いいか、芸術というものは・・・
日経サイエンス編集部で、
最相葉月さんにお目にかかる。
最相さんは、1997年に
出版された私の『脳とクオリア』
をお読みいただいた時、
「ああ、ここにも私と同じことを
考えている人がいる!」
と思ってくださったのだという。
最相さんが『絶対音感』
で華々しいデビューを飾った後、
第二弾として出されてきたのが、
『青いバラ』だった時、
私は、「うーん、こう来たか」
「このシークエンスは完璧だ!」
と思った。
今から考えると、『絶対音感』にも、
『青いバラ』にも、すっきりと
整った、あるクオリアが随伴していた
ように感じられてならない。
講談社ノンフィクション賞を受けられた
最相さんの最新作『星新一 一00一話を
つくった人』もまた、
一つのくっきりとしたクオリアが
伴っているように感じられる。
最相さんは、ベンヤミンの言う
「オーラ」の作家なのだ。
NHKへ。解説委員の舘野茂樹さんと
お目にかかる。
『視点・論点』の収録。
放送は、現在のところ10月15日の
予定とのこと。
東京芸術大学へ。
ベネッセコーポレーションの
代表取締役会長兼CEOの福武總一郎さんが
いらして、講義してくださった。
「全ての学問の究極の目的は、
コミュニティ作りである。」
「人生の目的は、思いをかたちに
することである。」
「すぐれたアーティストは、
体制に対する反逆精神を持っている」
実践に裏付けられた力のある言葉に
熱気が学生たちに感染していくのが
わかった。
上野公園に場所を移して
懇談を続けた。
福武さんが、丸い石椅子の上に
立ち上がった。
「静聴せよ!」
ウォオオ。
「いいか、芸術というものは・・・」
秋の気配がしんしんとする
公園に降臨した奇跡。
そうだ、カクメイだ!
授業を聴きに来られた桑原茂一さんと、
「いやあ、人生というのはよいものですね」
と見えない月の気配を一緒に探った。
昨日の模様は、鈴木芳雄さんの
ブログ「フクヘン」にも写真付きで
紹介されています。
10月 2, 2007 at 07:40 午前 | Permalink
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コメント
茂木先生が最近上梓された『日本人の精神と資本主義の倫理』(幻冬舎新書)を読みました。いつも冷静沈着で理性的な先生の意外な一面を垣間見られてとても面白かったです。茂木先生が実は「『怒り』の人」で大変パッションを持っておられる方だったことに驚くと同時に共感いたしました。
この本にはもう1つ大きな収穫が・・・先生のお人柄を伺い知ることができる記述を見つけました。「僕は普段、お金のことを何も考えていません。クレジットカードこそ持っているけれど、あとは銀行の預金カードが三枚あるだけ。しかも、記帳もしないから、総額いくらあるのかも把握していません」。思わず「なんて茂木先生らしい!」と納得してしまいました。
実は私も同じ価値観なんです。傍目から見たら私はバリバリのキャリアウーマンで人生を謳歌しているように見えていると思いますが、ブランド品にも煌びやかな宝石類にもまったく関心がないのです。
それよりも、美しい夕日を見たり、葉擦れの音を聞きながら木漏れ日を全身で浴びたり、四季折々の食材を使った旬の肴でおいしいお酒をいただいたり、そんなささやかなことに心を充たされています。
投稿: K.M | 2007/10/03 1:41:37
秋ですね。
雲に隠れた月は見つかりましたか(笑)?
当時の私の場合に限って言えば、
精神の調整が必要なほど病んでいる人に見えたのかな?と
今になってちょっと不安に。
どうなのでしょう(笑)?
こちらに呼ばれたような気がした去年の夏、
実は精神的にはどん底にいて
バタバタしている最中でした。
だから構ってもらうのが嬉しくて
救われたような気がしていました。
まだまだジタバタします!
が、とりあえず好きなものには
どんどん近づいていく勇気を
少しずつ蓄えなければ!と今日は
思えるようになりました。
好きなものは
今すぐ役に立つものたちではないかもしれないけれど
どんどん蓄えておけば
いつか光り輝く瞬間もあるのではないかと
はかない切ない希望を胸にガンバロウと
思えるようになりました。
来週はいよいよ
「カルチャーセンターのおばさん」デビュー!!!
はぁぁぁ。。。。です。
でも動物好きだし、頑張って行きます!
↑rain reaction じゃなくてカルチャーセンター リアクション、
な感じです。
はぁぁぁ。。。。居眠りしやしないかと、それも心配。
「ごはんだよ。ハニー」って
ささやいてくださったら目を覚ますと思います。
ホントウは「ハニー」は省略されていても
食い意地がはっているのでオメメはパッチリ覚めます。。。
今日は去年の夏と同じくらいとても落ち込んでいて
お昼すぎから無理矢理テンションをあげました。
こんな変なテンションのまま送信ボタンを
クリックするのは怖いです。
つくづく自分はヘンなヤツだなって
あとで後悔して落ち込んでしまいそう(笑)。
でもクリックします。
エイ!エイ!エイ!
投稿: まり | 2007/10/02 20:56:17
同じ思いをしている人がここにも居た・・・・。
最近感じました。
茂木先生を
軸にみんなが集まったメルヘンの世界に飛び込んだ
妖精になったようで、うれしかったことがありました。
それは、私が今、NHKのみんなの歌ではまっている歌があるのですが、
私の大好きな、「のっぽさん」が歌っている「ハロー!グラスポッパー」って曲なのですが、一昨日のプログの中で「おはよう」の意味が書かれて
ありましたが、「グラスポッパー」の中でも出てくるのです。(訳ではないです)
ミュージカル調なので硬くなく楽しい会話です。
「おはよう」は「私はあなたのなかまですよ」と言う意味として
会話がすすんで行きます。
プログを読んで、ふと聞きたくなったので、検索をしてヒットしたアマゾンを見て
同じことを感じているんだ人がいるんだなって・・・・。
リンク先の一番したの
「最近の履歴に含まれている商品を買った人は、こんな商品も買っています」のところです。
茂木先生の「クオリア入門」 「脳の中の人生」が並んでいるんです。
これを見るとなんだか、「くふふ・・」ってくすぐったくなります。
http://www.amazon.co.jp/NHK%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%9F%E3%80%8C%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%82%A4-%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%9B%E3%83%83%E3%83%91%E3%83%BC-~%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%9B%E3%83%83%E3%83%91%E3%83%BC%E7%89%A9%E8%AA%9EII-%E6%98%A5%E7%B7%A8~%E3%80%8D-%E4%BC%8A%E8%97%A4%E6%9C%89%E5%A3%B1/dp/B000NOIT1K
「グラスッポパー」も一度聞いてみてください。
公園にいる虫、、たぶんバッタ?のおじいさんと孫たちの映像もとても綺麗です。
本当にステキですよ。
「私たちの年になるとね。石とも話せるようになるんだよ」なんて。。。
(みんなの歌放送予定一覧)
http://www.nhk.or.jp/minna/schedule/schedule.html
(記憶力がないので台詞は正確ではありませんのでごめんしてください。)
投稿: あすか | 2007/10/02 18:51:46
昨日は、秋講義の初回にずうずしくもおじゃまさせて頂きました。
用事があって、挨拶もせず帰ってしまったことを
どうか許してください。
ベネッセの福武さんのお話は、大変勉強になりました。
それと、なんだか頷いてしまいました。
私は直島のアートプレジェクトのことを知りませんでしたが、
四国がどんなに美しい所かということは、何度も訪れているので知っていました。
島巡りもしたことがあり、遊覧船に乗ったことも。
それで、素晴らしい構想を実現されたのだと知り、是非見に行きたい気持ちになりました。
きっと、福武さんは本物を見る目をお持ちなのだと想いました。
会社の代表らしく、確信に満ちた言葉の数々したが、
印象に残った一番の言葉は、茂木先生の書かれた
「優れたアーティストは、体制に対する反逆精神を持っている」
でした。
草間弥生さんの作品も然りですね。
教育に携わっているお仕事をされているだけに、
「何が今現代社会に大事なのか? 人を主体化すること。
もっともだ、は必要ない」とのお言葉も印象に残りました。
時々、茂木先生のことを芸術家と勘違いしてしまいそうになります。
よくよく考えると、化学者だった、と思い直します。
茂木先生と出会えたことに感謝です~☆
投稿: tachimoto | 2007/10/02 18:21:26
芸術を含む、創造的作業には、今までに無いものを創らなければならない宿命があると思います。
コンピュータが、創造的作業を自動的にすれば、本当のAIができるとお思います。でも、そうは問屋がおろさないでしょうね(笑)。
投稿: tain&片上泰助 | 2007/10/02 17:29:22
「絶対音感」「芸術」とかが、出たので、ズレますが江村哲二さんの「地平線のクオリア」(ALCD-73)を聴いた感想を少し書く。
言葉に出来ない(もともとの素朴な意味で)というのが感想です。
「作曲とは聴くこと」とノーツに江村さんが書いています。この音は何から生まれて彼の頭に住み着いたのだろうか。
「現代」音楽は、音を聴くという意味では原始的な感情を与える。「ベートーベンのあのフレーズは」といった感想、感情とはかけ離れている。
同時に買った、内田光子さん(<さん>をつけるのが変なくらいの大家になった)の『28番』『ハンマークラビーア』(uccp-1128)とは比べて述べることが不可能。これはピアノ音楽を聴かせるが、江村さんが聴かせようとしたのは何なのだろうか。
30年程前に武満徹の『テクスチュアズ』をN響で生で聴いたときは、最強奏の時に寒気が走った記憶が今も残る。それは決して音量だけの問題ではない。生のプロの人間が金管と打楽器を限界の音量で鳴らすという、極めて人間的な風景の与える感動であったかもしれない。
原始的に音に向き合う「現代」音楽はそのクオリアもテクスチュアも生でしか伝わらないのかも知れない。
1公演に1000万の経費がかかり、しかも練習時間もかなり要する=日の目を見にくい、このこの芸術に賭けた江村さんのことを改めて考えた。
ウェーベルンがあと30年生きていたら、2007年の音楽はどうだったろうとも思ってみた。
投稿: fructose | 2007/10/02 11:38:21