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2007/10/11

星間の人

星間の人

一生懸命その人の話を
聞いていると、
その人が、いつの間にか自分の
中に入ってくる。

須藤珠水と、関根崇泰がしみじみ、
くっきりとした姿をして、私の
中に入ってきた。

東京工業大学すずかけ台キャンパスにて、
二人の博士の予備審査。

本当にご苦労さま。

終了後、すずかけ台駅前の
「てんてん」でみんなで
食べた。
ぼくはいつも天丼だが、
柳川透は必ずてんぷら定食である。

いつもは「最初からご飯の上に
のっている方がいい」とハネて
いるが、
もしゃもしゃしているところを
見ると何だかうらやましかった。

乗り換えて藤沢へ。

湘南高校の建物は十余年前に建て替えた
そうで、近代的で立派な
校舎である。

二時間にわたって、一生懸命に
喋った。

タラの芽のような味わいの
想い出がわが胸に残りて、
学舎を後にする。

鉄の塊に乗って、
せっせ、せっせと移動する。

悪友、白洲信哉が
『白洲正子の宿題』 を
上梓したということで、有志で
お祝いの会をする。

とは言っても、信哉氏自らが
「シェフ」となって、人々にご馳走を
振る舞うのである。

それじゃあモウシワケないというので、
志ばかりの酒を持参する。

目を覚ますと、信哉氏、
「茂木さんは寝過ぎだヨ!」
と絡んでくる。

これは失敬。床の上でいつの間にか
星間の人になっていたらしい。

何しろ、関根の論文を直していて、
あまり眠っていなかったからナ。

新潮社の池田雅延さんもまた、
同じ星の空間を漂っていたらしかった。

池田さんと本居宣長の『紫文要領』
の話をする。

「いやあ、宣長さんの文章は、決して
難解じゃないですネ。」
「そうなんですヨ。小林先生は、おそらく、
文章家として、本居宣長を一つの規範
としていらっしゃったんじゃないかと
思います。」

伝説という布を織る現実という糸。

本年度の小林秀雄賞のパーティーで、
受賞者の内田樹先生は、
池田さんに紹介された時、
「担当の方が、まだ
ご存命だったんですね!」
と驚いていたと聞く。

それを聞いて白洲明子さんが
大いにウケたと聞く。

そういえば、信哉氏、来てすぐに
池田さんに「ご存命で!」
とやらかしていたっケ。

なるほど、そういうことである。

ハモ鍋で終わる信哉氏の料理はすこぶる
美味。
かたじけない。

その上、鏡リュウジさんもいらした。

いやあ、これも、「命」のおかげです。
暗闇と、全てをはぐくむ偉大なる
水の賜物です。

のびのびしっとりと躍動した魂
をふところあたりで押さえてみて、
その感触に、いい一日だったとふり返る。


白洲信哉の本と著者。まえがきを寄せたのは不肖私。


佐々木厚さんはシャブリのマグナムを。


池田雅延さん、星間の人となる。


覚めていても星間に漂う。池田雅延、白洲信哉、茂木健一郎。

10月 11, 2007 at 08:30 午前 |

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» 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン リリー・フランキー トラックバック 須磨寺ものがたり
これはいけない、 泣いてしまいそうだと、 何度も涙をこらえ読んでいた。 [続きを読む]

受信: 2007/10/11 14:10:54

» 異星 トラックバック Tiptree's Zone
彼は、もう美しいものしか語らない、と応用形而上心理学のテクノロジーを使用して誓った。 すると、彼の口からは地球語がもはや出てこなくなった。地球語で書くこともできなくなった。それは当然だった。なぜなら地球語は、「哀しみの惑星」と呼ばれている世界の言葉なのだ....... [続きを読む]

受信: 2007/10/11 23:03:07

コメント

星間の人…素敵な言葉ですね。

人は夜、静かに眠りに落ちるとき、またうたた寝している時に、夢の中で宇宙の星々の間を旅するのかもしれない。

茂木さんの御覧になった夢は、もしかしたら輝く銀河の中を逍遥する、そんな夢だったのだろうか。
(若し違っていたらお許し下さい)


白洲信哉さんのご本の上梓を記念しての、お祝いの会のスナップを拝見しましたが、いやぁ、本当になんとも和やかで、あったかい、いい雰囲気ですね。
…うらやましいなぁ。

白洲さんの後ろで“かくれんぼ”をなさっている茂木さんが、なんともいえずイイ味を出しておられます(失礼!)

普段から気心の知れた方同士の集まりは、私のような外野の人間から見ても、とても素敵なものなのだなぁと、しみじみ思います。

投稿: 銀鏡反応 | 2007/10/12 0:26:07

「現実という糸」の一本一本に
もし意識があるなら、
自分がどんな織物になっているのか糸自身は
知らないのでしょう?

必死で人生の目的を探そうとするのは
自分だけ織物から抜け出て
布全体を見わたそうとするような
ものでしょうか?
「さあ!」とお望みの視点を手に入れた時には、もう
布は、自分が抜け出たことが原因で
ほどけてしまっているかもしれないのに。。。

でも刹那、刹那で生きていくのは
たよりないので、たまには
むにゅ!って抜け出して、
せめて今より少しでも
広い視野を確保して安心してみたいです。

抜け出そうともがいているだけで
人生終わってしまうのも私らしくて
いいのかもしれません(笑)。
あんまり暴れたら、
隣近所の糸に迷惑。。。!

投稿: まり | 2007/10/12 0:09:26

 茂木先生、白洲次郎さん縁の方(孫の信哉さん)と親しいとは羨ましい限りです。GHQに「従順ならざる唯一の日本人」と言わせしめた気骨ある日本男児、白洲次郎さんは私がご尊敬申し上げる日本人の1人です。オックスビレッジ出身の皆さんが使われる完璧なイントネーションで米国から来た田舎者のマッカサーを終戦間もないときに一喝した、その情景を想像するだけで爽快だと思いませんか?
 ちなみに茂木先生の話される英語はクイーンズイングリッシュですか?私も真似(猿真似?)しようと思ったことがございますが、あのちょっと鼻にかかった仏語的英語の発音は極めて習得困難で諦めました。英国人や豪州人の輩には「君は米国にでも住んでいたのかい?君の発音は極めて米国人的」と嘲笑される始末です。確かに私が生の英語を学んだのは米国人宣教師でしたが・・・。
 そうそう白洲次郎さんについては夫人の正子さんも素敵ですよね。ご夫婦揃って洒脱だと思いませんか。私が理想とする夫婦像です(と、かく言う私は独身のままですが・・・)。そんな白洲次郎さんのような骨のある日本男児を探しているのですがなかなか出会えそうもないです。こうして馬齢を重ねていくばかりで・・・。

投稿: K.M | 2007/10/11 23:51:55

湘南高校の生徒です。
昨日の先生の講演、大変感銘を受けました。
本当にありがとうございました。
機会がございましたら、またお話を聞かせてください。

投稿: s.h.s.s | 2007/10/11 23:36:02

こんにちわ

茂木さんの「星間の人」は、「面白い」、と、思いながら、思ったのですが。

星座って何だろうと、思った。ただ星があるだけなのに、人間はそれに「オリオン座」、「白鳥座」などと、呼び名や意味をつける。
逆に、宇宙から地球を見ると、モノの名前と言うのは、その人間たちが一時的に呼び名をつけているだけのような感じがする。経済も同じである。通貨に一時的に人は価値をつけている。まるで、意識の世界が、現実の世界に影響を与えているよう。

人間は人生の3分の1を星の間で生活する?(^^)

投稿: tain&片上泰助 | 2007/10/11 14:17:30

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