつもなく刺激的で、
時間ができた時に詳述したい。

最終の新幹線で名古屋へ。

翌朝6時過ぎ、集英社エクラ編集部の
榊原宏通さんと伊勢神宮へ。

外宮、内宮と回る。

外宮には初めて行きました!

新幹線で品川へ。
(車中、ある発明をする)

六本木ヒルズ。

三菱化学ジュニア・デザイナーズ・アワードの
表彰式。
水野誠一さんが委員長。
都築響一さん、日比野克彦さんと
席が近かったでゆっくり懇談、
がっしり握手。

受賞者の皆様、オメデトウございました!

時間の合間をぬい、サントリー美術館
にて鳥獣戯画を見る。

「甲巻」に尽きる。

時間は雪崩を起こした。

しかし、
伊勢神宮でも、古殿地の横で
ムラサキシジミ、ウラギンシジミが
陽光を受けて飛んでいた。

あいつらがいれば、ぼくの人生は
大丈夫。

それと、日々が、自分の内実を
書きかえる「通過儀礼」
であってくれれば良い。

思えば、少年の夏休みも、
また、
通過儀礼に満ちていた。

11月 15, 2007 at 07:19 午前 | | コメント (5) | トラックバック (3)

2007/11/13

脳の無限の可能性

Lecture Records

茂木健一郎

『脳の無限の可能性』

尾道市教育フォーラム
尾道公会堂

2007年11月11日

講演、質疑応答

音声ファイル(MP3, 41.7MB, 91分)

11月 13, 2007 at 08:17 午前 | | コメント (7) | トラックバック (3)

プロフェッショナル 仕事の流儀 佐喜眞保

プロフェッショナル 仕事の流儀 第68回

魂の職人 希望の道具

〜 義肢装具士・佐喜眞(さきま) 保 〜

佐喜眞さんのお話をうかがって、
ボクは本当に心の底から感動した。

どんなハンディキャップを持って
生まれてきても、
生涯の途中で、どんな
境遇にあっても、
たった一つの大切なものを見失わなければ、
道は開ける。

その「大切なもの」に、人は
「愛」だとか「生命」だとか
いろいろな名前をつける。

その得体の知れない、
かけがえのないものは、
目に見えない、
しかし確実に私たちの内側に
あるものとして存在し、感じられるのだ。

生きることに思いを寄せる全ての
人にとって、必見です。

ボクは、決して、忘れないでしょう。

NHK総合
2007年11月13日(火)22:00〜22:44

http://www.nhk.or.jp/professional/

すみきち&スタッフブログ

Nikkei BP online 記事
自分から逃げない、他人からも逃げない生き方

11月 13, 2007 at 06:47 午前 | | コメント (3) | トラックバック (4)

「十数行のがんばり」で

京橋の中央公論新社で、岡田健吾くん、
濱美穂さんと会って話す。

岡田クンは相変わらず機関銃のように
だーっと話している。
濱さんに、「いつも岡田クンと
同じ編集部にいると、次第にこの
マシンガントークにも慣れて
くるのでせうか」
と尋ねると、謎の微笑を浮かべた。

確かに、
人間には、いつまで経っても
どうしても慣れないものはあるよネ。

岡田クンのお腹は会う度に次第に膨張
する傾向があり、してみるとあれは
「空気銃」だったのだろう。


岡田健吾クンのお腹(「保護観察」中)

だだだだだん!

赤塚不二夫の漫画に、そんなキャラクターが
いるような気がする。

岡田クンの空気銃は今日も絶好調である。

来年の夏は一緒にスイカを食べて、
タネのとばっしっこしようね、
岡田健吾クン!

次の要件のために中央公論新社に
お迎えに来ていただいた、スィッチ・
パブリッシングの足立菜穂子さんが
ぱちりと三人の写真を撮ってくださった。


中央公論新社にて。岡田健吾クン、濱美穂さんと。

足立さん、ありがとう。

朝から6件のアポイントメント。
はあはあぜいぜいの風体で、
スーパーひたちに乗り、
量子力学と意識の非局所性に
ついてのエッセーを書きながら
水戸に着いた。

NHKのど自慢の司会を
12年間つとめられた宮川泰夫アナウンサーに
お目にかかる。


水戸にて。宮川泰夫アナウンサーと。

生番組ならではの様々な舞台裏を
うかがう。

土曜日のオーディションから始まり、
日曜日の本番まで。

倍率10倍以上の選考を通り抜ける
人の共通点は、「本気の思いがあること」
だという。

なるほどと思う。一世一代の晴れ舞台に
賭ける出場者の熱が、「NHKのど自慢」
の画面を通して視聴者に伝わっているの
だろう。

宮川さんから、「すみよしクンはね」
「ありよしクンはね」という言葉が
出ると、何だか胸がわくわくして
き「ふふふ」と思う。

住吉美紀さんは、今年の
「紅白歌合戦」の総合司会に
決まった。

すみきち、オメデトウ!

宮川さんによると、すみきちは、
新人の頃、NHKのど自慢の
運営の仕方を勉強しに来ていた
こともあったのだという。

すみきちは、常々「私は生番組が好き!」
と言っているから、本番ではきっと本領を
発揮することであろう。タノシミである。

「ありよしクンはね、今では
大CPだけれども、あの頃から、
素直に人の話を聞くやつだったんだよ。」
と宮川さん。

番組開発に携わって来られて、
現在はNHKエデュケーショナルの
取締役をされていらっしゃる江頭賢治さんが、
付け加える。

「9時からのニュースがなくなるという
んで、その時間帯に番組を並べる
必要ができたんだね。
それで、
ありよしクンは、番組企画を説明する
時、こういう番組です、
と普通だったら三行で済むところが、
彼の場合は十何行もかかるんだよ。
ところが、聞いているうちに、
おっ、これは面白そうだな、と思えて
来るんだよねえ。」

有吉伸人さんの「十数行のがんばり」で、
『プロジェクトX』、
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
といった番組ができた。

現在NHKエデュケーショナルの
代表取締役社長をされている
軍司達男さんは、長年科学番組に
関わってこられた方。

軍司さんから、
科学番組制作の歴史の一端をうかがう
ことができた。

楽しい懇談の時が過ぎ、
「ぼくはコンビニに散歩してきます」
と宮川さんたちに手を振った。

「コンビニのプロフェッショナル!」

夜の静寂に届いた宮川泰夫アナウンサーの
声は、やはり「のど自慢」のその人だった。

11月 13, 2007 at 06:37 午前 | | コメント (4) | トラックバック (5)

2007/11/12

熱いひとたち

「お前は橋の下から拾って来たんだよ」
とからかわれる子どもは、
「自分は一体何ものなんだろう?」
という懐疑を抱く。

その時の、自分の存在自体が揺らいで、
くらくらと目眩がするようで、
胸がざわめくような感覚は、
ぐるりと回って、
生きることのトキメキや
希望とつながっている。

自分にとって大事な夢や
目標を育むことは大切だが、
同時に、「どんな生でもあり得た」
ということが担保されなければならない。

その「どんな生」にも平等に
訪れる偶有性を引き受け、楽しむ
という覚悟がなければならない。

尾道の海岸通りを歩いている時、
一人の老人の姿が目に入った。

ゆっくりと、静かに、しかし
確固とした歩みで進んで、
やがてベンチに座った。

その姿に触れて、
「ああ、そうか」と思った。

しばらく前から、「死にゆく人」
にとっての希望とは何かと考えていた。

生きている間は、どんな境遇でも、
偶有性を楽しむことができたと
しても、いよいよお終いと
なったらどうなるのか?

その時、国宝に指定されている
阿弥陀二十五菩薩来迎図(「早来迎」)のように、
自分の魂を救わんと無限の彼方から
阿弥陀さまや菩薩さまが
輝く雲に乗って駆けつけてくれるのか。

http://www.gagaku.tv/b_and_g/raikouzu.htm 

切ない仮想に託すしかないのか?

そのおじいさんの姿を見ていて、
人生の最後には、「自分が何時死ぬか
わからない」という偶有性が
増していくんだということに
思い至った。

若い時とは違う。1年後、5年後に
果たして自分はこの地上にいるか?

存在と非存在。
生と死。
目眩がするほどの明るさと暗さの
コントラストが、いつかは
死ななければならない人生の
「最期」に向けてクレッシェンド
していく。

人生の週末に向けて、偶有性は
内実を変えながら存在し続ける。
そのことさえ実感できるならば、
日々の生は輝くはずだ。

尾道公会堂でお話する。


(photos by Atsushi Sasaki)

尾道市教育委員会、尾道市PTA連合会
主催の「教育フォーラム」は
たいへん立派な本格的なもので、
その企画力、組織力に圧倒される。

小中学生のパネルディスカッションも
素晴らしく、
公衆の面前で自分たちの意見を借りものの
言葉ではなく堂々と言えるその姿に
感銘を受けた。

「吉中太鼓」は、取り組む生徒たちに
人格を変容させる大切な
「通過儀礼」になっている
のであろう。

尾道市長の平谷祐宏氏にお目にかかる。

平谷さんが市の教育委員会の教育長を
されていた時に、
この「教育フォーラム」が始まった
のだという。

尾道では、各界の人たちの足形が
いろいろなところに置かれている
らしく、私も足を押してくださいと
依頼される。

いよいよお別れの時となった。

司法書士をされていて、
今回のフォーラムの実行委員長の
山本学さんが、「私は、この二日間の
ことを、決してわすれません・・・」
と言いかけて、声を詰まらせてしまわれた。

隣りにいた弟さんの山本淳さん
(尾道市役所勤務)が、
「まあまあ、兄貴・・・」
というように肩に手をかけた。

熱いひとたちだった。

山本学さんは、前夜に「お土産です」
とアインシュタインのTシャツを下さった。

そのTシャツは、今、私のリュックサックの
中にある。


山本学さんにアインシュタインのTシャツをいただく

11月 12, 2007 at 07:43 午前 | | コメント (11) | トラックバック (3)

2007/11/11

どんな偶有性の海を

大阪へ。

電通育英会の奨学金を
受けている学生さんたちを
前に、脳と人生について
お話しする。

偶有性は、どんな人生にも、
あらゆるフェーズにおいて平等に
訪れる。

ただ、それを「楽しむ覚悟」
が必要なだけである。

君たちとボクで、ボクの
方が人生の先輩だからと言って、
偶有性の構造が変わっている
わけではない。

一を知れば、十わからないことが
できる。
人生はオープン・エンドである。

人生というものは、つまり、
「偶有性の海」に飛び込んで
こそ、本当の愉しさが
わかるものなんだ。

小学校における講演会の
ために尾道へ。

千光寺公園からの景色は
相変わらず素晴らしい。

私が東京芸術大学で授業をするように
なった時、津口在五は
大学院生で、その後すぐに助手になった。

その後、津口くんは故郷の尾道に
帰って、いろいろ
模索し続けている。

久しぶりに津口にあった。

「ぼくは、学問がしたいと
思っているんですよ」
と津口くん。

津口くんが尾道駅前の
本屋さんでバイトを始めたと
教えてくれたのは、蓮沼昌宏だった。

津口くんのお父さんに連絡を
とると、啓文社 福屋ブックセンター
にいるという。

http://www.keibunsha.net/store/store.php?id=20 

尾道駅前にいると、津口が
ひょこひょこやってきた。

店長の藤川学さんが、
いくつかサインをして欲しいと言われるので
喜んで描かせていただく。

「こんな風にレイアウトしました」
と後ほど津口が携帯から送ってきた。

津口のお父さんの津口知幸さんは
表具処 軸源を経営されていて、
商店街の中に店舗がある。

「一期一会を表具する」
と掲げられた店の中に、
お父さんそっくりの人形があった。

当然、人形は津口在五クンその人にも
似ている。

呼んでくださった司法書士をされている
山本学さんもいらっしゃり、
懇談する。

楽しい時間が流れる。

津口父子は、並べると、なるほど、
雰囲気が似ている。

ボクは、津口の名前は在五(ざいご)と
読むんだとずっと思っていたが、
実は「あきご」なのだそうである。

「あきご」クンは、東京芸大の上野キャンパスを
彷徨しながら、あの頃、画家の
フランシス・ベーコンのことを一生懸命
考えていた。

今、尾道水道を向島との間を渡船で
行き来し、本屋さんの文具売り場で
アルバイトをし、芸大時代と
変わらぬジャンパーを来て、
「あきご」クンはどんな偶有性の海を
泳いでいるんだろう。

「向島というのは、尾道から
見た言葉で、本当は歌島と言っていたのです。
和泉式部も島に来たことがある、という
伝承があるのです。」

津口のお父さんがそのように言った時、
印象はふわっと海へと広がり、
偶有性の粒は突然光って
私を包んだ。

11月 11, 2007 at 06:38 午前 | | コメント (10) | トラックバック (5)

2007/11/10

『すべては脳からはじまる』3刷

中公新書ラクレ『すべては脳からはじまる』は増刷(3刷、累計35000部)が決まったと、中央公論新社の
岡田健吾氏から連絡をいただきました。

ご愛読に感謝いたします。


11月 10, 2007 at 05:43 午前 | | コメント (1) | トラックバック (0)

『脳の中の人生』13刷

中央新書ラクレ『脳の中の人生』は増刷(13刷、累計67000部)
が決まったと、中央公論新社の岡田健吾氏から
連絡をいただきました。

ご愛読に感謝いたします。


11月 10, 2007 at 05:40 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

心の中に転がっているどんぐりのようなもの

このところ
私の原稿をとろうと
目をらんらんと輝かせている
NHK出版の「怪奇オオバタン」
こと大場旦の机に、先日
「ハッスル・ドリンク」
を見つけた。

「サプリ付き」
「疲れにビターン」
とある。

その勢いもあってか、オオバタンは
話し込みながらNHKのスタジオまで
私を追いかけてきた。

「あっ、茂木さん」

私たちの姿を見つけ、
いろんなものを食べる時に
「前傾姿勢でやる気を見せる」
ことで有名な山本隆之デスク(タカさん)
が手を挙げた。

「オオバタンに、今まですごまれていたの
です。」
タカさんに助けを求める。

オオバタンとタカさんの、
レアなツーショットが実現した。
二人はあっという間にうち解けて、
Vサインまでしている。

何だか、タッグを組んでいるようだ。

「じゃあ、ここで」
オオバタンが手を挙げて、ふり返らずに
去っていった。

オオバタンから、タカさんに、
私は「引き継がれた」のである。

私は、仕事から仕事へと引き継がれていく。

茅野で目が覚めて、
ロビーに降りていったら、
エクスナレッジの木戸さんが
待っていてくださった。

建築家の藤森照信さんの
生まれ育ったのは、茅野
郊外の里山。

藤森さんの最初の作品である
「神長官守矢史料館」
の横を抜けていくと、
小さな社があり、
4本の「御柱」が立っていた。

諏訪地方では、どこに行っても
このような信仰のかたちが
残っているのだという。

すすきが揺れる。柿が色付く。
水が流れる。風が吹く。

「ぼくはね、自分が育った環境が、
当たり前のものだと思っていた。
それが、どうやら、特別なことらしい
と気付いたのは、大人になってからです。」

木の上のとても高い所に作られた
藤森さんの代表作の一つ
「高過庵」が見えてきた。

確かに高すぎる。しかし美しい。

「全部一人でやれるようにしたのです。」

藤森さんは、そう言いながら、
コロのついたハシゴを繰り、
一人で荷物を持ち上下する。

3畳の茶室は、座ると思いの外大きく
感じられ、
炉の横に座る藤森さんはまるで
森の精霊のようだ。

藤森さんが点てた
お茶をいただき、創造の秘密について
お話する。

藤森さんの生まれ育った里山を
間近に見て、
言語化できない、自らの内なる
体験の大切さを思う。

建築の歴史家だった藤森さんが
最初の作品を作られたのは
四十代半ば。

「思えば、普通の意味での作家としての
活動をしていなかったことが、
私の中にある何ものかを温存して
くれていたと思うのです」
と藤森さん。

スタンダードと普遍の学としての
アカデミズムをきちんと押さえた上で、
幼少期からの言葉にならない
体験の蓄積に寄り添うことに
成功した時、
人は創造の現場における「創業者」
になることができるのであろう。

しかし、全ての表現者が「創業者」になる
わけではない。
他人の真似をしたり、編集したり、
アレンジしたり。
そのような活動があっても良いのだと
思う。

表現型としての藤森建築を模倣する
ことは大いに良いことだが、
それは創業者への道ではない。

藤森さんが幼少期に過ごした里山での
体験に相当する何かを自らの言語化
されない芯において見いだすことこそが、
オリジナルへの道筋であるはずだ。

高過庵の横には藤森さんが制作した
藁の社がある。
「こういうものも少なくなりました。
学者として、きちんとモデルを提示
しておかなければ」
と藤森さん。

八ヶ岳を見晴らせる
緩やかな斜面の空気に身体を
浸していたら、その時間だけ
心の中にどんぐりが転がった。

藤森さん、ありがとうございました。


東京へ。

早稲田大学大隈講堂。

早稲田大学創立125年のシンポジウム。
控え室には大隈重信公の肖像写真あり。


私は「科学は生命の複雑さにどう挑むのか」
というテーマでお話しする。

久しぶりに中村桂子先生と
議論し、楽しかった。

思えば、生命の本質とは、心の中に
転がっているどんぐりのようなもの
なのであろう。

誰にも見えない。触ることもできない。

今日もまた、どんぐりを一つ二つ
揺らし、拾ってみる。

11月 10, 2007 at 05:15 午前 | | コメント (6) | トラックバック (2)

2007/11/09

芸術の自由

Lecture Records

クリスト、ジャンヌ=クロード、茂木健一郎、加藤啓進

芸術の自由 (with Christo and Jeanne-Claude)

2007年11月7日
水戸市常陽藝文ホール

水戸商工会議所会頭 加藤啓進さんによる挨拶 10分
茂木健一郎 芸術の自由 15分
クリスト、ジャンヌ=クロード トーク 60分
会場との質疑応答
対論 20分

音声ファイル(MP3, 59.6MB, 130分)


クリスト、ジャンヌ=クロード、加藤啓進会頭、茂木健一郎

11月 9, 2007 at 06:02 午前 | | コメント (2) | トラックバック (1)

一緒にがんばって、良かったね

私は、眠いときはさっさと
眠ってしまって、がばっと
起きて仕事をする。

しかし、時にはどうしても
眠るわけにはいかないことがある。

水戸がそうだった。
打ち上げが終わった後、
睡魔と闘いながら仕事をした。
サン・ディエゴにいる星野英一の
発表時間(slide presentation、口頭発表)
が近づいていて、
内容をfinalizeしなければならなかったからだ。

MacBookに向き合っていて、
はっと気付くと眠っている。
いかん、と気を取り直して
タイプしていると、
いつの間にか意識を失い、
画面にhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh
と同じ文字が並んでいる。

必死になって仕上げた。
水戸の夜。
翌日。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の収録。

ゲストは、パリコレなどを舞台に
活躍するヘア・デザイナーの
加茂克也さん。
素敵な人だった。

新宿からあずさに乗った。

前夜の睡眠不足で瞬時に眠りそうだったが、
仕事の資料を読まなければならないのと、
下車駅が茅野だったので、
松本まで寝過ごしてしまうのではないかと
それが心配で、
一生懸命起きていた。

はっと気付くと資料がだらんと
さがってカクンとしている。

だらん、カクン。
だらん、カクン。

繰り返しながら、
なんとか茅野まで来た。

おお、そうだ。
水戸のホテルで、トランクスを洗っていたら、
ぎゅうと一生懸命絞りすぎて
左手の親指の横の皮がはがれた。

上野駅でバンドエイドをしたが、
撮影時は外さなければならない。

ぼくは喋りながらよく手を動かす。
目立つんだ。

ひりひりしても、
トークに夢中だと忘れてしまう。

そんなこんなで、何だか大変な
日々が続いているが、
サン・ディエゴからうれしいメールが
届いた。

まずは発表を終えた星野英一から。

***

茂木さん

SfNの発表無事に終了しました。
ありがとうございました。
もっと修行します。

星野英一

***

須藤珠水によると、星野は「伝説となる
だろう大物ぶり」を発揮したとのこと。
通過儀礼が人を成長させる。星野くん、
がんばろうね。

それから、この日記でも紹介した
Visual one-shot learningのポスター
発表を終えた石川哲朗。

***

茂木さん!

ポスターは大盛況でした。
最初は不安でたまりませんでしたが、
ポスターを張ったすぐ後から、すぐに
隅々までじっくり読み始めてる人がいて
本当にドキドキしました。

3〜4時のコアタイムを過ぎて、5時を過ぎても
ポスターをはがさなきゃいけないぎりぎりまで
人がひっきりなしに聴きに来てくれました。
紙に印刷して丸く切りぬいたサンプルを用意して、
来た人に「トライしてみる?」と聞くと
全員から”YES!”という答えが返ってきて、
世界中の人たちにアハ体験をしてもらえました(笑)

そうやって楽しんでもらえて、かつ、
細かい結果も順番に説明すると、つたない英語
なのに辛抱強く聴き続けてくれて、
みんなにおもしろい研究だ、と言ってもらえて
すごく説明のし甲斐があって嬉しかった。

メッセージカードにもかなり書かれていて、
このポスターのhandoutをぜひ欲しいから
送ってくれとか、論文になったら教えてほしい、
という人がたくさんいてびっくりしました。

今回いろんな人に聴いてもらって議論して、
やっと自分のやってることにすごい自信がついて
かなりおもしろい方向性に来れてるんじゃないか、
という確信が持てました。
茂木さんのおかげです。すごく感謝してます。
本当にありがとうございます。充実感でいっぱい。

打ち上げの席で海の上に浮かんだ素敵なお店で
飲んだビールが最高においしかったです。

石川哲朗、サンディエゴにて

***

石川くん、オメデトウ。
「教師冥利」に尽きる。
一緒にがんばって、良かったね。

茅野の街は暗く、
目指すホテルのあたりに何があるのか
判らない。

探るようにして進む。

チェック・イン。
フロントの人が、電話で、
「すみません、あいにく全館満室で・・・」
と言っている。
なんだか、ドキドキする。

ほっと一息、ビールを飲みながら
資料を読み始めたが、
すぐに睡魔が襲う。

今度ばかりは、誘惑に負けることが
できる。
安心して意識の明かりを消し、
目覚めてすぐにスィッチを入れて
猛ダッシュする。

本来のスタイルが戻ってきた。

外の世界は、まだ闇に包まれている。

11月 9, 2007 at 05:53 午前 | | コメント (6) | トラックバック (3)

2007/11/08

文学は世界を旅する

エスクワイア日本版 2007年12月号
特集「文学は世界を旅する」

茂木健一郎が読み解くロシア古典文学の世界。
「ロシア文学」という内なる旅。

和田京子さんがまとめてくださいました。

http://www.esquire.co.jp/esquire/2007/12/#

http://www1.e-hon.ne.jp/content/esquire_20071026.html

http://www1.e-hon.ne.jp/content/images/t_esquire12_p05.jpg

11月 8, 2007 at 07:28 午前 | | コメント (2) | トラックバック (1)

大きな巨きな「自由」のヴィジョン

水戸芸術館のキュレーター(学芸員)
である高橋瑞木さんから、
ChristoとJeanne-Claudeが
来日するから水戸で話さないか
と言われた時、
二つ返事で「やります!」と返事した。

http://www.christojeanneclaude.net/

上野からスーパーひたちに
乗る。あれこれと仕事をしていたら、
あっという間に水戸に着き、
改札の外の高橋さんに出会った。

クリストがの茨城県常陸太田市から里美村(当時)の里山の中に1340本の
青い傘を立て、それと向かいあうように、
カリフォルニアのロサンジェルスの南側の谷に
1760本の黄色い傘を立てた「アンブレラ」
プロジェクトが行われたのは
1991年。

当時、大学院の博士課程の学生だった
私は、盟友「おしら様哲学者」
(またの名前を「でぶ塩」)塩谷賢と
はるばるでかけていった。

誇大妄想気味だった二人の
「疾風怒濤」の青年は、
見渡す限り巨大な傘が点在する
光景に大いに興奮した。

「これだよ、オレたちが求めて
いたのは!」

あまりにも気に入ったので、
3週間の会期中、二度も出かけた。

二度目に出かけた時、
田園地帯の中に設置されて
いた事務所で、クリストと
ジャンヌ=クロードに出会った。

握手を求めると、クリストは快く
応じてくれた。

「ヴァレー・カーテン」。
「囲まれた島」。
「梱包された帝国議会議事堂」。
あのような巨大プロジェクトを、
地元住民や政府と粘り強く交渉して
進めていく人とはとても
思えないような、
繊細な、やわらかな手だった。

常陽藝文ホールに着く。

水戸商工会議所主催、
水戸市芸術振興財団企画、
常陽藝文センター協賛の
イベント。

http://www.arttowermito.or.jp/atm-info/2200/2294.html


控え室で、クリストと握手した。
16年の年月を超えての再会。
もちろん、向こうは覚えてなどいない。

会場の様子を見て、高橋さんや、
同じく水戸芸術館の森司さんに、
「どんな聴衆が来るのか」
と聞いた。

「買い物に行って来ます」
とふらっと外に出た。

さて困った。
駅前の川又書店まで歩きながら、
作戦を練った。

最初に私が20分喋ることになっている。
急遽スライドを、と思ったが、
プロジェクターがない。

私がどんなことを喋っているのか、
クリストとジャンヌ=クロードに
伝わらないのではツマラナイ。

かといって、全部英語でやったら、
聴衆には何のことかわからない。

観念し、覚悟を決めた。

「ジャンヌ=クロードと
クリストという二人の素晴らしいゲストに
感謝と敬意を表するために、
私は生まれて初めてのことをやろうと
思います」
と切り出した。

「予定していたことの、二分の一しか
喋れないでしょうが、二倍面白くなると
期待しています。そして、私自身
にとっては、3倍難しいことになるでしょう」

日本語でまず喋ってから、英語で
喋る。
「一人逐語通訳」である。

「アートは何よりもプライベートな経験である。
それは、ジャンヌ=クロードとクリストの
素晴らしい作品群が示しているように、
言葉で表現できるものではない。
その一方で、アートは、コミュニケーションや
コミュニティ・ビルディングに関わること
でもある。
ジャンヌ=クロードとクリストが、
作品の実現のために時に20年や30年もの
長い年月粘り強く交渉するそのプロセスに、
そのようなアートの両義性は表れている。
日本では、確かに、東京と地方の間に
格差がある。
しかし、すぐにわかってしまうような
目的、言葉にできるような機能性、
そんなことからアートを通した
「町おこし」のようなことを志向しても、
かえって夢を実現することはできないだろう。
アートの力というものは、もっと根源的な
ものである。
私たちが生まれ落ち、言葉を学ぶ前から
抱いていた生命の衝動。そのようなことに
つながるものである。
アートとコミュニティの関係を
考える上で、ジャンヌ=クロードと
クリストの仕事は、大切な一つの
インスピレーションを与えてくれる」

概ね、そんなことを話した。

ジャンヌ=クロードが、
「プロフェッサー モギの言ったことに
400%賛成します」
と切り出した。
「そして、それはまれなことなのです」

二人のトークは、スライドを使いながら
現在計画中のOver the River、
The Mastabaの二つのプロジェクト
について説明する、
完璧に準備されたものだった。

私と、クリスト、それにジャンヌ=クロードの
対論。

何か深いものに触れた気がした。
感動した。

ジャンヌ=クロードと
クリストにとっては、あのような
巨大なプロジェクトを進める
ことは「自由」の追及なのだという。

「私たちのプロジェクトは、決して
巨大ではありません。
それを言うならば、人類はもっと
大きなものを作っています。
摩天楼、高速道路、大規模な耕作。
私たちの行為は、そのような、誰かに
よって既に設計された空間の
中に住むことに慣れてしまった
人間が、本来持っているはずの自由を
取り戻すための儀式なのです。」

「大切なのは、実際の帝国議会議事堂
に触れ、それを変えるということであって、
そのスケッチでは
ないということです。現実そのものに
働きかけ、変容させる。そのことが
大事なのです。」

私たちは、落書きをしたり、
キャンバスの上に絵の具を置いたりとか、
そのような「自由」で満足して、
自分が包まれている巨大な不自由に
は気付かない。

「そうです。自由というのは、
真剣に追及しようとすれば、
とても手間と手続きがかかる
ことなのです。」

最後に、「1000年後にどのような
形で覚えていてもらいたいですか?」
と聞いた。

「名前は消えてもいいのです。
ただ、昔むかし、あるところで、谷
にカーテンが敷かれた。島が包まれた。
無数の傘が置かれた。そんなことが
あった、という形で覚えていてほしい」

ジャンヌ=クロード、クリストと
かたく握手をして別れる。

森司さんが「いやあ、今日は良かった。
勇気をもらったよ。この仕事をしていて
良かった、と思えた」
と力強く言った。

東京芸大の粟田大輔、蓮沼昌宏が来ていた。
粟田は、最後に質問もしたからエライのである。

水戸芸術館の浅井俊裕さんも
加わって、
水戸駅近くの「茶の間」で打ち上げをした。

こんなにタイトなスケジュールで
動いていてオレは大丈夫か、
どうかなっちまうんじゃねえか
と思いながら
ふらふらになって水戸へ来たが、
こういう時に来なかったら人生の意味が
ない。

うぉーっと叫んで、荒野をどこまでも
行きたくなる。

大きな巨きな「自由」のヴィジョン。
頑なまでに愛に満ちあふれた勇気。

私たち一人ひとりは小さいが、
志向性という容器の中には、
たくさんのふしぎなエネルギーが
満ちあふれている!

(下の写真は、会場にいらした
青山知花さんがお送りくださいました)

11月 8, 2007 at 07:00 午前 | | コメント (9) | トラックバック (6)

2007/11/07

小林秀雄の「山の上」の家

ヨミウリ・ウィークリー
2007年11月18日号

(2007年11月5日発売)

茂木健一郎 脳から始まる 第78回

小林秀雄の「山の上」の家で
「自分の芯を持ちたい」と願う

抜粋

 改札に近づくと、新潮社の池田雅延さんが私に気づいて手を挙げた。
 「やっぱり雨になりましたね。私は、雨男で、小林先生のお宅に伺う時は7、8割は雨になったものです。」
 「東京にいる時は晴れていたのに、鎌倉に近づくにつれて一天にわかにかき曇り、なんてこともあったんですか?」
 「ははは。そんなこともあったかもしれませんね。」
 愉しい会話から、記念すべき午後が始まった。
 池田さんは、日本における文芸批評を確立した小林秀雄さんの編集者を長年つとめられた。とりわけ、畢生の大作『本居宣長』の執筆の過程をつぶさに見て来られたのである。
 その日は、小林さんが長年にわたって住んだ「山の上」の家を初めて訪問することになっていた。ある雑誌の企画で、小林秀雄の旧宅を眺めながら「家と記憶」について考え、語る手はずになっていたのである。

全文は「ヨミウリ・ウィークリー」で。

http://info.yomiuri.co.jp/mag/yw/


11月 7, 2007 at 08:41 午前 | | コメント (0) | トラックバック (0)

科学のクオリア

茂木健一郎 
日経サイエンス=編
『科学のクオリア』
日経ビジネス人文庫 648円
 
「日経サイエンス」誌上に好評連載中の
「茂木健一郎と愉しむ科学のクオリア」
が本になりました。

ゲストは、各分野を代表する素晴らしい
方々ばかり。

北岡明佳さん、小川洋子さん、小林春美さん、
福岡伸一さん、山内正則さん、西成活裕さん、
遠藤秀紀さん、中村明一さん、長沼毅さん、
平藤雅之さん、須藤靖さん、沖大幹さん。

『博士の愛した数式』の流行作家!
今年度の科学書の大ベストセラーの著者!
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
に出演した変人生物学者!
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11月 7, 2007 at 08:30 午前 | | コメント (4) | トラックバック (0)

石川哲朗クンのポスター

いつもこのブログに登場してお馴染みの
電通の佐々木厚さんは、なんと今回の
Society for Neuroscienceに
参加している。

佐々木さんを中心に、電通は
ニューロマーケティングの研究を
始めており、その調査研究のために
訪れているのである。

佐々木さんは、Society for Neuroscience
(SfN)の正式なメンバーにもなっている。

San Diegoの学会会場から、
「佐々木特派員」のレポートが届いた。

私が昨日finalizeしていた石川哲朗との
発表のポスターの写真である。

今回、私たちのグループは
4件の口頭発表と3件のポスター発表を
行っている。

SfNでは、口頭発表とポスター発表の
重みは同じで、学会の重鎮がポスター会場で
研究の説明をしている光景によく出会う。

石川君は今まさにポスター発表中。

がんばれ、石川哲朗!


石川哲朗くんのポスター(撮影:佐々木厚特派員)

Dynamics of visual one-shot learning.
Tetsuro Ishikawa and Ken Mogi

今回の石川君の研究は、hidden figureのone-shot
learningにおいて、従来十分な精査ができなかった
partial perceptionの認知プロセス、とりわけ、
tip of the tongue状態になってからのpartial
perceptionからtotal perceptionへの移行の
プロセスを、ある「コロンブスの卵」的手法に
して解析している。

ちなみに、Visual one-shot learningとは、つまりは
日本テレビの「世界一受けたい授業」でご紹介
している「アハ体験」のことす。

11月 7, 2007 at 07:39 午前 | | コメント (3) | トラックバック (1)

ささやかなことの中にこそ

映画館に行く暇がほとんどないので、
飛行機の中は作品に接する貴重な
機会である。

行きは、Live free or die hard (ダイハード4)
を見た。

帰りは、Transformersを途中まで、
そしてHairsprayを最後まで見た。

意外な収穫だったのが、Harispray。

舞台は、1962年のボルチモア。

スリムでない高校生の女の子が、
地元のテレビ局の
ダンスショウに憧れ、周囲の
「君の体型とルックスではダメだよ」
の声にもかかわらず
見事レギュラーになる。

そこに「黒人と白人は一緒に踊ってはいけない」
といった、当時の人種差別の問題が絡んでくる。
アメリカらしい、ストレートな
メッセージ性。
ポップでカラフルな画面と音楽が
楽しい。

Live free or Die Hard, Transformersの2作品は、
どちらも、
ホワイトハウス、国防総省などの
中枢が攻撃されるというストーリーで、
敵が圧倒的に高度で手強く、
世界最強の軍事力を持ってもとても
勝てそうには思えない、というのが
共通点。

Tom Cruiseが主演した『宇宙戦争』
(War of the worlds)もまた、
そのような無力感を描いていた。

911以降のアメリカ人の
精神性の一端を表しているのだろう。

何ものかと敵対関係になければ
自らのドラマトゥルギーを確認
できないとしたら、それは不幸なことではないか。
しかも、その敵は、本当ならば自分たちが
全く太刀打ちできないほど強い。

ストーリーとしては、
最後はもちろんアメリカ文明側が勝つの
だが、リアリティは、むしろ
コテンパンにやられてしまうシーンの
方にある。

それでも、最後は自分たちが
勝つと信じたい。
無力感と全能感が表裏になっているのである。

京成スカイライナーに
乗り、まだサン・ディエゴにいる
箆伊智充、石川哲朗、星野英一たちが
送ってきた発表資料をモバイルで拾い、
さっそく発表のfinalizationへ向けた
仕事を始める。

NHKへ。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
の打ち合わせ。

お土産に、シーズのチョコレートを
置いておいたら、住吉美紀さん(すみきち)が
気が付いて、
「わあ。私、これで育ったんですよ!」
と言った。

住吉さんは、シアトルに住んでいたことがある
帰国子女なのである。

すみきちがいつも使っている
コーヒーカップには、猫の絵が描いてあり、
その青い瞳がシーズのチョコレートを
じっと見つめているようだった。


「ボクも欲しいよう」。シーズのチョコレートを
見つめるすみきちのカップ。

2007年10月3日の日記
既報の通り、有吉さんは出されたものを
目の前に食べものが
出た時の、「食い出し」までの
着火時間が短い。

出されたと思うと、もう食べ始めている
のである。

ところが、様子がおかしい。
有吉さんが大好きな
鶏の唐揚げが入った打ち合わせ弁当にも、
シーズのチョコレートにも手をつけない。

いつまで経っても手をつけない。

「これは天変地異だ!」と大いに驚いた。


好物の唐揚げ弁当や、シーズのチョコレートを
前に、余裕の表情の有吉伸人チーフプロデューサー。

「どうしたんですか、有吉さん?」
と聞くと、
「ふふふ。これはね、夜食なんですよ」
と有吉さん。

打ち合わせ開始前に、すでに夕食は
済ませていたのだった。

有吉さんの「夜食」は、午前2時とか
3時とかそういう時間に平気でなるから
怖ろしい。

担当の生田聖子ディレクターと
山本隆之デスク(タカさん)は、
シーズのチョコレートを「ほう、
これがすみきちの好物ですか」
とスムーズな流れで食べた。

今や熱烈なファンがいる、
タカさんの前傾姿勢(食べる時に、
やる気を出して前のめりになること)
が再び見られた。


山本隆之デスクと生田聖子ディレクター

いつも見事な芸術的さばきで
フロアディレクターをして下さり、
すみきち&スタッフブログ
では「えふでぃーズ」の名で魅力あふれる
文章を綴っている
山口佐知子(さっちゃん)は、
大坪悦郎ディレクターが描いた私の似顔絵と、
「Ichigeki」というロゴの入った
シャツを着ている。

大坪さんはこうして手描きで趣味のファッションを
作るのであって、その「ブランド」
がIchigekiなのである。


Ichigekiシャツを着用。山口佐知子さん。

NHK局内で、「プロフェッショナル班は
めちゃくちゃに忙しいのに、
なぜ皆あんなに楽しそうなんだろう」
と不思議がられている。
そのチームワークは、
個性的な人々がいてこそである。

打ち合わせで、VTRにつけられている
「コメント」に問題点が見つかると、
それを修正する「コメント直し」
という作業がある。

NHKでの打ち合わせを終えた後、
私も、箆伊と石川の発表について、
細部を詰める「コメント直し」
をやった。

サンディエゴの北米神経科学会の
学会会場に向けて、
「がんばれよ!」とエールを送る。

ご苦労様のビールを一杯だけ飲んで、
深夜のコンビニに歩いた。

短い距離だが、
ひんやりとした空気の中をゆったりと歩む。

ただそれだけで、この上なく幸せな
ことのように思える。

地上の幸福は、ささやかなことの
中にこそある。
ただ、それを見いだすのに手続きと
工夫がいるだけのことだ。

人生の要諦はつまりそこにある。

11月 7, 2007 at 07:16 午前 | | コメント (4) | トラックバック (3)

2007/11/06

プロフェッショナル 仕事の流儀 長崎 尚志

プロフェッショナル 仕事の流儀 第67回

愛と覚悟のヒットメーカー  

〜 漫画編集者・原作者 長崎 尚志 〜

長崎さんは、不器用な人だった。だからこそ、
覚悟ができる。自分の手の内にある
素材はこれとこれで、あれはない。
じっくりと吟味して、
それから立ち向かうから、ぶれない。
動じない。

創造とは、「この身限り」
の切ない所作なのだ。

これが私です。それでダメならば、
仕方がありません。

長崎さんの不器用さが、すばらしい漫画を生む。
世界を動かす。

NHK総合
2007年11月6日(火)22:00〜22:44

http://www.nhk.or.jp/professional/

すみきち&スタッフブログ

Nikkei BP online 記事
別れる、忘れる、そして創造する

11月 6, 2007 at 02:18 午前 | | コメント (2) | トラックバック (10)

「ユニーク」を深掘りするから

とにかく忙しいSfN
(Society for Neuroscience、
北米神経科学会)だった。
朝から晩までぎっしりの日々
を終えて、サン・ディエゴの空港に
たどり着く。

いろいろと仕事を持ち込んでいた
上に、学生たちとの発表の
ツメを行う必要があった。

須藤珠水、野澤真一の発表は
終わった。

須藤は、自己他者認識における
ミラーシステムの機能の空間関係への
依存性について。
野澤真一は、「自発性」に関する
実験。エントロピーを計算して
目的志向型と自発型の統計的
差異について論じた。

今年の参加者は38000人だそうで、
会場を行き交う人々を見ている
だけで「脳のフェスティヴァル」
の熱気が伝わってくる。

須藤が発表したミラーシステムについての
セッションはとても面白いもので、
この問題の奥行きを感じさせる。

壮絶だったのは、星野英一との
「デス・マッチ」だった。

ああでもない、こうでもないと、
発表内容をめぐって会場の
隅で徹底的につめた。

そうしたら、夕ご飯を食べている
時に、星野が「へんな生きもの」
に変貌した。
カニのような、カメムシのような。
ふにゃあとした生きものになって、
それから、「ボクは、お腹がいっぱいに
なりました」と言った。


「へんな生きもの」になった星野英一クン。

昨年のSfNでアトランタを訪れた
時、アメリカは決して世界のどこでも
成り立つ「普遍」をつくりだすグローバリズム
国家ではなく、
一つの個性であり、ユニークさであると
感じた。

その感覚は今でも続いていて、
だからこそアメリカを愛する気持ちがある。
日本もインドネシアもケニヤも、
どこも一つの「ユニーク」であって、
万物の尺度となるものなど
どこにもない。

人もまた同じである。

「へんな生きもの」に転ずるときに
根源的な感じがするのは、「ユニーク」
を深掘りするからだろう。

11月 6, 2007 at 02:09 午前 | | コメント (7) | トラックバック (3)

2007/11/04

San Diego

はいつものように
暑く、晴れている。

タクシーの運転手に、
「火事はどうだ?」
ときいたら、
「ここよりもずっと北の、20マイルや30マイル離れたところだよ。
あっちあっち」
となまった英語で言った。

11月 4, 2007 at 08:26 午前 | | コメント (7) | トラックバック (1)

2007/11/01

芸術の神様が降りてくる瞬間

芸術の神様が降りてくる瞬間

茂木健一郎、町田康、金森 穣、 山下 洋輔、立川 志の輔、荒川 修作

光文社

「花野P」こと、テレビマン・ユニオンの
花野剛一さん制作のBS日テレ『ニューロンの回廊』
における芸術家たちとの対談が本になりました。
自分で読んでも、実に面白い。
いい本になりました。

amazon 

11月 1, 2007 at 09:20 午前 | | コメント (4) | トラックバック (2)

Society for Neuroscience

本日夕刻から、11月6日(火)午後まで、
Society for Neuroscience meeting
(San Diego, U.S.A.)に
参加するため日本を離れます。

この間、ネット環境などにより
ブログの更新は不定期になります。

ご了承ください。

11月 1, 2007 at 09:10 午前 | | コメント (5) | トラックバック (1)

うまく「サヨナラ」すること

東京工業大学すずかけ台キャンパス。

研究室の
小俣圭君が博士号を取得することが
ほぼ決定。

小俣くん、おめでとう。
これからもがんばろうね。

すずかけ台駅前の「てんてん」
にて研究室のやつらと
天丼を食べる。

続いて、G3棟の講義室で
Society for Neuroscienceの
準備をする。

野澤真一、箆伊智充、石川哲朗
の研究内容をみんなで聞いて、
検討した。

野澤真一の自発性の研究は、
よい着眼点なのだが、データの処理が
難しい。

新たに実施した実験のデータを
うまく解析して、議論に深みが
出てくれば突き抜けられるだろうゼイ!


発表する「自発性キング」野澤真一クン。

箆伊智充の発表は、なんだか
「余裕をこいて」いる。
実験データはたくさんあるのだが、
まだ、全体の構図を決めるツメが
足りないのである。

箆伊の実験は
次から次へといろいろな
着眼点が出てきて、コンディションも
複雑であり、聞いている方が
次第に困窮してくる。

「ヘライ、お前、どうせだったら
実験100までやって、ギネスブックに乗れ!
そして、この分野の大家になれ!」

半ば冗談で、実は本気でオレは叫んだ。


余裕の表情で発表する箆伊智充クン。

石川哲朗の研究テーマはone shot learning
(いわゆるaha experience)だが、
「コロンブスの卵」的な発想によって、
今まで見たことがないようなグラフが
描けている。

「お前、このグラフを眺めているだけで、
美しいし楽しいよ」
と激賞。


指さし確認! 発表する石川哲朗クン。

黒板に、概念的に整理する
のに必要なことをだーっと描いた。
われながら字がヘタである。
認知科学の問題に角速度が
出てくるというのはなかなかのものであるゾ、
石川くん!


石川の研究に関わる概念メモ。

加藤未希は、関根崇泰との
共同研究で使う装置を自作している。
加藤、エライ。東急ハンズ系は、
実に、本当に偉いんだヨ。
自分の手を動かすことは、尊いね。


加藤未希と、自作の実験装置(部分)

ソニーコンピュータサイエンス研究所へ。
田谷文彦と、最後のツメ。
星野英一の研究の進み具合が心配である。

銀座のアップル・ストアへ。
布施英利さんとの対談。

布施さんとだったら、打ち合わせ
なしでも全く心配ない。

芸術の本質はうまく「サヨナラ」
することである。
何時までも手元においていては
いけない。
作品を成り立たせた、いきいきとした
生命活動を
「熊送り」の儀式を通して
解きはなってやらなければならない。

サヨナラだけが人生だ。

研究も同じであって、あるテーマを
終えて論文を書くということは、
つまりはそのテーマにサヨナラを
することである。

クオリアのような大きな
問題になると、サヨナラをし切る
ことは難しい。

ボクの人生の命題は、クオリアを解いて
サヨナラすることであろう。

クオリアよ、いつかはさようなら。

桑原茂一さんや吉村栄一さん、
新潮社の大久保信久さんなど、
何人かで打ち上げ。

大久保さんの情報によると、
金寿煥さんはリリー・フランキーさんの
原稿をとるために張り付いている
模様。
こちらへの追及は、すぐには
劇症化するまい!

金さん、お疲れさまです。

ずっと全速力で疾走してきた後の、
親しきひとたちとのつかの間の
ゆったりとした時間。

もいちさんと一緒にはははははと
笑った。

11月 1, 2007 at 08:58 午前 | | コメント (6) | トラックバック (5)